カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。カナダ留学情報を発信するTwitterアカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万を超える。現在までサポートしてきた生徒数は1万人以上。
「未経験からスタートし、1年間カナダのカレッジで学んだだけでウェブ制作者として現地企業に就職成功しました!」
ネットやSNSで、このような海外就職の成功体験を見たことがありませんか?
思わず「これ、本当なの?!」と気になりますよね。
もちろんこのような成功例はゼロではありませんが、知っておいてください。
現実はこれほど甘くはありません。
今回は、カナダ在住21年、これまでカナダの留学業界に長年携わる中で1万6千人以上の留学生と接してきた経験と、私自身雇用主として50名以上雇用してきた立場から、カナダ就職とカナダ移民(永住)の現実的な考え方についてご紹介します。
就労ビザについて
この記事では、カナダで働き、永住権を取得するために必要な就労ビザについてご紹介しています。
カナダで就労ビザを取得するには、雇用主を見つけ、その雇用主が「LMIA」と呼ばれる就労ビザの審査を通らなくてはなりません。
つまり、雇用主のサポートがあってはじめて就労ビザが取得できます。これを通称「ビザサポート」と呼んでいます。
就労ビザ取得の仕組み、LMIAとビザサポートについてはこちらの記事をお読みください。
このページの目次
カナダ移住に Fast Track(近道)はない
カナダ移住の体験談を探していると「成功話」や「シンデレラストーリー」が目に付くことがあります。
たとえばこんな「ウソみたいな本当の話」は、留学中実際に起こりえます。
留学中の成功例
カナダのワーホリでに滞在していたAさん。
たまたま現地で知り合った人がビジネスオーナーでした。
ある日、そのオーナーさんに「実は、LMIAを取得して就労ビザをサポートしようと思っていたスタッフが急に帰国してしまうんだ。君、代わりにうちでやらない?」と突然の話が舞い込んできました。
カナダでの就職を考えていたAさんはもちろん承諾。
とんとん拍子でワーホリビザから就労ビザにつなげたそうです。
しかし、こんな話を聞いて「そうか、就労ビザをサポートしてくれる雇用主さえ見つかれば話は早いんだね♪」などと近道を探してしまうのは禁物です。
雇用主は「ビザがほしい人」は求めていない
大前提として、雇用主が探しているのは自分のところで働いてくれる人で、すなわち「すでに働けるビザを持っている人」です。
働くビザを持たない状態でカナダ就職を考えるのは、この前提条件すら満たさないまま求職活動を行うということです。
でも、ネットには「就労ビザをサポートしてくれる店でバイトが決まりました!」ってよく書いてあるけど……アルバイトが見つかれば、自動的に就労ビザもついてくるんじゃないの?
このような成功例はたしかにネットでよく目にします。
中にはこのような成功例を見て「アルバイト先が決まれば簡単に就労ビザを出してもらえる」と勘違いしている方もいらっしゃいます。
現実はこうです。
雇用主側からすると求人に応募してきた人が「ただビザサポートしてほしいから」働きたいのか、本当にこの仕事が魅力的だから応募してきたのかは分かります。
誰も「自分勝手な人」を雇いたくない
雇用主の気持ちを考えると、次のどちらの人を雇いたいと思うでしょうか?
どちらを雇いたい?
- 「この店で働きたい」と思いながら応募してくる人
- 「ビザサポートさえしてくれればどこでもいい」と思いながら応募してくる人
求人応募の際にまっさきに「ここで働きたいのですが、ビザをサポートしてくれますか?」と雇用主に確認する人がいます。
でもこの質問は、雇用主側に「ビザサポートしてくれるなら働きたいけど、そうじゃないなら辞めます」と伝えるようなものです。
もちろん内心そうだとしても、本当に雇ってもらいたいならそれを伝えてもメリットはありません!
自分の都合や条件ばかりを押し付ける求人応募は失礼ですよね。
しかし、実際このような仕事の探し方をしている方が珍しくなく、「たくさん応募してるのに全然返事がもらえない……」とつぶやく方もいます。
仕事が先に決まり、ビザが後から確実ついてくる例は、企業の駐在や技術者招致など、会社側がその人材を強く求めている特殊な例のみだと考えるのが現実的です。
スキルやコミュニケーション能力がない人材に、そんな話は絶対に来ないと断言します。
安易に「ビザサポートするよ」と言う雇用主にも要注意
反対に、あなたのことをよく知りもしないのに「就労ビザ? オッケーオッケー、サポートしてあげるよ!」と安易に答える雇用主にも注意が必要です。
悪質な雇用主の場合、「ビザサポートをする」と言っておけば、あなたが低賃金でも辞めずに働くだろうと思っていることもあるのです!
「弱み」をつかまれると足元を見られます!!
雇用主にビザの知識があまりなく「サポートと言っても、書類にささっとサインするくらいでしょう?」と軽く思っている可能性もあります。
ところが、いざ手続きの話を進める段になって、就労ビザのサポートの複雑な申請手順を目の当たりにし「こんなのできない!」と投げ出してしまう雇用主もいるのです。
こちらは悪意がないだけ逆に始末が悪いのですが、さんざん働いたのに就労ビザが出してもらえなかったという話は数えきれないほどあります。
ネットには「成功例」しか載らないという現実
インターネットで情報収集をしていると、次のように「いかにも簡単に成功した」ような例がたくさん見つかります。
- 「コープ(インターン)先の上司からジョブオファー(内定)をもらいました!」
- 「ワーキングホリデー中に働いた雇用主から、就労ビザを出してもらいました!」
- 「未経験でカレッジに入り、卒業後にカナダ企業に就職し、永住権を取りました!」
「これだったら私にもできそう!」と思ってしまいますよね?
逆に、うまく行かなった失敗例は表に出てこないことを忘れてはいけません。
表に出てこない失敗談
カナダ移民を目指したのにワーホリで仕事探しが上手くいかず、結局就労ビザももらえず、仕方なく帰国……。
このような経験をした人は、わざわざ SNS を使って公開しませんし、あまり人に伝えようとはしません。
そのため、ネットで見かける成功例には生存者バイアスがかかり、あたかもほとんどの人が成功するような錯覚に陥ってしまいます。
たとえば、次のような失敗例は数え切れないほど存在しています。
過去にあった移民失敗例
- 「カナダ移民なら〇〇州がおすすめ!簡単に移民できる!」というネット情報を鵜呑みにしてわざわざ州を移動したが、実は永住権のシステムが変わっていて条件を満たせず。好きでもないこの州に来て、何のために行ったのか……
- 日本でデザイン関係の仕事をしていたので、同じ分野なら自分の知識を活かせるかと思いカレッジでもデザイン系のコースを受講。しかしせっかく高いお金を払ったのに知っている内容ばかりで時間の無駄に。プログラム選びを失敗したかもしれない。
- 旅行ガイドの仕事は天職で大好きなので、カナダでも同じ仕事に絞って就職活動。しかし、現実には旅行ガイドは移民しにくい職種であることとに後から気づく。目標は移民だったのに時間を無駄にし、ビザの期限も切れてしまった。
このように、あとになってから「こんなはずじゃなかった!」となるのは非常につらいです。
特に、専門家に相談せず「先輩移民」や「カナダに詳しそうな人」のような、素人の書いたネット情報を鵜呑みにするのは危険だということ。
カナダでの移民や長期的な就労を検討している方は、希望する仕事やご自身の経験に合わせ、しっかりと正確な情報を把握しなければ失敗します。
多くの方が同じような挑戦をし、同じように失敗もしているという「目立たない現実」があるのです。
シンデレラ・ストーリーの主役は「元々すごい人」
この記事の冒頭で、次のようなシンデレラ・ストーリーを紹介しました。
ところが実際に詳しく聞いてみると、日本の有名大学を卒業していたり、誰でも知っているような超大手商社に新卒で採用された経歴を持っていたりします。
つまり、経験ゼロからの一発逆転ではなく、「もともと優秀だった人が環境を変えても成功した」という話なのです。
これは、予備校の合格者体験談と似ています。
大手の大学受験予備校から毎年東大合格者が千人単位で出ていますが、その背景では何十万人もの受験生が失敗しているのです。
「あの人も人生大逆転できたんだから、自分にもできるはず」と運に頼るのはやめませんか?
本当に夢を叶えたいのであれば身の丈に合った現実的な計画を立てることが何よりも重要なのです。
「コーププログラム」はあくまで「就労体験」
人気の高い留学手段として、私立カレッジの コープ(Co-op)プログラムがあります。
これは、勉強しながらアルバイトもでき、学んだことを活かしてインターンシップもできるプログラムです。
カナダでの就職を考えている方にとって重要なステップとなりますが、これに夢を抱きすぎる人も多いのです。
「コーププログラム」は、あくまで「就労体験」だということを知っておきましょう。
Co-op 期間中はあくまで「学びの場」
カナダのコーププログラムに興味のある多くの方の関心は、次のような「仕事に関わる内容」に集中します。
留学生が関心を持つこと
- Co-op 中はどんな仕事ができる?
- そこから就職にはつながる?
- 有給か無給か?
コープ(Co-op) はカナダでの職業を体験できる貴重な場ですが、あくまで学びの一環であることを忘れてはいけません。
コープ(Co-op)プログラム期間中は学生の身分です。
「未経験だけどちゃんとお給料もらって働く」と意気込んでいると、期待を裏切られてしまう可能性が多いです。
日本でも、資格の学校に通ったからといって卒業した瞬間からその業種でバリバリ働けるわけではありませんよね。
Co-op 期間中は学生として、職場体験をする機会です。
その業界での仕事内容に触れ、流れを知り、仕事の仕方を実践で学ぶのが目的で「カナダでバリバリ働く」ではありません。
Co-opから直接カナダ就職は難しい
カナダで職場体験ができることでおすすめの コープ(Co-op)プログラムは、主に私立カレッジで提供されています。
私立カレッジは公立カレッジと違い、卒業したあとに就労ビザ(ポスグラビザ)はもらえません。
つまり、就労ビザがほしいなら卒業後に現地で自力で就労ビザをサポートしてくれる雇用主を探さなければならないのです。
カナダでは雇用主が外国人を雇って就労ビザをサポートする際、雇用主側にもさまざまな責任が生じます。
例えば、カナダでは外国人を雇う(就労ビザをサポートする)場合、その地域の同一職種・同一ポジションの平均賃金以上で雇わなければなりません。
これは言い換えるならば、雇用主は外国人を雇う場合は低賃金ではなく、ちゃんとしたお給料を出すと国と約束しなければならないということです。
専門職なら年収6万ドル以上になることもあります。
- 参考リンク 技術職、BC州平均賃金例
もちろんこれは雇われる側(外国人)から見ればうれしい話ですが、雇用主の立場になって考えてみてください。
わざわざ未経験の外国人を、ネイティブで同じ職種で働いている人と同レベルのお給料を出してまで雇いたいと思うでしょうか?
日本人が日本で専門学校に1~2年通い、年収600万円の仕事を勝ち取ることだって難しいのですから、海外でそれがどれだけ難易度の高いことかは想像いただけるでしょう。
もし、元々日本で同職種の経験があり即戦力になれる方だとしても、短いコープ(Co-op)プログラムの受講期間中に見つけた研修先の会社が
- たまたまそのタイミングで人材を募集していた
- さらに、たまたまその時外国人の就労ビザサポートに積極的だった
…という条件まで揃わなければならないので、まさに運も必要になって来ます。
よほど特別な技術力やコネクションがない限りは、コープ(Co-op)からの就職 & 就労ビザサポートという計画は難しいと言えます。
Co-op の活用方法
それでも、コープ(Co-op) には Co-op の活用方法はあります。
1~2年間必死に働き、その働きぶりと技術力が雇用主に評価されることもあります。
低賃金で雇用主をこき使いたい悪質な雇用主ばかりではなく、適正なコストをかけ高品質な成果を出してもらいたいと考えている雇用主もたくさんいます。
そこで、
- Co-op 期間中にお試しで働かせてください
- Co-op 期間中なので無料、もしくは低賃金で働けます
とアピールすることで、「いきなり高給で外国人を雇うのはリスクだ」と考えている雇用主を説得することができます。
ただし、中には「無給でも働きます」という留学生の必死な気持ちを逆手に取り、さんざん無給で働かせておきながらその後正規採用させる気持ちのない無慈悲な雇用主が存在するもの事実です。
その後の雇用に繋げたいのであれば、例えばその職場に「以前はボランティアで働いていたが現在は有給の正規雇用されている先輩」がいないかを先に確認してみるのもいいかもしれません。
もし、周りを見渡してみて、過去に誰ひとりとしてボランティアから正規雇用に繋がった先輩がいないようなら、早めに見切りをつけて別の環境で経験を積むことも検討してみてください。
ワーキングホリデーと組み合わせ長期間働けるとなれば、さらにチャンスは広がります。
つまり、コープ(Co-op)プログラムの活用方法は大きく2種類になります。
Co-op 活用方法①:就労ビザに向けたステップアップに使う
コーププログラムの仕事を「お試し期間」と位置付ける
↓
雇用主が納得する働きぶりをアピールする
↓
ワーホリビザに切り替え、まずは最低賃金で働く
↓
ワーホリ中の実績を使い、より高収入の仕事で就労ビザをサポートしてもらう
Co-op 活用方法②:学びの場と割り切る
「ソフトウェアエンジニアの勉強をして、日本に帰って就職するんだ」
「カナダのホスピタリティを学んで、日本で活かそう」
というように、あくまで「学び」の部分に重点を置いて利用する
このように、Co-op で働く期間は「カナダでバリバリ働く!」と意気込むのではなく、その後のステップにつながる手段としてとらえましょう。
カレッジ進学は「就労ビザを買っている」と考える
「カナダに移民をしたい」とエージェントに相談したら先に進学を勧められた、という経験はありませんか?
2年カレッジに行くと学費だけで300万もかかる!移民になればもっと安くなるらしいのに、なんで先に進学が必要なの?エージェントが儲けようとしてるだけじゃ…納得できない!
こう思っている方は多いです。
なぜカナダ移民を目指すのに進学が必要なのでしょうか。
カレッジ卒業後のポスグラビザ
たしかに移民をした後の方が現地での学費が安くなりますし、先に進学を勧められても「別に勉強がしたい訳じゃない」と釈然としない方もいらっしゃると思います。
しかし、ここまでご紹介してきた話を思い出してみてください。
カナダの永住権を取得するのには「カナダでの就労経験」が必要で、そのためには何よりも就労できるためのビザを取らないといけません。
この就労ビザを取得するもっとも確実なルートが「公立カレッジを卒業し、ポスグラビザで働く」なんです。
ポスグラビザ(Post Graduate Work Permit)とは、カナダの公立カレッジを卒業したら取得可能な就労ビザの一種です。
2年間学校に通えば、最大3年間働くビザが取得できます。
つまり、学費を払ってカナダの就労ビザを「買う」ということです。
移民を目指すのであれば、「2年の進学+3年の就労ビザ」で計5年間カナダに滞在し、その間に学費相当額を投資する。
そして、カナダでの教育と移民への足掛かりとなる職歴を身につけ、将来カナダで安定した収入を確保する。
そう考えれば、決して悪い買い物ではないと言えるのではないでしょうか。
職歴をつけるには長期戦を覚悟しよう
カナダで職歴を増やすには時間が必要です。
いきなり年収600万円のウェブデザイナーとして現地就職するのは無謀です。
しかし、1年目は年収400万円の仕事からはじめて、3年目で600万円を目指すならば実現できる可能性も高まります。
そのため、就労ビザの期間は長ければ長い方が良いです。
でも学費を安く抑えたいから、1年間しかカレッジに通いたくない…。
たしかに、就学期間を2年ではなく1年に短縮すればそれだけ学費は安くなります。
しかし、1年のブログラムを卒業した場合、卒業しても1年分のポスグラビザしか発行されません。
反面、2年のプログラムを卒業すれば最大3年分のポスグラビザが出ます。
学費を1年分節約…と言っても、この先長期的にカナダ移民に向けて計画するならば、この学費はほぼ誤差範囲です。
移民への最大の武器となる「カナダでの職歴」を重要視するならば、3年間のポスグラがある方が圧倒的に有利です。
後悔しないためにも、移民を目指すのであれば2年間のカレッジに通い、その後3年分のポスグラビザを取得するのがおすすめです。
就労ビザが長いほど雇われやすい
でも、しっかり働いて結果を出せさえすれば、1年のポスグラビザでもジョブオファーを出してもらって、順調に就労ビザをサポートをしてもらえるかもしれないよね?
このような希望的観測は珍しくありませんし、実際にこのようにすべてが順調に行く方もいらっしゃいます。
ただ、雇用主側の気持ちを考えてみてください。
1年分のポスグラビザしかなく、1年しか働けないと分かっている外国人をあえて雇うでしょうか?
その後の就労ビザをサポートしてもらえるどころか、そもそも「雇われない」という可能性もあります。
少しでもビザについて理解している雇用主であれば、就労ビザサポート=お金と手間がかかると理解しています。
さらに、前述した通り、就労ビザをサポートする場合は雇用主は会社の規定給与ではなく、政府が決めた「平均給与」に見合うだけでの高いお給料を支払わなければなりません。
そしてそれだけのお給料に見合うとみなさなければ、期限終了とともに辞めてもらうしかありません。
会社にとって1年間しか働けないというのはとても短く、実際に職場で貢献できるようになるには2年、3年とかかるのです。
よほどの実力者でない限り、すでに永住権を持っている移民やより長く働けるビザを持っている方を優先するのは自然です。
このように、雇われる可能性を少しでも高めるためにも2年のカレッジに通い、卒業後に3年分のポスグラビザを取得するのが最善案なのです。
カレッジのプログラム選びも重要
「進学は移民への投資である」と考えると、カレッジのプログラムの選び方も変わってくるとお気づきかもしれません。
もちろん「何を学びたいか?」という観点も大事ですが、投資の場合はそれだけではありません。
- そのプログラムに進学することによって、希望通りのリターンが得られるのだろうか?
- つまり、将来的にカナダでの就職や永住権獲得につながるのだろうか?
と考える必要があります。
極端に言えば、どれだけあなたにとって興味のあるプログラムだったとしても、その後の就職につながらなければそれは「投資」になりません。
特にあなたがその分野でまったくの未経験の場合、ネイティブの経験者と競って就職を勝ち取るのはとても大変なことです。
専門性の高い職種であればなおさらそうです。
さらに、フリーランスや自営業という働き方が多い分野を選んだ場合、そもそも移民申請に必要な就労経験(職歴)が得られない可能性もあります。
すでに日本での経験がありカナダで就きたい仕事や学びたい分野を決めているという方も、もし移民を視野に入れている場合は1人で考えず、ぜひご相談ください!
多くの方は
- 日本で貿易事務をしていたからカナダでも貿易事務を探そう!
- ホテル勤務していたから、カナダでもホテルで働きたい!
- この分野はすでに実践経験があるから、カレッジは1年だけでいいかな
などこれまでの経験を元に今後の流れを考えますが、これでは仕事の選択や可能性を狭めてしまいます。
カナダ移民の方法は、実はあまり知られていないだけさまざまな選択肢があるのです。
やりたい仕事=移民するための仕事ではないこともある
ここまで、カナダでの進学はその後の就労ビザを取得するための投資であるとお伝えしました。
同じように、カナダでの仕事探しも、移民申請の基準を満たす手段であると割り切る考えもとても重要です。
というのも、カナダ移民を希望する方は
- 自分の好きなこと、やりたいことで
- いい収入で
- できれば最短の時間と費用で
理想の仕事に就きたい…と心の中で思っている方が多いです。
もちろん希望を明確にするのは大切ですし安易な妥協はおすすめしませんが、「移民」を目的とした場合、これらのこだわりが失敗の元となることがあります。
こだわるところを間違えない
カナダ移民を最終目標とする場合、こだわるところを間違えてはいけません。
- 好きな仕事に就けたけど、短期契約だから仕事が安定しない
- 大手企業やカナダ企業(日系ではない)にこだわって就活したが、結局雇われず無職期間が長くなった
- 希望していた分野は高収入だが、未経験ではほぼ雇ってもらえないと卒業間際に気付いた
このように、優先順位を間違えると結局なにも得られないという話が本当に多いのです。
カナダの永住権獲得の方法はたくさんありますが、ほとんどのケースではカナダ国内での就労実績(職歴)がカウントされます。
働いていたという経験が大切なので、実はカナダの超有名大企業に就職しようと、ローカルの従業員2名の小さなカフェに就職しようと、永住権申請に差はありません。
移民を目的とした就職なら、内容よりもいかに確実に永住権につながるかを最優先にしなければならないのがお分かりいただけると思います。
カナダの移民の方法はさまざま
カナダは世界中から多くの人が移民を目指してやってきます。
フィリピンの方がカナダ永住を目指す場合、カナダのケアギバー(お年寄りや子供の世話などを行う仕事)移民プログラムを使うことが多いです。
例えば、母親がケアギバーとして先に移民し、その後フィリピンから家族を呼び寄せるパターンです。
母国では大学教授や医者など教育水準の高い職についていた方が、政治的な困難などを理由に難民申請をしてカナダに移民し、タクシー運転手をして家族を呼び寄せるお金を貯める、という話もあります。
日本人でも、日本では全然違う仕事をしていたけれど、カナダでは寿司職人として働いて移民した、という方もいらっしゃいます。
移民を目指して奮闘したストーリー
- カレッジでビジネスアドミニストレーションのプログラムを受講後、日系の会社で事務を担当し、事務の職歴を申請し永住権取得。移民後、兼ねてよりの希望だったパラリーガル(※永住権または市民権者のみを対象)のコースを受講し、キャリアチェンジ。
- カレッジではチャイルドケアのプログラムを受講したが、アルバイトしていたレストランでそのまま勤務を続け移民申請。永住権取得後に、改めてチャイルドケアの職探しを予定している。
- カレッジの美容関係のコースを出たが、職歴は事務職で申請して永住権取得。移民後は、自宅でホームサロンを開き、サービスを行っている。
- カレッジでアカウンティング(会計)プログラムを受講後、会計担当を経て永住権取得。移民後、会計士資格を取るため大学に入り直す。
このように、既に永住権を取得した方々をの話を聞くと、決して最初からやりたい仕事、好きな仕事に就けたわけではないのです。
移民の要件になるからと毎日1時間半かけて通勤していたり、2回クビになって諦めかけたり、最低時給で長期間がんばった…など、非常に苦労した話もよく聞きます。
しかし、最終的に移民を勝ち取ったあと、転職やキャリアチェンジをしたり、もともとやりたいと思っていたことにそれぞれ挑戦されています。
まずは永住権を取得するのが何よりも最優先なのです。
もしこれらの方々が
- 「お年寄りのケアなんてやりたくない」
- 「医師の私が、わざわざ違う国に行ってタクシーを運転するなんてもってのほか!」
- 「寿司職人は自分がやりたいことじゃない」
といつまでもこだわっていたら、きっと移民には至っていないでしょう。
移民に必要なのは「就労経験」であり、今は「好きな仕事」は一旦横に置いてもいいのです(もちろん一致すれば理想ですが)。
人生は長いです。カナダで好きな仕事に挑戦するのは、永住権を取得したあとでも十分できます。
例えば、カナダで永住権を獲得すると、公立大学の学費が格安になります(例:留学生の学費300万円が移民後は現地学生と同じ40万円程度になる)
永住権を獲得後に自分の好きな分野で学び、夢に見た新しいキャリアをスタートさせる。
むしろそちらの方が現実的かもしれませんので、好きな仕事へのチャレンジは、永住権獲得後にぜひ挑戦してみてください。
効率的に永住権を取得するために
カナダの永住権を取得するという明確な目標がある場合、わざわざ遠回りする必要はありません。
できるだけ効率よく、最短で取得したいですよね。
そのためカレッジでは「もっとも永住権が取りやすい」プログラムを選ぶのが重要です。
未経験の方に特におすすめのカレッジプログラムは
- ビジネス、アドミニストレーション系
- ホスピタリティ系
など、仕事の汎用性の広いプログラムです。
そしてこれらの分野でできるだけ長く(2年)働き、まずは年収3~4万ドルのエントリーレベル(未経験者)の仕事を狙います。
就労ビザには期限があります。つまり、移民を目指す外国人にはタイムリミットがあります。
とにかく早く仕事を始め、職歴をつけることが最優先です。
目標は短期決戦。
移民に必要な最低限の基準を満たせる仕事にとりあえず就いて、さっさと移民申請を済ませてしまうのです。
そして晴れて永住権が取得できたら、ゆっくりとキャリア・アップやキャリア・チェンジを計画し、自分の思い描くようなライフスタイルを目指すの。
これが移民へのもっともスマートな方法です。
まとめ
今回、カナダ就職とカナダ移民についてとても詳しく、現実をご紹介しました。
あまりに厳しい内容ばかりで、いやになってしまった方ももしかするといるかもしれません。
ただ、今回ご紹介したのはすべて現実で、移民を目指すなら見て見ぬふりはできません。
ラクして移民しようだとか、お金を掛けずに移民できるといううまい話は基本的にはありません。
また、カナダの永住制度は社会情勢などにもよって簡単に変更・廃止されてしまいます。
カナダでの就職状況、移民の際の条件なども含めてプランニングしなければ、就職や移民申請で行き詰ってしまうこともあります。
もし今、カナダ移民に迷っているのであれば、今回ご紹介した現実・失敗例を知った分、あなたは有利になっています。
その分覚悟ができますし、つらい時にも自分だけではないと頑張れるのではないかと思っています。
留学にはタイミングも大切です。
ずいぶん前から留学を検討していたのに「今の仕事が落ち着いたら…」「もう少し貯金してから…」「もうちょっと英語力を上げたら…」と先延ばしにしている間に今回のパンデミックが起きて全てが白紙に。
「あのとき行っておけばよかった」と思っている方も多くいます。
本当にやりたいことなら、先延ばしにする理由はありません。
あなたが本当にやりたいことを「いつか」ではなく「今」にするため、ぜひ勇気を持って挑戦してください。
留学をするべきか迷っている方は、次の記事も合わせてご覧ください。