移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。
「カナダに永住したい」と思っている人のなかには、「カナダのワーホリを有効に使うといい」という話を聞いたことがあるかもしれません。
実はその噂は本当です!
ワーホリを上手に利用することで、永住権につなげることもできるのです。
ただし、「ワーホリ」は一生に1度しか使えない切り札です!
つまり、ワーホリはトランプの「ジョーカー」のような存在なので、使いどころを考えるという戦略が大切です。
今回は、「ワーホリ」を最大限に活用してカナダ永住につなげる方法を詳しく説明します!
ご注意
こちらの記事はワーホリからカナダ永住権へつなげる方法の記事となります。
カナダのワーホリ、セカンドワーホリ(ROワーホリ)についてはそれぞれ別記事にてまとめていますのでご注意ください。
・カナダのワーホリについてはこちら
・カナダのセカンドワーホリ(ROワーホリ)についてはこちら
このページの目次
カナダの永住権のためにワーホリが効果的な理由
では、なぜカナダのカナダの永住権を取得するという目的に対して「ワーホリが効果的」なのでしょうか?
その理由を紹介します。
カナダの永住権には「就労経験」が重要
まず一番重要な点です。
多くの移民プログラムはカナダでの就労経験を必要とします
カナダの永住権はポイント制で、次の要素によって順位が決められます。
- 若さ
- 英語力の高さ
- 学歴の高さ
- カナダでの就労経験
ポイントが高ければ高い方が永住に有利、ということです。
このなかで、日本人にとってポイントを稼ぎにくいのがカナダでの就労経験なのです。
そもそも、カナダで働くなんて普通はできないもんね。
そこで、ワーホリの出番です。
ワーホリは1年間という有効期限はありますが、うまく活用すれば永住権申請に必要な「カナダでの就労経験」の条件を満たせるかもしれないのです。
週30時間 × 1年間が就労経験の「最低条件」
今回は、日本人のカナダ移民でメジャーな移民プログラム「カナディアン・エキスプレスエントリー」をベースにお話しいたします。
カナダの永住権を申請する際に必要な「カナダでの就労経験」ですが、ポイントとしてカウントしてもらうためには次のような最低条件があります。
就労経験としての最低条件
週30時間 × 1年間
つまり、1週間に30時間働く経験を1年間続ける必要があるのですが……
ここで、大きな問題があります!
そもそも、日本人がカナダで働くためには働くことを許可してもらうための「ビザ」が必要なのです。
外国人は「許可=ビザ」がないと勝手に仕事ができないんですね。
そして、日本人がカナダで働くのに必要なビザはこの3種類が基本になります。
このなかでも一番簡単に取れるのがワーホリビザなのです。
30歳以下だったらほとんど誰でも取れますから!
ワーホリの「1年間」を就労に使う
永住権申請の際に必要な「カナダでの1年間の就労経験」を得るには、ワーホリが非常に効果的なのですが、1つ問題があります。
ワーホリは最大で1年間しか使えないということです。
そして、先ほど見たこちらをもう一度ご確認してください。
就労経験としての最低条件
週30時間 × 1年間
就労経験として1年間必要なのに、ワーホリの期限も1年間です。
つまり、ワーホリでカナダに到着したその日に仕事を見つけ、その日に始めなければ日数が足りません。
いや、無理でしょ!!
生活に慣れて、英語に慣れて、仕事を探し始めて、……2〜3か月はあっという間に過ぎることでしょう。
ということは、ワーホリだけを使っての「1年間の就労経験」は獲得できないということです。
そこで、まず学生ビザ、もしくは学生ビザを使ってカナダに入国するのです!
カナダのワーホリを永住権に繋げる手順
では、カナダに学生ビザで入国し、そのあとワーホリで1年間「就労経験」を得るための手順を紹介します。
大まかな流れ
- ワーホリを申請し「許可通知書(ビザの引換券)」を取得
- 学生ビザでカナダに入国
- 学業に専念する(学生ビザ)
- 在学中に永住につながる仕事を探す
- 「許可通知書」を持って国境に行きワーホリビザを取得
- ワーホリの1年間フルに仕事をする
- 永住権を申請
では、1つ1つを詳しく解説します。
ワーホリを申請し「許可通知書(ビザの引換券)」を取得
まずは、日本にいる間にワーホリを申請しましょう。
そして、ビザの「引換券」とも言える「許可通知書」を取得する必要があります。
くわしくはカナダのワーホリについての記事をご覧ください。
学生ビザで入国する
1年間を就労に専念するためにはまずは学生ビザ(こちらは申請する必要あり)で入国します。
ポイントは、カナダに入国するときに「ワーホリビザ」を発行してもらわないことです。
ワーホリ以外の方法でカナダに入国する
どういうことかというと、ワーホリのことを黙って、学生ビザなどでカナダに入国するだけです。
なぜなら、入国の際に「許可通知書」を見せてしまうと「ワーホリビザ」を空港で発行されてしまい、「その日から1年間」という期限になってしまうからです。
入国する際には「ワーホリの許可通知書」を見せないようにしましょう!
こうすることで、ワーホリの期限が先延ばしにできるのです。
そしてしばらくカナダに住み、就労の準備が整ったタイミングでワーホリビザに切り替えるというわけ。
「ワーホリ」は好きなタイミングでゲットできる
こんなことを可能にしているのは、ワーホリビザの好きなタイミングでゲットできるという特性です。
どういうことかと言うと、ワーホリを申請したのち、届くのは「ビザそのもの」ではないということ。
届くのは「許可通知書」で、ワーホリビザの「引換券」のようなものなんですね。
この「許可通知書(次の画像)」は発行日から1年間有効となっています。
メールで届いた「許可通知書」を印刷し、空港や国境に持って行って初めて「ワーホリビザ」を発行してもらえます。
【参考】この方法はカナダ移民局で公式に認められている
「入国をするときにワーホリのことを黙っておく」と聞くと、こんなふうに思うことでしょう。
そんなことをして本当に大丈夫なの?
実は、カナダ移民局の公式サイトで、「大丈夫」と書いてあります(以下は日本語訳です)。
質問:「私のワーホリビザが承認されましたが、私はまだ働きたくありません。しばらくの間、観光ビザなどでカナダに入国してもいいですか?」
答え:はい、あなたが観光ビザの条件を満たしていて、就労しないのであれば問題ありません。
【注意】入国の際にウソはつかない
めったにありませんが、入国審査官に「ワーキングホリデーの許可がすでに出ている(または申請している)のか?」と聞かれる可能性があります。
そんな場合は、絶対にウソをつかないようにしましょう。
その際には、「ワーホリの許可は得ているが、学生ビザが終わった後、ワーキングホリデーへ切り替えるつもり」と説明する必要があります。
ただし説明したとしても、入国審査官の判断によっては強制的にワーホリが発行されてしまう可能性はゼロとは言えません。
その点だけはご理解ください。
学業に専念する(学生ビザ)
そして、まずは学業に専念しましょう。
ワーホリで失敗/成功を分ける要素でもっとも大切なのが「学校に行くかどうか?」です。
在学中に永住につながる仕事を探す
学校に慣れてきたら、在学中に必ず仕事を探しましょう。
仕事を探す際には、ワーホリビザを持っていて合法的に働ける権利があることをきちんと伝えることも大切です。
そして、仕事を探す際に覚えていてほしいのが、「永住につながる仕事」を探すこと。
もし永住につながらない仕事を選んでしまってはすべてが水の泡になるので、気になる人は必ずご相談ください。
「許可通知書」を持って国境に行きワーホリビザを取得
もし仕事を得ることができたら、いよいよ切り札である「ワーホリビザ」を取得するときです。
ワーホリビザは取得した日から1年間自由に働けるようになるため、仕事の最初の出勤日の直前に手に入れる必要があります。
どうやってワーホリビザを取得するかというと、一度カナダを出ます。
……とは言っても、日本に帰るのではなく、アメリカとの国境で一度出国し、もう一度カナダに戻るだけです。
このタイミングでないと「ビザの発行」がされないため、無駄に見えますが一度出国する必要があるんですね。
バンクーバーの場合、もっとも近い「ポイント・ロバーツ」の国境でビザの切り替えが可能です。詳しいやりかたは下記にて。
ワーホリの1年間フルに仕事をする
さて、無事にワーホリビザに切り替えられたら、いよいよ仕事です。
永住権を申請するために、あとはひたすら仕事に集中しましょう。
仕事で、あなたのスキルを存分に発揮してください。
永住権を申請
ワーホリで働ける期間が終わればあとは永住権を申請するだけです。
永住権についてはこちらの記事をご覧ください。
参考
カナダに永住する
ワーホリから「永住権」につなげるために知っておくべきこと
では最後に、ワーホリを使って永住権に繋げるために、知っておくべきことをまとめます。
観光ビザ・学生ビザ・ワーホリの特性の違い
観光ビザ・学生ビザ・ワーホリの3つのビザの特性をよく理解しておきましょう。
学校 | 就労 | |
---|---|---|
観光ビザ | ○(6か月以内) | ☓ |
学生ビザ | ○ | △(週20時間以内) |
ワーホリ | ○(6か月以内) | ○ |
上の表の「就労」のところを見てください。
観光ビザでは就労は一切できませんが、学生ビザなら週に20時間以内の就労は許可されている(カレッジに通う場合のみ。語学学校は除く)のです。
学生ビザでの「就労」は「就労経験」にならないが?
ただし、学生ビザで就労できる時間だけでは、永住権申請に必要な就労時間が確保できません。
就労経験の最低時間
週30時間 × 1年間
そもそも、学生ビザでの就労は「就労経験」としてカウントされません。
じゃあ意味ないじゃん……。
……と思いそうですが、とんでもないです。
専門職(=仕事に就きにくい)に就く前の段階で、専門的な職場でパートタイムとして仕事を体験できるということですよね?
カナダは「コネ」の社会
じつはカナダは日本人が思っているよりも「コネ」がものを言う社会です。
つまり、知らない外国人にいきなり高度なお仕事を任せるということはありえません。
そこで、「信頼関係を築く期間」として学生ビザでの就労期間を当てられるということです。
在学中に信頼を勝ち取り、実務でスキルを上げながら、高度な仕事を任されるようにしましょう!
ワーホリ期間を無駄にしてはいけない
そして、ワーホリの1年間という期間は貴重だというお話をもう一度します。
ワーホリは、1年間もの間、外国人である日本人がカナダで自由に就労できるビザですよね?
しかも条件は30歳以下であるということぐらい……。
こんなすごい待遇は本来ありえないほどで、若者に許された特権のようなものです。
ここまで読んでくださったなら、「その意味」がわかっていただけると思いますが、ほとんどの人は知らずにもったいない使い方をします。
何も考えずにワーホリを使ってしまい、永住権を逃してしまった人の例もあるのでご覧ください。
まとめ
今回は、カナダの永住権を取得するためにワーホリを活用するのをオススメするというお話でした。
ワーホリは若い人にだけ与えられた特権です。使っても失うものはないので、使わないのはもったいないです。
ぜひカナダ永住権を取得するために活用してください。
なお、学校選びを成功させるかどうかがカギですので、留学を成功させ、永住権に結びつけるためにも、ぜひカナダ留学コンパスにご相談ください。