公立カレッジの3つのタイプ
バンクーバー近郊の公立カレッジを履修できるプログラムと卒業後のプランで分類すると、大きく3つに分かれます。
公立カレッジの学科3つのタイプ
- Ⅰ.ユニバーシティ・トランスファープログラム
- Ⅱ.技術、技能に特化したプログラム
- Ⅲ.大卒者向けプログラム
ユニバーシティ・トランスファープログラムは、カレッジ卒業後に大学へ編入することを目指すプログラムです。 残りの2タイプは、カレッジで勉強を終えて卒業後にカナダでの就職を目指すプログラムです。 それぞれのタイプに一長一短があるので、卒業後の進路によって選びましょう。 カレッジを卒業した後に、カナダで就職して永住権を取るのか、カナダの大学に進学するのか、日本に帰って就職するのかによって最適なプログラムは変わります。
カレッジのあとに永住権を目指すのか、今度は大学に進学するのか、日本で就職か…よく考えてカレッジを選ばないとね!
続いて、公立カレッジでどんなことが学べて、どんな卒業後の進路につながるのか、タイプ別に詳しく解説します。
タイプⅠ:ユニバーシティ・トランスファープログラム
「ユニバーシティ・トランスファー(大学編入準備)」とは、大学進学のための準備として、日本の4年制大学の一般教養科目に当たる内容を1年または2年間で学ぶプログラムです。
カナダでは公立カレッジの単位互換の制度が整備されていて、どこのカレッジで取った科目でも、他のカレッジに単位を移行することができます。
ブリティッシュコロンビア州内ではさらに細かく制度が整備されていて、州をまたぐよりもスムースに単位を移行できます。
このように、カナダのカレッジ・大学の制度はとても柔軟で、入学後のプログラム変更は日本の大学よりもずっと自由にできます。
ユニバーシティ・トランスファープログラムを含めた、カナダの大学進学についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ユニバーシティ・トランスファープログラムではどんな勉強をするの?
ユニバーシティ・トランスファープログラムでは、日本の大学の1年生・2年生時に学ぶ一般教養に相当する内容を学びます。
社会学、心理学、経済学など、それぞれの学問分野の大学レベルの最初歩の内容を学びます。
英語以外の新しい外国語を学び始めるのにも、ユニバーシティ・トランスファープログラムはおすすめです。
カナダのカレッジ・大学制度はとても柔軟なので、ユニバーシティ・トランスファープログラムに入学する時点ではカナダの大学を卒業するという目標だけを決めておくのもOKです。
そして、カレッジに通いながら編入する先の大学、プログラムを絞り込んでいくことが可能です。
とは言っても、編入先の大学やプログラムによって編入に必要な科目が異なります。ユニバーシティ・トランスファープログラムで履修した科目を無駄なく編入先の大学に移行するためには、できるだけ早く編入先の大学、プログラムを決めることをおすすめします!
ユニバーシティ・トランスファープログラムおすすめの学校
バンクーバー近郊では、公立カレッジ、大学と、私立カレッジで州政府に認められた一部のカレッジが、ユニバーシティ・トランスファープログラムを提供しています。
カレッジによって特徴があり、ユニバーシティ・トランスファープログラムがメインの学校と、そうでない学校があります。
ユニバーシティ・トランスファープログラムでおすすめの学校
例えばアレキサンダーカレッジはユニバーシティ・トランスファープログラムがメインの学校で、カレッジに通う学生の多くが大学編入を目指しています。
そのため、同じ目標を持つ友人を見つけやすいです。
また、カレッジのアカデミック・アドバイザーが大学の編入制度に精通していて、編入先の大学、プログラムに合わせた科目受講の計画を立ててくれます。
逆に、ユニバーシティ・トランスファープログラムをメインにしていないカレッジでは、自分と違う目標の学生と一緒に勉強をすることができます。
新しい価値観に触れることで、自分の目標を再確認することにも、新たな目標を見つけることにもつながります。
タイプⅡ:技術、技能に特化したプログラム
公立カレッジでは、技術、技能に特化したプログラムを学ぶことができます。
就学年数によってもらえる学位が異なり、2年制のプログラムを卒業すると Diploma(ディプロマ)学位がもらえます。
バンクーバー近郊にあるの公立カレッジ・大学ではさまざまな2年制のプログラムを提供しています。
公立カレッジで学べるプログラムの例
- ビジネス(会計、マーケティングなど)
- 映像技術(映画撮影、3Dアニメーションなど)
- 調理技術(料理、パン職人など)
- 観光(ツアーマネジメント、レクリエーションなど)
- 医療福祉サービス(保育士、看護師など)
さまざまななプログラムの中から自分の希望にあったものを選ぶことができます。
カレッジという単語が、日本語で「専門学校」と訳されることがありますが、このように職種や技能を絞った専門的な知識を学ぶ教育機関という側面が大きいためです。
カレッジによっては、学校の校舎内にレストランを持ち、ホスピタリティマネジメント学科の学生が経営管理を行い、カルナリー(調理)学科の学生が料理を作り、ホスピタリティ学科の生徒がサーブ(給仕)を行う、というように生徒総出で実務を体験できるような仕組みを作っていることもあります。
学校でレコーディングや映像撮影ができるような機材を持っている、ラジオステーションなどを運営しているなど、その設備の本格的なこと、充実ぶりには驚く方も多いでしょう。
このように公立カレッジでは座学だけではない、まさに活きたスキルを身に付けることのできる環境を整えています。
ただし、カレッジやプログラムによっては定員が少なかったり、留学生を受け入れていないプログラムもあるのでご注意ください。
また、特にデザイン系などの場合最低限の知識やスキルを持っていることを証明するために、入学要件にポートフォリオと呼ばれる過去の作品集の提出が必要とされることもあります。
プログラムによっては、未経験者の場合はFoundation(基礎)コースの受講が事前に必要とされることもありますので、よく入学要件を確認ください。
コープで就労経験をゲット!
技能・技術に特化したプログラムを学ぶということは、卒業後はそのスキルに特化した職業を探す必要があります。
とは言え、新卒一括採用の慣習がないカナダでは即戦力が求められることが多いため、在学中にもある程度、就労経験を得ておくことが就職への重要な一歩となります。
そのため、コーププログラムという有給インターンが選択可能なプログラムがあります。 公立カレッジのコーププログラムの仕組みは、一つの学期(4か月間)をコープ期間として、フルタイムで働くというものです。
カレッジのコープオフィスにコープのための求人が来て、学生は自分の希望と適性にあった求人に申し込みをします。 公立カレッジのコープ向けに来る求人は、一般に募集されているものよりも質が高いものが多いです。
コープで働いた会社に卒業後フルタイムで就職する学生がとても多く、企業側も即戦力を求めてカレッジに求人を出しているんですよ!
質の高い求人が集まるといっても、その求人をローカルのカナダ人学生と競って採用される必要があります。
決して簡単ではありませんが、チャレンジしてみる価値は十分にあります!
タイプⅢ:大卒者向け(ポストディグリー)プログラム
カレッジの多くのプログラムはPost-secondary、つまり、高校卒業資格で申し込めるものとなりますが、日本で既に大学を卒業している人には、大卒者向けプログラムがおすすめです。
これは、バチェラー(学士)とマスター(大学院修士)の中間にある学位で、post-degree(ポストディグリー)などと呼ばれています。
日本で4年制大学を既に卒業している人がカナダで2年制のディプロマを取っても、学歴の上乗せにはなりません。
しかし、大卒者向けプログラムの学位であれば、最高学歴として履歴書に書くことができます。
メリット① 年齢層が高め
大卒者向け(ポストディグリー)プログラムのメリットの一つは、クラスメイトの年齢層が高めなこと。
すでに4年制大学を卒業している前提で、すでに社会人経験が長い学生も多いです。
一般のディプロマプログラムでは高校を卒業したてのクラスメイトが大半なのに比べ、落ち着いた環境で学べるのが特徴です。
日本で大学を卒業して社会人経験があるならば、大卒者向けプログラムも選択肢に入れてみてください。
メリット② 必要単位が学校によって異なる
大卒者向けプログラムの二つ目のメリットは、学校やプログラムによって就学期間が異なる点。
留学生には長くカナダに滞在できる2年制プログラムが人気ですが、早く卒業したい、または予算に合わせて短めのプログラムを就学したい場合に1年プログラムを選ぶことも可能です。
中には1.5年で卒業できるプログラムもあり、通常の2年よりも早く卒業できるため人気があります。 何年学校に通いたいのか、何年後に就職したいのか、今後の方向性(大学院進学や現地就職など)に向けて、何年就学する必要があるのか希望に合わせてプランを決められます。
おすすめのカレッジ
大卒者向けプログラムでおすすめなのがバンクーバーにある Langara Collegeです。
Langara College大卒者プログラム例
- Web and Mobile App Design and Development(WEBとアプリ開発)
- Marketing Management(マーケティングマネジメント)
- Data Analysis(データアナリスト)
- Nursing Practice in Canada(海外看護師)
中には、一般のディグリーよりも少ない単位で卒業できるプログラムもあり、授業料が大幅に節約できるのが特徴です。
大学院入学前のステップにも有効
ここまで、カナダのカレッジでどんな勉強ができるのか、どんな学位が取れるのかを解説してきました。
日本と違い、カナダのカレッジと大学の違いは就学年数に関係なく、カレッジで4年生のプログラムを、大学で2年制のプログラムを卒業することが可能です。
いっぽう、カレッジと大学が大きく異なるのは、大学院の有無です。 マスター(修士)、ドクター(博士)レベルのプログラムは、大学にしかありません。 カナダの大学でマスター、ドクターの学位を取るのは、チャレンジしがいのある目標です。
しかし、カナダで大学やカレッジに全く通ったことがない状態でいきなり大学院を目指すのはハードルが高いです。
そんな時、公立カレッジの大卒者向けプログラムは、大学院に入学する前のステップとしても有効です。