BC州独自の移民プログラム BCPNP International Graduate について

International Graduate
監修者 監修者
村山まりえ

移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。

この記事をご覧の皆さんは、カナダに移住するために様々な方法があることをすでにご存知のことと思います。

地理的に日本に最も近く、在留日本人の数がカナダで最も多いバンクーバー。世界で最も住みやすい街としてランクインするこの街が属しているのが、ブリティッシュ・コロンビア (BC) 州です。

他の州と同様に、BC州でも独自の州推薦プログラムとして「BC PNP」を運営しており、今回は、そのプログラムの中でも特に「BC PNP International Graduate」と呼ばれる留学生優遇の移民プログラムについて紹介していきます。

免責

ビザ申請、永住権申請の手続きや規定、ルールはカナダ移民局が予告なく頻繁に変更しています。

そのため、こちらのサイトに記載してある情報を元に何らかの判断を行う際には、弊社にご相談いただくか、カナダ移民局のウェブサイト等をきちんとご確認ください。

弊社のサイトは、ビザ申請、永住権申請に関する責任を負うものではございません

弊社サイトをご覧になってご自身でお手続きをすすめたり、他社に相談したりして生じたいかなる問題に関して、弊社では一切責任を負いません

カナダ移住に興味を持たれた方は、ぜひカナダ留学コンパスにご相談ください。

国家資格である「公認移民コンサルタント」の資格をもつプロの移民コンサルタントが、個別ケースに応じて移住プラン作成・ビザ申請のお手伝いを致します。


「BCPNP International Graduate」とは?

本記事で紹介する「BCPNP International Graduate」とは、日本語にすると「ブリティッシュ・コロンビア州運営の州推薦永住権取得制度の卒業留学生対象プログラム」となります。
その名のとおり、「インターナショナル」学生としてカナダ国内の学校にて卒業証書等の資格を得て「グラデュエイト」し、ジョブオファーを取得した卒業生が対象となるBCPNPのカテゴリーのひとつです。

主な条件については後ほど詳しく紹介しますが、ざっくり言うと次の2つです。

  1. カナダの公立大学やカレッジを履修・卒業していること
  2. そのプログラム期間が8か月以上 (2学期以上) であること

この移民プログラムを使って州政府からの推薦をもらうことが出来れば、留学経験から永住権取得につなげることができるという理想的な内容になっています。

そもそも、BCPNPとは?

BC」はご存知ブリティッシュ・コロンビア州、「PNP」は「Provincial Nominee Program」を指しますので、「BCPNP」は「ブリティッシュ・コロンビア州の州政府推薦プログラム」ということができますね。

そもそもカナダ政府は、私たちに馴染みのある日本とは違い、いわば次のような2層構造となっています。

  1. Federal ・・連邦政府、カナダ家としての政府のこと。
  2. Province ・・・州政府、いくつかの州と準州が合わさってカナダの連邦を形成しています。

そのため、永住権取得の制度も2層構造になっていて、全ての永住権申請は最終的にカナダ連邦政府に承認されますが、その過程において、

  1. 連邦政府のシステムを直接使って永住権申請する方法
  2. 各州政府に与えられた権限の中で週から推薦を受けて連邦政府に永住権申請する方法

の2つの方法が存在します。

そのため、各州政府は州ごとに独自の永住権推薦制度を設けており、州政府は連邦政府に対して永住権申請者を独自の権限で推薦 (Nominate: ノミネート) することができるのです。

カナダは非常に広く、地域によって特色が大きく異なります。各州が独自の審査基準を設けることで、より柔軟にその時その場所で必要な人材を移民させることができるような仕組みになっているんですね。それが「PNP」、州推薦プログラムということになります。

PNPに関する基本情報や、各州の使用プログラムの概要については、こちらの「PNPとは?州か移民推薦状をもらってカナダ永住権を取得しよう!」の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

どうしてInternational Graduateが対象になるの?

International Graduate」を直訳すると「国際的卒業生」という感じで、あまりピンときませんね。
ここで意味するところは、

カナダ国外居住者が学生ビザを取得してカナダに留学に来て、晴れて卒業まですることができた留学生

ということができます。こうした「卒業留学生 (=International Graduate)」は、カナダで一定期間留学生として過ごすことで、カナダの文化や生活様式にも慣れ、地域との繋がりももっていると考えられるため、国として積極的にカナダ永住者として推薦しよう、とされているのです。

つまり、カナダ経済の発展に貢献できる優秀な候補者であると国や州政府が考えているんですね。

各カテゴリーの2つの申請方法とは?

多くの州が運営している州推薦プログラム「PNP」に共通していますが、大きく分けて次のような2つの申請方法があります。これは、カナダが州政府と連邦政府の2層構造で国家が成立している背景やPNPの性質とも関連しています。

  • 「Express Entry」を使う申請方法 (新方式)
  • 「Express Entry」を使わない申請方法 (従来方式)

最終的に連邦政府が個人の永住権を発行することができるのですが、その過程で州政府が多くの手続きを行うタイプが従来方式のEEシステムを利用しない方法です。こちらは、EEを利用しないため、EEの適合条件に合致する必要がない、すなわち、たとえば30歳を超えた年齢による減点要素がなかったり、と申請者によっては大きなメリットになる場合があります。また、EEを利用しない為、そこに掛かるEE申請手数料が不要だという点も考慮できます。

一方で、申請から処理までの手続きが基本的にペーパーベースで行われるため、処理に時間がかかりがちだという点も考慮する必要があります。

上術の事実を踏まえ、本記事では、EEを利用する方法を主体に解説をすすめていきます。

参考 カナダ永住への道 「エクスプレス・エントリー」


BCPNP International Graduateの申請条件

BCPNPの「留学卒業生向けプログラム (International Graduate)」の申請をするためには、いくつか条件があります。ここで紹介するのは、あくまでの申請のスタートラインに立つための最低条件です。

  • 居住場所の条件
  • 卒業学校の条件
  • ジョブオファーの条件
  • エクスプレス・エントリーに関する条件
  • 就労ビザに関する条件
  • 年収の条件
  • 語学力の条件
  • 申請条件の維持に関する条件

居住場所の条件

申請者は、申請時点でブリティッシュ・コロンビア州内に居住している必要があり、その時点で国外や州外に居住している場合には、このプログラムを利用することが出来ません。

卒業学校の条件

留学生を対象とした制度のため、カナダ国内のカレッジや大学等を卒業していることが条件となります。

ここで認められる学校とは、BC州外の学校でも問題なく、一般的には2学期8か月以上のプログラムを行う公立のカレッジや大学 (University) を指しますが、飛行学校など、条件を満たしている一部その他の学校も該当することがあります。その学校を申請から3年以内に卒業している場合が対象となります。

Coopなどの職業訓練が全体の25%以上を占めているプログラムや、語学学校は一般的に対象外です。
カナダ国内の公立カレッジ、大学が条件なので、ブリティッシュ・コロンビア州以外であっても該当する学校を卒業していればこれに該当します。

ジョブオファーの条件

雇用に際して、雇用内容を提示する書類「ジョブオファー」をフルタイム・無期限の内容で雇用主より提示されていることが必要となります。上記の卒業学校の条件で触れたように、卒業校はBC州外も対象となる一方で、実際に採用されて就労する勤務先としては、BC州内である必要があります。

本プログラムの利用予定の方に弊社がBC州内での留学をお勧めしている理由は、BC州内での雇用を追求するにあたり、同じくBC州内のカレッジや大学などの学校を卒業した方が、雇用の機会を現実的に見つけやすいという考えが一般的であるためです。

ジョブオファーは、一般的に次の内容を含むことが求められます。

  • 採用職業タイトル名とその責務
  • 支払われる賃金
  • 基準労働時間
  • 週平均30時間以上のフルタイムで期限を定めない、年間を通じたものであること
  • 法定の賃金以外の待遇内容 (年金、医療保険、障害保険、病気休暇、住居・食事手当てなど)
  • 有給休暇
  • 組合関連の合意事項

エクスプレス・エントリーに関する条件

連邦政府のポイント制永住権申請システムである「エクスプレス・エントリー」の3つのカテゴリーのうち、いずれか1つのカテゴリーの申請条件を満たしていることも条件です。

  • カナダ国内就労経験保有者向けクラス (Canadian Experience Class)
  • 国内外スキルド職種就労経験保有者向けクラス (Federal Skilled Worker)
  • カナダ国内外特定技術職就労経験保有者向けクラス (Federal Trade Worker)

就労ビザに関する条件

上記のエクスプレス・エントリーの申請条件を満たすための「カナダでの職歴」をカウントするためには、有効な就労ビザを保有して就労していることが条件となります。すなわち、学生ビザをもってパートタイムで就労していた期間や、ボランティアでの期間は就労期間としてカウントすることができません。

しかし、指定の公立カレッジや大学を卒業すると、卒業後就労ビザ (Post Graduation Work Permit: PGWP)、通称「ポスグラビザ」を取得できる場合がありますので、雇用主に限定されずにオープンに就労ができるポスグラビザが有効なうちに、このプログラムでの申請を目指したいですね。

年収の条件

年収の条件は大きく分けて、①最低条件以上であることと②合理的な賃金であることの2つがあります。

①最低条件以上であること

申請時点で、基準以上の最低収入条件をクリアしている必要があります。基準要素は次の2つです。

  • 家族規模 (本人プラス、一緒に申請を行う配偶者やこどもの数)
  • 勤務地域 (グレーターバンクーバー地域かそれ以外か)

家族規模が多ければ、それだけ養う人数も多くなり経済的な責任も大きくなります。その分ハードルが高めに設定されるのも理解できますね。また、グレーターバンクーバーとそれ以外の地域では、一般的に賃金レベルに差が生ずることがありますので、そこら辺も考慮されています。

ここでの年収とは、あくまでもジョブオファー内で提示されたものです。一般的には、時給でのオファーのケースが多いため、イメージしやすいように下に示した一覧表の中では、換算時給額を併記しています。

家族の規模グレーターバンクーバー地域 左記以外の地域
本人のみ$26,426 (時給$12.70)$22,024
2名 (+配偶者など)$32,899 (時給$15.81)$27,418
3名 (+配偶者+子など)$40,445 (時給$19.44)$33,706
4名$49,106 (時給$23.60)$40,925
5名$55,695 (時給$26.77)$46,416
6名$62,814 (時給$30.19)$52,350
7名以上$69,935 (時給$33.62)$58,284

年収 ⇔ 時給の換算式:
時給 × 週の労働時間 (最大40時間) × 52週間 (1年間の週数)

②合理的な賃金であること

続いて、オファーされる賃金が合理的でなければならないという条件についてです。

そのオファーされた職業名の市場レートに見合ったもので、同等の学歴や職業訓練、職歴のバックグラウンドをもつカナダ国籍保持者やカナダ永住者と比較しても説明ができること、雇用主が他に雇う従業員などと比較しても一貫性があることが求められます。
極端な話で言うと、より高得点を得るために年収を●000万円でオファーしてしまおう!などという目論見が、現実的に通用しないということですね。

また、上記の2つの賃金計算においては、基本給のみでカウントするため、残業代や追加手当、ボーナス、交通費、チップなどを考慮することができませんので、職種によっては注意が必要です。

語学力の条件

永住権申請に際して公式に認可を受けている「IELTS」「CELPIP」などの公式試験で、過去2年間以内に必要なスコア、すなわちカナダ式語学力基準 (CLB) 「4」以上の結果を取得していることが求められます。

リスニングリーディングライティングスピーキング
IELTS4.53.54.04.0
CELPIP4444
CLB「4」の参考値

NOC「A」以上の職種で申請する場合にはこの語学力の最低条件は免除されます。

※上記は最低条件の英語力です。永住権申請の招待状が届く基準とは異なります。

申請条件の維持に関する条件

上記のような申請時に必要な各種条件を、申請期間中は常に維持しておく必要があります。

簡単そうに見えるこの条件ですが、英語の試験結果にも招待点数の変動により変化があったり、最低基準となる収入額が物価上昇により改訂されたり、雇用主との就労条件の契約に変更が生じすることも考えられます。様々な要因により、この条件を維持することができなくなることも十分考えられますので、意外と油断してはいけない条件ということを覚えておいて頂きたいと思います。

申請者自身に関する条件のまとめ

  • ✅ BC州に居住していること
  • ✅ カナダ国内の公立カレッジ・大学を卒業していること
  • ✅ BC州内でフルタイム・無期限のジョブオファーを取得していること
  • ✅ エクスプレス・エントリー申請条件を満たしていること (利用する場合)
  • ✅ 有効な就労ビザを保有して就労していること
  • ✅ 家族規模・勤務地域に見合った基準以上の年収があること
  • ✅ オファー賃金が合理的な範囲であること
  • ✅ 語学力がCLB「4」以上であること
  • ✅ 申請条件を期間中は常時維持すること

BCPNP International Graduateの対象事業者

BC PNPを利用するための条件として、「申請者自身の条件」を上記で述べきました。
実際には、その他に、雇用してくれる事業者 (雇用主) に対する条件もいくつかあるので紹介します。

  • 法人登記・事業所登記に関する条件
  • 操業期間に関する条件
  • 従業員数に関する条件
  • 求人広告の掲載に関する条件
  • 株式保有に関する条件

法人登記・事業所登記に関する条件

事業者が、ブリティッシュ・コロンビア州内に法人登記または事業所登記をし、有効な営業許可を得て、物理的に州内に拠点を構えてビジネスを行っている必要があります。

本社がBC州にない場合でも、州内に1つ以上の事業登記をした事業所が運営されていれば、条件的には問題ありません。

操業期間に関する条件

事業者が、ブリティッシュ・コロンビア州内で1年間以上の操業実績があることが必要です。

従業員数に関する条件

事業規模や従業員数に関する条件として、事業者が無期限でフルタイムの従業員を5名以上雇用していることが必要です。
グレーター・バンクーバー地域以外の場合は、3名以上が条件です。

求人広告の掲載に関する条件

事業者は、申請者がBCPNPを申請する前に14日間以上、所定の方法でカナダ国籍保有者やカナダ永住者を対象として求人広告を掲載し、求人を行う必要があります。

株式保有に関する条件

申請者が、事業者の株式などの所有権を10%以上を保有していないことが条件となります。
雇用主に対する条件というよりは、こちらも申請者自身の条件のひとつということもできますね。

事業社 (雇用主) に関する条件のまとめ

  • ✅ ブリティッシュ・コロンビア州内に法人登記または事業所登記があること
  • ✅ ブリティッシュ・コロンビア州内に物理的に拠点があり有効な営業許可があること
  • ✅ 1年以上BC州内で操業している実績があること
  • ✅ 5名以上の無期限のフルタイム従業員を雇用していること
  • ✅ 14日間以上の求人広告掲載していること
  • ✅ 申請者が事業者の所有権を10%以上持っていないこと

働き始める前に確認しておきたいこと

これまでの項目で、申請者自身の条件や、雇用主に関連する条件を紹介してきました。

いざ申請をしよう!という場面で、条件に合致していないことが判明するという最悪のシナリオを避けるべく、本記事をご覧の皆さんは、働き始める前に次の視点でもう一度雇用条件について一緒に確認してみましょう。

  • オファー職種の確認
  • 雇用主が事業者の条件を満たしているか確認

オファー職種の確認

BCPNPのプログラム「インターナショナル・グラデュエイト」を利用するにあたり、職種自体に利用の制限はありません。

しかし、エクスプレス・エントリーを利用する場合には、その申請条件を満たすため、もしくは、BCPNP上の点数計算システム「SIRS」上でより高得点を得ることができるように、実質的にはNOCレベル「B」以上の職種タイトルでジョブオファーをもらって、働きはじめることが理想的です。

雇用主が事業者の条件を満たしているか確認

雇用主が事業者としての条件を満たしているか、事業実態を調査してみましょう。

BC州内での操業歴や従業員数については、働き始める前に確認することができるかと思います。
ご自身がBCPNPで永住権申請を追求したい旨を事前に話しておき、協力してもらえるかについて確認しておきましょう。やや聞きづらい内容かもしれませんが、雇用主がBCPNPの条件を満たしていないことが働き始めてから判明したり、申請に協力してくれなかったりして困るような事態を回避するためには、働き始める前に確認しておくのが理想的です。

雇用主にお願いすること

雇用主がBCPNP申請に協力してくれるとしても、実際にはどう協力していいか分からないケースも珍しくありません。
何をお願いすべきかをご自身がよく理解しておき、具体的に何をして欲しいのかについてお話しできることが円滑に申請を進行させるコツになってきます。
実際には、就労ビザを発行するほどBCPNP申請は、雇用主の負担を要しません。つまり、雇用主に、多額の費用負担や審査を受ける必要はありません。しかし、以下の作業が必要です。

  • 申請の前に14日間以上の求人広告掲載を行うこと
  • Employer Portalというオンライン登録を行い、登録料$230を支払うこと
  • 申請者の雇用を証明する書類を作成すること
  • 雇用主の業歴などを証明する書類を作成すること

就労ビザの申請の際に必要となるLMIAに比べれば、負担は大きくありませんが、それでも雇用主の協力が絶対的に必要です。

働き始める時に、BCPNP申請に協力してくれるか、初めてであれば、必要なことを話しておくことでスムーズに進めることができます。大事な場面ですし、もしご不安がある場合には、カナダ留学コンパスにご依頼いただければ、雇用主への説明や書類作成のサポートを行うことができます。まずは無料相談をご利用ください。

公立カレッジや大学を卒業して取得できるポスグラビザをお持ちの場合には、BCPNPの申請の経験や理解のある雇用主を紹介できる場合もあります。

BCPNPのポイントシステムで点数を計算する

申請者自身、職種や雇用主 (事業者) など必要な条件をすべてクリアしたら、やっと申請のスタートラインに立つことができます。

BCPNPでは、「SIRS :Skills Immigration Registration System)」と呼ばれる190点満点の独自の点数計算システムを運営しており、そこで定期的に実施されるドローイング (抽選) により合格基準点が示されます。その回で審査通過された候補者の中の最低点を意味するので、それより高い点数を有していた場合に、審査通過となり、次の申請の段階に進むことができます。

ここでは、具体的にどういった条件で何点の数字が与えられるのかを詳しくみていきます。


経済的要素 (Economic Factors)  計110点

  1. BC州のジョオファーにおけるスキルレベル要素 50点
  2. BC州のジョオファーにおける賃金要素 50点
  3. 勤務地域要素 10点

人的財政的要素 (Human Capital Factors)  計80点

  1. 直接関連のある過去の職歴要素 25点
  2. 個人の最高学歴要素 25点
  3. 語学力要素 30点

経済的要素 (Economic Factors) 合計110点の内訳について

110点分が与えられる「経済的Economic要素Factors」では、雇用主により提示されたジョブオファー内に示されるNOCコードによるスキルレベル分類年収賃金主な勤務地に応じた点数配分です。

BC州のジョオファーにおけるスキルレ ベル要素 50点

ジョブオファー内で提示されるポジション名がより高度なスキルレベルの場合に、そのレベルに応じた点数を基本点として得ることが出来ます。

また、「そのジョブオファーの職種で現在就労中である」場合や、スキルレベルが「00」の場合には、追加点が与えられます。

基本点要素

スキルレベル点数
NOCスキルレベル「A」(スキルタイプ「0」も含む)25点
NOCスキルレベル「B10点
NOCスキルレベル「C5点
NOCスキルレベル「D5点

追加点要素

追加点要素点数
NOCスキルタイプ「00」の職15点
登録職種で現在BC州内でフルタイム雇用されている10点

BC州のジョオファーにおける賃金要素 50点

ジョブオファー内で提示される賃金に応じて最大50点分が割り振られています。

まずは、申請する家族の規模に応じた最低収入条件以上が提示されていることが求められます。
当然、永住権をともに申請する家族規模が大きくなればなるほど、その責任が大きくなることから、必要な申請条件は厳しくなっていきます。

家族の規模グレーターバンクーバー地域 左記以外の地域
本人のみ$26,426 (時給$12.70)$22,024
2名 (+配偶者など)$32,899 (時給$15.81)$27,418
3名 (+配偶者+子など)$40,445 (時給$19.44)$33,706
4名$49,106 (時給$23.60)$40,925
5名$55,695 (時給$26.77)$46,416
6名$62,814 (時給$30.19)$52,350
7名以上$69,935 (時給$33.62)$58,284
表: 家族規模、勤務地域による最低条件

上の表の中で、括弧内で2列目に示しているのが、週40時間労働で換算した場合の時給です。多くの方にとって、時給換算の方がしっくりくると思い算出して掲載していますので、参考にしてください。
夫婦だけ、などのように家族2名での申請であっても、最低賃金 (BC州では$15.65) での労働ではクリアできない水準です。

年収時給換算 (週40時間計算)点数
$100,000 以上$48.08以上50点
$97,500 ~ $99,999$46.88 ~ $48.0838点
$95,000 ~ $97,499$45.67 ~ $46.8837点
$92,500 ~ $94,999$44.47 ~ $45.6736点
$90,000 ~ $92,499$43.27 ~ $44.4735点
$87,500 ~ $89,999$42.07 ~ $43.2734点
$85,000 ~ $87,499$40.87 ~ $42.0733点
$82,500 ~ $84,999$39.66 ~ $40.8732点
$80,000 ~ $82,499$38.46 ~ $39.6631点
$77,500 ~ $79,999$37.26 ~ $38.4630点
$75,000 ~ $77,499$36.08 ~ $37.2629点
$72,500 ~ $74,999$34.86 ~ $36.0828点
$70,000 ~ $72,499$33.65 ~ $34.8627点
$67,500 ~ $69,999$32.45 ~ $33.6526点
$65,000 ~ $67,499$31.25 ~ $32.4525点
$62,500 ~ $64,999$30.09 ~ $31.2524点
$60,000 ~ $62,499$28.87 ~ $30.0923点
$57,500 ~ $59,999$27.64 ~ $28.8722点
$55,000 ~ $57,499$26.44 ~ $27.6421点
年収時給換算 (週40時間計算)点数
$52,500 ~ $54,999$25.24 ~ $26.4420点
$50,000 ~ $52,499$24.03 ~ $25.2419点
$47,500 ~ $49,999$22.84 ~ $24.0318点
$45,000 ~ $47,499$21.63 ~ $22.8417点
$42,500 ~ $44,999$20.43 ~ $21.6316点
$40,000 ~ $42,499$19.23 ~ $20.4315点
$38,750 ~ $39,999$18.63 ~ $19.2314点
$37,500 ~ $38,749$18.03 ~ $18.6313点
$36,250 ~ $37,499$17.43 ~ $18.0312点
$35,000 ~ $36,249$16.83 ~ $17.4311点
$33,750 ~ $34,999$16.26 ~ $16.8310点
$32,500 ~ $33,749$15.63 ~ $16.269点
$31,250 ~ $32,499$15.02 ~ $15.638点
$30,000 ~ $31,249$14.42 ~ $15.027点
$28,750 ~ $29,999$13.82 ~ $14.426点
$27,500 ~ $28,749$13.22 ~ $13.825点
$26,250 ~ $27,499$12.62 ~ $13.224点
$25,000 ~ $26,249$12.01 ~ $12.623点
$25,000 未満$12.01未満0点

勤務地域要素 10点

勤務地域によっても追加点が与えられることがあります。
メトロ・バンクーバー地域では追加点がありませんが、ビクトリアやナナイモ地域では2点、スコーミッシュでは8点などと差があり、大きな点数要素であることが分かります。

地域名点数
スティキーン地域 /中央沿岸部地域 /北部ロッキー山脈 地域 / ワディントン山岳地域 /スキーナクイーンシャーロット地域 / パウエルリバー地域 /サンシャインコースト地域 / クーテネイ境界部地域 /アルバーニクラクワット地域10点
キティマット・ティキーン地域 /バルクレー・ネチャコ地域 / スコーミッシュ・リルエッ地域 /ストラスコ地域 / コロンビアシュスワッ地域 /東部クーテネ地域8点
ピースリバー地域 /コモックス・バレー地域 / カリブー地域 /中央クーテネ地域6点
オカナガンシミルカミーン地域 /カウチンバレー地域 / 北部カナガン地域 /フレイザー・フォートジョージ地域4点
トンプソンニコラ地域 /ナナイモ地域 /中央オカナガン地域 / 州都地域 /フレイザー・バレー地域2点
メトロバンクーバー地域0点

人的財政的要素 (Human Capital Factors) 合計80点の内訳について

80点分が与えられる「人的財政的要素Human capital factors」は、BC州の経済に貢献できる個人の技術skills経験experience能力competenciesを指標として点数配分されています。

直接関連のある過去の職歴 要素 25点

オファーされた職種と「直接関連のある」過去の職務経験があれば、カナダ国内外を問わず、ポイントを加算することができます。
例えば日本での過去の職務経験を証明するためには、在職証明書や上司からの推薦状、給与明細や源泉徴収票などの給与証明などの提出が必要になります。

「カナダで1年以上直接関連のある職歴がある」場合には追加点を得ることが出来ます。

この「直接関連のある」と「職歴」の定義的な条件としては、次のようなものがあります。

  • 同一のNOCであるのがベスト
  • 上位スキルレベルのNOCの場合はどう直接的に関連するかを説明することが必要
  • 下位スキルレベルのNOCはカウント不可
  • 年数は週30時間以上フルタイムの場合に算出可
  • 週30時間未満のパートタイムの場合、加算は可能だが、フルタイムの50%でカウント
  • カナダ国内だけでなく、海外の経験もカウント可能
  • 対象は過去10年間
  • 給与が支払われた職歴のみが対象でボランティア給与支給が証明できないものはカウント不可
  • 給与が支払われたCo-opでの就労経験も上記の条件に合致すればカウント可能

基本点要素

関連職歴点数
60か月以上 ( 5年以上 )15点
48か月 ~ 59か月 ( 4年 ~ 5年未満 )12点
36か月 ~ 47か月 ( 3年 ~ 4年未満 )9点
24か月 ~ 35か月 ( 2年 ~ 3年未満 )6点
12か月 ~ 23か月 ( 1年 ~ 2年未満 )3点
12か月未満 ( 1年未満 )1点
なし0点

追加点要素

追加要件点数
申請職種に直接関連するカナダにおける職歴 1年以上10点

個人の最高学歴要素 25点

カナダ国内外の学歴に関する点数要素が最大25点配分されています。

日本などカナダ国外の学歴を点数化する場合、特定の審査機関による学歴査定 (Educational Credential Assessment、通称ECA) を利用して証明を得ることができれば、追加点を獲得できます。
また、最高学歴がカナダのカレッジや大学だった場合には、追加点6点、BC州内の学校の場合には8点とされています。

この追加点について注意しなけれならないのは、たとえ2つ以上に該当する場合でも、1つ分でしか加算することができない点です。ほかにも、学歴の定義として次のような条件が設定されています。

  • 個人の最高の学歴のみが対象 (大学院を卒業し修士号を取得した場合に、大学卒業時の学士号の分も合わせてカウントは不可)
  • 完全に修了している学歴のみが対象 (部分的な卒業・修了はカウント不可)
  • 6か月以上の教育期間のみが対象
  • 遠距離教育プログラム (distance education learning program) はカウント不可
  • 基本点要素追加点要素も1つずつのみ選ぶことができ、重複して点数取得は不可

基本点要素

最終学歴点数
修士号博士号17点
大学院卒業卒業証明/卒業証書 11点
学士号(大学卒業) 11点
高卒後教育の修了証明書(職人)11点
准学士号4点
高卒後教育の修了証明書(一般)2点
高校卒業またはそれ未満0点

追加点要素

追加点要素点数
高卒後教育をBC州完了している8点
高卒後教育をBC州以外のカナダ国内で完了している6点
認定機関の学歴査定を得ている4点
BC州の職業訓練/教育産業研修機関(ITABC’s) 修了している4点
  • 大学院卒業卒業証明/卒業証書
    大学卒業後 行う教育で得られた卒業証明や卒業証書が対象
    一般的に大学や大学院が発行するもので、通常2学期分以上の学校教育期間を要するもの
  • 高卒後教育の修了証明書 (職人)
    教育を受けた国がその教育を「職人教育」と認定していることが条件
    これが個人の最高の学歴に該当する場合には、申請時にそれを証明する書類の提出が必要
    教育を受けた経験があってもこの証明を受けておらず申請時に提出できない場合には、この項目での加点は不可
  • ESLなどの語学学校遠距離教育プログラム
    追加点の学歴の対象外
  • 認定機関からの学歴査定を受けることによる追加点については、最高学歴がカナダ国外の高卒後教育機関 (カレッジ等) の修了であり、WESなどの認定機関による学歴査定を経て外国での学歴として認められた場合が対象
    学歴を得た国が発行する内容に応じて学歴点が付与
    たとえば、カナダ国外の大学院等で修士号を取得したものの、学歴査定を通じそれが学士号相当である評価された場合でも、基本点要素となる最終学歴の項目では修士号に該当する17点を得ることができ、追加点要素の項目では学歴査定結果があるということで4点の追加点を得ることが可

語学力要素 30点

最大30点分の英語またはフランス語による語学力による点数要素です。

多くの方が利用する英語の場合、IELTSやCELPIP等の公式英語テストのスコアを利用することができます。カナダ式語学力基準 (CLB) という点数評価に換算して使用しますが、CELPIPはカナダ移民のために作られた試験ですので、スコアを換算せずにそのまま読み替えることが出来ます。

語学点に関する条件は。、次のとおりです。

  • 試験結果の提出が必要
  • IELTS (ジェネラル) / CELPIP (ジェネラル) / フランス語試験TEFのいずれかの認定試験であること
  • 4科目の最低点となるCLBに応じて付与
  • 試験結果発行日から2年間有効
  • 登録時だけでなく審査通過後の申請時点でも有効であること
CLB点数
10以上30点
926点
822点
718点
614点
510点
46点
4未満 / 試験結果なし0点

必要な点数はどれくらい?

ご自身が現在でどれくらい、またこうした条件をクリアすればこれくらいというおおまかな獲得点数を理解されたかと思います。

では、この点数は実際にどのように使われているのでしょうか?
それを知るためには、BC州政府が年間を通じて行っているPNPの各申請カテゴリーにおける「Drawing」(抽選) の結果を追う必要があります。

ドローイングについて

これは、該当プログラムの最低点 (カットオフスコア) を示すもので、それ以上の点数を保有している人には、申請を行う権利を招待する招待状 (Invitation to Apply、通称ITA) が付与されるというものです。

BCPNPでは、2週間に1回程度の頻度でドローイング (抽選) が行われています。
最近では、利用プログラムや対象職種を限定した部分的なドローイングも増えてきています。

ドローイング点数

インターナショナル・グラデュエイトのカテゴリーにおけるエクスプレスエントリー利用のカットオフスコアを一覧にしてみると、パンデミック直前から現在まで、おおよそ次のような点数で推移しています。

年間の最低点数年間最大点数
2019年94点105点
2020年93点110点
2021年75点103点
2022年110点130点 (7月現在)

パンデミックの渦中にある2021年に最低点数が大きく下がりましたが、移民省の手続きに遅れが生じたことから、申請を一時停止をした2022年に入ってから、基準点が大きく引き上げられています。


BCPNP International Graduateの申請方法

申請条件をすべて満たし、ドローイングの最低点数以上が見込めるポイントが確保できたら、いよいよ登録や申請を行うことが出来ます。

登録や申請には、ブリティッシュ・コロンビア州に対するもの、連邦政府に対するものとそれぞれにいくつかのステップがあります。

BCPNPに登録

BCPNP申請の最初のステップは、BCPNPのオンライン登録です。
いくつかあるBCPNPの制度の中から、「International Graduate」を選び、ご自身の情報を入力していきます。この時点では、書類添付の必要はありません。

この登録作業を行う前に雇用主が「Employer Portal」に登録を行っておく必要があります。個人のBCPNP登録にあたり、雇用主の登録番号の入力が必要になるためです。また、雇用主は登録の14日以上前から、所定の求人広告を行っている必要があります。

インビテーションが送られてくる

自分の登録したポイントが、ドローイングの最低点よりも高かったら、申請招待状 (ITA、インビテーション) がオンラインで送付されます。このインビテーションを受け取った日から30日以内BCPNPの申請を完了させる必要があります。

ブリティッシュコロンビア州への申請

インビテーションが届いたら、やっとBCPNPの申請を行うことができます。

申請に必要な書類

BCPNPの登録に関する情報の裏付けとなる資料を添付します。

  • ジョブオファー
  • 年収の証明
  • 過去の職歴
  • 学歴の証明
  • 英語力の証明
  • 雇用主が条件を満たすことの証明 など

ブリティッシュコロンビア州への申請期間

BCPNPの申請は、3か月程度で手続きが完了し、州からの正式な推薦状 (ノミネーション) を受けることが出来るのが標準です。

しかし、現在すべての手続きに遅延が生じており、往々にしてこの審査期間や手続きが長引くことが予想されます。余裕をもって手続きを進められるように準備をするとともに、万が一長引いてしまってもカナダで働けるような滞在根拠を確保しておくことが重要です。

連邦政府への申請

ブリティッシュ・コロンビア州のノミネーションがもらえたら、180日以内連邦政府への申請を完了させます。

申請に必要な書類

申請に必要な書類はBCPNPの申請時とほぼ同じですが、連邦政府への申請に際して初めて求められるものもあります。

  • ジョブオファー
  • 年収の証明
  • 過去の職歴
  • 学歴の証明
  • 英語力の証明
  • 雇用主が条件を満たすことの証明
  • 健康診断証明
  • 警察証明 (無犯罪証明) など

健康診断や警察証明は、取得から時間が経ち過ぎた書類は認められないため、適切なタイミングで取得プロセスを開始するのが重要になります。ご不安がある場合には、弊社にお気軽にお問い合わせ下さい。

また、日本とカナダ以外にも、18歳以降になってから6か月間以上滞在経験のある国がある場合には、その国での警察証明の提出も必要になります。複数回の滞在でも、合計で6か月を超える場合には対象になってしまいます。

カナダ以外の国にワーホリ経験があるような方や、短期出張でも同じ国に何度も入国しているような場合には、その国の警察証明の手続きも考慮に入れた計画が必要になります。

連邦政府への申請期間

エクスプレス・エントリー利用ストリームを使った州推薦を追求した場合、当然ながら連邦政府への申請にエクスプレス・エントリー・システムを利用することになります。

標準の審査期間はおおよそ6か月間と言われていますが、処理案件が非常に多く手続きに時間を要している現在、これよりも遅延することが予想されます。


「BCPNP International Graduate」まとめ

  • エクスプレス・エントリー利用の場合はその申請条件も満たす必要あり
  • カナダの公立カレッジや大学で8か月以上のプログラムを卒業していること
  • 申請者自身には年収、英語力などの条件がある
  • 雇用主 (事業者) にも事業歴、従業員数などの条件がある
  • 雇用主の負担はLMIAが必要となる就労ビザの発行よりもずっと少ない
  • ポイントシステムでドローイング最低点数以上のポイントを得る必要がある
  • 申請は、ブリティッシュコロンビア州、連邦政府にそれぞれに行う必要がある
  • 申請期間中、申請時の条件を常に満たしている必要がある (就労ビザの延長が必要)

これまで紹介してきた「BCPNP International Graduate」は、カナダの公立カレッジや大学の卒業生を対象にした永住につなげやすい制度です。

カナダ留学コンパスでは、カナダの語学学校 (ESL)での英語力アップから、カレッジや大学選び、卒業後の就職活動まで、一貫してサポートさせて頂きます。

最終的に永住権を取得するまでは長い道のりになりますが、まずはその第一歩として、お気軽にご相談ください!

執筆者 執筆者
村山まりえ

移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。

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