カナダ永住への道「エクスプレス・エントリー」

エクスプレス・エントリー
監修者 監修者
村山まりえ

移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。

カナダへの永住、移民を考えたときに絶対に必要なのが「永住権」です。

その永住権を申請するための制度が「エクスプレス・エントリー(Express Entry)」と呼ばれるもの。

かえで

エクスプレス…?なんだか速そうなイメージだけど、どう永住権に関係するんだろう?

村山

この記事では、カナダ永住にとっても大切なエクスプレス・エントリー制度について分かりやすくご紹介します。

こちらの動画でも分かりやすく解説しています!

※カナダ移住の注意点※

ネットでの情報収集だけに頼りすぎるのは禁物です!

カナダ永住ができるかどうかは、正にケースバイケースで、一人一人の事情によって異なります。

ある程度情報収集をしたら、実際にカナダ永住にチャレンジする前に必ず専門家にご相談ください。カナダ留学コンパスには有資格の移民コンサルタントがおりますので、どんな小さなことでもお問い合わせください。

カナダ移民制度の最新情報と個別のご希望を合わせて、オリジナルの移住プランをご提案いたしますのでお気軽にご相談ください。

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エクスプレス・エントリーとは?

エクスプレス・エントリーとは、2015年から導入された、熟練労働者(スキルド・ワーカー)を対象にした永住権制度です。

カナダの永住制度に関する情報は「カナダ永住についてまとめ」でも詳しく解説しています。

エクスプレス・エントリーには3つのステップがあります。

  1. Express Entry Profile(エクスプレス・エントリー・プロファイル)の作成
  2. ITA(招待状)受け取り
  3. 永住権申請

詳しくみていきましょう。

プロファイルの作成

プロファイルとはプロフィールのことです

まずはじめに、自分の年齢・学歴・英語力等を専用フォームに入力し、カナダ永住の資格があるかどうかをカナダ政府に判断してもらいます

このプロファイルの作成が最初のステップです。

ITA(招待状)受け取り

プロファイルを作成すると、CRSという1200点満点のポイントシステムで、自分のポイントが計算されます。

エクスプレス・エントリーでは、2週間に一度、ドローイング(抽選)が行われます。

ドローイング毎の最低点数以上のポイントがあると、「インビテーション・トゥ・アプライ(ITA、申請のための招待状)」が届きます。

村山

ITA が届くというのは「あなたはカナダ永住申請の条件を満たしていますよ」という意味です。

エクスプレス・エントリー豆知識

エクスプレス・エントリーが導入される前は、永住申請は早いもの勝ちでした。

そのため、カナダ永住に適した、高いプロファイルを持った申請者の申請が認められないことがありました。

エクスプレス・エントリーの導入により、プロファイリングによる一次審査が可能になり、「よりカナダ永住に適した申請者」が、「迅速に」選ばれるようになりました。

ITAが届くと、次のステップ、「永住権申請」に進めます。

永住権申請

ITAをもらえたら、実際の永住権の申請に進めます。

このステップでは、プロファイル作成の時に入力した情報通りに

  • 学歴
  • 職歴
  • 英語力

などの裏付け資料を提出します。

ITAをもらう段階で、カナダ永住に適しているかの審査がされていますので、プロファイルの内容に誤りや偽りがないかの確認が行われます。

永住権申請を完了した後の審査は、6か月以内に80%の申請の審査結果が出るとされています。

エクスプレス・エントリー導入前は、審査に1年以上掛かっていたので、審査期間が半分以下に短縮されています!

かえで

審査がすごく早くなったんだね!まさにエクスプレス!

エクスプレス・エントリーの3種類

エクスプレス・エントリーには以下の3種類の申請方法があります。

エクスプレス・エントリーの種類

  • カナディアン・エクスペリエンス・クラス
  • フェデラル・スキルド・ワーカー
  • フェデラル・スキルド・トレード

では、スタートラインに立つための3種類の申請方法について詳しく説明します。

カナディアン・エクスペリエンス・クラス

カナダでの就労経験(カナディアン・エクスペリエンス)があることが申請の主な条件になる申請方法です。

カナダでの就労経験 申請時から3年以内の、1年間以上のフルタイム就労
カナダ国外での就労経験 不問
仕事の専門性レベル NOCレベルB以上
英語力 NOCレベルB → CLB5以上
NOCレベル0、A → CLB7以上
教育レベル 不問
居住地 ケベック州以外に居住すること

日本人にとって一番申請条件を満たしやすいおすすめの申請方法です。

  • NOCレベルB以上の職種
  • 申請前3年以内に1年以上フルタイム(週30時間以上)

で働いていることが一番大きな申請条件です。

この1年間の就労は、有効な就労ビザを持っている間の就労だけが対象です。

就労ビザなら種類は何でもよく、ワーキングホリデービザ(ワーホリ)ポストグラデュエーション・ワークパーミット(ポスグラ)配偶者ビザのどれでも大丈夫です。

ですが、学生ビザコープを持っている間の就労は就労経験にカウントされませんのでご注意ください。

カナディアン・エクスペリエンス・クラスについて詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

フェデラル・スキルド・ワーカー

カナダ国外で1年以上のNOCレベルB以上相当の就労経験があって、ポイントシステムで100点中67点以上のポイントがあることが申請の主な条件になるプログラムです。

カナダでの就労経験 不問
カナダ国外での就労経験 NOCレベルB以上相当の職種で1年以上
仕事の専門性レベル NOCレベルB以上
英語力 CLB7以上
教育レベル 高校卒業以上
居住地 ケベック州以外に居住すること
その他 ポイントシステムで67点以上のポイントを獲得していること

日本での就労経験を申請に使うためには

  • 日本で勤めていた会社からの公式な在職証明
  • 直属の上司に書いてもらった雇用を証明するレター
  • 給与の証明

などが必要です。

日本での就労は正規、非正規は関係なく、職種が条件を満たしていて、フルタイム(週30時間以上)であれば対象になります。

2つの会社を同じ職種で掛け持ちしていて、両方合わせてフルタイム相当の時間数を働いていれば、就労期間にカウントできます。

ポイントシステムで67点を獲得するのが難しいので、現実的にはフェデラル・スキルド・ワーカーで申請可能なケースは少ないです。

しかし、日本で専門的な仕事の長い経験があって、英語力のスコアも高い、などという場合に、日本からカナダ永住権申請が可能になるケースもあります。

フェデラル・スキルド・トレード

カナダ国内外を問わず、指定されたトレード職で過去5年以内に2年以上の就労経験があることが申請の主な条件になる申請方法です。

カナダでの就労経験
カナダ国外での就労経験
申請時から5年以内に、指定職種で2年以上の就労(国は不問)
仕事の専門性レベル 指定された専門職
英語力 スピーキング、リスニング → CLB5以上
リーディング、ライティング → CLB4以上
教育レベル 高校卒業以上
居住地 ケベック州以外に居住すること

「トレード」というと物々交換や、物流の仕事を思い浮かべます。

しかし、ここでのトレード職とは、「~師」と呼ばれる職人のような専門職のことです。

対象職種は大まかに言うと以下のとおりです。

フェデラル・スキルド・トレード対象職種

  • 電気、建築技師
  • 整備師
  • 天然資源、農業の技術監督職
  • 製造業の管理監督職
  • 調理師、調理人
  • 精肉業者、パン職人

専門性の高い職種が多いですが、調理人、パン職人は比較的該当する方が多いです。

「日本のレストランで3年フリーターで調理人をしています。」などという経歴があれば、申請条件を満たせるかも知れません。

PNPとの合わせ技

3つの申請方法があるとご紹介しましたが、実はもう一つ、4つ目の申請方法もあります。

それはプロビンシャル・ノミニー・プログラム(PNP、州推薦プログラム)との合わせ技です。

プロビンシャル・ノミニー・プログラム(PNP)とは、カナダの13の州、準州がそれぞれ設けている永住権プログラムのことです。

州によっては、PNPとエクスプレス・エントリーを複合して使える場合があります。

詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

PNPは、各州が独自に定めている永住権プログラムで、人口の少ない州(外国人からの人気が少ない州)は比較的ゆるい条件が設定されている場合があります。

ですが、申請の条件がゆるいことが必ずしも簡単に永住できることとイコールではありませんので、十分ご注意ください。

こちらの記事も、参考にご覧ください。

条件だけで決めてしまうと、結局お金も時間も無駄にしてしまいます。きちんと現実を見て、専門家に相談して決めましょう。

招待状(ITA)をもらう条件

プロファイルを入力してITA(招待状)をもらうには、最低限のポイントを獲得しなければなりません。

このポイントは「コンプリヘンジブ・ランキング・システム(CRA)」という1200点満点のポイントシステムで計算されます。

2週間に1回程度、ドローイング(抽選)という作業が行われ、そのドローイングの最低点数以上の申請者にITAが送られます。

村山

2019年2月現在、ITAが送られる最低点数は470点前後(フェデラル・スキルド・トレードの場合のみ280点前後)です。

2021年2月、カナディアン・エクスペリエンス・クラスのドローイングで、記録的な最低点、大量招待がありました。

では、ポイントがどのように計算されるのか、項目ごとに見てみましょう。

(※配偶者なしの場合のポイントを解説します。配偶者といっしょの申請の場合は計算方法が異なります。)

 年齢(最大110点)

申請時の年齢によってポイントがもらえます。

22歳から29歳が満点の110点で年齢が上がるごとにポイントが減っていき、45歳でポイントがゼロになります。

「30歳過ぎたらカナダ移民できないって聞いたんですけど本当ですか?」という質問を受けることがあります。

確かに、30歳を過ぎて年齢が上がるほど年齢でもらえるポイントは減りますが、その分他のポイントでカバーできれば永住権取得は不可能ではありません。

(わたしも40歳過ぎてからカナダ永住権を取りました!)

ネットや友達の情報を聞いて諦めるのではなく、まずは一度カナダ留学コンパスの無料相談をご利用ください。

 学歴(最大150点)

日本のでもカナダのでも、申請者の最高学歴をポイント化します。

  • 博士課程修了→150点
  • 4年制大学卒業→120点
  • 高校卒業→30点

となります。

日本の学歴をポイント加算するためには、カナダ政府指定の学歴査定機関で日本の学歴がカナダの何の学歴に相当するのか査定してもらいます。

 英語力(最大136点)

英語力(またはフランス語力)でもらえるポイントです。

英語力は公式英語テストの成績をCLBという基準に換算してポイント化します。

公式テストはIELTSやCELPIPなど、カナダ政府が指定するテストの中から、好きなものを選んで受験してください。

CELPIPが高得点を取りやすくておすすめです。

フランス語でもポイントがもらえます(最大24点)

もしカナダの公用語である英語とフランス語の両方ができるなら、フランス語の成績でポイントを稼ぐことができます。

ですが、2番目の公用語でもらえるポイントは24点とそんなに大きくないので、ゼロから勉強を始めるなら1番目の公用語のスコアをあげることに集中したほうがいいです。

 カナダでの就労経験(最大80点)

カナダで就労ビザを持ってフルタイム就労した期間によってポイントがもらえます。

5年以上で80点、1年以上で40点が加算されます。

 海外での就労経験(最大50点)

海外でのNOCレベルB以上相当の就労経験をポイント化します。上の英語力に応じてポイントが違います。

CLB7以上の場合 → 3年以上で25点、1年以上で13点

CLB9以上の場合 → 3年以上で50点、1年以上で25点

カナダと海外両方の就労経験(最大50点)

カナダと海外の両方でNOCレベルB以上相当の就労経験がある場合、さらにポイントがもらえます。

カナダで1年以上就労の場合 → 海外就労3年以上で25点、1年以上で13点

カナダで2年以上就労の場合 → 海外就労3年以上で50点、1年以上で25点

 カナダの資格(最大50点)

カナダの資格(調理師など)を持っていると最大で50点もらえます。

 その他(最大600点)

最後にその他ですが、何と最大600点です。

その他の項目のうち、主なものを紹介します。

州からPNPの推薦(ノミネーション)を受けている場合 → 600点

カナダの高校卒業以降の課程を卒業している
1年以上のプログラムを卒業の場合 → 15点
3年以上のプログラムを卒業の場合 → 30点

LMIAつきの雇用契約を受けている → 50点

その他と侮ってはいけません。

PNPのノミネーションを受けていると、何と600点がもらえます。

ITAがもらえる最低ラインが大体470点位なので、PNPの600点があれば、他のポイントがたとえ0点でもITAがもらえます。

PNP最強です。

ITAがもらえたら本申請

ITAがもらえたら本申請をします。

本申請は、今まで申請した内容の裏づけ資料を全て添付して、オンラインで行います。

添付した資料に不備や偽りがなければ、本申請から6か月程度で永住権が承認されます!

永住権本申請の必要書類

  • ジョブオファー
  • 年収の証明
  • 過去の職歴、学歴の証明
  • 英語力の証明
  • 雇用主が条件を満たすことの証明
  • 健康診断
  • 警察証明(無犯罪証明) など

健康診断と警察証明は、取得から時間が経ち過ぎた書類は認められません。

ITAが来たタイミングくらいで取得するのがいいと思います。

また、日本とカナダ以外に、18歳以降に半年間(複数の滞在がトータルで6か月を超えた場合も対象)滞在経験がある場合は、その国の警察証明も提出する必要があります。

ワーホリでカナダ以外の国に滞在経験があるような方は、その国の警察証明の手続きも考慮に入れてスケジュールを組みましょう。

まとめ

最後にエクスプレス・エントリーについて、まとめてみます。

  • プロファイル作成、ITA、本申請の3ステップ
  • 本申請後、6か月程度で結果が出るスピード審査
  • 申請方法は、カナダでの経験、専門職の就労経験、トレード職の就労経験を求める3種類の方法がある
  • 州政府のPNPと組み合わせて使うことも可能
  • ポイントシステムでドローイング最低点数以上のポイントを得る必要がある

エクスプレス・エントリーはカナダの永住プログラムのメインと言える、とても永住につながりやすい制度です。

できるだけわかりやすく紹介するように努力しましたが、細かい部分で割愛したところも多いです。

また、実際の申請は一人一人ケースバイケースで違うので、カナダ永住に興味を持ったら、まずはカナダ留学コンパスの無料相談をご利用ください。

エクスプレス・エントリー単体での申請が可能なのか、PNPや他の制度との合わせ技が必要なのか、永住権取得に向けたプランを提示します。

ポイントが足りなかったら、カナダでの学歴、職歴、英語力でポイントを稼いでいくことになりますが、そのプランを立てるお手伝いもします。

カナダ留学コンパスといっしょに、永住権をぜひとも勝ち取りましょう!

免責

ビザ申請、永住権申請の手続きや規定、ルールはカナダ移民局が予告なく頻繁に変更しています。

そのため、こちらのサイトに記載してある情報を元に何らかの判断を行う際には、弊社にご相談いただくか、カナダ移民局のウェブサイト等をきちんとご確認ください。

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執筆者 執筆者
村山まりえ

移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。

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