
カナダに移住したけど、どこの州がいいのかな?ネットで検索してみよ!
あ、どうやらマニトバ州は移住の条件が緩くて、永住しやすいみたい!よし、マニトバ州に決めた!
ちょっと待った!!
ネットの情報を鵜呑みにするのは危険です!!
マニトバ州もいい場所ですが、永住となるとまた話は違います!
なぜなら…
マニトバには職がないから!
この記事では、マニトバの州の移住制度(PNP)の説明と、なぜおすすめしないのかを具体的に解説します。
このページの目次
マニトバ州の永住制度
カナダの各州・準州には、それぞれが独自に設けた移民プログラムがあります。
簡単に言うと、州が欲しい人材に対して「この人を移民で入れてほしい!」と推薦状を出してくれるシステムで、これがあると永住しやすくなります。
この州独自の移民推薦プログラムをPNP (Provincial Nominee Program)と呼びます。
PNPについての詳しい情報は「PNPって?州から移民推薦状をもらって永住権を取得しよう!」と参考にしてください。
マニトバ州にも独自のPNPプログラムがあります。
その名もマニトバ州ノミニープログラム(Manitoba Province Nominee Program, MPNP)。
マニトバ州ノミニープログラム(MPNP)の中にもさらに細かくプログラムが分かれていますが、ここではインターナショナル・エデュケーション・ストリーム(International Education Stream)をご紹介します。
「MPNP International Education Stream」ってなに?
MPNP International Education Stream(MPNP インターナショナル・エデュケーション・ストリーム)とは、留学生を対象とした永住制度です。
留学生を優先的にマニトバ州に永住させようとしている制度、ということです。
インターナショナル・エデュケーション・ストリームの中に、さらに3つ永住ルートが分かれています。
さらに3つに分かれた永住ルート
- Career Employment Pathway
- Graduate Internship Pathway(大学院修了)
- International Student Entrepreneur Pilot(起業)
この3つの中で、Graduate Internship Pathway(大学院修了が条件)と International Student Entrepreneur Pilot(卒業後起業する条件)はハードルが高いので、今回は説明を省略します。
ですので、今回の解説では、Career Employment Pathwayに絞ってご紹介します。
MPNP International Education Streamの申請条件
それでは、MPNP International Education StreamーCareer Employment Pathwayの具体的な申請条件をご紹介します。
「マニトバ州は永住権が取りやすい州です」などとネットでは紹介されていることもありますが、確かに申請の条件は多くないです。
International Education Stream – Career Employment Pathwayの申請条件 | |
最低条件 | |
教育 |
マニトバ州で過去3年以内にdesignated post-secondary institution(指定された高校卒業以降の教育機関)を卒業していること。(1年以上、2学期以上でフルタイムのプログラム) |
英語力 | CLB 7 以上 |
マニトバ州内での雇用 | フルタイム、1年以上の雇用契約(ジョブオファー)を受けていること。職種はマニトバ州が求める職種(In-Demand Occupations list に記載の職種)で、卒業したプログラムに関連したものであること。 |
資力 | マニトバ州に永住した後の生活を支える可処分資産があること。(金額は Low Income Cut-Off (LICO) requirements をご参照ください) |
適応性 | 申請時にマニトバ州内に居住していること。 永住権取得後もマニトバ州に継続的に居住する意思を示すこと。 |
以上が申請のための条件です。
そうです、たしかにこれだけ見るとイケそうな感じがするんです。
では、それぞれの条件を具体的に検討してみましょう。
教育の条件
「マニトバ州の学校を卒業しなければならない」というのは、ブリティッシュコロンビア州(BCPNP)のインターナショナル・グラデュエートの制度(他州の学校卒業でも可)に比べると厳しいです。
でも、「卒業する学校が公立カレッジ、大学に限られない」というのは、逆にBC州の制度よりもハードルが低いですね。
英語力の条件
英語力の条件は、CLB7以上です。
決して低いハードルではありませんが、受験する試験にCELPIPを選べば十分クリアできる条件ですよ。
雇用の条件
マニトバ州が指定する業種で1年以上のジョブオファーを受けていれば、過去にカナダで就労経験がなくても申請可能です。
条件を満たすジョブオファーさえあれば、マニトバ州の学校を卒業後すぐに永住権を申請できる、というのがMPNP International Education Streamの魅力です。
でもここに、大きな落とし穴が隠されているんです。
最大の難点「マニトバ州に職がない!」
MPNP International Education Streamの申請条件と、条件を満たすジョブオファーさえあれば、学校卒業後にすぐ永住権申請ができることをご紹介しました。
実はこの、「条件を満たすジョブオファー」こそが、マニトバ州での永住権取得をおすすめしない最大の理由なんです。
マニトバ州で「条件を満たすジョブオファー」を出してくれる就労先を見つけることが、とても難しいんです。
その理由は、マニトバ州の人口比率にあります。
マニトバ州には日本人がいない!
マニトバ州の人種国籍別の人口について、2006年の国勢調査では、以下の通りとなっています。
マニトバ州人種別人口比 | |
---|---|
フィリピン人 | 5% |
南アジア | 2.2% |
アフリカ系 | 1.7% |
中国人 | 1.5% |
南アメリカ | 0.8% |
東南アジア | 0.7% |
アラブ系 | 0.3% |
韓国人 | 0.3% |
西アジア | 0.2% |
日本人 | 0.2% |
日本人、0.2%です! 1,000人に2人しか日本人がいません。
中国人、韓国人を合わせてやっと2%です。
この数字が何を意味するかと言うと、マニトバ州には日本人、東アジア人を対象にしたマーケットがないということです。
日本食レストランもなければ、日本食を扱うスーパーマーケットもありません。
(もちろん、全くない訳ではありませんが、ブリティッシュコロンビア州やオンタリオ州に比べたら、ないに等しいと言っても過言ではありません)
マニトバ州の指定職種には、日本人が永住権取得する際の定番の「Food service supervisors(飲食店のサーバーのスーパーバイザー)」、「Cooks(調理師)」の職種も含まれてはいます。
しかし、日本食レストランを始めとした、日本人が雇われやすい飲食店がマニトバ州にはほとんどないのです。
現地のカナダ人と競争して職を得ることができるか?
別に、日本食レストランや日本食スーパーにこだわらなければいいんじゃないの…?
確かに、この移民プログラムはマニトバ州の高校卒業以降の学校を卒業していることが申請の条件なので、カレッジや大学に通っている間に十分な英語力・人脈が身につくかも知れません。
しかし、カレッジ・大学に1年~2年通ったとしても、ネイティブのカナダ人と争って就職先をゲットするのは、現実的には難しいのです。
制度の条件だけを挙げ、安易に「マニトバ州なら移住しやすいよ!」と誘うのは無責任だと言わざるを得ません。
まとめ
最後にもう一度、マニトバ州の永住制度、MPNP International Education StreamーCareer Employment Pathwayについて、まとめてみます。
- マニトバ州のカレッジ、大学にフルタイムで1年(2学期)以上のプログラムを卒業すること
- 英語力条件はCLB7と、結構高い
- ジョブオファーがあれば、就労経験がなくても申請可能
- ジョブオファーを得ることが現実的には困難!
マニトバ州での永住を目指す希望を打ち砕く内容で、とても心苦しいのですが、あえて記事にしました。
特に最近、無責任な個人ブログや海外移住を推奨するまとめ記事などがに騙され、マニトバに永住権取得しようと渡航して失敗した方からの相談が増えています。
マニトバ州への永住を安易に勧めるインターネット上の情報に、どうか惑わされないでください。
カナダ留学コンパスでは、常駐の有資格の移民コンサルタントが、一人ひとりにあった永住プランをご案内します。
「過去にカナダ永住権を取得した人から聞いた」という情報について質問を受けることがたくさんあります。
過去の誰かの体験談は、ほとんど役に立ちません。
移民に関する法律や制度は頻繁に変わるので、3年前成功した方法で今年も成功するとは限りません。
カナダ永住権を取得するかどうかは、人生の重大なターニングポイントです。
きちんと有資格のビザコンサルタントに相談して、取り組みましょう。
カナダ永住に、抜け道はありません。
学歴、職歴、英語力、資金など、それぞれに異なるスタートラインから、どれだけの時間と労力と資金を費やすことができるかによってカナダ永住ができるかどうかが決まります。
決して楽ではありませんが、不可能でもありません。
まずは無料相談をご利用ください。
いっしょにカナダ永住を目指しましょう!
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