「職歴のスコア」を判断するための基本となる分類方法NOCが10年ぶりに大幅リニューアルされることが発表されました!
カナダ永住権を取るために必要なスコアの重要項目ですので、移民を検討されている方は必見です。
現在使われているレベル分けシステムの代わりにTEERシステムが導入されます。
変更は2022年の秋ごろから適用される見込みです。
新しい分類システムの概要を解説していますので、永住権獲得を目指している方は必ずチェックしましょう!
【備考】カナダの永住権プログラムはポイント制
カナダの永住権制度は多様ですが、基本的には「ポイント制」だと覚えておきましょう。年齢、学歴、職歴がすべてスコア化され、その合計点で永住可能かどうかが審査されます。このポイント制永住制度を「エクスプレス・エントリー」と呼びます。
また、PNPと呼ばれる州独自の移民プログラムを通して推薦状を取得すると、特別ポイントが加算され、永住に有利になる場合があります。
詳しくは下記の2つの記事をご覧ください:
このページの目次
NOC 2021 Version 1.0概要
現在使われているのはNOC 2016 Version 1.3。
今回 2021 Version 1.0 へのリニューアルが発表されました。
新しいバージョンではTEER (Training, Education, Experience and Responsibilities) システムと呼ばれる分類方法が導入されます。
0、A、B、C、Dで分類されていた「スキルレベル」が廃止となり、代わりに職業に必要なトレーニング、教育、経験、および責任(TEER)の程度を表すTEERカテゴリー(0~5)になります。
職業と、0、1、2、3、4、5に分類されたTEERカテゴリーに応じて点数が決まります。
また、含まれる職業も500種類から516種類となりました。
呼称が変わったり、同じグループ内でもより細かく分類された職業、新しく追加された職業もあり、より現状を反映した新分類方法になっているようです。
主要な変更点
職業分類
職業はまず大きく10の業界グループ(Level 1: Broad Category)に分類されます。
それぞれ0〜9のコードが振られており、5桁のNOCコードの最初の桁になります。
0 | Legislative and senior management occupations (立法および上級管理職) |
---|---|
1 | Business, finance and administration occupations (ビジネス、金融、および管理の職業) |
2 | Natural and applied sciences and related occupations (自然科学、応用化学、および関連職) |
3 | Health occupations (医療、保険業界) |
4 | Occupations in education, law and social, community and government services (教育、法律、および地域、政府サービス) |
5 | Occupations in art, culture, recreation and sport (芸術、文化、レクリエーションおよびスポーツ関連) |
6 | Sales and service occupations (セールスおよびサービス職) |
7 | Trades, transport and equipment operators and related occupations (貿易、輸送、設備運営および関連職) |
8 | Natural resources, agriculture and related production occupations (天然資源、農業および生産関連) |
9 | Occupations in manufacturing and utilities (製造業および公益事業) |
その後さらに4段階に分類される仕組みになっています。
- Level 1: Broad Category
- Level 2: Major Group
- Level 3: Sub-major Group
- Level 4: Minor Group
- Level 5: Unit Group
ご自身の職業がどれに当てはまるのかは、判断が難しいところです。
特に日本とカナダでは、職業の分類法が異なる場合があります。
詳しくは専門家に相談しましょう。
TEERカテゴリー
職業に必要なトレーニング、教育、経験、および責任の大きさに応じて0~5の6段階に分類されます。
このコードは5桁のNOCコードの2桁目になります。
TEER Category 0 | 管理職 |
---|---|
TEER Category 1 | 通常大学の学位(学士号、修士号、または博士号)、またはTEER 2に関連する職業の経験と専門知識が必要とされる職業 |
TEER Category 2 | 通常2〜3年のカレッジ、工科大学、CÉGEPの修了、または2年から5年の実習・研修経験が必要とされる職業、または重大な安全上の責任がある職業(警察官や消防士など)。 またはTEER 3に関連する職業での数年の経験が必要とされる職業 |
TEER Category 3 | 通常2年未満のカレッジ、工科大学、CÉGEPの修了または実習・研修経験が必要とされる職業。または半年以上の職場トレーニングあるいは特定の実務経験。 またはTEER 3に関連する職業での数年の経験が必要とされる職業 |
TEER Category 4 | 中等学校の修了または、いくつかの中等学校教育を伴う数週間の実地訓練が必要とされる職業。 またはTEER 5に関連する職業での経験が必要とされる職業 |
TEER Category 5 | 短期間の仕事であり教育要件が必要とされない職業 |
5桁のNOCコードは以下それぞれに対応するコードの組み合わせになります。
たとえば、ソフトウェアエンジニアは、自然科学および応用科学と関連する職業のBroad Category 2に分類されます。
また通常、大学の教育またはその分野での経験と専門知識を必要とします。
これにより、最初の桁が「2」、2番目の桁が「1」になります。
次にサブメジャーグループでは、応用科学の専門職「2」に分類、マイナーグループでは、コンピューター・ソフトウェア・Webデザイナー及び開発者「3」になります。
最後に、ユニットグループが「1」です。
以上から、ソフトウェアエンジニアのための2021年のNOCコードは「21231」になります!
それぞれのカテゴリーに含まれる職業の割合
以前に比べてより細かく、正確に判定できる仕組みになりました。
(旧)スキルレベル | 配分 | (新)TEER カテゴリー | 配分 |
---|---|---|---|
- | TEER Category 0 | 9% | |
Skill Level A | 28% | TEER Category 1 | 19% |
Skill Level B | 42% | TEER Category 2 | 31% |
Skill Level C | 24% | TEER Category 3 | 13% |
Skill Level D | 6% | TEER Category 4 | 18% |
- | TEER Category 5 | 9% |
より細かく配分されていますね。
スキルレベルBにあたる職業の方はご注意ください
特に大多数を占めるスキルレベルB及びCにあたる職業が、TEER カテゴリー 2〜4に分かれます。
点数に大きな変動が出る可能性があるので、今後の追加情報は要チェックです。
特にNOCスキルレベル「B」にリストされていた職業の再分類には注意が必要です。
一部はTEERカテゴリー2に、一部はTEERカテゴリー3に移動します。
たとえば、2016年のNOCコードでは、管理アシスタント(administrative assistants)はNOCコード1241:スキルレベル「B」の職業として分類されていました。
ところが2021年のNOCコードでは、NOCコード13110:TEERカテゴリ「3」の職業として再分類されました。
ご自分の職業が現NOCコードのどれにあたるかが既に分かっている場合は、公式サイトの表を使用して、再分類後のコードを調べることができます。
どのTEERカテゴリーがエクスプレスエントリーの対象になりますか?
結論から言うと、TEERカテゴリー3〜5の職業のすべての人々はエクスプレスエントリーの資格を失う可能性があります。
ただし、Express Entryが拡大されて、より多くのTEERカテゴリを含める可能性もあります。
今のところこの変更が移民にどのように影響するかについての詳細は発表されていません。
カナダ移民局(IRCC)の追加の発表を待ちましょう。
参考
IRCC公式サイト:National Occupational Classification (NOC) 2021 Version 1.0(最終更新日(Release date): September 21, 2021)