長期留学を考えた場合、大手の留学生保険だとどのくらい費用がかかるのでしょうか?
一般的な保険だと15万円~20万円ぐらいだと思います。
そんな「留学生保険は高いので無理!」と思う人に魅力的なものがクレジットカード付帯の海外旅行傷害保険です(長いので以降では『クレカ付帯保険』と表記)。
本記事では「クレカ付帯保険」がどういうものか、そして留学する場合はオススメしない理由を詳しく紹介しますね。
このページの目次
クレジットカードの付帯保険とは?
では、そもそもクレジットカード付帯の海外旅行保険とはどういうものでしょうか?
「クレカ付帯保険」の意味・特徴
まず「クレカに付帯する海外旅行保険」という言葉の意味・特徴をハッキリさせます。
クレカ付帯の海外旅行保険とは「そのカードに契約することで、海外旅行でのケガ・病気などのときに保険金を受け取れるサービス」のことです。
クレジットカードは、ふだんはお店での買い物やネットショッピングの決済に利用しますよね?
それ以外にも「キャッシング」や「優待割引」などの機能・サービスがあるんです。
たくさんある付帯サービスの1つが海外旅行保険なんだね。クレジットカードが便利なのは、お金を払うときだけじゃないんだ!
わざわざ民間の保険会社と契約しなくても、クレジットカードがあれば保険を受けられるというのが大きなメリットですね。
「クレカ付帯保険」がカバーする保険の種類
「クレカ付帯保険」とは何かがわかったところで、カバーする保険の種類を見てみましょう。
主に、クレカ付帯保険は以下の保険に対応していますよ。
付帯保険がカバーする領域
- 疾病治療
- 傷害治療
- 傷害死亡・後遺障害
- 賠償責任
- 携行品損害
- 救援者費用
金額・適用条件などの詳細はカードによって異なりますが、基本的には上記の内容に対応していると考えてくれて大丈夫です。
もっとも大切な「ケガ・病気への保険」はどのカードでも備わっています。
「クレカ付帯保険」が適用される条件
保険の種類もわかったところで、カード付帯の海外旅行保険が適用される条件を見ておきましょう。
カードによって、以下のどちらかの条件がある場合が多いです。
- 自動付帯
- クレジットカードを持っているだけで自動的に保険適用されるもの。
- 利用付帯
-
「利用付帯」とは、海外旅行の渡航費などをクレジットカードで払った場合にのみ適用されるもの。
たとえば、旅行先までの航空券をそのクレジットカードで購入した場合など。
「利用付帯」のカードの場合は覚えておかないと!
カナダ留学では「クレカ付帯保険」だけの利用をお勧めしない理由
さて、冒頭でも触れましたが、カナダのワーホリ・留学では「クレジットカード付帯の海外旅行保険」はオススメしません。
その理由を詳しく紹介しますね。
3か月以上の滞在では保証期間が足りないから
まず、クレカ付帯保険だけのカナダ留学をオススメしない理由は保証期間が90日間だからです。
つまり、カナダに3か月以上滞在する場合、そもそも保証期間が足りません。
それ以降を保険なしで生活するなんて、医療費の高いカナダでは完全にアウトですよ!
ネット上では2枚以上のクレカを持ち、1つ目のクレカで90日→次のクレカでさらに90日という裏技を紹介している人がいます。
すべてのクレカでできるかわからないですし、再現性も高いとは言えないので絶対にやめましょう。
「クレカ付帯保険」には条件があるから
クレカ付帯保険だけのカナダ留学をオススメしない2つ目の理由が、有効になるために条件があるからです。
先述したように「自動付帯」と「利用付帯」の2つがありますよ。
どのクレカでも「持っているだけで自動で保険がつく」と思っていると危険!
必ず保険の発動条件を確認してください。
「クレカ付帯保険」の補償額は少ないから
そして、クレカ付帯保険だけのカナダ留学をオススメしない3つ目の理由が補償額が少ないことです。
弊社のオススメしている保険、日本の留学生保険、クレカ付帯保険の補償金額を比較してみましょう。
サービス項目 | tugo留学生保険プラン (BIISの紹介) |
日本の留学生保険 | クレカ付帯保険 |
---|---|---|---|
障害死亡 | $10,000 限度額オプションもあり |
500万円~1億円 | 2,000万円 |
治療費用 | $2,000,000 (およそ1億7000万円) |
1,000万円~無制限 | 200万円 |
救援者費用 (家族の呼び寄せ) |
渡航費:最高 $5,000 宿泊・食費:最高$1,500 |
1,000万円~無制限 | 200万円 |
賠償責任 | なし | なし~1億円 | 2,000万円 |
携行品損害 | なし | なし~20万円 | 20万円(※) |
保険料 | 730ドル(おそよ62,000円) | 18万円~62万円程度 | 無料 |
※ クレカ付帯保険は、年会費が無料のものを例にしています。
留学生にとって、もっとも身近である「治療費」がクレカ付帯保険では少ないことがわかります。
でも、200万円もあればじゅうぶんじゃないの?
もちろん、健康保険に加入していて日本にいるなら200万円でじゅうぶんでしょう。
でも、医療費の高いカナダでは200万円は安心できないレベルの金額なのです。
風邪で病院に行っただけでも100ドル以上、救急車で運ばれると1,000ドルほどかかります。
たまに聞くのが盲腸炎(急性虫垂炎)になったというケースです。
カナダにきて盲腸炎だったことが判明し、即手術となり1泊で9,000ドル(約80万円)の請求を受けたケースもありました。
ちなみに、カナダで事故に遭って600万円かかったという留学生の体験談はこちらです。
【ワーホリの場合】そもそも「保険加入」が義務付けられている
最後に紹介するクレカ付帯保険だけでカナダに行くことをオススメしない理由は、ワーホリで行く人が対象です。
そもそもですが、ワーホリビザでカナダに行く場合「保険への加入が義務付けられている」ことを知っておきましょう。
ワーホリの滞在期間すべてをカバーする保険を持っていることが条件
カナダ政府の公式サイトには、カナダのワーホリビザの発給要件として以下のような記載があります(訳は弊社による)。
have health insurance for the duration of your stay
You may have to present evidence of this insurance when you enter Canada(訳:滞在期間すべてをカバーする保険を持っていること。カナダ入国時に保険の加入証明の提示を求められることがあります)
International Experience Canada: Who can apply
滞在期間の間すべてを補う保険が必要ですが、クレカ付帯保険の有効期間は最大で90日間しかありません。
1年間もカナダに滞在できるワーホリの4分の1の期間しかカバーできないことになりますよね。
つまり、カナダにクレカ付帯保険だけでのワーホリで行くことは違反になります。
カナダのビザは「入国審査官しだい」は本当?
上で紹介したカナダ政府の引用部分に「You may have to(提示しなければいけない可能性がある)」と記載されていますよね?
つまり入国審査官しだいでは「提示を求められないこともある」という意味です。
「入国のときに保険を必ず提示するわけじゃないんだ♪」と安心してはいけません。
そんなイチかバチかにかけて保険に入らないなんて選択はNGですよ。
また、提示を求められても「カナダ入国後に絶対に加入するから」と答えたり「お金があることを提示して交渉すれば大丈夫♪」と思っている人もいます。
……でも、そんな甘い考えで大丈夫なのでしょうか?
カナダ政府は「保険のない渡航」に対し厳しい表現
以下は、カナダ政府の「ワーキングホリデーの説明ページ」から抜粋したものです(赤字・訳は弊社による)。
You don’t need health insurance when you apply. However, you’ll need to get it before you arrive in Canada. It must cover the entire time you want to stay in Canada.
(訳:ビザを申請する段階では保険に入っていなくてもかまいません。しかし、カナダに到着する前には入っておく必要があります。それはカナダにいる期間をすべてをカバーしなくてはなりません)
International Experience Canada: Who can apply
原文で赤字にしている部分「must」は「絶対にしなければならない」というかなり強い表現、「entire」は「完全に」や「全体の」という意味です。
もう1つの部分も引用します(赤い太字は弊社による)。
If you don’t have sufficient coverage, you may be denied entry into Canada.
(訳:もし、十分なカバーがない場合、カナダへの入国を拒否されることもある)
International Experience Canada: Who can apply
この上なく、ハッキリと移民局の姿勢を記載していますね。
ワーホリの期間も90日に減らされる処置も
さらに、ワーホリの期間が90日間に減らされてしまう処置についても言及されています。
What if my health insurance is only valid for part of the time I want to stay in Canada?
If your health insurance doesn’t last the entire length of your stay in Canada, you’ll be given a work permit that expires on the same day as your insurance. If this happens, you won’t be able to apply to change the conditions of your work permit at a later date.
(訳:もし、カナダに滞在したい期間の一部分しか保険が有効でない場合はどうなるのですか?
ワークパーミットは、保険の有効期限日までの発行となります。もしそうなった場合、後でそのワークパーミットの条件変更を申請することはできません)
International Experience Canada: Who can apply
分かりやすく言うと「保険の期間が90日ならワーホリビザの有効期限も90日間として発給しますよ」という意味です。
「クレカ付帯保険」だけで渡航したばかりに失うものは?
一番安い、医療保険のみを手配してきたとして6万円程度の出費です。
これを惜しんで、クレカ付帯保険だけで渡航したばかりに失う可能性のあるものについて説明しましょう。
【失うもの(1)】ビザの切り替えによる出費
まず、ビザの切り替えによるビザの切り替え申請費を失います。
たとえば、クレカ付帯保険だけにしたことで「ワーホリで滞在できる日数」が、3か月(90日)になったとしましょう。
でも、それでもカナダに1年間は滞在したいと思っている場合、必要になるのが「ビザの切り替え」です。
ビザの切り替えでなんとか1年間滞在できるようになったとしても、不要な出費が必要になります。
2つの方法でいくらの出費が出るのかをざっくりと計算してみました。
ビジタービザに延長 | 平均6か月ほどの延長のため、合計2回の延長手続きが必要。申請代金が$100かかる。 $100 × 2回 = $200 |
---|---|
学生ビザに切り替え | 学校への申し込みと通学が必要。平均学費$1,500を9か月として計算すると次のとおり。 $1,500 × 9か月 = $13,500 +学生ビザ申請代金 $150 |
【失うもの(2)】貴重な「カナダで働ける機会」
もう1つ失うものは、貴重な「カナダで働ける機会」です。
ワーキングホリデーは働けるビザですよね?
本来なら、カナダで働くなんて「カナダの就労ビザ」や「カナダの永住権」を持っていなければ不可能です。
保険のお金をケチったことで、1年間(12か月)も働けた期間の、そのうちの9か月を棒に振ることになります。
カナダでアルバイトで働くほうが、日本で正社員をするよりも稼げることも考えると、大きな収益も失うことになりますね。
つまり、クレカ付帯保険にしたばっかりに「失うかもしれないもの」が大きすぎるのです。
保険は「クレカ付帯保険」ではなく、きちんとした保険に、必ずワーホリの予定期間(つまり1年)は加入してください。
まとめ
クレカ付帯保険はあくまで補助的に利用するものということです。
最大「90日間」という期限は、基本的には短期の旅行などを想定しているものだと言えます。
つまり、現地で生活をする留学には本来適していないのです。
現地での生活が長くなればそのぶん、交通事故など広く色々なケガ・病気のリスクは高くなることは認識しておきましょう。
最後になりますが、弊社が紹介しているBIIS(ブリッジス・インターナショナル保険サービス)は、充実した補償内容を安い保険料で受けられる留学生向け医療保険の代理店で、大変おすすめの保険サービスです。