移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。
「わたし、30歳を過ぎてて、ワーホリも使っちゃってるんですが、カナダ永住できますか?」
はい、できる可能性は十分あります。
今回の記事では、30代になってからのカナダ永住権取得について解説します。
カナダで職歴を積むことが永住権に近づく一つの方法ですが、カナダで働くための就労ビザを取るのは難しいです。
留学を足がかりにした就職からカナダ永住という方法について、サンプルケースを用いて解説します。
同じく30代からの、公立カレッジ留学からの家族でのカナダ永住チャレンジについては、こちらの記事をご覧ください。
このページの目次
カナダ永住権の仕組み
カナダ永住についての概要は、こちらの記事で解説しています。
参考
カナダ永住、移民について
カナダに永住するには、経済移民、中でもエクスプレス・エントリーが最も一般的な方法です。
エクスプレス・エントリーとは、2015年から導入された、熟練労働者(スキルド・ワーカー)を対象にした永住権制度です。
詳しくは「カナダ永住への道:エクスプレス・エントリー制度を解説」をご覧ください。
サンプルケースを参考にする際の注意事項
少し話がそれますが、カナダ永住権について、「わたしの知人が○年前に○○州の△△という制度を使って永住権を取ったので、わたしも同じルートで永住権を取りたい」という相談を非常に多く受けます。
しかし残念ながら過去のケースはほとんど参考になりません。
制度そのものが変わっていたり、廃止になったり、制度ごとに必要なポイントが時期によって大きく変わってしまうためです。
今回ご紹介するサンプルケースは2019年3月現在の制度に基づいてサンプルケースをご紹介しますが、実際にカナダ永住権にチャレンジする場合、数年間掛けて申請条件を満たしたのに、申請するタイミングで制度が変わってしまったというリスクがあることを、常に覚えておいてください。
Y・Kさん(仮名、32歳)のケース
Y・Kさんはアパレルショップに務める32歳の女性で、実家で両親、弟と暮らしています。
Y・Kさんは大学を卒業して社会人として3年間働いたあと、退職してカナダにワーキングホリデービザで1年間滞在しました。
ワーホリの間は語学学校に通ったり、カナダの色々な州を旅行したり、日本食レストランでサーバーとして働いたりしました。
英語での生活にも自身がついて、「このままカナダにずっと住みたい」と思いましたが、親にカナダ永住の希望を言い出せず、ワーホリ後に帰国して、今のアパレル会社に就職しました。
ファッションも、人と接することも大好きなので、今の会社には満足していますが、何気ないきっかけで、ワーホリで滞在したカナダのことを思い出して、「カナダに長く住みたいな」とぼんやり考えてしまいます。
入社して3年目、Y・Kさんは副店長に昇格。アルバイトスタッフの採用とトレーニング、在庫管理などを任されるようになりました。
仕事が順調でカナダのことを忘れかけていたその時、働いていたお店が閉店することになりました。
お店のスタッフは同じ会社の近隣の店舗に異動することができましたが、通勤時間は今の倍以上掛かるし、気心の知れた仲間とバラバラになってしまいます。
「これは、神様がカナダへの一歩を踏み出せと言ってくれているんだ」と勝手に決めつけて、Y・Kさんは会社を辞めてカナダに行くことにしました。
最終目標はカナダへの永住。
果たしてY・Kさんのカナディアン・ドリームは実現するのでしょうか?
Y・さんプロフィール(カナダ渡航前)
- 年齢(32歳)
- 学歴:4年制大学卒(日本)
- 職歴:会社員3年間(日本)、レストランサーバー8か月(カナダ)、ショップ店員5年間(日本)
- 英語力:TOEIC730点
- 同伴家族:なし
- カナダ滞在歴:ワーホリで1年間
お金を使いたくないから、学校に行かなくてもいい?
何事にも慎重なY・Kさん。
カナダに渡航する前にカナダ留学コンパスの無料相談を利用してみました。
実はこの、「カナダに渡航する前に」というのがとっても大事なんです。
相談は、カナダに来る前にお願いします!
色々な選択肢があったような場合でも、既にカナダに来てしまった。ビザを取って働き始めてしまった。というような場合、最上の選択肢を選べない場合があります。
プランが何も決まっていなくても、カナダ永住というゴールだけでも決まっていれば、カナダ留学コンパスの無料相談をご利用ください!
では、Y・Kさんのカウンセリング内容はどんなものだったのでしょうか?
こんにちは。よろしくお願いします。
まずは、カナダ渡航の希望をお聞かせください。
カナダに永住したいです。
カナダにはワーホリで1年間住んで、英語にも自信があるので、学校には通わなくていいと思っています。
日本でアパレルショップの副店長をしています。
カナダでも同じ仕事がしたいです。
雇用先は決まっていないです。
でしたら、公立カレッジか私立カレッジに通うのがおすすめです。
公立カレッジに通うと卒業後に最大3年のポスグラビザが出ますが、学費が高いこと、入学条件の英語レベルが高いことが難点。
私立カレッジは、卒業時点で就労ビザのスポンサーになってくれる雇用主がいないと、カナダ滞在を続けられないことが難点です。在学中にアルバイトをして、アルバイト先に必要な人材だと認めてもらえれば、卒業後の就労ビザ、永住権につながります。
どちらがご希望ですか?
私立カレッジを希望します!
了解しました。
プログラムは、ホスピタリティの1年間のプログラムがおすすめです。
仕事は、アパレルショップ店員よりも飲食店の店員を勧めます。
理由は、飲食店の方が求人需要が大きいので、卒業後にビザサポートしてくれる雇用主を見つけやすいからです。
そうなんですね。
アパレルショップで働けないのは残念ですが、接客業は好きなので、飲食店で働くのもぜんぜん大丈夫です!
私立カレッジで勉強するのも楽しみです!
私立カレッジのコーププログラムに入学
カウンセリングの結果、Y・Kさんにおすすめの学校はホスピタリティ・マネジメントの(1年間)のプログラムです。
これは、ホスピタリティ(接客業)について学ぶ、通学期間6か月+有給インターン(Co-op)期間6か月の合計1年間のプログラムです。
このプログラムの詳細は「コープ(Co-op)概要」をご覧ください。
卒業後、エクスプレス・エントリーでカナダ永住権申請をする時に、カナダで1年間以上の高校卒業以降の課程(Post Secondary Education)を卒業していると、ポイントシステムで15点もらえます。
カナダ永住権を目指すなら、留学するプログラムは1年以上のものを選びましょう。
Y・Kさんは、日本から私立カレッジの入学テストを受験し、見事合格!
カナダ永住を目指す第一歩、カナダ留学が始まりました。
カナダ留学とコープでの就労
私立カレッジでの留学生活を始めると同時に、雇用先探しも始めました。
学校に通っている間は、週20時間までのパートタイム就労になります。
最初はパートタイム就労しかできませんが、その時から、
- コープ期間中はフルタイムで働けるようになること
- 専門学校卒業後に、ビザサポートをして欲しいこと
の2点を強調して求職活動をしました。
卒業後のビザサポートの要望に難色を示して採用に至らなかったこともありましたが、この点に妥協するわけにはいきません。
カナダ留学コンパスの履歴書、面接サポートも利用して、Y・Kさんは日系居酒屋のサーバーの職種で採用されました。
時給は$13からスタート、1年後の私立カレッジ卒業時には時給$16に上がりました。
職種もサーバーのスーパーバイザーに上がりました。
雇用主はY・Kさんの働きぶりと人柄を高く評価してくれて、ビザサポートに快く協力してくれそうです。
Y・Kさんの努力の賜物です。
卒業後は就労ビザで1年間働く
私立カレッジ卒業の4か月前から就労ビザ申請のためのLMIAの手続きを開始。
カナダ留学コンパスのビザ申請代行サービスを使って、私立カレッジ卒業前に無事に2年間の就労ビザを取ることができました。
就労ビザを持った状態で、現在の職種(Food Service Supervisors、NOC6311、時給$16)で1年間働くと、エクスプレス・エントリーのカナディアン・エクスペリエンス・クラスの申請条件を満たします。
ここでカナダ留学コンパスから大事なアドバイス。
公式英語テストでできるだけ高いスコアを取っておいてくださいね!
Y・Kさんは1年間しっかり働き、CELPIPも3回受験しました。
いよいよ永住権申請
私立カレッジに1年間通い、就労ビザで1年間働き、CELPIPも受けました。
カナダ永住権のポイントを伸ばすための、学歴、職歴、英語力を2年間掛けて伸ばしてきたY・Kさん。
永住権申請は成功するのでしょうか?
Y・Kさんプロフィール(永住権申請時点)
- 申請者:Y・Kさん(34歳)
- 学歴:4年制大学卒(日本)、私立カレッジ卒(1年間、カナダ)
- 職歴:会社員3年間(日本)、レストランサーバー8か月(カナダ)、ショップ店員5年間(日本)、Food service supervisor1年間(カナダ)
- 英語力:CLB7(CELPIP全バンド7)
- カナダ滞在歴:3年間
さて、この時点でY・Kさんはカナダ永住権取得ができるのでしょうか?
エクスプレス・エントリーのポイント計算
Y・Kさんはカナディアン・エクスペリエンス・クラスの申請条件を満たしています。
早速エクスプレス・エントリーの1200点満点のポイントシステムで何点取れるか計算してみましょう!
Y・Kさんのポイント計算(エクスプレス・エントリー)
- 年齢 83点
- 学歴 128点(3年以上の学位とカレッジディプロマ)
- カナダの学歴 15点
- 英語力 68点
- カナダの職歴 40点(1年間)
- 英語力と学歴による加点 50点
- 英語力と日本の職歴による加点 50点
合計 434点
434点、微妙です。
エクスプレス・エントリーのドローイングのプールには1年間名前を入れておくことができます。
1年間のうち、何回かはドローイングの最低点が434点を下回ることがあるので、この点数でドローイングを待ち続けることも可能です。
でもY・Kさんはより確実に永住権を取れる方法を選びました。
さらに点数を上げて永住を確実にするために
では、確実にインビテーションをもらうために、スコアを上げるにはどうすればいいでしょう?
Y・Kさんの場合は、次の選択肢があります。
Y・Kさんがポイントを上げる方法
- 日本の職歴(副店長)を加算する
- 英語テストのスコアを上げる
- カナダでの職歴を2年にする
日本の職歴をポイントに加算するのが一番確実ですが、前の勤め先から、在職証明や給与証明をもらわないといけないので、面倒くさいです。
Y・Kさんは前の職場を円満に退職したので、きっと協力してくれるとは思いますが、昔の会社の上司に頭を下げるのは気が重いです。
英語テストは受験料が高いので、できれば受けたくありません。
カナダでの職歴を2年にするのは、今の就労ビザが2年なため、永住権申請直前に就労ビザの延長をしなければいけません。
どの選択肢も嫌でしたが、結局腹を括って、CELPIPをもう一回受けました。
その結果、全バンド8の成績を取ることができました!
あたらしい英語スコアにより、Y・Kさんのポイントは458点になりました。
無事に永住権が取れました!
すぐに無事にインビテーションがもらえ、その後本申請。
およそ半年後、Y・Kさんはカナダ永住権を取ることができました。
ちなみに、永住権が承認された後、最終的に永住権が認められるタイミングは、1回カナダを出国して、再入国した時です。
この、出国して再入国することを、「Landing(ランディング)」といいます。
飛行機の着陸みたいで、カッコいいですね。(別にカッコよくないですか?)
国境でのビザ切り替えと手順はほとんど同じです。こちらの記事も参考にご覧ください。
まとめ
ワーホリを体験した後いったん日本に帰国して、30代になってからカナダ永住にチャレンジするのは、とても一般的なケースです。
今回紹介したY・Kさんのサンプルケースのように、カナダ永住権を取ることは決して難しくありません。
最後にY・Kさんがどうしてカナダ永住権にたどり着けたのかをまとめます。
Y・Kさんの強み
- 申請時の年齢が比較的若かった
- 日本でのNOCレベルB相当の就労経験があった
- 私立カレッジに1年間通った
- 私立カレッジ卒業時にビザサポートしてくれる雇用主がいた
- 英語テストで得点を稼げた(CELPIP8)
Y・Kさんは今回の申請には使いませんでしたが、ポイントを稼げる日本での職歴もありました。
同じようなルートでカナダ永住を目指す時、年齢がもっと高かった、日本で職歴がなかった、などポイントが足りない可能性があります。
カナダ永住権取得でポイントを稼げる要素は、学歴、職歴、英語力です。
留学前からしっかりとプランを立てることが何より大事です。
このサンプルケースのように、飲食店で働いてカナダ永住を目指すのは、比較的確実性の高い方法です。
特にバンクーバーのように観光業が盛んな都市だと、求人が多いので仕事が見つけやすいです。
それでも、カナダに来てすぐ就労ビザを取ることは難しいので、まずは専門学校に留学することがこのプランの重要なポイントです。
留学中にアルバイトでアピールして、卒業時にビザサポートをしてもらえるかどうかが鍵です。
まずはカナダ留学コンパスの無料相談をご利用ください。
カナダ永住権取得は決して簡単ではありませんが、カナダ留学コンパスが留学から永住までサポートします。
一緒にカナダ永住を目指しましょう♪
免責
ビザ申請、永住権申請の手続きや規定、ルールはカナダ移民局が予告なく頻繁に変更しています。
そのため、こちらのサイトに記載してある情報を元に何らかの判断を行う際には、弊社にご相談いただくか、カナダ移民局のウェブサイト等をきちんとご確認ください。
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カナダに入国するためにはビザが必要だよ! こちらの記事も参考にね。