カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。カナダ留学情報を発信するTwitterアカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万を超える。現在までサポートしてきた生徒数は1万人以上。
カナダは「〇〇〇」だと聞いたので、アメリカ(オーストラリア・イギリス・フィリピンなど)にしようかな、と思っています。
留学先を考える際、皆さんも色々な情報を比べますよね。
「○○○」の中に入る内容は様々ですが、カナダ留学を考えている人の中には、ネットのまとめ記事やブログなどを見てカナダに関する誤った情報を信じて不安に思っている人がいらっしゃるようです。
そこで今回は、カナダ留学のネガティブ情報と対処法をご紹介します。
このページの目次
ネガティブ情報にはどんなものがある?
カナダ留学に関するネガティブ情報例:
- カナダには外国人や人種に対する差別がある
- 学歴は英語圏のものだけが適用される
- カナダは街中日本人だらけ
- 日本に比べると治安が悪い
これだけ読んでしまうと、カナダに留学するのを躊躇してしまいそうですよね……。
こういった記事は単体で見ると、それらしく見えます。
そのため、知らない人が見たら、あたかもすべて真実であると勘違いしてしまうのです。
その結果、カナダ留学を希望する方にとっては心配や悩みが増えてしまう……という悪循環に。
どうして、こんなにたくさん、ネガティブ情報を含んだ記事が出回るのでしょう。
「悪い評価も見たい」という消費者心理
たとえば「Aという炊飯器を買いたい」と思って検索するときには、「良い評価」と「悪い評価」を比較、検討して決めることが多いのではないでしょうか。
うん。「Amazon」とか「楽天」で買う時も、他人のレビューをすごくチェックしてる!
敢えて「悪い評価」だけを確認する、と言う方もいるかもしれませんね。
なぜかというと、もちろん「失敗をしたくないから」です。
何かを調べるときには、「悪い評価も見たい」という心理があるのは、消費者心理としては普通のことです。
ただ、そういった情報を見る際は、「発信元」がどういった立場の人かどうか、も併せて見るようにすると、惑わされてしまうことが減るかもしれません。
「デメリット」や「おすすめしない理由」を誰が発信しているのか
発信元?どういうこと?
例えば、個人なのか、企業なのか、仮に留学エージェントだったらどこ(場所)の留学エージェントなのか、など。「誰が」書いているかが分かると、その記事を「なぜ」書いたのかが少し推測できます。
企業発信の場合
「カナダ留学」に対するネガティブな記事の目的は、次のようなものが多いです。
たとえば、こんな感じのページを見たことはありませんか?
このケースを細かく分析してみましょう。次のような流れになります。
ネットマーケティングの手法
- カナダ留学について調べた人が「カナダ留学をオススメしない」という記事を読む
- 「カナダ留学の前に予算の安いフィリピン留学をした方がいいよ!」と誘われる
- じゃあカナダじゃなくフィリピンにしようと、「フィリピン留学」に申し込む
こんな流れを作りたい……という意図があったりするのです。
というのも先ほど「消費者心理」と言いましたが、販売の決定プロセスの中で、消費者は必ず「レジで迷う」んです。
あ、分かるかも。お金出す瞬間(ポチる瞬間)、「これで本当によかったかなー。」とか「やっぱもうちょっと考えようかなー」とか思います。
炊飯器の例で言うと、さぁ買おう!と思った時に、「あ、やっぱもうちょっと高いやつの方がおいしいごはんが食べられるかな?」「白は汚れるかな?」、「これ・・・土鍋でもいけるか?」などなど、色んな考えがよぎるのは普通のことです。
つまり、記事の発信元がエージェントや企業の場合、ネガティブ情報は、「レジで迷っている消費者」にを引き戻したり、違う情報に誘導するマーケティング手法の一つなんですね。
例えば今、フィリピン留学の例を挙げましたが、こういったケースでは、カナダのデメリット情報は何でもよく、「フィリピン留学」に申し込みをさせ利益を得るために、カナダに留学したことのない人が「カナダは留学はオススメできない」と書いていることがあります。
同じ手法で、「カナダとアメリカ」「カナダとオーストラリア」「カナダとイギリス」など。
そういったマーケティング手法がある、ということ知っておくだけで、惑わされることがぐっと減ると思います。
土鍋の例にあるように、「そもそも必要か?」と迷ってしまうこともありますよね。
留学で言えば、「語学留学はお金の無駄!」などの記事が良い例です。でもよくよく見ると、本来の目的のものにお金を使うのではなく、エステやスポーツジム、整形、資格対策講座など、留学とは「別のこと」にお金を使わせようと誘導させるようなマーケティング手法かもしれません。
個人の発信なら信頼できる?
私が見た情報は個人のブログでした。そこで暮らした人の意見だから、信用できますよね。
そうですね。実際に現地を見て来た方の意見ですから信用し、参考にするのは良いと思います。
ただ、同じく「消費者心理」の目線から一点言うと、レジを通過し、無事購入した消費者は「後悔したくない」という心理が働き、「これでよかった」「正解だった」と思い込もうとします。
あ、それも分かります。買った後、口コミの高評価の部分だけ見ます!(笑)
そうですよね。
決定前と全く逆で、「買って良かった」というようなポジティブな情報を探そうとしますよね。
また、買った後も、「これ良かったよ」「AとBと比べたんだけど、やっぱり私の買ったAだね!」と他人におすすめするなどし、自分の判断が正しかったことを繰り返し確認しようとする心理が働きます。
個人のブログ等の発信で、そのように、「私が選ばなかったカナダはこんなデメリットがある、あぁ、オーストラリアにしてよかった」というような視点であれば、あまり気にすることはないのかもしれません。
他にも、「ネガティブ情報も踏まえて、こんなにメリットもあるので、私のカナダ留学は良い経験だった」と確認するプロセスな場合もあります。
この場合のネガティブ情報は、ポジティブの引き合いに出されているだけですから、その人にとっては決して我慢できない・後悔するほどのものではなかったはず。
100%真に受ける必要はないとも言えますので、いずれにせよ、参考程度にするのがよさそうです。
個人への相談やアドバイス
カナダの留学と一言で言っても、高校留学・親子留学など年代別のものや、語学・ワーホリ・カレッジ進学・移民など目的別の留学、美容師・保育士・看護師など資格やキャリアを前提としたものなど、色々なカテゴリがありますよね。
皆さんも、膨大にある情報の中から、できるだけご自身と留学トピックやバックグラウンドが近い方を探し、その方の経験談を知りたいと思われることでしょう。
個人の経験を元に、ブログやTwitter、Youtubeなどで留学情報やアドバイスを発信している方も多いですし、さらに個別の留学相談を行っていますよ・手配のお手伝いをしますと対応している方もいます。
個人の場合で、しかも自分と似たような条件で、似た年代の方が留学をしているとぐぐっと親近感も湧きますよね。
さらに、「商売ではないはずだから」という意識も働いて、そこで受けたアドバイスはネガティブ情報も含めて鵜呑みにしてしまう傾向が高いようです。
個人の経験からのお手伝い、成功体験のシェアという発信者の厚意はありがたく受け取るまでも、その方にとっては留学の相談は「仕事」ではないですし、その方の「留学経験」はあなたのものとは違います。
ご自身の留学プランを左右されたり、あまり影響を受けすぎないようご注意ください。
「カナダ留学をオススメしない」情報は本当?
話を戻して、マーケティング手法として使われたカナダのネガティブ情報。
実際にカナダで住んでいて「ウソだ!」と悲しくなることも。
上で挙げた、「カナダ留学をオススメしない理由」について、現地在住21年以上の私が検証してみます。
カナダには外国人や人種に対する差別がある?
ネットには「カナダにはアジア人差別がある」のような情報があります。
特にアメリカでのアジア人ヘイトクライムのニュースがテレビをにぎわせている今、心配する方は多いでしょう。
カナダに差別は「ない」とは言いません。
日本も表立っては差別が少ないと言われているものの、どなたも「ない」とは言い切れないでしょう。
ただ、まず、アメリカとカナダは、全く違う国です。日本人の感覚としては、地図の右上の大きな国としてほとんど同じだとしても(笑)
移民の歴史も、国の成り立ちも違いますので、アメリカと同列とは考えないでください。
その上で、実際の所を言うと、カナダでは、暴力・言葉・態度・待遇など、具体的に目に見える形の人種差別はまずありません。
というのも、人種に限らず、性別・LGBT・宗教などに、大人として、差別的な態度や考えがあることを人に見せたりすることは、(恐らく日本以上に)とても恥ずかしいこととして認識されますし、さらにそれを直接行動に出すというのは社会的立場を揺るがす覚悟で行うことです。
カナダに21年以上住んでいる私も、一度たりとも人種差別的な待遇を受けたことがありません。
電車内で殴られる、暴言を吐かれる、なんて、恐らく皆さんがテレビで見ているのと同じくらいの感覚で、別世界の出来事です。
日本人であることを隠したりする必要なく、堂々と生活することができますので、心配しないでください。
学歴は英語圏のものだけが適用される?
「英語圏の学歴しか適応されないので、日本の学歴では仕事を見つけられない」と心配されている方もお聞きしたことがあります。
履歴書の学歴が英語圏かどうかは関係なく、日本のように「(英語圏のものであれ、日本であれ)有名大学卒業 = 優秀」という図式はカナダには存在しません。
就職では、学歴それ自体は重要視されません。
その人が今までどのようなことをしてきたのか、どんなスキルを持つのかのほうが重要視されます。
カナダでは、UBC(ブリティッシュコロンビア大学:日本の東大よりも世界ランキングが高い)を卒業したカナダ人であっても、良い大学だから良い人材だろう、と思ってもらえることないんですね。
「就職のために知名度の高い大学に行こう」と考えるのではなく、就きたい仕事にどのようなスキルや知識が必要とされるか、で逆算し、そこをアピールする履歴書を作成することが重要です。
また、ワーキングホリデーでの就労に関して言うと、「英語をかろうじて話せる日本人」が学歴を見られることはまずありません。
ワーホリの仕事は、接客業が主となることが多い為、次のようなことを重視されます。
採用で重視されること
- どれくらいの期間カナダで働けるか
- どのくらいフレキシブルにシフトに入れるか
- きちんと仕事に取り組む姿勢があるか
学歴だけを見られて採用、不採用が決まることはほぼないと言っても過言ではありません。
参考
【ワーホリ必見】カナダで効率よくお金を得る3つの方法
カナダは日本人だらけ?
「カナダは日本人だらけ」という情報もよく目にすることでしょう。
これもまったくの誤解です。
もしかすると、その情報は10年以上前の話かもしれません。
たしかに10年以上前だと、バンクーバーのダウンタウンなどは、それこそ1日に数人の日本人を見ることもありました。
でも2021年現在だと、ダウンタウンのほんの一部を除いて、日本人とすれ違うことすら少ないです。
これに関しては、バンクーバーは日本人が多い?という記事をご参考に。
日本より治安が悪い?
日本よりもカナダのほうが治安が悪いという情報は正しいでしょうか?
物騒ですが「殺人率ランキング」でいうと、カナダは日本より高いです。
あくまでデータとしては。
しかしながら、日本でも治安のよい都市、悪い都市は、エリアにより異なりますよね。
東京でも治安のいいエリアと悪いエリアがあります。
そのエリアによって治安のよさが違うのはカナダでも同様です。
詳しくはカナダの治安についてまとめています。
まとめ
いかがでしょうか。
皆さんがカナダ留学を考える中で、「留学に行く意味はあるかな?」「本当にカナダでいいかな?」と迷われることでしょう。
そして、プランが決まって行く中でも、「この都市で本当に大丈夫?」「他にもいい学校があるんじゃないかな?」「このプログラムがやりたいのってなんでだっけ?」と、1つ1つ迷いながら決めて行くことになると思います。
ただ、そういった迷っている皆さんを、あちらへ、こちらへ誘導する情報がたくさんあります。
迷うことはとても大事なプロセスですから大事にしてください。
でも、留学プランがぶれてしまわないよう、今回の記事を参考にして頂くと嬉しく思います。
迷ったら留学のプロフェッショナルである私たちにご相談ください。