2019年カナダ総選挙の移民政策への影響

こんにちは!カナダでは2019年10月21日に下院の総選挙が行われました。

今回のブログは、カナダで行われた総選挙がどんなものだったのか、そして選挙の結果がカナダの移民政策にどのように影響するのかをご紹介します。

自由党が最大議席を確保

カナダは日本と同じ議院内閣制を採用しています。

カナダの議会は上院と下院に分けられていて、下院で最多の議席を獲得した政党の党首がカナダ首相に任命されます。

ちなみに、カナダは英連邦に属しているので、国家元首はイギリスの国王、エリザベス2世です。

首相の任命はエリザベス女王が行います。

カナダでは、4年に1度下院の総選挙が行われ、340ある議席の全てが改選されます。

その総選挙が2019年10月21日に行われ、即日開票の結果、選挙前の与党のLiberals(自由党)が最大議席を確保しました。

自由党は最大議席数は確保しましたが、改選前の177議席から20議席失う157議席で、単独過半数となる170議席を確保できませんでした。

自由党に続くのはConservatives(保守党)、Bloc Québécois(ブロック・ケベコワ)、New Democrats(新民主党)、Green Party(緑の党)で、獲得議席はそれぞれ以下のとおりです。

2019年カナダ総選挙結果

  • 自由党…157議席
  • 保守党…121議席
  • ブロック・ケベコワ…32議席
  • 新民主党…24議席
  • 緑の党…3議席

自由党が過半数の議席を確保できなかったので、他の党と連立を組んで内閣を組織することが予想されます。

選挙翌日の時点では、新民主党が自由党との連立に前向きな姿勢を見せています。

少数与党はカナダ分裂のサイン?

今回のカナダ総選挙は、単独過半数を得る政党がいないことに加え、得票総数では保守党が自由党を上回っていることから、民意は自由党から離れているとも言え、自由党は今後難しい政局運営を迫られます。

投票率は66%

今回の選挙の投票率は66%でした。

日本の衆議院選挙の投票率(2017年度の場合は54%)と比べてかなり高いのですが、これでも前回2015年の総選挙の68%と比べると下がっています。

カナダの有権者は政治への関心が高いんですね。

2019年選挙の争点

今回の選挙で争点となったのは、経済と環境の問題です。

自由党が政権を担った2015年から2019年の間は、カナダ経済は順調に推移し、失業率は5%台にまで下がっています。

そうした中で、経済成長と環境保護のバランスをどう取るかが、今回の選挙の争点となっています。

石油パイプライン

アルバータ州で産出される石油を太平洋まで運んで日本などの海外に売るために、アルバータ州とブリティッシュコロンビア州を結んで地下に石油パイプラインをつくる計画を自由党が進めています。

この計画は、パイプライン周辺の生態系を破壊する恐れがあること、もしもパイプラインから石油が漏れた場合にさらに大きな環境被害が出る恐れがあることから、環境団体などから激しい反発を受けています。

政府支出の抑制

2015年の首相就任時、トルドー首相はカナダの財政支出を歳入と均衡させると約束しましたが、カナダの財政赤字はむしろ拡大しています。

カナダ経済自体は好調ですが、将来に負担を転嫁する財政赤字には批判が集まっています。

炭素税

地球温暖化の原因となるといわれる二酸化炭素の排出を抑制するため、カナダの6つの州では炭素税が導入されています。

炭素税の導入に強く反対しているのは保守党で、炭素税が導入されなかった4州では保守党が州政権を担っています。

保守党は炭素税の廃止を選挙公約にしていました。

トルドー首相の失策

ここまで紹介した政策上の争点の他に、今回の選挙は、「自由党の失策をカナダ国民がどう評価するか?」にも注目が集まりました。

自由党の(というよりも党首のトルドー首相個人の)失策は3つありました。

失策① 司法への不当介入

トルドー首相は、SNCラヴァランという企業の汚職疑惑に関する調査に圧力を加えたとして、複数の閣僚が抗議のために辞職しました。

これは、特定の企業に対して不当な便宜を図ったという意味で、トルドー首相のクリーンなイメージに大きく傷をつけるスキャンダルとなりました。

失策② 観光のようなインド訪問

トルドー首相とその家族は2018年2月にインドを公式訪問しましたが、その訪問でインドの民族衣装を着た写真などをソーシャルメディアに投稿し、家族旅行のようであると批判を浴びました。

失策③ 黒塗りメイクの写真

トルドー首相がバンクーバーの高校で教師をしていた時代の、顔を黒く塗った写真が公開され、トルドー首相に対して人種差別的だとの批判が寄せられました。

こうした争点で選挙が争われましたが、最終的な有権者の判断は、自由党の議席を減らして少数与党になったものの、もう一期政権を任せるというものでした。

選挙結果の移民政策への影響

ここまでカナダの総選挙についてご紹介しました。

ですがやはり、今回の選挙の結果がカナダの移民政策にどのような影響を及ぼすのかが気になりますよね。

大くくりに言えば、自由党は経済成長のために変化を受け入れることに寛容で、保守党は既存の価値観を守りたい層の意見を代弁します。

事実、2015年に政権交代で自由党政権が発足してからの4年間は、移民を拡大する政策が進められてきました。

なので、保守党ではなく自由党が選挙に勝ったということは、積極的な移民政策が継続されるということで、日本からカナダへの永住を目指す人にとっては、ひと安心といえます。

移民受け入れ総数を増やす政策は継続

自由党は2018年から3年間に、年間の移民受け入れ総数を2018年の約33万人から2021年に約35万人に、毎年約1万人ずつ増やしていく計画を発表していて、その政策は継続していくと見込まれます。

カナダの総人口が約3,760万人なので、毎年移民で約1%人口を増やしていくという計画です。

移民総数の58%が経済移民を想定していることから、カナダ経済に貢献することが見込まれる人材で人口が増えることになるので、カナダ経済が好調なのも、納得です。

移民政策の主な争点は難民問題

シリアのような政情不安定な国から逃れた難民を受け入れることが、ヨーロッパや北アメリカで大きな問題になっています。

カナダの場合、いったんアメリカに入国した難民が、陸路でカナダに入国して難民申請をすることが大きな問題になっています。

こうした難民はカナダ南部のアメリカと国境を接する地域に集中していて、こうした地域の市町村では、難民の子どもたちを受け入れる公立学校の設備、教員が足りないなど、連邦政府に対して大きな不満が出ています。

自由党は、選挙公約で難民の取り扱いを外国と(この場合交渉相手は実質的にアメリカ)交渉するとしていますが、難民の受け入れに消極的なアメリカのトランプ政権から、カナダが望む内容の合意を得ることは難しいとみられています。

実現が見込まれる移民関係の政策

自由党が掲げる移民関係の政策で、実現が見込まれるのは次の政策です。

パイロットプログラムの恒久化

太平洋側の4州を対象にしたパイロットプログラムは、2016年に導入され、2018年に2年間延長されました。今後、このプログラムが恒久化されることが見込まれます。

MNPプログラムの導入

「Municipal Nominee Program(市町村推薦プログラム)」が導入され、中小規模の市町村が移民、永住者を呼び寄せることができるようになる可能性があります。

現在、新規永住者の多くは州内の大都市(ブリティッシュコロンビア州ならバンクーバー、オンタリオ州ならトロントなど)に居住することが多く、中小規模の市町村は移民による労働力と経済活性化の恩恵を受けられていません。

その状況を打開するために、中小規模の市町村に永住者を推薦する権限を与えるという政策です。

永住者を推薦できる市町村の条件などの詳細は決まっていませんが、今後、大都市ではなく中小規模の市町村に住むことで、カナダ永住が可能になるケースが見込まれます。

まとめ

いかがでしたか?

カナダ総選挙の前にはトルドー首相の数々のスキャンダルがあったものの、少数与党とはいえ、なんとか自由党が政権を維持しました。

移民に寛容な政策が継続される見込みで、カナダへの留学、永住にはよい選挙結果だったといえると思います。

しかしながら、カナダが移民受け入れを拡大する以上に移民希望者の数が増えているため、カナダ永住に必要なポイントのハードルが上がっている現状もあります。

詳しくは、カナダ永住に関連する記事をカテゴリにまとめましたのでご覧ください。

 

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