移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。
カナダ留学のために、最初のハードルになるのが英語力ですよね。
はい、英語試験を受けるのも、試験のための勉強をするのも気が重いです。
英語力を計るための公式テストは、IELTSとTOEFLが有名ですが、
新たに「Duolingo English Test(デュオリンゴ英語テスト)」という英語試験を認める学校が増えてきました。
今回は、英語テスト界の新興勢力、デュオリンゴ英語テストについて、徹底的に解説します。
Duolingoとは?
Duolingoという言葉自体は、外国語を勉強している人なら聞いたことがあるかも知れません。
Duolingoとは、外国語をゲーム感覚で学習できるアプリの名前なんです。
緑のフクロウ(?)がトレードマークの、多言語が学習できるアプリです。
そのアプリを運営するDuolingoは英語試験も提供していて、今、その「Duolingo English Test(デュオリンゴ英語テスト)」を入学基準として認める大学、カレッジがどんどん増えているんです。
では、そのデュオリンゴ英語テストとはどんな試験なのでしょうか、既存の英語試験と比較しながら解説していきます。
特徴1 いつでも、どこでも受験可能
デュオリンゴ英語テストの一番の特徴は、完全オンラインで実施されることです。
ネット環境と条件を満たしたパソコンと受験環境(後で詳しく説明します)さえあれば、いつでも、どこでも受験できます。
コロナウイルスの世界的な流行により、試験会場での試験実施が難しくなったことが、デュオリンゴの拡大を進めました。
試験の日程に合わせて遠方の会場に出向く必要のないオンライン受験は、既存の英語テストとは比べ物にならないくらい便利です。
デュオリンゴ英語テスト | IELTS | TOEFL | 英検 | |
オンライン受験 | 可能 | コロナウイルス流行への対策として一部可能 | コロナウイルス流行への対策として一部可能 | 不可 |
事前申し込み | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
コロナウィルス流行への対策としてのオンライン受験の対応は、次のようになっています。
・IELTS 会場での試験が提供できない国、地域で実施(2020年10月現在日本はオンライン受験不可)
・TOEFL 2020年12月31日までオンライン試験を実施
デュオリンゴ英語テストは、条件を満たすパソコンと静かな場所があれば、24時間いつでも受験できます。
では、デュオリンゴ英語テストを受験するための環境とはどんなものでしょうか?
テスト受験に必要なもの
- パスポート、運転免許証など公的機関発行の写真付き身分証明書
- 明るく静かな部屋
- 試験に専念できる60分の時間
- 安定したインターネット接続
- コンピューター
これだけです。
「明るく静かな部屋」という条件には、試験中に家族などが話しかけたり、画面に映り込んだりしてはいけないことも含みます。
パソコンには以下の条件が必要です。
パソコンの条件
- 前面に向いたカメラ
- マイク
- スピーカー
普通のノートパソコンなら満たしている条件です。
ヘッドフォンは使えないことに注意が必要です。
特徴2 48時間でテスト結果が分かる!
デュオリンゴ英語テストでは、何と受験後48時間以内にテストの結果が分かります。
これは他の英語試験と比べて、圧倒的に速いです。
デュオリンゴ英語テスト | IELTS | TOEFL | 英検(1級) | |
採点時間 | 48時間 | 13日 | 6日 | 1次試験:20日程度2次試験:10日程度 |
他の英語試験と比べると、採点時間の短さが際立ちます。
しかも、48時間「以内」なので、実際にはもっとずっと早く試験結果が判明することもあります。
(私が受験した時には受験後21時間で試験結果が送られてきました)
英語スコアが必要な締め切りのギリギリに受験するのはお勧めしません。
でも、試験をしてから結果が分かるまでの時間が短いのは、モチベーション維持に役立ちますよね。
特徴3 受験料が安い!
デュオリンゴ英語テストの特徴の3つ目は、受験料が安いことです。
他の英語テストと受験料を比べてみましょう。
デュオリンゴ英語テスト | IELTS | TOEFL | 英検(1級) | |
受験料 | $47($1=100円換算で4,700円) | 25,380円 | $235($1=100円換算で23,500円) | 10,300円 |
一番安い英検の一級と比べても半額以下です。素敵すぎます!!
英語試験は自分への投資なので、出費を惜しむべきではありませんが、安いに越したことはないですよね。
特に、目標のスコアが取れるまで何度も受験する必要がある場合、1回ごとの受験料が安いことは大きなメリットです。
特徴4 試験時間が短い!
デュオリンゴ英語テストの次の特徴は、試験時間が約60分と短いことです。
試験時間が短いからと言って、試験が簡単な訳ではありませんが、他の試験と比べて、かなり気軽に受験できるのは間違いありません。
ちなみに他の試験との比較は以下のとおりです。
デュオリンゴ英語テスト | IELTS | TOEFL | 英検(1級) | |
試験時間 | 約1時間 | 約2時間45分 | 約3時間 | 約2時間20分(一次試験) |
英検の場合、1次試験に合格したら、別の日に2次試験(面接)を受けます。
会場に出向く必要がなく、試験が1時間程度で終わるデュオリンゴ英語テストの利便性はかなり高いです。
特徴5 多くのカレッジ、大学の入学資格に使用可能
デュオリンゴ英語テストの便利さをご紹介しましたが、便利なだけではありません。
デュオリンゴ英語テストは多くのカレッジ、大学の入学資格として使用可能です。
デュオリンゴ英語テストのホームページで検索すると、カナダの大学(学部)で約150機関、大学院で約30機関がデュオリンゴ英語テストを入学資格として採用していることが確認できます。
デュオリンゴ英語テストのスコアで入学できる学校の例をいくつか紹介します。
機関名 | 入学条件のデュオリンゴ英語テストの点数 |
BCIT | 学科により、105点~120点以上 |
Coquitlam College | 90点以上 |
University of Toronto | 120点以上 |
学校によっては、コロナウイルス流行による一時的な措置としてデュオリンゴ英語テストを入学条件に認めている場合があります。デュオリンゴ英語テストを受ける前に必ず詳細を出願希望の学校に確認しましょう。
上の表で例として挙げたBCIT、Coquitlam Collegeはブリティッシュコロンビア州のカレッジです。
Coquitlam Collegeはユニバーシティ・トランスファー(大学編入)可能なプログラムを提供しているカレッジです。
ユニバーシティ・トランスファーについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
University of Torontoはカナダで最も大学ランキングの順位が上の大学です。
ちなみに、Times Higher Educationが毎年発表する世界大学ランキングの2020年版で、University of Torontoは18位、東京大学は36位です。
このような、カナダでトップレベルの大学、大学院を始めとする数多くの学校がデュオリンゴ英語テストを認めています。
無料で証明書を学校に送れる!
デュオリンゴ英語テストの嬉しいところが、試験結果の証明を無料で学校に送れることです。
他の英語試験だと、証明書の発行や学校への送付が有料になる場合がありますが、デュオリンゴ英語テストの場合、何校にでも無料で送ることができます。
実際にテストを受けてみたよ!
ここからは、実際にテストを受けてみた時の手順と一緒に、デュオリンゴ英語テストの内容について詳しく解説します。
まずはテストを購入
デュオリンゴ英語テストのウェブサイトで、オンラインアカウントを登録します。
その後、テスト受験の権利を購入して、テストを受験するという流れになります。
「テストを受ける」の項目に進むと、デュオリンゴ英語テストのアプリをパソコンにダウンロードすることを求められるので、パソコンに保存して、実行します。
受験環境の確認をします
アプリが起動すると、受験環境の確認に進みます。
身分証明書、明るい一人になれる部屋、1時間の時間、インターネット環境、条件に合ったパソコンを準備します。
マイク、スピーカーの設定を確認した後、顔写真、身分証明書を撮影します。
その後、受験上の注意があります。
- カメラの前から離れないこと
- スクリーンから顔を背けないこと
- 耳が常にカメラから見える状態にしておくこと
試験中、誰かと話をしたら、試験は無効になってしまいます。
試験中、誰かが部屋に入ってきても、試験は無効になってしまいますので、注意しましょう。
テスト受験環境の確認ができたら、テストを始めます。
ここからは、デュオリンゴ英語テストのウェブサイトで受験できる、練習テストを使って問題形式の解説をします。
練習テストは1回15分くらいで、何回でも受験できるうえ、非公式のスコア予測もしてくれます。
本番のテストの前に必ず練習テストをやってみることをおすすめします。
問題形式1 ディクテーション
最初の問題はディクテーションです。
ディクテーションとは、英文を聞いてその内容をタイプするというものです。
本番の試験では、同じ出題形式の問題が何回も出題されます。
英文は計3回聞き直すことができますが、制限時間が短いので時間を有効に使う必要があります。
問題によって、3単語位の短い文のものから、接続詞を使った長いものまであるので、難易度は問題によってかなり差があります。
問題形式2 英文音読
表示された英文を音読する問題です。
制限時間が厳しいので、すぐに音読を開始しましょう。
この問題も何回も同じ形式のものが出題され、長い英文と短い英文があります。
私が本番試験を受験した時は、音読の途中で回答時間がなくなってしまった問題がありました。
問題形式3 英単語正誤判別(読み)
次の問題形式は、選択肢の中から、実在する英単語を選ぶものです。
微妙にありそうな単語が本物の英単語に混ざっています。
問題形式4 英単語正誤判別(聞き)
前の問題形式と同様に、実在する英単語を再選ぶ問題ですが、今度は音声を聞いて回答します。
こちらもありそうな単語が選択肢に入っています。
高得点を取るには、英語の文章をたくさん読んだり聞いたりして、ボキャブラリーを増やすことが有効だと思います。
問題形式5 写真で英単語
3秒間表示される写真に当てはまる英単語を答えます。
時間が3秒しかないので、相当瞬発力を求められます。
英単語を答えるという指定なので、どの程度詳しく言うか迷います。
この練習問題の写真を見た時にも、「マス?」、「サケ?」など色々な魚の種類が頭に浮かびましたが、結局「魚(fish)」が正解なのだと思います。
このような例で、魚の種類まで詳しく言った方が高得点なのかは不明です。
(英語のテストなので、魚の種類に詳しい方が高得点なのは納得いかない気がしますが。)
写真一枚につき3秒しか時間がないので、迷ったらアウトです。
頭に浮かんだ一番シンプルな単語をすぐに言いましょう。
問題形式6 写真で英文
この問題形式では、表示された写真に対して英文1文以上で説明します。
英文の数に上限の指定がないのでどれくらい書くか迷いますが、接続詞を用いた長い文を2文書くのが良いと思いました。
問題形式7 英文穴埋め
虫食いになった英文の空欄にアルファベットを入れて完成させる問題です。
これは英語力を測るために、とても優れた問題形式だと思います。深い英語の知識がないと、高得点を取るのは難しいです。
試験対策は英語をたくさん読んで、英語に慣れることです。
問題形式8 英作文
英作文の問題です。
指定の単語数が「少なくとも50語」で、上限が指定されていません。
50語は英作文の指定語数としてはかなり少ない方で、1段落程度の英文になります。
実際に試験を受けた時、何語まで書くか迷いました。
TOEFLではライティングの語数は多ければ多い程良いと言われていて、IELTSでは指定語数の2割増しくらいが最高であまり多すぎると減点の対象になると言われています。
私は指定語数50語に対して75語書きましたが、指定語数の50%増しだったので、書き過ぎで減点されたかもしれません。
問題形式9 スピーキング
TOEFLと似た形式のスピーキング問題です。
準備時間の間にどれくらい構成を考えられるかがポイントですが、問題との相性によって、パッと構成が浮かぶものと、なにも浮かばず思考停止してしまうものがあります。
TOEFLスピーキングの問題をたくさん練習することが得点のアップにつながると思います。
問題形式10 インタビュー & ライティング(参考)
ここから先は採点されない、参考のインタビューとライティングです。
同じ課題がスピーキングとライティングで出されます。
採点されない(けれど提出先の教育機関には送られる)問題なので、気楽に取り組みましょう。
非公式判定が受けられる
ここまで、練習問題を使ってデュオリンゴ英語テストの問題形式を解説しました。
この練習問題の優れものな所は、非公式判定で大体自分がどのくらいのレベルにあるかが分かるところです。
さて、今回の練習問題の結果はどうだったでしょうか?
120~135!
これっていいんでしょうか?
デュオリンゴ英語テストのウェブサイトには、他の英語試験との得点換算の目安が記載されています。
カレッジ、大学入学に必要なスコアを中心に表にまとめると、次のようになります。
デュオリンゴ英語テスト | IELTS | TOEFL |
85-90 | 5.5 | 56-67 |
95-100 | 6.0 | 68-79 |
105-110 | 6.5 | 80-91 |
115-120 | 7.0 | 92-102 |
125-130 | 7.5 | 103-112 |
120-135という非公式スコアはカナダのカレッジの入学資格の目安となるIELTS6.5、TOEFL90を越えているので、悪くはないところです。
実際の試験ではどうなるでしょうか?
テスト受験の結果は!?
実際のテストは、上に挙げた問題形式1~9の問題が繰り返し出題されます。
感覚的には英単語正誤判別の問題の量が多かったように思います。
テストで聞かれる内容は練習問題と同じで、難易度だけが変わります。
テストの回答を終え、アップロードが完了すると、以下のメールが送られてきました。
予想外に早い採点!
採点時間が短かったのが嬉しい驚きでした。
48時間以内の採点ということだったので待っていたところ、24時間も経たないうちに回答が返ってきました。
細かく言うと、受験から21時間後に結果が送られてきました。
その結果は...
120点!
カナダのカレッジの入学基準は満たしていますが、正直微妙な点数でした。
難しい問題は制限時間内に回答できないものがいくつかあったので、時間管理に気をつければもう少しスコアを伸ばせたかもしれません。
書いて話す能力のセクションが他と比べてかなり低いので、もしかしたら、英作文で指定語数50語以上のところを75語も書いたのが減点されたのかもしれません。
(何を言っても言い訳ですね)
試験を受けた感想
もう少し高得点が取れたんじゃないかと思いますが、初めての受験としては妥当なスコアだったとも思います。
テストを受けて、とてもよく考えられたテストだったと感じました。
試験時間が1時間、受験料が49アメリカドルで、他の英語試験よりもずっと気軽に受験できることを考えると、デュオリンゴ英語試験はかなりお勧めです。
TOEFLやIELTSは試験会場までの往復と試験時間で、丸一日潰れてしまうので、デュオリンゴ英語試験との利便性の差は大きいです。
デュオリンゴ英語試験のテスト対策はIELTS、TOEFLの対策がそのまま使えます。
知っている英単語の量を増やすこと、スピーキング問題の練習をすることで、スコアを伸ばせると思います。
英語勉強法については、こちらの記事もご覧ください。
まとめ
大学入学などに必要な英語力の指標として使う英語試験の新興勢力「デュオリンゴ英語試験」についてご紹介しました。
テストを実際に受けてみた感想も含めての評価は、超オススメです。
最後に他の英語試験との比較をまとめます。
デュオリンゴ英語テスト | IELTS | TOEFL | 英検 | |
オンライン受験 | 可能 | コロナウイルス流行への対策として一部可能 | コロナウイルス流行への対策として一部可能 | 不可 |
事前申し込み | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
採点時間 | 48時間 | 13日 | 6日 | 1次試験:20日程度 2次試験:10日程度 |
受験料 | $47($1=100円換算で4,700円) | 25,380円 | $235($1=100円換算で23,500円) | 10,300円 |
試験時間 | 約1時間 | 約2時間45分 | 約3時間 | 約2時間20分(一次試験) |
デュオリンゴ英語テストで目標スコアを達成して、カナダ留学を目指すのもよいですし、カナダの語学学校に留学して英語力を伸ばしてデュオリンゴ英語テストに挑戦するのも良いと思います。
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