カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
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カナダの大学に入るためには、高度な英語力が必要です。
英語がネイティブの生徒と同じ授業を受けますからね。
そのため入学する際には、IELTS、TOEFLなど、公式な英語テストの得点で英語力を証明する必要があります。
ところが、テストを受けなくてもカナダの大学、カレッジに入学できる「パスウェイ(Pathway)」というシステムがあるのです。
本記事では、カナダの大学、カレッジに入学するためのパスウェイがどんなものなのか、専門家が徹底的に解説します。
※ こちらの動画でも分かりやすく解説していますよ。
このページの目次
パスウェイとは?
まず「パスウェイ」がどういうものかについて紹介しましょう。
パスウェイの仕組み
パスウェイとは、公式の英語テストを受けなくても大学、カレッジに入学が可能になるという制度です。
そのための条件が「語学学校の所定のクラスを修了すること」になります。
つまり、特定のクラス修了が「大学の授業についていける英語力」の証明になっているということですね!
それぞれの語学学校が、大学、カレッジとパスウェイの契約を結ぶことで成立しています。
そのため、その語学学校によって、パスウェイで入学できる大学・カレッジが異なりますよ。
通常の進学方法の違い
通常、カナダの大学やカレッジに進学するのは「公式英語試験」を受け、所定のレベルをクリアしなければなりません。
パスウェイ制度を使うと、これらの英語試験を受けることなくカナダの大学やカレッジに進学できます。
パスウェイのメリットとデメリット
続いて、パスウェイを使うメリットとデメリットをご紹介します。
パスウェイのメリット
パスウェイのメリットは、なんと言ってもIELTS、TOEFLなどの公式英語テストを受けなくてもよくなることにつきます。
パスウェイは「一発勝負」ではない
公式の英語テストだと、当日の一発勝負で命運が決まりますよね?
当日の体調なんかも左右しそう……。
それに対し、パスウェイの場合は、語学学校の所定のクラスレベルを修了したかどうかで判断されます。
つまり、語学学校での毎日の積み重ねを総合的に評価してもらえるのです。
公式英語テストよりも条件を満たしやすい
大学やカレッジによっては、公式の英語テストの得点の基準が厳しいこともあります。
例えば、ある大学では入学するためにクリアするべきTOEFLのスコアが80点です。
ところが「合計で80点を超えればOK」というものではなく、以下の4技能それぞれにクリアすべき得点が求められています。
4技能
- リーディング
- リスニング
- ライティング
- スピーキング
こういう学校の場合、1技能だけ得点が足りなくて基準を満たせないということも起こるのです。
パスウェイかテスト受験のどちらを選ぶかは好みによりますが、両方を知っておきましょう。
カレッジで必要なアカデミック英語を学べる
語学学校のパスウェイコースでは、一般英語ではなくアカデミック英語を学びます。
例えば、日常会話ではなく教科書で使われるような用語を学び、大学・カレッジ進学に備えエッセイ(論文)の書き方も徹底的に練習します。
IELTSなどの試験対策だけでは難しい長文力を身につけられるのがパスウェイの魅力です。
進学時期の目安がつく
パスウェイのプログラムに進学する際、語学学校にてレベルチェックテストを行います。
そのテストの結果をもとに、大学・カレッジにいつ頃進学できるか?という目安をあらかじめ立てることができます。
IELTS等の英語試験はいつ合格できるか目安がつきにくいので、将来的なプランを決めやすくなるのがパスウェイのメリットのひとつです。
※注意※
必ずしも目安通りに語学力がレベルアップできるとは限りません。予想より時間がかかり、当初の進学予定時期を延期せざるを得ないケースもあります。
パスウェイのデメリット
続いて、パスウェイのデメリットをご紹介します。
授業の内容が難しい
前述した通り、パスウェイはただ一般英語を学ぶだけではなくアカデミックな英語を学びます。
一般英語クラスが英語四技能をバランスよく楽しく学ぶのに対して、パスウェイはライティングとリーディング力向上を重視し、内容も専門用語が増えるため日本語でも聞きなれないものが増えます。
パスウェイクラスで学ぶ内容例
- 政治
- 経済学
- 環境問題
- 歴史
- 文学
カナダの大学進学に備えているので難しくなるのは当然ですが、「一般英語コースに比べて面白くない」と感じられる生徒さまもいらっしゃいます。事前に心構えをしておくことをおすすめします。
パスウェイに入るのにある程度の英語力が必要
語学学校の一般英語は超初級者からでもスタートできるのに対し、パスウェイは中級以上のレベルがないとスタートできません。
英語力が満たない場合はまず一般英語コースからスタートし、その後レベルに達成でき次第パスウェイコースに切り替える流れとなります。
語学学校の授業料がかかる
パスウェイコースに入ると、語学学校の一般英語と同等の授業料が発生します。
就学期間は平均半年~1年ほどなので、留学前に語学学校期間中の予算も組んでいた方がよいでしょう。
なお、語学学校期間中は現地でアルバイトができないので、生活費もあらかじめ用意しておく必要があります。
パスウェイにはどんな種類があるの?
パスウェイには、大きく分けて次の2種類があります。
2種類のパスウェイ
それぞれの特徴を詳しくご紹介していきましょう。
「語学学校」のパスウェイの特徴
1つ目は、「語学学校」のパスウェイクラスに通うパスウェイです。
以下の特徴があります。
進学先を複数の選択肢から選べる
まず、語学学校のパスウェイのもっとも大きな特徴が、複数の選択肢の中から進学先を選べるということです。
たとえば「A大学に行きたかったけれど、目標のパスウェイクラスを修了できなかったので、自分が修了したクラスのレベルで入学可能なBカレッジに行く」というプラン変更が可能になります。
同じ語学学校でも、進学先の大学、カレッジによってパスウェイで修了が必要な「クラスのレベル」が違うんだね。
進学先の決定を先のばしにできる
「進学先の決定」を先のばしにできるのも、語学学校のパスウェイの特徴です。
語学学校に通い始める時点でパスウェイ後の進学先が決まっていなくても、「パスウェイで入れる大学」に選択肢があるため問題ありません。
「ビジネスに強いA大学に行くか、ITに強いBカレッジに行くか」みたいに悩むことってありますよね。
進学先を決定するのを先のばしにして、とりあえず英語力のアップに取り組むことができます。
この自由度はポイントが高いですよ。
大学やカレッジの入学枠を確保していることも
語学学校のパスウェイが持つ3つ目の特徴は、語学学校が大学やカレッジの入学枠を確保している場合があることです。
その場合は、基準のレベルをクリアするのが直前でも大学、カレッジへの入学手続きが可能になります。
もちろん、大学・カレッジに入学する時点では基準をクリアしてなきゃダメですよ!
語学学校が自分の目標とする大学、カレッジの席を確保している場合、ギリギリまで英語力のアップに集中することができます。
進学カウンセリングがある
4つ目の語学学校のパスウェイの特徴は、進学カウンセリングをしてもらえること。
各学校にパスウェイ受講者のための「進学カウンセラー」がいますよ。
進学カウンセラーに相談することで、自分の英語力で入学可能な選択肢の中から、目標に一番合った進学先を選ぶことができます。
学校ごとにパスウェイの契約が違う
語学学校のパスウェイの特徴の5つ目は、学校ごとにパスウェイの契約を持っている大学、カレッジが違うことです。
大まかな傾向としては、規模が大きく、厳しく、アカデミックな語学学校ほどパスウェイ契約を多く持っていると言えます。
パスウェイ先の語学学校を選ぶときは、自分の希望する大学、カレッジ(第2希望、第3希望も含めて)のパスウェイ契約をたくさん持っている語学学校を選びましょう。
先ほど「語学学校に入る時点で進路が決まってなくてもいい」と紹介しましたが、ある程度は絞っておかないとダメということですね。
「大学・カレッジ付属」のパスウェイの特徴
もう1つのパスウェイは大学やカレッジに付属しているプログラムです。
そしてその「大学・カレッジ付属」のパスウェイには通常の語学学校のパスウェイとは違った特徴があるのです。
では、その長所と短所も含めた特徴を紹介しましょう。
大学・カレッジで勉強できる
大学・カレッジ付属パスウェイの1つ目の特徴は、大学・カレッジの施設を使って勉強ができること。
つまり、大学・カレッジの在校生と同じ環境で勉強ができるんだね!
自分の行きたい大学、カレッジへ入学した後を思い浮かべながら勉強できるので、モチベーションがグンと上がります。
大学・カレッジのアクティビティに参加できる
大学・カレッジ付属パスウェイの2つ目の特徴は、大学やカレッジのアクティビティに参加できることです(すべてではありませんが)。
在校生との交流を持つことができ、モチベーションのアップに役立ちます。
1日あたりの授業時間数が少ない
大学・カレッジ付属パスウェイの3つ目の特徴は、1日あたりの授業時間数が少ないことです。
その分、宿題が多く出されるので、授業時間が少ないからといって勉強が楽というわけではありません。
そりゃそうだよね。
大学・カレッジのレベルまで到達できないと何も残らない
大学・カレッジ付属パスウェイの4つ目の特徴が最大の難点です。
付属している大学、カレッジの「入学レベル」に達しないと、そこまで勉強してきたことを英語力として客観的に示せません。
これはかなりのリスクです。
もし、大学入学までのスケジュールを延長できない場合は、大学、カレッジ付属のパスウェイは選ばない方が無難です。
【結論】基本的には語学学校のパスウェイがおすすめ
通常の語学学校と、大学・カレッジ付属パスウェイを比較しましたが、結論としては通常の語学学校のパスウェイをおすすめします。
なぜなら、語学学校のパスウェイを選んだ方が選択肢が多いからです。
もちろん「どうしてもこの学校に入りたい!」という強い意志がある場合は付属のパスウェイがおすすめですよ。
パスウェイに関して迷ったら、いつでもカナダ留学コンパスにご相談くださいね。
パスウェイから大学・カレッジ進学へのステップ
ここでは、パスウェイを使ってカレッジに進学する場合の一般的な流れをご紹介します。
進学準備の流れ
パスウェイを使った大学・カレッジ進学の流れは下記の通りです。
- 語学学校のレベルチェックテストを受け、パスウェイ受講期間の目安を確認。語学学校を決める。
- カナダへ渡航、パスウェイ受講スタート!
- 途中、語学学校のパスウェイ担当者と面談を進め最終的なカレッジ進学先を決める
- カレッジ願書提出
- 引き続きパスウェイを受講し、カレッジ入学に必要なレベル条件をクリアする
- レベルをクリアしたら、語学学校に「パスウェイクリア証明書」を発行してもらいカレッジに提出する。カレッジの最終手続き完了
- カレッジスタート!
語学学校の仕組みや、進学先のプログラムによって細かな流れは異なります。
また、語学学校とカレッジ、それぞれ別途学生ビザの申請も必要です。
詳しい進学の流れはビザの申請のタイミングについてはご相談ください。
必要書類の準備
パスウェイを利用するには、一般的なカナダの大学・カレッジ進学と同じ書類が必要になります。
進学的続きに必要な書類
- 高校の英文卒業証明書
- 高校の英文成績証明書
- 大学の英文卒業証明書※
- 大学の英文成績証明書※
- パスウェイ証明書(語学学校にて発行)
- パスポート
この他、進学先によっては職歴証明書やエッセイの提出が必要なケースもあるので、必ず事前にご確認ください。
※カレッジで「大卒者向けプログラム」に進学する場合に必要です。
上記の書類はパスウェイ受講中、カレッジのアプリケーション(願書)を用意する際に必要になります。
卒業証明などは渡航前に日本で取得していくとスムーズでしょう。
パスウェイでおすすめの語学学校
ここからは、パスウェイでおすすめの語学学校をいくつか紹介しましょう。
ILAC
まず紹介する語学学校は、ILAC(アイラック)。
カナダ最大手の語学学校で、バンクーバーとトロントにキャンパスがあります。
ポイントなのは、カナダ全国のカレッジや大学とパスウェイ契約を持っていること!
ILAC の提携先例
- Douglas College(ダグラス・カレッジ)
- Camosun College(カモーソン・カレッジ)
- Alexander College(アレキサンダー・カレッジ)
- Capilano University(キャピラノ大学)
- Vancouver Community College(バンクーバー・コミュニティー・カレッジ)
上記はブリティッシュコロンビア州(バンクーバーエリア)の一例です。
この他、カナダ全国に提携先があります。
まだどの都市に進学したいか決めかねている場合、ILACでパスウェイを受講しながら現地で進学先を決められます。
ILACはカレッジ提携数の多さが断トツです。進学先について幅広い選択肢を持たせたい方には ILAC のパスウェイがおすすめです。
VGC International College
2つ目に紹介するパスウェイプログラムがおすすめの語学学校はVGC International Collegeです。
VGCは65ヵ国から生徒を迎え、国際色豊かでアットホームな雰囲気の中、しっかり学習できる学校です。
こちらはVGCのプロモーション動画となっています。
VGCは、IELTSなどの試験対策専門校として作られました。
そのため、教育やカリキュラムについてこだわりがあります。
ブリティッシュコロンビア州だけでなく、他州のカナダの名門校やアメリカの大学やカレッジともパスウェイ契約が多数あるのもポイントです。
前項で紹介したKaplanと同じく、BCIT(ブリティッシュコロンビア工科大学)へのパスウェイもありますよ。
VGCのパスウェイ契約をしている大学やカレッジは、さまざまな分野で認定された技術系、学部系、大学院系のプログラムを提供しています。
カレッジだけでなく、大学(University)との契約があるため、大学への直接進学を希望する方にもおすすめです。
Langara College 付属 Leapプログラム
3つ目に紹介するのは、Langara College(ランガラカレッジ)のLeapプログラムというパスウェイです。
一番上のクラスである「LEAP 8」 を修了することで、IELTS 等のスコアを取らなくてもランガラカレッジに入学できます。
パスウェイクラスが上がると、英語を学びながら、カレッジ本科の授業も「単位制」で同時に取ることができます。
進学先をランガラカレッジに決めている人には、腰を据えてカレッジの授業についていけるだけの英語力を身につけられるのでおすすめですよ。
まとめ
本記事で紹介した「パスウェイ」を使うことで、もしかすると公式テストでスコアを出すよりも時間とお金がかかるかもしれません。
ですが、より確実に「大学・カレッジに入学する」という目標に到達できるはずです。
また、パスウェイで鍛えられる英語力は、大学・カレッジで求められる英語力なので、入学してからの勉強がとても楽になります。
パスウェイのことが気になったら、いつでも弊社にご相談くださいね。
パスウェイを足掛かりにして、大学、カレッジまで含めたカナダ留学のトータルプランを考えるお手伝いをします。