移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。
「留学生がカナダの大学やカレッジを卒業すると、しばらく現地に残って働ける」と聞いたことはありませんか?
それは「ポスグラビザ」のことです。
条件を満たす学校を卒業すれば、その後カナダで働ける許可がもらえます。
カナダで永住を考えている人にとって非常に大切なビザなので、条件をしっかりチェックしておきましょう!
正式には「Post Graduation Work Permit(ポスト・グラデュエーション・ワーク・パーミット」と呼ばれるこのビザ。
一体どういう条件のビザなのでしょう?
この記事では、カナダのポスグラビザに関する疑問を徹底的に専門家が解説いたします。
※注意※
2024年秋以降、ポスグラの条件が大幅に変更されています。今後はカレッジでビジネスやマネジメント、ホスピタリティ、保育を学んでもポスグラは取得できませんのでご注意ください。
以下の記事の情報を参考にしながら、最終的には必ずカナダ移民局の公式サイトを確認しながら進路確定やビザ申請をおこなってください。
このページの目次
ポスグラビザってなに?
ポスグラビザ(Post Graduation Work Permit)は、一定の条件(→ 後述します)を満たすカナダの学校を卒業したときに発行される就労ビザのこと。
直訳すると、学校を卒業した後(Post Graduation) にもらえる「労働許可証(Work Permit)」です。
このビザがあると、通学した期間と同じ期間(2年以上の通学の場合、3年間)の就労ビザが発行されます!
学校を卒業したあとしばらくカナダに残って、仕事ができるということだね!
ポスグラビザは一生に一度だけ
ポスグラビザは一生に一度しか取得できないという制限があります。
ですので、8か月の学校に通って8か月のポスグラビザをもらうのはもったいない!
もし仮に、その後、2年以上の大学に通い卒業したとしたら、本来なら3年間のにポスグラを取得できるのに、取得できなくなってしまいます。
ポスグラは計画的に取得することで、その後の移住にも大きく役立てられるかもしれません!しっかりプランを立てていきましょう!
永住を目指す人にとって「強力な味方」
ポスグラビザは「オープンワークパーミット」です。
つまり、雇用主が限定されていません。
簡単に言うとどんな会社のもとで働いてもいい、ということだね。
実はこれ、カナダ永住(移民)を目指す方にとっては非常に強い味方になってくれます。
永住権申請をする際は、職歴、学歴とも非常に重要ですので、もし将来永住を考えている方は、このポスグラビザの対象になる学校に通うことを強くお勧めします。
ただし、ポスグラビザを取得するためには、一定の条件をクリアした学校を卒業すること、それ以前に入学する条件をクリアする必要があります。
決して低くはないハードルですが、ポスグラビザ対象の学校に入学、卒業して、ポスグラビザを取得できれば、カナダ永住に大きく近づきます。
カナダのポスグラビザでできること
ポスグラビザを取得すると、カナダで働くことができます。
就学期間と同じ期間の就労
ポスグラビザのメリットと言えば、なんと言っても通学した期間に応じた「就労ビザ」が発行されることです。
8か月から24か月間学校に通っていた場合、就学期間と同じ期間分の就労ビザがもらえます。
たとえば、学校に1年間通って卒業した場合、1年間のポスグラビザが取得できるということです。
さらに、2年以上の通学の場合は最低2年、ほとんどの学生が3年の就労ビザが手に入ります。これはすごいです。
8か月~24か月未満の就学 | 学校に通った期間と同期間分の就労ビザ |
---|---|
24か月以上の就学 | 最大3年間の就労ビザ |
最大3年間も自由に働けるなんて、留学生の強い味方だね!
※重要: 大学院留学について
2024年2月15日以降、大学院のMaster's degree(マスターディグリー)なら8ヵ月のプログラムでも最大3年のポスグラビザの対象となります。
なお、certificateやdiplomaプログラムは対象外ですのでご注意ください。
また、ケベック州についてはルールが異なりますのでご注意ください。
配偶者の就労ビザがもらえる
ポスグラビザを持っていると、同伴している家族も意外な恩恵が受けられます。
その一つが配偶者の就労ビザ。
夫婦のどちらかがポスグラビザを取ると、その配偶者にもポスグラビザと同じ期間の就労ビザがもらえます。
ただし、ポスグラビザで配偶者就労ビザを申請する場合は、ポスグラビザ所持者のジョブオファー(雇用証明書)を申請に添付する必要があります。学生ビザの配偶者就労ビザの場合と異なるので要注意です。
しかも、配偶者が取得できるのも、雇用先を限定しないオープンワークパーミットなので、将来のカナダ永住に向けた強力なツールになります。
配偶者の就労ビザの詳細は「カナダの配偶者ビザについて」も参考にしてください。
※注意: 配偶者就労ビザについて
2024年秋以降、配偶者就労ビザの条件が大幅に変更されると予想されています。最新情報についてはお問合せください。
子どもの学費無償化
親が1年以上の就労ビザ(ポスグラビザを含む)を取った場合、就学年齢(ブリティッシュコロンビア州の場合は5歳から18歳)の子どもは、学校に無償で通うことができるようになります。
ただし、「公立の学校」という制限があり、公立であれば小学校、中学校、高校に無償で通うことができます。
これは、3人のお子さんがいらっしゃる方などの場合は全く状況が異なりますよね。
子供連れでも安心して働けるのはありがたい制度だね。
子どもの学費の無償化が認められるかの最終判断は、子どもの学校を管轄する教育委員会によります。
カナダのポスグラビザに必要な条件
どの学校を卒業してもポスグラビザがもらえるわけではなりません。
ポスグラを取得するには下記の条件を満す必要があります。
2024年秋以降に条件がアップデートされ「英語力」と「指定専攻分野を卒業」が新たに追加されました。
ポスグラビザ発行の条件
- 8か月以上のプログラムを修了
- フルタイムの就学
- 公立のカレッジまたは、大学、大学院
- ポスグラビザ申請時に英語条件を満たしている*
- 政府が指定する分野を専攻する*
*2024年秋以降対象
条件は進学先(大学やカレッジなど)によって異なります。
進学先 | ポスグラビザ申請時の英語条件 | 専攻分野の条件 |
---|---|---|
大学(University)の下記いずれか ①学士(bachelor’s degree) ②修士(master's degree) ③博士(doctoral degree) | ・英語 CLB 7以上 または ・フランス語NCLC 7以上 (全4技能) | 特になし |
大学(University)の上記以外のプログラム | ・英語 CLB 7以上 または ・フランス語NCLC 7以上 (全4技能) | 指定の専攻分野のみ |
カレッジや上記以外の教育機関 | ・英語 CLB5以上 または ・フランス語NCLC5以上 (全4技能) | 指定の専門分野のみ |
英語条件として認められている英語試験は IELTS General や CELPIP General 、PTE Core テストです。
政府指定の専攻分野は下記の5つの分野に分けられています。
分野 | プログラム例 |
---|---|
①agriculture and agri-food (農業・食料) | ・農業マネジメント ・農業ビジネス ・酪農 ・造園 ・養蜂 ・農業用重機 など |
②healthcare (ヘルスケア・医療福祉) | ・正看護師 ・准看護師 ・介護士 ・心理学 ・獣医 ・教育学 ・栄養学 ・社会心理学 ・心理学 ・犯罪学 ・心理カウンセリング ・デンタルサポート ・薬剤師 ・リハビリテーション など |
③STEM (テクノロジー) | ・IT ・プログラミング ・ゲームプログラミング ・コンピューターサイエンス ・グラフィックデザイン ・デジタルマーケティング ・環境デザイン ・環境科学 ・数学 ・データサイエンス ・エンジニア ・ゲノムサイエンス ・バイオテクノロジー など |
④trade (トレード・技術) | ・大工 ・電気技師 ・ビルメンテナンス ・ソーラー設備 ・重機技術 など |
⑤transport (物流、運送、運輸) | ・パイロット ・トラック運転手 ・バス運転手 ・鉄道 ・重機運転 ・機械メンテナンス など |
つまり、以前のようにカレッジでビジネスやマネジメント、ホスピタリティ、保育分野を学んでもポスグラは取得できないのでご注意ください!
全プログラム一覧はカナダ移民局の公式サイトから確認できます。
カナダのポスグラビザに必要な費用
ポスグラビザを申請するには、申請費用として$255がかかります。
カナダのポスグラビザを取得する方法は?
次に、ポスグラビザの申請方法をご紹介します。
ポスグラビザの申請手順
ポスグラビザの申請は、こちらの2つから選択できます。
ポスグラビザの申請方法
- オンライン申請
- 郵送申請
オンライン申請の方が簡単で便利なので、特別な理由があってオンライン申請を使えない場合以外、オンラインで申請することをおすすめします。
申請方法のおおまかな流れはこちら。
ポスグラビザ申請の手順
- オンラインで質問項目に答えていく
- ポスグラビザ申請の画面に進む
- その画面で指定される添付書類をアップロード
- クレジットカードで申請費用$255を支払う
簡単な手続きですが、カナダ留学コンパスに申請代行を依頼していただくことも可能ですよ。
添付書類
ポスグラビザ申請のための添付書類は、パスポートのコピーや証明写真のほかに、こちらの2つが重要です。
卒業レター(Graduation Letter)
卒業レター(Graduation Letter)は、カナダの学校が学生の卒業を証明する手紙です。
これは、卒業式の時にもらう卒業証書とは違うものなので、ご注意ください。
最終成績証明書(Final Transcript)
最終成績証明書(Final Transcript)は、最後の学期の成績が反映された成績表のことです。
上記2つの書類は、どちらか一つがあれば申請可能ですが、カナダ留学コンパスでは両方を添付しての申請をすすめています。
また、ポスグラビザの申請の場合、嬉しいことに、学生ビザ申請の時に必要だった残高証明(資産の証明)が不要です。
英語スコア(Proof of English ability)
ポスグラ申請時に公式英語スコアが必要です。
2年以内に取得したスコアが必要なので、できる限り在学中にスコアを満たしておきましょう。
英語条件として認められている英語試験は IELTS General や CELPIP General 、PTE Core テストです。
なお、英語だけではなくフランス語テストも認められています。
ポスグラビザを申請するタイミング
ポスグラビザを申請するタイミングは、こちらの条件があります。
- 最終成績が発行された日、またはプログラムが修了したとの正式な書面が発行された日のいずれか早い方から数えて180日以内
※コロナ以前は、90日以内でした。今後もこの日付が予告なし変更になることもあるので、注意が必要です。 - 学生ビザの有効期限内
せっかくポスグラビザの条件を満たす学校を卒業したのに、申請の締め切りを過ぎて(または学生ビザが切れてしまって)しまいますと水の泡です。
申請できないと泣くに泣けないので、申請は余裕を持って、計画的に行いましょう。
【参考】ポスグラビザは申請したらすぐに働ける!
通常、申請したビザで許可される内容が認められるのは、ビザが承認された時です。
ところが、ポスグラビザの場合に限り、申請日からポスグラビザが承認されたものとみなされて、フルタイム(週40時間まで)で働くことができます!
承認日ではなく、申請日からフルタイムで働けるんだね!
その意味でも、学校からの必要な書類が届いたらすぐに申請できるように準備をしておきましょう。
ちなみに、今後はバイオメトリクスと呼ばれる「指紋の登録」も必要になります。
まとめ
ポスグラビザは、移民を目指す方にとっては強力な味方となってくれます。
入学、そして卒業するには努力、資金が必要ですが、卒業後に得られるものは大きいです。
移民を目指す方は、ぜひポスグラビザにチャレンジしてみてください。カナダ留学コンパスが応援します。
免責
ビザ申請、永住権申請の手続きや規定、ルールはカナダ移民局が予告なく頻繁に変更しています。
そのため、こちらのサイトに記載してある情報を元に何らかの判断を行う際には、弊社にご相談いただくか、カナダ移民局のウェブサイト等をきちんとご確認ください。
弊社のサイトは、ビザ申請、永住権申請に関する責任を負うものではございません。
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