カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
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「わたしもカナダで働きたいです!」
「カナダで就職しやすい仕事ってなんですか?」
これはよく聞かれる質問ですが、非常にむずかしい問題なんです。
カナダでは就職の際に実務経験が必須だったり、日本での経歴や資格がまったく役に立たないことあります。
なので、未経験の日本人が突然カナダに行っても理想の仕事につくのは難しいのです。
それでも、カナダでの就職・永住・移民に有利な職種はあります!
カナダで有利な職種。
それが、美容師(理容師)。
今回の記事では、なぜ美容師がカナダ永住しやすいのかを、免許やメリット、求人情報を加えて解説します。
このページの目次
なぜ美容師はカナダ永住に有利なの?
美容師はカナダ永住に有利です。
なぜなら、永住権申請の条件を満たすまでのハードルが、他の職種に比べて低いから。
うーん。ちょっとよく分からないんですけど……。
安心してください。順番に説明しますね。
カナダ永住権申請にはいくつか条件をクリアする必要があります。
例えば
- 英語力
- 学歴
- 職歴
など。
その中でも「職歴」の条件を満たすのが大変なんです!
カナダで永住するには、基本的に「NOCレベルB以上の職種で就職する」必要があります。
NOC レベルB以上というのは、ある程度専門性のある職種レベルのこと。
だれでもできる単純労働では、永住権はもらえないんだ…。
そうなんです。でも、これにはちゃんとした理由があります。せっかく経済発展のために移民を増やしても、賃金の安い単純労働者ばかりが増えても意味がないですよね。なので、専門的な仕事ができる優秀な外国人に優先的に永住権が与えられるんです。
日本人がカナダに行って、いきなり専門的な仕事に就くのはほぼ不可能です。
しかし、美容師に限っては違います。
美容師のお仕事は、このハードルをクリアするのが他の職種に比べて簡単なんです。
美容師の専門性レベルは「B」
美容師の職種は、職業分類NOCで「6341 Hairstylists and barbers(美容師および理容師)」に分類されます。
これは専門性レベルBの仕事です。
美容師でも理容師でも、髪に関わるサービスをする場合は広くHairstylists and barbers(NOC6341)の職種に該当します。
Hairstylists and barbers(NOC6341)の具体的な職名は、以下のとおりです。
- barber(理容師)
- barber apprentice(理容師見習い)
- beauty salon operator(美容室技師)
- hair colour technician(染髪技師)
- hair dyer(染髪者)
- hair-care specialist(ヘアケア専門家)
- hairdresser(ヘアドレッサー)
- hairdresser apprentice(ヘアドレッサー見習い)
- hairstyling specialist(ヘアスタイリング専門家)
- hairstylist(ヘアスタイリスト)
- hairstylist apprentice(ヘアスタイリスト見習い)
- men's hairdresser(男性向けヘアドレッサー)
- wig stylist(かつらスタイリスト)
↑ここに書かれた職種はすべて専門性レベルBに該当するということ。
ここで注目したいのは、「apprentice(見習い)」。
つまり、経験がなくても、見習い、研修中、アシスタントでも、永住権申請の対象となるNOCレベルB以上の職歴としてカウントできるんです!
美容院には下位職種がない
美容師の職種がカナダ永住に有利な理由はもう1つあります。
それが、美容院(理容院)に下位職種がないということです。
下位職種とは、同じ職場で働く専門性レベルの低い職種のことです。
下位職種の例(飲食店)
- 調理師(クック、NOC6322、専門性レベルB)の下位職種はキッチンヘルパー(NOC6711、専門性レベルC)
- サーバースーパーバイザー(NOC6311、専門性レベルB)の下位職種はサーバー(NOC6513、専門性レベルC)
このように、飲食店の場合、似た仕事でも職種によってスキルレベルが違います。
はじめはスキルレベルが低い(スキルC)キッチンヘルパーとして働いで、経験を積んでから専門性のあるクック(スキルB)にレベルアップします。
そして、NOCレベルBのクックに昇進してからやっとカナダの永住権に申請できます。
ところが、美容師の場合は違います。
日本で資格と経験がある場合はもちろん、経験がなくても大丈夫。
たとえ見習いや研修中だったとしても、美容師ならスキルBに該当するんです!
なお、職場に下位職種がない職業といえば保育士も該当します。
しかし、美容師と保育士では「免許」が大きく違います(保育士に関しては後述しています)。
では、カナダで美容師として働くための条件、資格を見てみましょう。
美容師資格の要否は州によって違う
カナダでは、美容師として働くのと、理容師として働くのでは条件が違います。
カナダで「美容師」として働く条件
まずはカナダで美容師として働く条件を見てみましょう。
美容師で働く条件
- 高校卒業程度の学歴
- 2~3年の職業教育(職業教育は実習で代替可能)
- 美容師資格は以下の州で必須
- ノバスコシア
- オンタリオ(トロント)
- マニトバ
- サスカチュワン
- アルバータ
- 美容師資格は以下の州で任意
- ニューファンドランドアンドラブラドール
- プリンスエドワードアイランド
- ニューブランズウィック
- ケベック
- ブリティッシュコロンビア(バンクーバー、ビクトリア)
- ユーコン
- ノースウエストテリトリー
- ヌナバット
人気の都市で比較してみると、トロントでは資格が必須ですが、バンクーバーでは資格がなくても大丈夫ということ。
同じカナダ国内の都市でもここまで条件が違うんだね。
カナダで「理容師」として働く条件
続いて、「理容師」で働くための条件を紹介します。
理容師で働くための条件
- 高校卒業程度の学歴
- 2~3年の職業教育(職業教育は実習で代替可能)
- 理容師資格は以下の州で必須
- オンタリオ(トロント)
- 理容師資格は以下の州で任意
- ユーコン
州によって資格が必要かどうかが違うので、要注意。
特に、「資格が必要な州」で資格なしで働いていると、永住権申請の段階で問題が起きます。
「あなたの就労経験は美容師(理容師)としての経験とは認められません」と判断されてしまう可能性があるんです!
せっかくカナダで働いた経験が認められないなんて!
そうならないためにも、自分が住んでいる州のルールはしっかり確認しましょう!
カナダで美容師で働いて永住権を目指すなら
- どの州で働くか
- その州の資格の要否
を絶対に確認しましょう。
もう一度書きますが、バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州では、美容師も理容師も資格なしで働くことができます。
日本での美容師・理容師経験があれば就労条件を満たす場合が多い
実は、日本で美容師や理容師の経験があれば、カナダで働く条件を満たしている場合がほとんどです。
さらにに言うと、職業教育が実習で代替可能なので、美容師の勉強をしていなくても、経験があれば就労可能です。
(美容師の勉強や就労経験がないと、仕事先を見つけるのは実際のところ大変ですが)
先ほど、「保育士にも下位職種がない」と説明しましたが、カナダで保育士として働くには資格が必須です。
そのため、保育士のほうが美容師よりも働き始めるまでのハードルが高いということですね。
資格が不要で、すぐに専門性レベルBの職種で働けるから、美容師はカナダ永住に有利なんだね!
では、実際のところ、美容師の仕事をカナダで見つけるのは難しいんでしょうか?
次は、カナダ美容師の求人情報をご紹介します。
カナダ美容師の求人需要
カナダ経済は近年好調で、失業率は過去10年の間で最も低い水準で推移しています。
失業率が低く、全体的に人手不足の状況なのですが、サービス業の人材は特に不足しています。
日本人美容師の技術・サービスはカナダで求められている
カナダでは、アジア系の住民を中心に日本人が提供する理美容サービスに強い需要があります。
日本の水準のサービスを提供すれば、日本以上にお客様から喜んでもらえるのです。
そのため、日本で経験があればカナダで美容師・理容師として就労先を見つけることは難しくはありません。
英語力はそれなりに必要
美容室でのサービスは髪を切るだけではなく、お客様との会話の中で心地よい時間と空間を提供することも含まれます。
お客様に満足していただくためには、日常的な英語の会話力は必須になるのでその点は認識しておいてくださいね。
カナダで美容師になるメリット
日本で美容師をするよりも、カナダで美容師をするほうがオススメとも言えます。
なぜなら、美容師にとってカナダは働きやすい国だからです。
カナダではサービス残業がない
カナダは美容師をはじめ、サービス業に従事する人の社会的地位が高いと感じます。
サービスを受ける側も、サービス業に従事する人に感謝と尊敬の気持ちを持って接していますし、彼らも皆誇りを持って働いています。
そしてサービス業に限らず、カナダは仕事のオンとオフの切り分けがはっきりしていて、サービス残業などというものはありません。
働いている自分も幸せで、サービスを通してお客様も幸せにできるので、カナダは美容師にとってとても働きやすい国だと言えます。
お給料に加えてチップ収入が期待できる
カナダは、収入面においても美容師にとって働きやすい国なんです。
お給料が高いからというよりも、「チップの文化」があることが大きいでしょう。
チップとは、サービスをしてくれた人、お店に対して感謝の気持ちから渡すお金のことで、支払金額(税抜き)の15~20%が相場であると言われています。
美容院もチップの対象となるお店なので、お客さんはチップを支払ってくれます。
美容院のスタッフは、お給料(基本給)の他に、チップ収入も受け取ることができます(チップ収入のスタッフ間での分配方法はお店によって異なります)。
チップ収入は支払金額の15~20%なので、サービス料金の高い高級美容院になればなるほど、チップの金額も上がるというわけです。
カナダで美容師の腕を認められて、高級美容院で働くことができれば、基本給はもちろんチップ収入もアップするということです。
カナダでは、サービス業に従事する人(レストランのウェイター・ウェイトレス、美容師など)で年収10万ドル(約800万円)以上稼ぐ人もたくさんいます。
年収が10万ドル?!
スキルと頑張りしだいで、どんどんキャリアアップしていくことができるのも、カナダで働く大きな魅力です。
参考に、バンクーバーの美容室の求人情報を紹介します。
「Alpha D(アルファD)」という美容室で、月給制、歩合制の選択ができる求人をしています。(2019年9月現在)
歩合制の場合の過去の実例が、月収$4,930と紹介されています。
$4,930は、1カナダドル=90円で換算すると、443,700円です。
カナダの美容師さんってそんなに稼げるんだ!
歩合制なので、本人の頑張り次第ではあるのですが、頑張ってみたいと思える待遇ですよね。
美容師からカナダ永住に繋がる
カナダで美容師として働くもう一つのメリットは、カナダ永住につなげられるところ。
カナダで働くためには
- ワーキングホリデービザ
- 配偶者就労ビザ
- 通常の就労ビザ
など、何かしらのビザが必要です。
ワーホリビザと配偶者就労ビザは、簡単な条件さえそろえば取得できるので大丈夫です。
問題は、通常の就労ビザ。
就労ビザを取得するための特別な審査(LMIA)は厳しく、条件を満たしてくれる雇用先を見つけるのはなかなか難しいです。
しかし、美容師は他の職種と比べても LMIA を満たしやすいんです。
実は、カナダの美容師、理容師の基本給は低い傾向があります(チップ収入があるから)。
「収入が低い」と聞くと、ネガティブに感じてしまいますが、実はいいこともあるんです。
LMIA付きの就労ビザを取るとき、給与がその州のその職種の賃金中央値を上回っている必要があります。
賃金中央値を上回っている必要…?
分かりやすく言うと、「州で同じ仕事をしている人の給与を全員並べた時の、真ん中の人の給与」を上回っている必要があるということです。
具体的には、ブリティッシュコロンビア州の場合だと、$14.00です。
他の職種だと、賃金の中央値が高すぎで、就労ビザの条件に合うジョブオファー(雇用契約)をもらうことが難しいのですが、美容師の場合は、比較的簡単に条件を満たすことができます。
永住権取得には英語力が必須
就労ビザを取得してカナダで1年間美容師として働くと、カナディアン・エクスペリエンス・クラスという制度を使って永住権申請をすることができます。
でも、カナダでの1年間の就労はスタートラインに立つ条件でしかなく、ここからポイントを稼がないと永住権にはたどり着けません。
永住権申請には、年齢、学歴、日本での職歴、カナダでの職歴、英語力など、様々なポイントを合計して計算しますが、一番ポイントを稼ぎやすいのが英語力です。
職歴や学歴と合わせたボーナスポイントがもらえる、CLB7やCLB9 のスコアが取れれば、永住権取得に必要なポイントに到達できる可能性が大きく上がります。
バンクーバーの美容院にいては、こちらの記事もご覧ください。
まとめ
カナダは日本で技術と経験を磨いた美容師、理容師さんが生き生きと仕事ができる国です。
英語力の条件は必要になることが多いですが、永住権を目指すのにも、美容師はお勧めの職種です。
まずはカナダ留学コンパスの無料相談をご利用ください。
免責
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そのため、こちらのサイトに記載してある情報を元に何らかの判断を行う際には、弊社にご相談いただくか、カナダ移民局のウェブサイト等をきちんとご確認ください。
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