カナダ留学で費用を抑えて進学する方法として、ユニバーシティトランスファー(University transfer)をご存じでしょうか?
ブリティッシュコロンビア州では、多くのカレッジでユニバーシティトランスファープログラムというものがあります。
これは、カレッジで取得した60のクレジット(単位)を大学への編入に利用し、3年目から編入、2年カレッジ+2年大学で4年で学位取得、ということができるシステムです。
俗に2+2(ツープラスツー)なんて呼ばれています。
また、個別の単位の移行に便利な BCTransferguide.com というウェブサイトがあり、今の自分のプログラムと行きたい大学やプログラムを見比べて編入を検討することが可能です。
この BCTransferguide の歴史は古く、1995年には既にウェブベースの検索エンジンが作られていたそうです。
ブリティッシュコロンビア州のユニバーシティトランスファーについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
こちらもご覧ください
ユニバーシティ・トランスファーを徹底解説!
さて、では、オンタリオ州のトランスファーシステムはどうなのでしょう?
カレッジから大学への編入は同じようにできるのでしょうか?
この記事では、オンタリオ州のクレジットトランスファーシステム(単位移行システム)について詳しくご紹介します。
このページの目次
オンタリオ州のクレジットトランスファーシステム
オンタリオ州でももちろん、単位の移行ができるシステムがあります。
ただ、それはあくまでコース別・プログラムごと・個別の教育機関同士のアグリーメント(提携契約)に左右されるものなんです。
ブリティッシュコロンビア州のように、2年のカレッジのカリキュラムがそのまま大学の最初の2年に移行できるような「ユニバーシティトランスファープログラム」の設置はほとんどありません。
(※後で少し補足しますね)
オンタリオ州の進学(カレッジと大学の関係)
オンタリオ州の場合、公立の教育機関だけで22の大学、そして24のカレッジが存在しています。
カナダ人高校生の進学でも、基本的な進路の考え方は「何をやりたいか?」が出発点で、そのプログラムがカレッジにあるのならカレッジへ、大学にあるのなら大学へと進路を進めるのが一般的です。
日本で高校生が進学先を選ぶように、入学試験の偏差値で学校を選ぶわけではありません。
オンタリオ州の中でも特にトロントは大都市で多くの仕事の需要があるため、カレッジ側も実に様々なコースを用意しており、企業と協力して実習や職務実習の機会を多く取るなどして学生の就職を後押ししています。
大学を卒業してから改めてカレッジのコープ(仕事体験)付きのプログラムに入ってから就職へ繋げたり、キャリアチェンジを考える際にカレッジに通い直したりというような利用もされています。
そのため、最初から大学へ行くために学ぶ、と言うように、いわば予備校的な性格はそれほど持っていません。
オンタリオ州の大学編入
オンタリオ州では学生は入学時点でカレッジか大学かを決めていることが多いとお話ししました。
でも例えば、まずカレッジで2年プログラムを取ってそのまま就職するつもりだったのが、勉強し始めた後で希望が変わることはよくありますよね。
カレッジ卒業の後、4年制大学でもう少し学びを進めたい、という時に大学への編入というオプションが出て来ます。
そんな時はどうするのでしょうか?
そんな需要を受けて、オンタリオ州政府のサポートを受け、2011年にオンタリオにも BCTransferguide.com のような、ontransfer.ca というウェブサイトができました。
このサイトを使ってカレッジ→大学、大学→大学など別の教育機関に移る(編入)するのにどの程度の単位が移行されるのか調べることができます。
このウェブサイトは就学を開始した後や、卒業後にどこか別の教育機関でやりたいことが見つかった場合に、自分にはどういったオプションがあるだろうか?と検討する際にとても便利なツールです。
注意点①クレジットトランスファーの最終判断は受け入れ大学が行う
プログラムの内容や、元のカレッジでの成績などから総合的に判断しての単位認定という流れを取るため、目安としてこのくらい、という表記はあります。
しかし、最終的な受け入れの可否は受け入れ側の大学の判断となります。
注意点②カレッジの1年=大学の1年とはならない
ontransfer.ca を見ながら、例えば、カレッジの任意のプログラムを卒業して、大学への編入を希望する場合を調べてみると、いくつかの大学のオプションが出て来ます。(※例はセネカカレッジ)
下から4段目、そして最後の段を見て頂くと、ほとんどの大学で「補足を確認してください(See pathwayの部分)」と出ます。
そして、詳しく募集要項を見ると、「2年(3年)のプログラムのうち、約1年分(2年分)ほどのクレジットが認められますよ」など、取った長さの半分くらいの単位認定となることもあります。
また、「早い場合は(as early as)2年で終えられることもあります」など幅を持たせて書かれていることもあり、3年次からの編入が確実ではないことが分かって頂けると思います。
注意点③難関大学・人気大学はオプションに入って来ないこともある
オンタリオ州で言うと、やはりトロント大学に人気がありますが、これら一部の難関大学・人気大学は、編入オプションに入って来ないこともあります。
これらの大学を最終目的として希望している場合は、カレッジやプログラム選びによっては、ほとんどが単位が認められない、となってしまうリスクもありますので十分ご注意ください。
この3つの点に注意しておけば、このウェブサイトを使って、今通っている(卒業した)カレッジのプログラムから逆算し、できるだけ条件の良い大学を選ぶ、ということができます。
具体的に、どんな大学編入の方法があるの?
比較表をじっくりご覧になった方は気づいたかもしれませんが、例えばセネカカレッジは、トロント大学・トレント大学・ヨーク大学などと直接提携した、ユニバーシティトランスファープログラムを持っています。(セネカカレッジウェブサイトはこちら)
このプログラムでは、2年のプログラムを規定以上の成績で卒業すると、例えばトロント大学ですと2年次(※3年ではないことに注意)から編入することができます。
ただ、「ユニバーシティトランスファープログラム」という名前はついていなくても、例えば、ジョージブラウンカレッジのEarly Childhood Education(幼児教育)プログラムから、ライアソン大学のEarly Childhood Studiesというように、全く同じ分野でカレッジから大学へと学問を進めたい、というような場合は、3年次からの編入が可能です。
加えて、セネカカレッジとヨーク大学、ハンバーカレッジとゲルフ大学、センテニアルカレッジとトロント大学のように、医療サポート関連で、実務はカレッジが主に担当し、理論や座学を大学側が担当するような恰好でパートナーシップを結んで、合計4年で終了するジョイントプログラム(共同プログラム)を提供しているようなこともあります。
一口に編入と言っても色々なパターンがあるため、ontransfer.caの情報も踏まえて、行きたい大学の学部や、経由したいカレッジのウェブサイトを見比べて進路を考える必要があるんです。
進学費用を抑えたい場合は?
トランスファー制度を使いたいのは、やはり、カレッジを経由することで授業料を節約したいから、という方も多いでしょう。
ですが、これまで説明して来た通り、カレッジを経由しても全てのクレジットが移行できるわけではないため、実質は、2年カレッジ+3年大学、合計で通学期間が5年になるなど、思ったほどの節約ができない可能性があります。
大学の学位を取ることが最終目的である場合、やはり、そのまま大学に進学するのが正攻法ということになりますが、トロント大学の学費などは年間500万円以上(年間です!)とかなり高額です。
費用節約を考えるのであれば、オンタリオ州には20を越える大学があるため、トロントやオタワなどの都心を離れた大学に行くという選択肢はあります。
もっと言うと、ノバスコシア州やニューファンドランド州などカナダ東部の大学に行く方法もありますね。
授業料も生活費もかなり抑えることができますし、成績(GPA)が良い方であればさらに大学側から奨学金をもらって授業料に充てることもできます。
まとめ
オンタリオ州のユニバーシティトランスファーについて、再度まとめます。
- トランスファーシステムはあるが、コースごと・プログラムごとに単位認定がされる
- オンタリオ州のカレッジは、就職に直接役立つスキルを身につける場所、という性格が強く、大学準備としての役割はそれほど強くない
- 単位移行・認定は、受け入れ大学側の判断に委ねられる。多くの場合、半分程度の単位の移行となる
- 難関大学・人気大学を目指す場合、カレッジからの単位移行による編入ができないこともあるため、注意
- 大学進学の費用を抑える方法としては、都心を離れた大学へ行くか、カナダ東部へ目を向ける方法もあり
カナダは州によって教育制度や細かい部分が異なるため、情報集めに苦労する方がとても多いのではないでしょうか。
せっかく整理したはずが、別の州では全然違うことを言っていて混乱してしまった、ということもあると思います。
カナダには、日本で言う文部科学省のような国家単位で管轄する機関がないため、このような違いが生まれてしまいます。
どこの都市が自分に合うか、生活はどうか、移民の選択肢はどうかなど、一人でカナダ進学を検討するのはとても大変なことです。
そんな時に頼りになるのがその道の専門家です。
まずはカナダ留学コンパスに相談してみてください。