カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。カナダ留学情報を発信するTwitterアカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万を超える。現在までサポートしてきた生徒数は1万人以上。
【※新型コロナウイルス感染症による影響の支援策※】
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、カナダでは連日様々な支援策が打ち出されています。
失業保険の適用範囲拡大、子供手当の増額、企業への支援など、より多くの人に支援が行き渡るよう新たな制度が随時適用されています。
最新情報は必ずカナダ政府のサイトをご確認ください。
ワーキングホリデービザでカナダに来たら、カナダで仕事をしたいですよね。
仕事をするのは、責任ある社会人としてカナダ社会と関わることでもあるので、仕事をすると、カナダのことをぐっと深く知ることができます。
でも、どうやって仕事を探したらいいんでしょうか?
カナダで仕事が見つかるか、ちょっと不安です。
確かに、カナダで仕事を見つけるのは決して簡単ではありません。
でも、採用されやすい職種はあるので、安心してください。
また、仕事が見つかっても、カナダでは企業と労働者が対等に近い関係になっていて、日本よりも労働者が失業するリスクが高いんです。
失業するリスクが高いなんて、心配すぎます!
安心してください。
日本と比べて、というだけでカナダでもそんなにすぐに失業するということはありません。
また、「Employment Insurance(EI、雇用保険)」の制度が整っているので、急に仕事がなくなってしまった場合も安心です。
今回は、BC州における基本の労働基準法や失業してしまった時のサポート(雇用保険)など、カナダでのお仕事について解説します。
※この記事はブリティッシュコロンビア州の労働基準法(Employment Standards)を基準にしています。原文はこちらのサイトをご参考ください:British Columbia Employment Standards(英語)
このページの目次
カナダでどんな仕事ができる?
ワーホリビザを取得して、「カナダでバリバリ働くぞ!」と気合を入れてはみたものの、実際には、カナダで仕事を見つけるのはそんなに簡単ではありません。
カナダの失業率は2019年11月時点で5.9%となっており、日本の同じ時期の失業率2.2%よりも倍以上高いです。
カナダ人でも仕事を見つけるのが難しいので、英語に自身のない日本人が仕事を見つけるのは更に難しいです。
飲食店は比較的仕事がみつかりやすい
ただ、バンクーバーなどの観光都市に関しては、特に飲食業で人手が足りていないので、比較的仕事が見つけやすいです。
日本人が経営するお店を選べば、英語力がなくても採用してもらえる可能性がさらに上がります。
希望の職種に就くには準備が必要
カナダで就きたい希望の職種がある場合は、ちょっと準備が必要です。
例えば、「オフィスワークの仕事がしたい」、「IT関係の仕事がしたい」、「美容関係の仕事がしたい」などといった場合です。
そういった職種での資格や経験が日本であれば、有利になります。
でも日本での資格や経験は、日系企業でない限り、決定的な要素にはなりません。
そこでおすすめしたいのが、カナダで学校に通ってから仕事を探すことです。
ここでいう学校には、大きく分けて3つの種類があります。
仕事探しを有利にするカナダの学校
- 語学学校
- カレッジ(コープなし)
- カレッジ(コープつき)
学校に通って、英語力やスキルを身につけることで、カナダでの仕事の見つけやすさが格段に上がります。
カナダで働くための基礎知識
カナダで仕事を見つけて働くために、絶対に必要な知識をご案内します。
SINナンバー
SINナンバーとはカナダの納税者番号のことです。
雇用主は従業員に給与を支払う時にSINナンバーが必要です。
SINナンバーは、働けるビザがあれば Service Canada というカナダの窓口で取得できます。
SINナンバーの取得方法は、こちらの記事をごらんください。
最低賃金
2024年11月18日現在、BC州の最低賃金は17.40ドルです。
カナダの最低賃金はここ数年段階的に引き上げられていて、今後も時給が上がり続ける予定です。
日付 | 最低賃金 |
---|---|
2000年11月 | $7.60 |
2001年11月 | $8.00 |
2011年5月 | $8.75 |
2011年11月 | $9.50 |
2012年5月 | $10.25 |
2015年9月 | $10.45 |
2016年9月 | $10.85 |
2017年9月 | $11.35 |
2018年6月 | $12.65 |
2019年6月 | $13.85 |
2020年6月 | $14.60 |
2021年6月 | $15.20 |
2022年6月 | $15.65 |
2023年6月 | $16.75 |
2024年6月 | $17.40 |
賃金の支払い
雇用主は従業員に賃金を月に最低2回支払わなければなりません。
支払い方法は現金、チェック(小切手)、銀行振込などです。
カナダで銀行口座を開設していたら、口座情報を雇用主に提供して、給与を口座振り込みにしてもらうこともできます。
労働時間
基準労働時間は1日8時間、週40時間として定められています。
従業員が基準を超えて超過労働した時は、雇用主は超過労働手当を支払わなければなりません。
超過労働手当(残業代)
基準労働時間を超えて働いた場合、雇用主は従業員に残業代(オーバータイム)を支払う義務があります。
残業代は働いた時間によって変わります。
- 1日8時間を超過した分の残業:通常給料の1.5倍
- 1日12時間を超過した分の残業:通常給料の2.0倍
- 週40時間を超過した分の残業(1日8時間以内でも):通常給料の1.5倍
スタットホリデー
スタットホリデー(Statutory Holiday)とは、法で定められた休日のこと。
日本の祝日のように、多くの企業はこの日休業します。
しかし、日本の祝日と違い、カナダではたとえこの日に働いていなくても、通常と同じ給料が支払われます。
このスタットホリデー・ペイ(祝日手当、Statutory Holiday Pay)を受けるには
- 雇用契約を結んでから30日以上経っている
- その内15日間以上勤務していた
上記を満たしている必要があります。
スタットホリデー中に働いた場合、通常のスタットホリデー・ペイ(つまり通常の勤務日の給料)に合わせて、さらに特別手当が支給されます。
特別手当の金額は働いた時間によって変わります。
- 12時間以下: 通常の1.5倍の給料
- 12時間以上: 通常の2.0倍の給料
バケーションペイ
バケーション・ペイとは、有給休暇のような手当です。
カナダでは1年間働くと2週間分のバケーションがもらえ、お給料の4%が手当として支払われます。
5年働くと3週間のバケーションがもらえ、お給料の6%が支払われます。
バケーション・ペイは従業員が休みに入る7日前までに従業員に支払われます。
雇用契約によっては、バケーション・ペイは一括ではなく毎月のお給料に上乗せされて支払われます。
バケーション・ペイは5日働いたら受給できます。退職する場合、雇用主は未消化バケーション分の手当を全て支払わらなければなりません。
退職
退職を希望する従業員は事前(2週間前)に雇用主に予告するのが一般的ですが、これは義務ではありません。
法律上は予告なしで退職可能です。
しかし、カナダでは再就職の際、次の雇用主に "reference"(推薦状)が必要なことがほとんどです。
円満に退職し、雇用主に有効な reference を書いてもらうには早めに退職の意向を伝える方が賢明です。
解雇の通知
解雇についての規定は、雇用契約を結ぶときに雇用主と労働者が同意して決めます。
解雇の14日以上前に通知する、または14日分の給与を支払って即時解雇する、という取り決めにするのが一般的ですが、法律上は雇用期間によって通知期間が定められています。
- 3か月の雇用期間: 1週間前の予告、または1週間分の給与支払い
- 1年の雇用期間: 2週間前の予告、または2週間分の給与支払い
- 3年以上の雇用期間: 3週間前の予告、または3週間分の給与支払い(雇用期間が1年増える毎に、予告期間および給与支払い期間が1週間増える)
ただし、雇用主は従業員の不正行為が発覚したり、従業員の勤務態度に改善の見込みがないと判断した場合など、事前の予告なし・支払いなしで即解雇することも可能です。
仕事を始める前に解雇の話をするのはドキッとしてしまいますね。
でもカナダは日本より容易に雇用主が労働者を解雇することができます。
労働者側が仕事を辞める時も同様です。
一定のルールの下で、お互いが対等なんですね。
レイオフ
レイオフ(Layoff)とは、一時帰休(いちじききゅう)制度。
事情により仕事が減ったり、仕事そのものがなくなってしまった場合、従業員を一時的に休業状態にすることができます。
労働時間が減り、一週間の賃金が通常期間の50%以下になるとレイオフ状態と認定されます。
季節性の仕事(例:伐採業など)では、予め雇用契約にレイオフ期間が含まれてことがあります。
税金
日本のように、カナダでも給料から税金が引かれます。
例:
- 所得税
- 雇用保険 (Employment Insurance, EI)
- 年金 (Canada Pension Plan, CPP)
雇用先によっては医療保険も含まれていることがあります。
カナダの雇用保険
カナダの雇用保険(Employment Insurance, EI)にはいくつかの手当が含まれます:
- 失業手当(Regular benefits)
- 産前後休暇および育児休暇手当(Maternity or parental benefits)
- 傷病手当(Sickness benefits)
- 介護・看護手当(Compassionate care benefits)
この中の失業手当について、詳しく説明します。
失業手当の受給資格
・雇用保険に加入している会社で雇用されていたこと
・自発的に退職したり、懲戒解雇されたのではないこと
・7日間以上無収入の状態であること
・雇用保険受給の労働期間をみたしていること
・求職活動を行っていること(求職活動を報告する義務があります)
失業手当が支給されないケース
状況によっては失業手当が支給されないことがあります
- 自らの意志で退職した場合(辞職)
- 不正、違法行為よって解雇された場合
- ストライキ等の労働紛争のため動労していない場合
失業手当の受給期間
基本の受給期間は14週間から45週間です。
受給期間は、解雇前過去1年間の労働時間と、居住している地域の失業率で決まります。
失業手当の受給金額
解雇時点で受け取っていた給与の55%を受け取れます。
2020年1月1日時点の需給上限額は年額$54,200(週$573)です。
失業手当の受給方法
失業手当を受けるには Service Canada に申請する必要があります。
退職したらすぐに申請しましょう。
申請方法はこの3つ:
- 自宅のインターネット環境
- 公共施設(公立図書館等)のインターネット環境
- 最寄りのサービスカナダ・センターの窓口
オンライン申請は約60分かかります。
失業保険の申請には以下の書類が必要です:
- SINナンバー
- 母親の旧姓(Mother's maiden name:本人確認用情報)
- 住所(郵便番号含む)
- 振込先情報(銀行名、支店番号、口座番号)
- 雇用主の名前、住所、雇用期間、離職理由(直近52週間分)
- 離職に関する詳しい情報
- 給与に関する詳しい情報
詳しい情報は公式サイトをご確認ください→ Applying for Benefits|Canada.ca(英語)
労働基準法と失業手当 まとめ
カナダで仕事を探すのは決して簡単ではないですが、計画を立てて根気よく探せば、きっと仕事が見つかります。
大事なのは運と縁とタイミングです。
また、もし仕事を失ってしまっても、雇用保険給付を受け取れるのは心強いですね。
雇用保険を使わなくて済むのが一番ですが、もしもの時のためのセーフティネットがあるのは安心です。
カナダ留学コンパスでは、安心してカナダ留学、ワーホリをするための情報を提供します。
まずは無料相談をご利用ください。