カナダと日本の社会保障・社会福祉制度を比較

世界で最も住みやすい国の一つ、カナダ。

 

特に福祉が充実していると言われていて、カナダは「世界幸福度ランキング」トップ10の常連国なんです!

かえで

だからカナダは移住先としても人気の国なんだね!

そこでこの記事では、社会福祉と社会保障の観点から、日本とカナダの住みやすさを比較します。

※カナダの福祉制度は州によって異なります。この記事では、主にブリティッシュコロンビア州について紹介します。
※為替レートは1ドル84円(2020年1月22日)で計算しています。

日本とカナダの福祉比較

健康保険制度

怪我や病気の治療の際に役立つ医療保険制度

カナダにも日本のように公的な医療保険があり、いざという時の負担を軽減してくれます。

しかし、日本とカナダでは保険料や保険が適用される範囲が異なるので注意が必要です。

日本の医療保険制度

日本には健康保険という公的な医療保険制度があります。

健康保険に加入することで、医療費の自己負担額が3割で済みます(お年寄りや乳幼児はさらに自己負担が少ないです)。

健康保険は会社(事業者)の従業員が加入できる保険で、保険料は毎月被保険者が半分、事業者が残りの半分を支払います。

かえで

会社に勤めていたら、会社側が毎月の保険料を半分出してくれるということだね。

平成31年度の健康保険料率は賃金の18.5%

毎月賃金の18.5%を健康保険料として支払いますが、従業員はその半分(9.25%)の金額しか差し引かれません。

 

日本の健康保険では

  • 診察代
  • 治療代
  • 薬代

のほか、

  • 一般的な歯科治療
  • 一般的な眼科治療

もカバーされているので、医療費を気にせずに専門的な治療を受けることができます。

 

このように、日本の健康保険は多少コストがかかりますが、質の高い医療を手軽に受けられるのが特徴です。

※他にも、非会社員が加入する国民年金保険、公務員が加入する共済組合、高齢者向けの後期高齢者医療がありますが、この記事では省略しています。

カナダ(BC州)の医療保険制度

カナダにも日本と同じように公的な医療保険制度があります。

その中で、ブリティッシュコロンビア州が提供する公的医療保険は Medical Services Plan (メディカル・サービシス・プラン、MSP)と呼ばれるもの。

MSPに加入することで、一般的な医師による医療費は無料になります。

 

さらにこのMSP、2020年1月1日から保険料が無料になったので、保険者の負担は一切ありません!

かえで

医療費も無料、保険料も無料なんてありがたい!

しかし、日本とカナダでは保険医療の適用範囲が違うのをご存知でしょうか?

内容 日本 カナダ
診察・検査
処方箋・薬代 ×
歯科(虫歯)治療 ×
眼科治療 ×
かえで

え!薬代も虫歯治療も保険が利かないの!?

カナダでは歯科や眼科治療は保険が使えないことがあります(一部保険適用される医療行為もあります)。

 

他にも、日本なら処方箋は保険が適用されますが、カナダだと全額自己負担。

日本なら救急車は無料で利用できますが、カナダの場合緊急性がなければ有料になることもあります。

さらに、医療費が無料の代わりに、専門医にはすぐに診てもらえないなど多少の不便さもあると言われています。

 

いざと言うときに保険が利かなければ、莫大な治療費を支払うことになってしまいます。

そのため、留学やワーホリ、旅行でカナダに行くなら幅広い医療費をカバーしてくれる民間の保険に入っておくのがおすすめです。

ワーホリで6ヶ月以上滞在する予定なら MSP にも加入できますが、申請に3ヶ月かかるのと、就業時間に条件があるので注意が必要。

就業ビザや永住でカナダの会社に勤めるなら、福利厚生に独自に医療費負担制度が含まれていることがあります。どこまでが保険でカバーされるのか、しっかりと確認するようにしましょう。

かえで

いつ何が起きるか分からないから、保険内容はちゃんと把握しておかないといけないね。

ワーホリや学生ビザで MSP に申し込むときの条件や注意点は「カナダの公的医療保険「MSP」を徹底解説します! 」でさらに詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

日本とカナダの医療制度比較

  • カナダ(BC州)は医療保険料無料
  • カナダ(BC州)は診察料、治療費も基本無料
  • しかし、歯科治療や薬代など保険適用外なので注意が必要

年金制度

老後の生活を支えてくれる社会保障といえば年金制度。

カナダにも日本と同じように公的な年金制度があります。

日本の年金制度

日本には2種類の公的年金があります:

  1. 国民年金:20歳~60歳の国民が全員加入
  2. 厚生年金:会社勤めの人が加入

どちらも老齢になったらもらえるものですが、条件が異なります。

国民年金 厚生年金
対象者 自営業者等 会社員、公務員等
加入年齢 20歳~60歳の国民全員 会社入社時~原則70歳まで
保険料 月額 1万6,410円 月額報酬の9.150%
支給額(満額) 月額 6万5,008円 給与と勤続年数による
受給条件 10年以上加入 国民年金の条件を満たす

カナダの公的年金制度

カナダの公的年金も2本立てです:

  1. Old Age Security Plan (OAS):老齢年金
  2. Canada Pension Plan (CPP):カナダ年金

Old Age Security Plan (オールド・エイジ・セキュリティー・プラン、老齢年金)は65歳以上の人に毎月支払われる年金。カナダでの居住年数が条件で、就労経験は問われません。カナダに40年以上住んでいたら満額支給され、居住年数が短い場合はその分金額が差し引かれます。

Canada Pension Plan (カナダ・ペンション・プラン、カナダ年金)は就労していたら自動的に賃金から差し引かれ、積み立てられる年金。それまでに支払った年金保険料によって受給額が変わります。

Old Age Security Plan (OAS) Canada Pension Plan (CPP)
対象者 カナダ居住者(条件あり) カナダで就労、年間所得$3500以上
加入年齢 なし 18歳~65歳の就業期間
保険料 なし 5.25%
支給額(満額) 月額 $613.53(約5.2万円) 平均月額 $724(約6万円)
支給開始年齢 65歳 基本65歳(60~70歳)
受給条件 ・カナダ市民権、もしくは法的な居住権を有する
・18歳以降に10年以上カナダに居住等
・カナダで就業経験あり、CPP保険料支払い期間あり
かえで

OASは保険料を払っていなくても、カナダに居住歴があれば年金を受け取れるんだね。

さらに、カナダには公的年金の他に手厚い個人年金制度もあります。

中でもメジャーなプランはこの2種類:

  • Registered Retirement Savings Plan (RRSP)
  • Tax-Free Savings Account (TFSA)

どちらも政府登録制で、銀行や保険会社で口座を開設できます。

 

Registered Retirement Savings Plan (レジスタード・リタイアメント・セービングス・プラン、RRSP)は働いている期間にコツコツと貯蓄し、リタイア後の生活費を貯めるプラン。

RRSP の口座に預けたお金は税金が免除されるので、節税対策にもなります。

リタイア後にお金を引き出すとそれが収入とみなされ課税対象になりますが、その頃には通常所得が減っていて控除額が上がっているので、長期的に見て税金が節約になる仕組みです。

かえで

たくさん働いて収入が高いうちに預けて、節税するということね。

その年に積み立てられる限度額は、前年度の収入によって決まります。限度額を超えてしまうと、その分が課税対象になるので注意が必要です。

 

Tax-Free Savings Account(タックス・フリー・セービングス・アカウント、TFSA)は2009年に開始した比較的新しい資産運用プラン。

タックスフリー、つまり税金がかからないアカウント、ということ。

TFSA 内で株や投資信託を購入して得た利益には税金がかからないので、資産運用をするうえでかなりメリットになります。

一年間に預金できる金額はインフレ率によって変動し、2020年は年間$6,000(約50.4万円)まで預金可能。

2009年の年間限度額までさかのぼって預金することができるので、もしこれから新たにTFSA口座を開設するなら$69,500(約584万円)分の枠がもらえます。

かえで

今から夫婦2人でTFSAをはじめるなら、2009年~2020年の限度額を合わせて、$69,500 x2人 で$139,000(約1,168万円)分が無税になるんだね!

TFSARRSPと違い、預金を引き出すときにも税金が掛かりません。

 

このように、カナダには二重の公的年金制度や個人で資産を運用する方法があるので、老後も安心して暮らすことができます。

日本とカナダの年金制度比較

  • カナダにも国民年金・厚生年金に似た仕組みがある
  • カナダの老齢年金 (OAS) は保険料かからない。居住年数によって支給額が変わる
  • カナダ年金(CPP)は日本の厚生年金と似ていて、勤続年数と収入によって受給額が変わる
  • 公的年金以外にも個人で資産を運用する方法がある

教育制度

日本もカナダも教育水準はとても高いうえ、どちらも公立学校ならほぼ無料で通えます。

カナダでは給付金がもらえる学資保険制度が充実しているのも特徴。

日本の教育制度

日本の教育年数は

  • 小学校: 6年
  • 中学校: 3年
  • 高等学校:3年

そのうち、義務教育は小学校と中学校の9年間です。

義務教育期間中の学費は無料

 

高校は2010年に一度無償化されましたが、現在は年収910万円(目安)未満の世帯に、国が授業料相当の助成金を支給する仕組みになっています。

さらに、2019年10月から3~5歳までの幼稚園や保育園も無償化されました。(参照:幼児教育・保育の無償化概要|内閣府

かえで

日本では平均的な所得の家庭なら幼稚園~高校まで無料で通えるということだね。

カナダの教育制度

カナダの義務教育は初等教育(幼稚園含む)から高校まで。

州や学校によってシステムは違いますが、例えばブリティッシュコロンビア州の場合、教育年数は:

  • 初等教育(Elementary School):幼稚園(6歳)~7年生
  • 高等教育 (Secondary School):8年~12年生

義務教育なのですべて無料で通うことができます。(※留学生は学費がかかることがあるので要注意!)

 

しかも、カナダの学校は基本的に教科書がレンタル制、制服やカバンの指定もありません。

かえで

教科書代や制服代、ランドセル代が掛からないのはありがたい!

 

カナダの学校のもう一つの特徴といえばその多様性

いろいろな国のバックグラウンドを持つ児童がいるので、ESL(第二言語としての英語)サポートが充実しています。

ITを使った授業も盛んで、BC州の小学校では2016年からプログラミング教育も始まりました。

さらに、一般的な学校教育の他にホームスクーリング(自宅教育)も認められているのも特徴。学校に通わない子にも平等に教育の機会が与えられています。

カナダには受験制度がないので、子供たちは個性やレベルに合わせてのびのびと学ぶことができます。

 

 

カナダの大学は無料ではありませんが、奨学金制度が充実しています。

また、Registered Education Savings Plan(レジスタード・エデュケーション・セービングス・プラン、RESP)という学資保険制度もあります。

RESP口座を開設していると、ただ積み立てるだけではなく、なんとカナダ政府から給付金を受け取ることもできるのです:

  1. Canada Education Savings Grant:17歳までに最大$7,200(約60.5万円)
  2. Canada Learning Bond:低所得家庭、15歳までに最大$2,000(約17万円)

※所得や子供の人数によって変わります

 

さらに、ブリティッシュコロンビア州には独自のRESP向け給付金British Columbia Training and Education Savings Grant (BCTESG)があります。

6歳~9歳の誕生日までに申請すると$1,200(約10万円)がもらえるので、高校卒業後の学費としてそのまま預金できるありがたい制度です。

かえで

カナダの学資保険は給付金が充実しているんだね。

日本とカナダの教育制度比較

  • どちらも幼稚園~高校まで無料(もしくはほぼ無料)
  • どちらも教育の質は高い
  • カナダはより多様・個性を重視した教育が特徴
  • カナダの学資保険は政府からの給付金ももらえる

児童手当

子供を育てる家庭に支給される児童手当

日本にもカナダにもこの制度はありますが、支給額は断然カナダの方が多いんです!

日本の児童手当

日本の児童手当は、支給対象が0歳~15歳(中学校修了)まで。

毎月の支給額は

  • 0歳~3歳未満:1万5,000円(一律)
  • 3歳~小学校修了:1万円(※第3子以降は1万5,000円)
  • 中1~中学校修了:1万円(一律)

 

児童手当には所得制限(扶養人数による)があります。

例えば、配偶者1人と子供2人(扶養人数が3人)がいる場合、年収960万円以上の世帯が該当し、児童手当は子供1人につき5,000円に減額されます。

児童手当は毎年3回(6月、10月、2月)に支払われます。

カナダの児童手当

カナダの児童手当は Canada Child Benefit (カナダ・チャイルド・ベネフィット)と呼ばれています。

支給対象は0歳から18歳まで。

 

支給額は基本的に日本よりも高いです。

 

毎月の手当て:

  • 0歳~6歳未満:月額最大$533.25(約4.5万円)
  • 6歳~18歳未満:月額最大$466.83(約3.9万円)
かえで

幼児2人いたら、収入によっては毎月約9万円ももらえるなんてすごい!

カナダの児童手当には所得制限がありますが、いきなり減るのではなく、世帯収入が増えると段階的に引き下げられる仕組みになっています。

【例】 子供が2人いる世帯なら、世帯年収が$31,120(約261万円)を超えると13.5%引き下げ、そして$67,426(約566万円)を超えた分は5.7%引き下げられます。

 

さらに、カナダにはCanada Child Benefit の他に州独自の児童手当制度があります。

 

例えばBC州のBC Child Opportunity Benefit (BC・チャイルド・オポチュニティー・ベネフィット)

第1子なら年間最高$1600(約13.4万円)、月額にすると約$133(約1.1万円)支給されます。

こちらも世帯年収によって受給額が変わります。

かえで

国が支給する Canada Child Benefit と合わせれば、子供1人の家庭で最大月5万5,000円ももらえるんだね。

日本とカナダの児童手当を比較すると:

日本の児童手当 カナダの児童手当
支給対象年齢 0歳~15歳(中学修了) 0歳~18歳未満
支給額(月額) 0歳~3歳未満:1万5,000円(一律)
3歳~小学校修了:1万円(第3子以降は1万5,000円)
中学生:1万円(一律)
0歳~6歳未満:最大$533.25(約4.5万円)
6歳~18歳未満:最大$466.83(約3.9万円)
所得制限 あり
(約960万円。扶養人数によって調整)
あり
($31,120以降段階的に。子供の人数によって調整)
支給回数 年3回(4ヶ月分まとめて) 毎月
その他 とくになし 州独自の児童手当もある
かえで

カナダは18歳になるまで児童手当が支給されるし、子供がいる世帯には心強い制度だね。

日本とカナダの児童手当制度比較

  • どちらも子育て世帯には児童手当が支給される
  • カナダの支給額は日本より多い
  • カナダは州独自の児童手当制度もある

日本とカナダ比較まとめ

日本とカナダの社会福祉・社会保障制度の比較をまとめると

日本 カナダ
医療保険 ・公的健康保険あり
・保険料かかる
・自己負担3割
・薬代、歯科治療も保険適用
・公的健康保険あり
・保険料なし
・自己負担なし
・薬代、歯科治療は保険適用外
年金 ・国民年金と厚生年金の2本立て
・どちらも保険料かかる
・公的年金はOASとCPPの2本立て
・OASは保険料なし
・政府登録制の個人資産運用プランもある
教育 ・義務教育9年
・学費無料(またはほぼ無料)
・義務教育13年
・学費無料
・ESLやホームスクールも充実
・学資保険の給付金が充実
児童手当 ・0歳~15歳
・子供1人あたり毎月1万~1.5万円
・自治体独自の児童手当なし
・0歳~18歳未満
・子供1人あたり毎月最大$533(約4.5万円)
・州独自の児童手当あり

カナダの社会福祉・社会保障制度はとても充実しているといえますね。

おわりに

その国の住みやすさに大きく影響する社会福祉・社会保障制度

カナダは公的な保障が非常に充実していて、いざという時にもちゃんと生活できるような仕組みが整っています。

特に子供の教育や子育てに関する制度は日本よりも手厚く、安心して子供を育てられる環境が揃っています。

カナダが世界でもっとも幸福な国の一つと呼ばれるのも納得できますね。

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