アメリカとカナダの違い10選!言語・経済・国民性など異なる文化をご紹介

カナダとアメリカの国旗

アメリカカナダは、同じ北アメリカ大陸に属する隣同士の国です。陸続きの国であり、共通点も多くあります。

  • 言葉:英語がメイン
  • 世界中から移民を受け入れている
  • 似通った文化を形成している

そのため、アメリカとカナダはほぼ同じ、と考える方も多いかと思います。

しかしアメリカとカナダは異なる文化や風習、考えを持つ国です。それぞれの違いを知り、両国の魅力についてさらに見聞を深めてみましょう!

アメリカ英語とカナダ英語

アメリカとカナダの言語

アメリカとカナダはどちらも同じく、英語を使う人が多い傾向にあります。しかし両国の英語は、似ているようで違う点が少なくありません。

スペルの違い

アメリカとカナダの英語で違う点の1つが、スペルです。アメリカ英語とカナダ英語では、同じ意味を持つ単語でも、文字のスペルが異なるものがあります。

たとえば、「お気に入り」を意味する「favorite」は、カナダでは「favourite」と記載します。「中心」を意味する「center」も、カナダ英語にするとスペルは「centre」です。

発音の違い

スペルだけでなく、英語の発音にも両国には差があります。アメリカでは「Z」は「ズィー」と発音しますが、カナダでは「ゼット/ゼッド」と読むのがスタンダードです。

言い方の違い

アメリカ英語では同意を求める際に、「~、isn’t it?」や「~, aren’t you?」を用いるのが一般的です。一方でカナダでは、語尾に「〜eh?」をつけます。

そのほかにも、カナダではカフェで「ダブル・ダブル」と店員に伝えると、クリームと砂糖を2倍にしてくれます。アメリカで同じように伝えても、意味は通じないかもしれません。

このように、アメリカ英語とカナダ英語は似ているようで、違う点がたくさんあります。

公用語は英語だけではない?

実は、アメリカは国として定められた公用語はありません。とはいえ、多くの州では英語を公用語としています。したがって、公共の資料や国内産の製品の説明書などは、英語で記載されているケースがほとんどです。

一方でカナダの公用語は、英語とフランス語の二カ国語です。カナダの一部地域ではフランス文化が色濃く残っており、看板やメニュー表など、日常的にフランス語を見聞きします。

そのため、カナダでは商品パッケージやさまざまなシーンで、フランス語の表示が義務づけられています。

「人種のるつぼ」と「人種のモザイク」

さまざまな人々

アメリカとカナダは、どちらも移民が多い国です。街を歩いているだけで、さまざまな国の人々に出会えます。

移民の数が多い点はアメリカとカナダの共通点ですが、「移民を抱える国」としての体制には違いがあるようです。

アメリカの場合

大量の移民を抱えるアメリカは、その体制を「人種のるつぼ」と表現されることが多々あります。「るつぼ」とはさまざまな人種や文化が溶け合い、1つになる様を表した言葉です。

ピンクや黄色、青などの絵の具を混ぜて、1つの新しい色を作り出すことをイメージすると、わかりやすいかもしれません。

カナダの場合

一方でカナダは移民を多く抱えた上で成り立つ体制を「人種のモザイク」と表現します。モザイクとは、一人ひとりが持ち前の魅力を保持した状態で、1つのものを完成させる様を表します。

赤や黄色、青などの絵の具を混ぜずに点で絵を描き、1枚の絵を完成させる、といったイメージです。

両国とも移民に対して寛容であることに違いはありません。しかし移民に対する思想には、「1つになろう」とするアメリカと「個を大切に」しようとするカナダで、違いがあることが伺えます。

国民性の違い

さまざまな国と地域

海外の人々が中国人・韓国人・日本人の区別がつかないように、私たち日本人も、白人の国の違いを見分けるのは難しいものです。

しかしカナダに訪れた際、カナダ人に向かって「アメリカ人ですか?」と聞かないように注意しましょう。

カナダとアメリカの国民は、見た目は似ていますが性格には大きな差があります。

アメリカの国民性

アメリカ人といえば「主張がはっきりしている」「軽々しく謝らない」といったイメージを抱く方も多いかもしれません。実際にアメリカは、歯に衣を着せないストレートな物言いを良しとする傾向にあります。

訴訟大国である背景から、「すぐに非を認めると足元をすくわれてしまう」という考えもあるようです。

カナダの国民性

カナダでは、「建前」を美徳とするシーンは珍しくありません。さらに「sorry」を口にすることにも抵抗が少なく、自分の非はすぐに認めて謝るよう、幼いころから教育されている人も多くいます。

カナダ人は日本人の感覚に近いため、留学・旅行で文化の違いに驚くシーンは、アメリカよりもカナダのほうが少ないかもしれません。

公共福祉の違い、医療制度

医者と患者

カナダとアメリカでは、公共福祉にも違いがあります。とくに医療制度には大きな差が存在します。

アメリカの医療制度

アメリカには国民健康保険の概念はありません。そのため怪我をして病院に通う場合、すべて自費診療になります。

自費診療の金額は病院ごとに違いますが、ニューヨーク州の一般的な初診料が150〜300米ドル(2万850円〜4万1,700円)です。

入院を1日すれば約2,000〜3,000米ドル(約27万8,000円〜41万7,000円)かかります。※1USD=139円で換算:2023年7月16日現在のレート

怪我を1つすれば膨大な治療費がかかることから、国民の多くが民間の健康保険に加入しています。しかしその健康保険の金額も決して安くありません。

そのため入院や長期治療が必要になったアメリカの患者は、医療が発展しており治療費が安い海外の国へ、渡航することもあります。治療のための渡航をサポートする会社も存在します。

※高齢者や低所得者向けの制度は存在します
出典元:在ニューヨーク日本国領事館
レート参照元:三菱UFJ銀行外国為替相場一覧表

カナダの医療制度

カナダで怪我をして病院に通う場合、国が用意した国民健康保険(メディケア)が適用されるのが一般的です。国民保険の詳細は州ごとに異なりますが、「患者の負担額は無料」「一部の治療は有料」といったルールは、全州で共通の内容です。

医療制度は公共福祉の考え方が反映されている?

両国の医療への体制は、それぞれの国の公共福祉に対する思想が形になっているもの、ともいえます。

アメリカの権利は「個人・成果主義」といった思想に基づいています。収入が高い人は自己負担である医療制度であっても、大きな問題とは感じないかもしれません。

カナダの公共福祉は「基本的人権を重んじる」傾向にあります。人間らしい生活を送るために欠かせない健康維持に関して、国が国民に分け隔てない治療の権利を与えています。

人口と人口密度

人口密度

人口と人口密度に関しても、アメリカとカナダには違いがあります。

アメリカの人口は2021年時点で約3億3,200万人とされています。国の面積約983.5万㎢です。

カナダの人口は、2021年時点でアメリカの10分の1ほどの約3,699万人です。面積約998.5万㎢と、アメリカと大差ない広さです。

アメリカとカナダは同じくらいの広さで人口数は10倍ほど差があることため、カナダの人口密度はアメリカよりもずっと低いことがわかります。

ちなみに日本の人口は2023年時点で約1億2,452万人、面積は約37万8,000㎢です。日本の人口・面積の数値を比較対象とすることで、カナダがどれほど開放的で伸びやかな環境の国か、より如実に感じ取れるのではないでしょうか。

出典元
外務省|カナダ基礎データ
外務省|アメリカ合衆国基礎データ
総務省統計局|人口推計
外務省|日本の領土をめぐる情勢

国の制度の違い

カナダの旗と灯台

アメリカとカナダは国の制度にも違いがあります。

州の在り方

アメリカは複数の州が集まって1つの国をつくるイメージです。そのためそれぞれの州が独立しており、州ごとによって大きくルールや文化が異なります。

カナダの場合は1つの国の中に州がいくつもあるイメージです。州ごとにルールや文化の違いはありますが、アメリカほど顕著ではありません。

国のリーダーについて

アメリカのリーダーは大統領です。国民による直接選挙で選ばれます。そのため、大統領の権限はかなり強いものとなっています。

カナダの場合、実質的な政治・軍事の指揮権はカナダ首相が握っていますが、名目上の国家元首はイギリス国王のチャールズ3世(記事作成時点)です。さらに、政府内にはイギリス王室が指名するカナダ総督というポジションもあります。

カナダはイギリスの連邦王国であるため、イギリス国王に忠誠を誓っています。

イギリス国王に忠誠を誓うといっても、自国のすべてを投げ打ってイギリスにその身を捧げるという意味ではありません。あくまで政治に関してはカナダ国内でカナダ首相が舵を取り、国王は象徴となる存在です。

イギリスの政治体制を表す言葉「君臨すれども統治せず」は、連邦王国のカナダにおいても同じといえます。

経済規模

経済市場

経済規模に関して、アメリカとカナダには大きな差があります。

マーケットの規模

アメリカのマーケットはカナダよりも活発です。マーケットの1つの指針となるEC市場規模を例にして、マーケットの大きさを見てみましょう。EC市場規模とは、電子商法取引の規模のことを指します。

ネットでどれだけ買い物がおこなわれたか」を表す数値と考えれば、わかりやすいかもしれません。

アメリカの2021年のEC市場規模(BtoC)は世界全体でおこなわれた電子商法取引の、およそ19%を占めています。この数値は、1位の中国(52.1%)に次ぐ数値です。

日本約3%カナダは韓国・ドイツ・フランス・インドを下回る約1.3%という結果が出ています。

このことからカナダの電子取引でのマーケット規模は、それほど大きくないことがわかります。

出典元:経済産業省|令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書

カナダドルとアメリカドル

カナダとアメリカは同じく「ドル($)」を単位とします。そのうえ両国ともに、活用する言語は英語です。ネットショッピングの際は、どちらの国のショップか、それぞれの国民でさえ混乱してしまうケースが多々あります。

カナダとアメリカのドルは実際には「カナダドル(CAD」「USドル(USD)」という正式名称があります。

レートにも差があり、2023年7月17日時点でのアメリカドルのレートは、1USD(米ドル)=約139円です。一方で同日のカナダのレートは、1CAD(カナダドル) =約107円です。

蓋を開ければ名称も金額もまるで違うのに、ショップ画面では一見すると違いがわかりません。

カナダ国内からアクセスしたサイトで「安い!」と思いクリックをした品が、じつはUSドルの商品で、カナダドルに換算するとそれほどお得ではなかった、ということも珍しくないようです。

カナダ・アメリカのネットショップを活用する際は、URLの末尾に注目しましょう。アメリカのサイトは「.com」で締めくくられているケースがほとんどですが、カナダのサイトは「.ca」で終わることが多い傾向にあります。

使っている単位が違う

重さ

カナダの長さや重さの単位は、日本とほとんど同じです。しかしアメリカでは、日本やカナダとは異なる単位が使われています。

その一部が、下記の表です。

主に使われている単位アメリカカナダ
時速マイルキロ
気温華氏(℉)摂氏(℃)
オーブンの温度華氏(℉)華氏(℉)
液体の容量ガロンリットル
重さポンドグラム・キログラム

注意していただきたいのは、これらの単位は、あくまでアメリカ・カナダで利用されている単位の一部にすぎません。

実際に、カナダでもスーパーでは「ポンド(lb)」を使って計り売りがされていますし、コーヒーショップなどでは一般に「オンス(oz)」という単位が使われています。

さらには、同じ「1カップ」でも、アメリカとカナダでは容量が微妙に異なります

似たようなジュースでも、アメリカブランドとカナダブランドで、容量が異なることがあるのは、基本として使用する単位が違うことも要因です。

英語のレシピを参考にするときには、それぞれの単位が正確には何グラムなのか調べておくとよいでしょう。

日付の書き方も異なる?

また、日付の表記もカナダとアメリカでは異なります。アメリカの場合、日付の表記は月/日/年と記します。2023年7月17日なら、7/17/2023といった風です。

カナダの場合、日/月/年で日付を表すため、17/7/2023となります。

どちらも年数が先に来る日本とは異なり、違和感を覚える方もいるかもしれません。留学・観光中はホテルのフロントや各種手続きなどで日付をサインするシーンがそれなりにあるため、記入の並びを覚えておくと良いでしょう。

カナダとアメリカでは祝日が異なる

カレンダーに書かれた日付

クリスマスやハロウィンなど世界共通のイベントの場合、アメリカとカナダで日付に差があることはありません。しかしそれぞれの国にしかないイベント・祝日も存在します。

たとえば、アメリカの場合は7/4が「インディペンス・デー/Independence Day(独立記念日」のため、国民の休日です。カナダは7/1を「カナダデー/Canada Day(建国記念日)」としており、カナダ国内の学校や会社がおやすみになります。

そのほかにも、2カ国で共通していない祝日は多く存在します。カナダでは平日でもアメリカでは祝日でお店がしまっていることも考えられるでしょう。

2つの国を行き来する際は、渡航先の国のカレンダーを確認しておくことをおすすめします。

飲酒可能な年齢

お酒を飲める年齢

日本の場合、お酒は20歳を過ぎないと飲めません。しかし他の国でも同じとは限らず、飲酒可能な年齢は国によって異なります。

アメリカもカナダも、州によって飲酒可能な年齢は違いますが、カナダの場合は基本的に19歳になるまでお酒を飲むことは許可されていません。

一方でアメリカの場合、大部分の州が21歳以上になれば、お酒を飲める年齢としています。

21歳以上の方であれば、どちらの国でもお酒を飲めます。しかしアジア人はアメリカ人・カナダ人より幼く見られてしまいがち。

「お酒を楽しもうと思ったらお店の人に止められた」という日本人の体験談は珍しくないため、カナダ・アメリカでお酒を買う・飲む際には年齢を証明する物を身につけていたほうが安心です。

まとめ

塔の頂点にあるカナダ国旗

カナダとアメリカはお隣同士の国であり、話す言語や人種にも大きな差がありません。そのため、両国を「ほとんど一緒」と考える方も多くいるかと思います。

しかし蓋を開ければ、細かい部分で違う点がたくさん存在します。

カナダに訪れた際は、カナダ独自のルールに沿って生活をすることで、より快適で安全な日々を過ごせるでしょう。

ご紹介したカナダとアメリカの違いを参考にして、カナダならではのルールを把握した上で留学・観光に臨んでみてくださいね。

執筆者 執筆者
カナダ留学コンパス 編集部E

カナダ生活を豊かにする情報を発信中。カナダで暮らすうえで知っておきたい知識・カナダライフをますます充実させるプチ情報など、情報満載でお届けします。

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