移民コンサルタント。「Immigration Consultant ICCRC R511456」を取得している、カナダで数少ない日本人ビザコンサルタント。韓国系最大手の留学エージェント、国際的教育財団でのマネージメント職を経て現職へ。
カナダ独自の「専門的な学習をしながら働ける」制度であるコープ(Co-op)。
名前を聞いたことはあるけれど、カナダコープ留学をするメリット・デメリットがよくわからないという人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、カナダで人気のコープ(Co-op)留学のメリット・デメリットを詳しくお伝えします!
そもそもコープ(Co-op)留学について全く知らないという人は、以下の記事がおすすめです。
このページの目次
カナダのコープ(Co-op)留学のメリット7選
最初に、カナダのコープ(Co-op)留学のメリットを7つ解説します。
メリット
一つずつ詳しく見ていきましょう!
お金を稼ぎながら学べる
カナダコープ留学の大きなメリットは、お金を稼ぎながら学べることです。
コープには学校に通って専門知識を学ぶ「座学期間」と、企業などで就労体験を行う「インターン期間」があり、インターン期間はフルタイムで働けます。
留学はしたいけれどお金が足りるか心配......という人も、生活費を稼ぎながら学校に通えるので安心です。
生活費を稼ぎながら経験を積めるってところはワーホリにも似ているね!
就学期間・コープ期間で働ける時間が違う
バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州では、学校のプログラム期間中の50%までの期間をインターンシップとして就労できます。
50%と聞くと、働ける時間が限られているように見えますが、実はもう少し働けます。
次の2つの期間に分けて考えましょう。
コーププログラムの2つの期間
- 就学期間(学校で勉強する期間)…… 50%
- コープ期間(インターン期間)…… 50%
一見、50%を占める「就学(座学)期間」には働けないように見えますよね。
ところが、カレッジ以上の高等教育で6か月以上のプログラムを履修する場合、学生の間でも週20時間までの就労が認められているのです。
つまり、就学期間中、そしてコープでのインターンシップ期間に次の時間内なら働けます。
カナダのコープで働ける期間
- 【就学期間中】
…… 週20時間(パートタイム) - 【コープ期間中】
…… 週40時間(フルタイム)
結果的には50%の期間を超えて、留学中に収入を得られるということです。
留学中に少しでもお金が貯められるなんてありがたい! 長期滞在にピッタリだね!
ちなみに、カナダは日本よりも最低賃金が高いのもポイントです。同じ時間働いても稼げる額が大きくなります♪
【注意】州によってルールが違う
しかし、州によってルールが違うので注意が必要です。
カナダでは、高校卒業者向け教育のことを「ポスト・セカンダリー・エデュケーション」と呼んでいて、州ごとにルールが異なります。
たとえば、次のようなルールがあります。
州によって異なるルールの例
- 【ブリティッシュコロンビア州】
…… コープでの就労は有給でなければならない - 【オンタリオ州】
…… コープでの就労が無給の場合もある
ブリティッシュコロンビア州では必ず有給でのインターンになりますが、ほかの州の場合は注意が必要ですね。
コープの収入を頼りにしていたのに、実際は無給だった……なんてことにならないように、しっかり情報収集しましょう。
なお、コープでの就労中は、定期的に学校にレポートを提出して学校の科目の一つとして評価を受けることになります。
語学以外のスキルが身につけられる
そして、コープ留学の2つ目のメリットが語学以外のスキルが身につくこと。
語学学校とコープ留学の対象となる「カレッジ」の一番の違いは次の点です。
語学学校とカレッジの違い
- 【語学学校】英語を学ぶ
- 【カレッジ】英語で専門知識を学ぶ
当たり前のことですが、カレッジの目的は「専門知識」を学ぶこと。英語は勉強するための道具です。
コープには次のように様々なプログラムがあり、興味・職業に合わせて学習できます。
希望の職種 | コーププログラム |
---|---|
接客業 |
|
ホテル・観光業 |
|
オフィス系のお仕事 |
|
国際的な取引・物流 |
|
今注目のIT系 |
|
好きなことを仕事にする |
|
要するに、仕事に直結するスキルが身につくということですね。
「語学だけじゃなく、もう一歩難しいことにチャレンジしたい」という方にはピッタリです。
年齢や回数の制限がない
コープ留学の3つ目のメリットが、年齢や回数に上限が定められていないことです。
わかりやすいように、ワーキングホリデービザの例を出します。
ワーホリビザは、申請できる年齢は18歳以上〜31歳未満と決まっていて、申請できる回数は1回だけ(カナダの場合)です。
一方で、コープであればこういった年齢・申請回数に制限がありません。
ですので、すでにワーホリを使ってしまった人や、31歳以上の人でもコープ留学のチャンスがあります!
カナダに長期滞在できる手段の一つ
さらにコープ留学は、カナダに長期滞在できる手段の一つにもなります。
コープを使ってカナダに滞在できる期間は、プログラムにより変わりますが半年〜2年程度です。
他の国の滞在方法でもおなじみのワーホリビザでは最長1年しかいられないので、2年滞在可能というのはかなり貴重な機会です。
できるだけ長くカナダ生活をしてみたいという人は、コープを活用してみるのもいいでしょう。
観光ビザやワーホリビザなどをうまく組み合わせれば、さらに長期の滞在も実現します!
カナダでの就職につながる
コープ留学の5つ目のメリットが、カナダでの就職につながるチャンスがあること。
コーププログラムのある私立カレッジは、基本的に「就職・キャリアアップの為の知識を身につけるビジネスの専門学校」です。
言い換えると「就職するための学校」なので、以下のような就職支援が授業やサポートサービスに組み込まれている場合がほとんどです。
私立カレッジに含まれるサービス例
- レジュメ(英文履歴書)の作り方
- カナダ流の就活の仕方
- 面接のトレーニング
- 面談で求人市場の現状と希望職種のすり合わせ
- 求人情報の紹介・送付
さらに、学校によっては就職フェアや企業説明会を開催したり、パートナー企業の求人につないでくれることもありますよ。
日本の大学のキャリアサポートと似ていますね。
実際に面接を受けてポジションを勝ち取るのは皆さんですが、うまく活用すればチャンスは広がります。
就職支援の他にコープ留学が有利なのは、フルタイムで働ける期間があることです。
コープ期間中に見つけたインターン先で一生懸命働き、雇用主からの信頼を得て、卒業後の就労ビザにつながる可能性を高めましょう。
【大学生】 日本での就職で有利になる可能性あり
さらに、コープ留学の経験が日本での就職に有利になる可能性があるというメリットもあります。
海外で高度な仕事を経験したことがある学生はそう多くありませんよね。
そのため、日本に帰ってからの就職活動でも強力なアピール材料になることは間違いないでしょう。
大学の就活前にコープ留学で仕事の経験を積み、就活の糧にする方も多いですよ。
インターン先で書いてもらった「Reference letter (推薦状)」を、日本での就職先にアピールポイントとして提出できますよ。
メモ
ただし、日本企業でのコープ留学の知名度は高くないです。よって「コープ留学に行った」ことだけを強調してもアピール効果は薄いでしょう。
留学中にどんな仕事をし、何を学んだのかや、就職先で学んだことをどう活かすかを中心に話すといいですよ。
【社会人】キャリアアップにつながる
そして、コープ留学の7つ目のメリットが、キャリアアップにつながることです。
実は最近では「社会人」のコープ留学が増えています。
先述のとおりコープには年齢制限がないため、30代以上の人の留学としても人気なんですね。
たとえば、次のようなきっかけでコープ留学をする社会人も多いです。
コープ留学のきっかけ例
- 仕事を数年経験して、新しい環境に挑戦したくなった
- 留学した後、いい仕事が見つかるか不安
- キャリアアップ/キャリアチェンジがしたい
- 海外で働いてみたい
でも、社会人が退職して留学なんて、キャリアを中断することになるから不安じゃないのかな?
これはいい質問ですね。実は、英語を学ぶための留学とは違い、コープは「仕事をするための制度」です。
言い換えれば、働く場所がカナダになるだけ。
もちろん日本を離れて実践を積めるため、キャリアの中断どころか「その後のキャリアにつなげる時間」を過ごすことができます。
新しいチャレンジとしてコープ留学に興味がある方は、以下ページより弊社サービスの特徴を覗いてみてください!
カナダのコープ(Co-op)留学のデメリット・注意点5選
カナダのコープ(Co-op)留学には、おさえておきたい注意点もあります。
デメリット・注意点
各注意点を解説しつつ、失敗しないためのポイントも紹介するのでご安心を!
コープを開講している学校は限られている
まず、コープ(Co-op)プログラムを開講している学校が限られているという注意点があります。
コーププロクラムを受講できるのは、カレッジ(専門学校)以上の高等教育機関です。
コープが認められているカナダの学校
- 大学
- 公立カレッジ(専門学校)
- 私立カレッジ(専門学校)
- ビジネススクール
※語学学校(ESL)ではコープを履修できません
さらに、カナダ政府の認定校であることが必須条件なのです。
カナダの学校ならどこでもコープがあるわけではないんだね。
実は、2014年より前は私立の語学学校も含め、多くの学校がコーププログラムを開講できていました。
ところが、現在は廃止されているところがほとんどで、コーププログラムが認められているのは、次の厳しい条件を満たしている学校だけです。
コーププログラムが認められている学校の条件
- DLIナンバー (Designated Learning Institution Number) を持っている
- EQA (Education Quality Assurance) に加盟している
政府から認定されたコープができる学校は、下記からご確認いただけます。
日本語で情報を見たい場合は、弊社のウェブサイトもご活用ください!
以下のリンクから、おすすめの学校をご覧いただけます。
詳細はこちら
学んでいるプログラムに関係のある仕事しか選べない
次に注意が必要なのは、インターン先では自分が学んでいるプログラムに関係のある仕事をしなければならない点です。
コープは授業の一環なので、WEBデザインを学んでいるのに飲食店で働いたのでは意味ないです。これは当たり前ですね!
コープは「希望の仕事に就くために必要な知識を身につけ、インターンで実績を積むためのプログラム」。
よって、学校にインターン先を「承認」してもらう必要があります。
学校のコープ担当者とよくコミュニケーションを取るようにしよう!
「卒業後の就職先」は自分で探す必要がある
次に、勘違いされがちな注意点を紹介しましょう。
コープでの仕事は、基本的に自分で探すことになります。
現地のカナダ人と同じように自分で求人を見つけ、応募、面接をこなして見つけます。
えっ!インターン先は学校が紹介・斡旋してくれるんじゃないの!?
はい。でも学校側は、学生にきちんとプログラムに関係ある仕事をさせる責任があります。
ほどんどのカレッジでは、仕事先の斡旋はしていませんが、授業などで徹底的に就職準備をします。
学校のサポートを活用して、自分ひとりで仕事を探すよりレベルの高い仕事を得られることも多いでしょう。
ちなみに、クラスメイトから求人情報を教えてもらうなど、情報交換で仕事が見つかる場合も多いです。
また、学外では業界ごとにミートアップ(交流会)を実施していることもあり、そういったところで仕事を見つけたり、つながりを作る人もいます。
コープ留学をしている人が実際にどうやってインターン先を探したのかは、以下の体験談を確認してみてください!
インターン先が見つからない可能性あり
また、インターン先は必ず見つかるわけではないという点も注意しておきたいところ。
特に、未経験で新しい仕事に応募しようと思っている場合は、インターン先探しが難航することもあると覚えておきましょう。
なぜなら、カナダでは経験やスキルがとても重視されるからです。
もちろん、未経験から現地インターン先を見つけたり、その後ワークビザなどを出してもらっている人もいます。
ただ、それは誰でも簡単にできることではなく、綿密な事前計画や留学中の積極的な行動によって得られたものであることがほとんどです。
少しでも就職の可能性を高めたいのであれば、学習・就活計画は早めに立て、諦めずにたくさんの求人に応募することが重要です。
留学計画にお困りの場合は、ぜひ弊社にご相談ください。
ポスグラビザの対象外
最後に注意しておきたいのは、コープはポスグラビザの対象にならないということです。
ポスグラビザとは?
ポスグラビザ(Post Graduation Work Permit, PGWP)は、一定の条件を満たすカナダの学校を卒業したときに発行される就労ビザ。通学期間に応じた就労ビザが発行される。8か月から24か月間学校に通っていた場合、就学期間と同じ期間分のビザがもらえる。さらに、2年以上の通学の場合は3年間の就労ビザが手に入る。
ポスグラビザがあれば、最大3年間カナダで働けるため、魅力を感じる人が多いです。
しかし、コープ留学を提供する私立カレッジは、ポスグラの対象になりません。
もしもポスグラを使わずカナダでの長期滞在・就労を目指すなら、ワークビザ、ワーホリ・ROワーホリビザなどを組み合わせる方法があります。
コープ(Co-op)留学以外にカナダで働けるビザ・プログラムはある?
先ほどのデメリット・注意点を見て、コープ以外でカナダで働けるビザについて知りたいと思った人もいるかもしれませんね。
ここでは、コープ以外でカナダで働けるビザ(就労ビザ)やプログラムの特徴・概要まとめてご紹介します。
コープ以外で働ける主なビザ
注意
ここで紹介するのは、雇用主・職種を限定しない就労ビザである「オープン就労ビザ」の一部です。就労ビザについてさらに詳しいことは「カナダの就労ビザについて」をご覧ください。
ワーキングホリデービザ
カナダで働けるビザとして思いつく人が多いのは、ワーキングホリデービザでしょう。
こちらのビザの特徴・概要は以下のとおりです。
申請年齢 | 18歳~30歳 |
---|---|
条件 | 一生に一度 |
働ける期間 | 1年間 |
仕事の種類 | 自由に選択可能 |
永住権に活用 | 〇 期間中の職歴は永住権申請にカウントされる |
30歳以下の人であれば申請しやすい就労ビザですが、一生に一度しか申請できない点にご注意ください。
詳細な応募条件や申請費用などは、以下の記事をご確認ください。
ROワーキングホリデービザ
次に紹介するのは、ROワーキングホリデービザです。
ROとは、Recognized Organizationの頭文字で、カナダ政府から認可を受けた指定機関のことを指します。
このROを通じてのみ申し込みができる特別な制度のため、ROワーホリと呼ばれています。
他の国にはない、カナダ独自の制度です。
こちらのビザの特徴・概要は以下のとおりです。
申請年齢 | 18歳~35歳 |
---|---|
条件 | ワーホリ経験済みでも参加可能 |
働ける期間 | 1年間 |
仕事の種類 | 自由に選択可能 |
永住権に活用 | 〇 期間中の職歴は永住権申請にカウントされる |
通常のワーホリとの大きな違いは、「申請可能な年齢」と「条件」です。
コープと同様に31歳以上であっても申請ができ、ワーホリ経験済みでも参加できるのが魅力です。
参加枠が限られているビザなので、募集があれば必要書類を揃えて素早く応募をしましょう。
弊社では以下の記事や公式Twitter(X)などで、ROワーホリの最新情報を発信しています。
ポスグラビザ
最後に紹介するのは、ポスグラビザ。こちらのビザの特徴・概要は以下のとおりです。
申請年齢 | 制限なし |
---|---|
条件 | 一生に一度/条件を満たした学校を卒業する必要あり |
働ける期間 | 8か月~24か月未満の就学:学校に通った期間と同期間 24か月以上の就学:3年間 |
仕事の種類 | 自由に選択可能 |
永住権に活用 | 〇 期間中の職歴は永住権申請にカウントされる |
注目すべきは、働ける期間。先述のとおり、最大3年間働けるというのは大きな特徴です。
申請の前に公立カレッジや大学を卒業する必要があるので、取得までには時間がかかりますが、永住権申請にもつながる貴重なビザの一つですね。
ポスグラビザについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
カナダのコープにはメリットが多い!デメリットにも留意して留学を計画しよう
今回は、カナダのコープ留学のメリット・デメリットを詳しく説明しました。
紹介したメリットは以下の7つでした。
メリット
また、デメリット・注意点は以下のとおりです。
デメリット・注意点
コープを使って留学するか迷う......という人は、ぜひコープ留学を経験した学生・社会人の皆様の体験談をご覧ください。
詳細はこちら
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