2014年からカナダ在住。カナダ人同性パートナーと「ふたりママ」として双子を子育て中。LGBTQ+やジェンダーバイアスをブログ「旅するダンサー自由記」にて発信。カナダでダンススタジオ経営&日本語保育園勤務。多様な家族を伝える絵本「かぞくです」作者。
こんにちは!
2016年にカナダ人同性パートナーとカナダで結婚をした、まどぅーです。
カナダの結婚制度は日本と違うのでしょうか?
同性婚はできるのか、別姓で結婚できるのかなど、カナダの結婚についてまとめました。
このページの目次
カナダの結婚制度について
日本の結婚制度とカナダの結婚制度は違う部分がいくつかあるので説明しますね。
カナダでは何歳から結婚できる?
カナダでは、16歳以上であれば結婚が可能です。
ただし、18歳未満で結婚する場合は保護者の同意が必要になります。
カナダでは結婚したら姓を変える?
日本ではいまだに「選択的夫婦別姓制度」は実現していないですよね。
婚姻届を提出する際には、夫または妻の姓を選ばなければいけません……。
では、カナダでは結婚したふうふのどちらかは姓を変えなければならないのでしょうか?
カナダでは別姓も同姓も選択できる
カナダでは結婚したからといって相手の姓に変える必要はありません。
ふうふ別姓も、ふうふ同姓も選択できます。
ちなみにケベック州では、1981年から原則として別姓です。同姓にしなければいけない日本とは逆なんですね!
そんなケベック州でも許可を得れば配偶者の姓を名乗ることも、もちろんできますよ。
ブレンデッドファミリーネーム(Blended Family name)とは?
カナダでは別姓も同姓もできますが、ブレンデットファミリーネーム(Blended Family name)という姓もあります。
ブレンデッドとは、「複数のものを混ぜ合わせた」という意味で、「自分の姓」と「相手の姓」を混ぜ合わせて姓を作成できるんです。
例えば鈴木さんと佐藤さんだったら、「Suzuto(鈴藤)」や「Saki(佐木)」のような新たな姓を作り、名乗ることが可能です。
さらに「自分の姓」と「相手の姓」をハイフンでつなげ、「Suzuki-Sato」のように2つの姓を持つこともできます。
そのため、2つの姓を持っている子どもたちも多くいますね。
姓は個人のアイデンティティ。当たり前に自分で選べるものとして認識されています。
カナダに戸籍制度はある?
カナダに戸籍制度はありません。その代わりに婚姻証明書を州から発行してもらいます。
ちなみに戸籍制度があるのは日本、中国、台湾のみだそう。
世界的にみると、戸籍制度がある国のほうが珍しいです。
カナダの結婚の手順
日本では結婚式を挙げなくても、市役所に婚姻届を提出すると受理されますよね。
カナダでは小さくてもいいので必ず結婚式を挙げる必要があります。
認可を受けたマリッジコミッショナー(公証人)さんに結婚式をとりおこなってもらうことが必須だからです。
下記はわたしの結婚式の写真です。真ん中にいるのがマリッジコミッショナー(公証人)さん。
カナダでの結婚の流れは以下です。
カナダでの結婚の流れ
- マリッジライセンス(marriage license:婚姻証明書を政府から発行してもらうための申請書)の取得
- 挙式
- マリッジライセンスの提出
- 婚姻証明書が自宅に届く
挙式にはマリッジコミッショナー(公証人)さんだけでなく、それぞれの立会人も出席が必須です。わたしは母に立会人になってもらいました。
無事に式が終わると、マリッジコミッショナー(公証人)さんがマリッジライセンスを役所に提出してくれます。
結婚式から約3週間後に婚姻証明書が自宅に届きますよ。
コモンロー制度とは?
カナダでは、結婚していなくても1年以上同棲していれば実質として結婚しているとみなされる「コモンロー制度」があります。
日本にはない制度です。
結婚しているカップルとほぼ同等の権利が与えられるので、結婚せずにコモンローを選択している人も数年前より確実に増えています。
結婚せずにパートナーと子育てをしている家庭も多いですよ。
参考
ふたりの間に子どもがいても結婚せずにコモンローを選択している場合があります。「妻・夫」という立場ではない場合もあるので、関係性がわからない場合は「パートナー(partner)」という言葉を使うように心がけたほうがいいでしょう。
カナダ人と結婚したらカナダ国籍になる?
日本人(日本国籍所持者)がカナダ人と結婚しても、カナダ国籍になるわけではありません。
誤解されることがありますが、日本人は日本人のままです。
ですが、結婚相手がカナダの永住権を持っていればカナダ国籍(いわゆる市民権)を申請することはできます。
ただし、日本の法律では二重国籍を認めていないので、カナダ国籍を取得した時点で日本国籍を失ってしまいます。
カナダ国籍を持っているとカナダでの選挙権が与えられたり、国家公務員への就職が可能になりますが、結婚を機にカナダ国籍を取得する人は少ないでしょう。
カナダの同性婚・結婚の平等について
カナダでの結婚について紹介しました。
今度はカナダの同性婚・結婚の平等について当事者として解説しますね。
カナダは同性婚ができる国
カナダは2005年から全国で法的に同性婚ができるようになりました。
下記はわたしがカナダで結婚式を挙げた時の写真です。
カナダは、今でこそ「2SLGBTQ+フレンドリー」の国として知られていますが、1960年代は同性愛者は犯罪者として扱われていたんですよ……。
不当に解雇された2SLGBTQ+当事者の方々が結婚の平等を訴え、裁判に勝ったり負けたりを繰り返してきました。
2SLGBTQ+とは?
日本では「LGBTQ+」と表記されますが、カナダでは「2SLGBTQ+」と表記されます。2Sは2-spirit(トゥースピリット)の頭文字をとったものです。カナダや北アメリカの先住民には古くから2つの性を認識されてきました。2つの性役割を持つ先住民の人たちのことを2-spirit(トゥースピリット)と呼びます。
長い年月を経て、結婚の平等が保障された国へと変わったんですね。
2017年にはジャスティン・トルドー首相が、2SLGBTQ+コミュニティへの不当な扱いや差別について国会で涙ながらに謝罪したこともありました。
今では街を歩くと、様々な場所でレインボーフラッグ見かけますよ〜!
同性婚は英語でなんという?
同性婚は英語で「same-sex marriage」または「gay marriage」といいます。
英語で「gay(ゲイ)」というと、「同性を好きな人のこと」をいうので、ゲイだけでなくレズビアンも含まれます。
そのため「gay marriage」は男性同士の結婚という意味合いではなく、同性同士の結婚という意味になります。
しかし、最近は「gay marriage」が使われることはほぼありません。
メディアやニュースでは「same-sex marriage」または「marriage equality(結婚の平等)」が使われています。
カナダはどんな性別の人も結婚ができる
カナダでは、どんな性別の人も結婚ができます。
「どんな性別の人も」というのはどういう意味でしょうか?
たとえば、カナダでは認められている性別が「X(エックス:女性でも男性でもないという姓)」の人も問題なく結婚できます。
こうした当事者を含め、ノンバイナリーやトランスジェンダーの方も結婚ができるのです。
少しわかりづらいと思うので、日本の制度を例にあげてみましょう。
日本では、法律上の性別が同じ2人は結婚ができませんよね?
例えば、戸籍上は「女性」である「トランス男性」が女性と結婚する場合、「同性」になってしまうため、結婚できません。
もちろん戸籍上の性別を変更すれば結婚できますが、性別を変更するには様々な厳しい要件があり、手術に伴うリスクや負担、費用などから誰もが性別を簡単に変えられるわけじゃないんですよね……。
日本も早く性別にとらわれない結婚の権利が保障されてほしいです。
ただし、男性同士でも日本で結婚できた例があります。
あれ? 日本ではまだ男性同士は結婚できないはずでは?
実は、片方の男性がトランスジェンダー当事者で、戸籍上は「女性」だったからです。そのため「戸籍上は男女のカップル」という形で結婚ができたそうです。
結婚できたことは喜ばしいのですが、「自分が望む性別で結婚したかったけど叶わなかった。結婚したので戸籍の性別変更できなくなったので複雑」とおっしゃっていました。
カナダでは自分や相手の性別は結婚する上では関係ないので、上記のようなことは起こりません。
なぜなら、すべての性別の方に結婚する権利があるからです。
参考
上記のような性別に関する事情により、「同性婚(same-sex marriage)」という言葉が当てはまらない当事者も多くいます。時と場合に応じて、結婚の平等(marriage equality)という言葉を使うことが推奨されています。
カナダでは日本人同士でも同性婚できる
カナダでは日本人同士でも同性婚ができます。
永住権を取得しなくても結婚ができるのでハードルは低いでしょう。
異性カップルと変わらない手続きで行なうことができますよ。
参考
自国で「LGBTQ+である」という理由で命の危険がある国の場合(死刑にされるなど)には、LGBTQ+難民として申請し、カナダに移住する選択肢もあります。
カナダで同性婚したら日本でも結婚したことになるの?
カナダで同性婚した場合、日本でも結婚したことになるのでしょうか。
カナダでは同性パートナーと結婚することができますが、日本に帰国すると結婚は無効になってしまいます。
なぜなら、日本国内では同性婚が認められていないからです。
わたしは冒頭でも述べた通り、同性パートナーと結婚しています。カナダでは既婚者ですが、日本に行けば未婚扱いになってしまいます。
さらに、わたしたちの間には2人の子どもたちがいます。
当然ながらカナダでは家族と証明できますが、日本では法的家族として認められません。
わたしのパートナーが同性であることが理由です。
パートナーとして認められないため、配偶者ビザが降りず、日本で一緒に暮らすこともできません。
日本に一時帰国した時に、万が一の緊急時に家族を守れないので、日本でも早く家族として扱ってもらいたいですね。
カナダで結婚すると永住できる?
カナダで結婚(同性婚を含む)をしたら、カナダで永住できるのでしょうか?
つまり、結婚することでカナダに住むことが可能なのでしょうか。
パートナーがカナダ人である場合
結婚相手(パートナー)がカナダ人の場合、ファミリークラス制度を通してカナダ永住権を申請できます。
相手が異性の場合も、同性の場合もまったく同じです。
ただし結婚しただけでカナダに住めるわけではなく、永住権の申請を行い、審査が通ればカナダに住むことができます。
永住権取得までの道のりは「ふたりの関係が真実である」と証明するプロセスのようなもの。
1〜2年で永住権が取得できる場合が多いです。
ちなみにわたしは半年で永住権がおりました。永住権が早く取得できる場合も稀にあるようです!
永住権とは?
国籍を変えずに、半永久的にその国に滞在できる権利。カナダの永住権は5年間に1度更新が必要です。
パートナーが日本人の場合
日本人同士がカナダで同性婚をした場合、カナダに住むことは可能なのでしょうか。
もし日本人パートナーが「永住権」をもっている場合は、自分も永住権を申請できます。
永住権をもっていない場合は、日本人パートナーがカナダで取得しているビザによっては配偶者ビザが取得できます。
結婚しただけでは永住権が降りることはありませんが、配偶者ビザを利用して日本からカナダへの移民をめざすことは十分に可能です。
カナダは移民国家なので毎年たくさんの外国人をカナダに受け入れていますよ。
まとめ
この記事ではカナダの結婚についてまとめました。
カナダは日本人同士でも同性婚ができるので、カナダ移民をめざすLGBTQ+当事者の方もいるのではないでしょうか。
カナダ留学コンパスでは、資格を持った専門家がカナダの留学や永住権に関するご相談を受け付けています。
ぜひお気軽にご相談してみてくださいね。