採用のプロに聞く、留学生活を転職へどう活かすか


留学生のための就職セミナー第2弾の模様をお届けします。

「採用のプロに聞く、留学生活を転職へどう活かすか」

今回のカナダ留学コンパス無料オンラインセミナーのテーマは「留学と転職」。

採用のプロである、森尚樹さん「留学生活の転職活動への活かし方と心構え」を教えてもらいました。

トロントのエージェントで多くの留学生を見て来た海野めるもさんがインタビュアーです。

皆さんと同じように留学生としてカナダ渡航、その後留学エージェントとしてご活躍されています。

留学後の就職を成功させるために大切なことを知って、キャリアアップにつなげましょう。

セミナー目次

  1. 留学は転職活動でどう評価されるのか?
  2. 留学を経ての転職にはどんな準備が必要なのか
  3. 質疑応答

森尚樹さんってどんな人?

まずは、森さんの略歴をご紹介します。

2021年末頃からカナダのブリティッシュコロンビア州に、家族5人でお住まいの森さん。

8歳長男と男女の双子がいらっしゃるそうです。

日本の会社をリモートで経営しながら、子供たちはカナダの小学校に通い、親子留学のような状態です。

ご自身も2回の留学経験があるそうで、1回目は大学1年の時にアメリカのスタンフォード大学に、一か月間の短期プログラムに参加されたそうです。

日本・台湾の大学生と、スタンフォードの大学生寮に泊り、その間アクティビティなどがあるという留学プログラムだったそうです。

さらに、2回目ではカナダのバンクーバーで、1か月間ホームステイと語学学校に通われたとのこと。

カナダ大好きでまた20年越しくらいで戻ってきた感じですね」

素敵ですね!

略歴

2007年に新卒で大手人材エージェントに就職され、約6年間経験を積まれました。

その後、ベンチャー企業に採用担当として引き抜かれ、採用の仕事を4年間くらい行った後に、「社会人10年やってそろそろサラリーマン疲れたなっていうことで」フリーランスに転換、1年後に法人化されました。

森さんの会社 Rasisat(ラシサト)は、もうすぐ5期目だそうですよ。

森さん1人でやっている会社なので、自由度が高いです。

「カナダに移住しながら日本の会社経営すれば、家族とも一緒にいられる」と思い2021年12月に家族で渡航、「そんな欲張りな生活をしている」そうです。

日本で転職したい人を日本の企業につなぐ Rasisat(ラシサト)

森さんは転職エージェントなのですが、あくまで日本で転職したい人を日本の企業につなぐ助けをしています。

「名もなき転職チャンネル」という YouTube チャンネル経由で相談していただいた方に、丁寧に個別性を持って紹介することをお仕事にされています。

もしかしたらこの記事を読んでいる方もご存じかもしれませんね。

留学は転職活動でどう評価されるのか?

就職活動において、留学がそもそもマイナスに捉えられることはありません

そこは安心してください。

ですが、じゃあプラスになるかって言うとそれは伝え方次第になります。

前提として、中途採用転職活動において重視されることは、実務経験とスキルと知識なんです。

留学経験ではありません。

つまり、企業側からすると、いかに即戦力性を持ってうちの会社であなたは活躍してくれますか?っていうところが一番大事になってきます。

新卒の就職活動と比較すると、新卒ではポテンシャル(伸びしろ)が重視されます。

ですが、中途採用の場合は、即戦力・実務経験が一番重視されてきます。

なので、いくら皆さんが留学して英語力が向上したり、カレッジでマーケティングを学んで、その学問上の知識が付いたというのがあったとしても、仕事でそれをやってきた人にはどうしても勝てないところが残念ながらあります。

その前提があるので、留学経験というのは、マイナスになるわけじゃないけれども、それ自体が面接でプラスに働くものではありません

また、留学生からすれば当たり前のことでも、面接官は知らないことも多いです。

面接官にしてみれば、留学って学歴の一個でしょ、ワーホリって海外でアルバイトしていたんでしょ、というくらいの認識だったりします。

コープ留学、それって何なの?生協組合がやっているの?というところから始まります。

なので、留学の話をするには、説明が大事になってきますし、これをアピールポイントとして持ち出すかどうかは、ケースバイケースになってきます。

前提として「留学はあくまで参考程度として語れる経験」という認識を持つ必要があるそうです。

留学経験の「伝え方」

留学自体がプラスとして評価されるわけではないことは分かっていただけたかと思います。

それでは、留学経験を「面接で語れるエピソード」にするにはどうすればよいのでしょうか?

まず気を付けたいのが、「だれにでも当てはまる話をアピール材料にしない」こと。

「留学してたら、それ当たり前だよね」と思われて終わってしまいます。

もちろん、「留学中に仕事で成果をあげました」というエピソードを語れたら、それが一番いいですよね。

ただし、留学生活というものはありきたりになりがちなのも事実です。

よくある伝え方に以下のようなものがあります。

「私は自分の視野を広げるために留学行きました。海外での経験を通じて、色んな国籍の人と話すことで、多様な価値観を尊重する重要性を学びました。また、言葉の壁がある中でも、自分から挑戦する姿勢を忘れずにいたことで、多くの友人に恵まれました」

悪い話じゃないです。すごく大事なことでもあります。

ただ、「留学行った人の多くはこれ当てはまるよね、っていうことを熱烈に主張されても…」っていう風にとらえられてしまいます。

これではプラスにはなりません。

そのような場合でも、大切なのは「起こった事実を自分だけのストーリーとし、伝える」こと。

事実は変えられませんが、それをどう解釈するかは自分次第です。

ではここで、具体例を見てみましょう。

まずはパターン①、こんな感じでお話をされる就活生・転職活動中の方が多いんです。

抜粋すると、以下のような経験です。

パターン①

「人々の生活を豊かにしたいという軸で、家電メーカー総合職として入社しました。配属は販売代理店にて営業の配属だったのですが、業務量が多くて残業時間も毎月40時間以上あって、体調崩して、3年目終わったタイミングで経理へ異動させてもらいました。経理も仕事覚えちゃったら後はルーティーンです。そのため、やりがいや成長実感がないので転職を考えてます。御社が募集してる仕事の経験ないんですが、なんか面白そうだしキャリアアップにつながると考えて応募しました」

同じ人のパターン②で言い換えてみます。

パターン②

「家電メーカーの代理店営業の仕事に就きました。営業として、3年間コンスタントに年間の予算金額は達成していたのですが、担当代理店の経営改善に携わる仕事をしたことをきっかけに、会社の数字周りに興味を持ち、経理部門への異動を希望して移りました、その後は経理部門で約四年間自社の BS や PL を作りながら課題発見・課題解決をしておりま。今後は、入社時は営業として顧客の声を聞いてきた経験、現在は経理として数字を見てきた経験から、現場のことも分かる事業企画として事業を一期通貫で見られる人材とステップアップしていきたいです。」

いかがでしょうか。

「仕方なく・何となくこうなった」という印象から「自分できちんと考えて決めた」という印象になったと思いませんか?

いかに自分だけのストーリーとして語れるか、起こったことをどのように解釈し、定義づけてそれを伝えられるかがとても大事になってくるんです。

  • なぜ留学に行こうと思ったのか
  • これまでと違って何をしたのか何を考えたのか
  • 留学・ワーホリを終えて今後どうしていきたいのか

このような点をきちんと自分だけの言葉で語りましょう。

もちろん、人生を全部能動的に生きられる人なんて、そうそういません。

ですが、そこをいかに前向きに解釈して、自分としてはこういう風に考えて、行動してきています、と自信を持って語れることが大事です。

留学経験も同じですね。

気付いたらあっという間に留学期間終わってしまった、深く考えられていなかったという人も、もちろん多いかと思います。

ですが、転職活動のタイミングでは、留学前の気持ちや、留学中の自分の経験を、どういう風に解釈して言語化するかが肝になってきます。

英語力を活かして経験を活かして仕事をしたい人へ

「英語力を活かす仕事と限定すると、視野が狭まって、うまくいかなくなっちゃうことも多いですね」と森さん。

せっかく英語を学んだから、英語を活かした仕事をしたい、しなくてはならない、と思う人はとても多いです。

ですが実際のところ、留学経験者みんながみんな、英語に関連した仕事しているかというと、決してそんなことはありません。

なぜかと言うと、留学直後で英語を活かせるような仕事にダイレクトにつける機会そのものが少ないからなんです。

代表的な仕事には、翻訳・通訳などがありますが、正社員を中途で採用する枠自体が少ないです。

貿易事務も経験の方が重要視されます。

英語は出来る、でも貿易実務行ったことはない、という人だと、日本で貿易事務の経験がある人には負けてしまいます。

再三お伝えしてるように、転職では実務経験が重要視されてしまうので、英語を活かした仕事にすぐ着くことは、結構難しいと思います。

海外展開の話は、そもそも募集要項には載っていませんよね。

海外駐在に、若い人を送ってくれる会社も少ないです。

現地事業の社長を任されるくらいにならないと、厳しいかもしれません。

希望の職種につくにはどうすればいいの?

留学直後に英語を活かせる仕事につくのは難しい、と厳しいことをお伝えしました。

ですが、「将来的に英語を使って何か仕事したい、という希望を諦めろ、現実味ないぞって言うつもりは毛頭なくて。そういう理想像は持っていた方が絶対いいと思うんですよ」と森さんはおっしゃいます。

ただ、留学直後に、いきなりそこに飛び込もうとすると無理があるそうです。

それでは、どうすれば将来的に希望の仕事につけるのでしょうか?

ここで大事になってくるのが逆算のキャリア戦略

将来の理想像から逆算し、そのために必要なステップを一つひとつこなしていきます。

例えば、理想の状態を「外資系企業で Web マーケターとして働く。ただし、今経験がまだない」としましょう。

ありがちなのが、いきなり希望のところに応募して、書類選考で落とされてしまうケース。

「経験」という必要要件を満たしていないから落とされてしまいます。

ではどうするかというと、外資系企業の Web マーケターとしては、どういう人が求められているのかをまず調べて、そこから逆算していきます。

例えば 外資系企業 の募集要項のところで 「Web マーケティングの実務経験何年」とか「ビジネスレベルの英語力は TOEIC 880点以上」と書いてあったとします。

それならば、未経験で Web マーケティングの実務経験が積めるような仕事につく必要がありますよね。

そのような仕事では、どういう人材が求められているのかを調べます。

これを繰り返し、最終的に今の自分が、理想の仕事につくための条件を手に入れられるところに応募していくわけです。

そのポジションで実務経験を積んで、英語については帰国した後も勉強し続けて、会社の中で英語を使う機会があれば、どんどん手を上げていく。

遠回りに聞こえるかもしれませんが、そうしていくと確実に年収、スキルや知識は付いてきます。

そうして最終的な目標までステップアップしていきましょう。

「英語を使う求人」と限ると、自分のやりたい事やバックグラウンドとずれてきます。

35、40、45歳…最終的にどうなっていたいかをイメージ、いきなり夢の仕事につけて、ゴールにたどり着けるとは思わない方がいいとのことです。

留学前・留学中にできる転職準備

留学中は良くも悪くも時間はあります。

自分とじっくり向き合って、自分のキャリアのストーリーを作りましょう。

留学前は、暫定でいいので、自分が留学に行く目的や、何を身につけたいか経験したいかを考えましょう。

頭に思い浮かべるだけではなく、スマホでもノートでも、書き留めておくといいです。

留学中は、後半になるにつれて「キャリアの棚卸し(自分のキャリアやできる事を明確にする作業)」をしましょう。

求人サイトや転職エージェントは、登録した途端メールや電話が大量に来るので、帰国直前の登録でよいでしょう。

自分の人生を3年刻みくらいで振り返ってみるのもおススメです。

例えば、4歳から6歳自分はどこに住んで何考えていたかなとか、7歳から9歳、小学校低学年はどうなったかなとか。

そうすると、だいたい自分はどういう子供だったのか、何を目指して、どんな性格の特徴があったのか、などが見えてきます。

社会人になってからは節目節目で、何を考えて、どんな実績を出したのか、どんな仕事の工夫したのか、などを振り返ってみましょう。

転職エージェントについて

転職エージェントを利用する時気を付けてほしいのが、皆さんの転職軸や自己分析、いろんなことが曖昧だとしても「とりあえず受けてみましょう」「履歴書・職務経歴書よく書けてますよ」という感じで、自分の中でのストーリーが中途半端な状態で流されてしまうこと。

きちんと自分の中で整理しておくことが大切です。

留学で何もアピールできることがない!という場合は?

留学生活は、あっという間ですよね。

気付いたら帰国、というパターンは多いです。

実際、みんなが思ってる以上に、「すごいことをやってきている人」は少ないです。

面接官も「どんなすごいことをやってきたのか」と期待しているわけではありません。

そもそも留学っていうのは、現地の人のように生活するっていうことですよね。

「代わり映えしない生活」が普通です。

ですので、留学前・留学中・留学後をふり返って、ちゃんとストーリーとして自分の人生にポジティブな影響を与えているんだって伝えられれば大丈夫です。

辛いことも含めて、1年間とか2年間とか時間を決めて遂行したんです。

そのことだけでも、成長したんだって自信を持っていいんですよ!

スティーブ・ジョブズ氏の言葉

森さんが大切にしている言葉をご紹介します。

未来の点と点をつなぐことは出来ない。できるのは後からそれを繋ぎ合わせることだけ。私たちは今やっていることが将来どこかで繋がると信じるしかない

留学前に知っておいてほしい事

質疑応答の前にメルモさんから留学前に知っておいてほしい事についてお話がありました。

まずは、留学中に起こる気持ちの変化について。

留学中は、皆さん大体この流れを通ります。

何でも楽しい時期→ホームシックを感じる時期→調整期間→順応期間→(帰国)逆カルチャーショック

就職・転職活動時期はまさに「逆カルチャーショック」を受けている最中です。

「日本もっといいと思ってた」「カナダの方が良かったとか」という気持ちのまま、新たな仕事を探すことになります。

「キャリアの棚卸」や「留学生活の振り返り」「ストーリー作り」は、出来れば帰国前にしましょう。

また以下の行動は留学中は避けましょう。

  1. 勉強だけをする=留学の意味がありません
  2. 日本人を徹底的に避ける=逆に協調性がない印象に
  3. 全部人にお任せ=主体性がなく、「ストーリー」はできません
  4. スラングだらけの英語を身につける=ビジネスの場で汚い英語は恥ずかしいです

最後に質疑応答の時間がありました。

沢山の質問に、丁寧に答えていただきましたよ♪

アンケートで届いたセミナーの感想

セミナー後に実施しているアンケートでも大好評だった今回。

皆様から寄せられた声を一部ご紹介します。

留学をしてまだ日数が経過していない内に受講しておいて良かったと思いました。今後の留学生活の見直しに役立ちました。留学中にしっかり自己分析をして今後の転職活動に備えようと思います。

有益なお話を聞かせていただき大変楽しかったです。海野さんの進行がスムーズで素晴らしかったです。学歴社会か、や、外国の人から見た時に日本のキャリアをどう説明するとインターンのインタビューの際に分かりやすいかなども知りたいなと思いました。

YouTubeでのもりさんとしょうさんとの対談も楽しみにしています

今後も、留学生の皆様に有益な情報を届けていきます!

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

まとめ

留学と転職セミナーの模様をお伝えしました。

採用側から見た、留学の捉えられ方、参考になったでしょうか?

他にも英語セミナー就職セミナーなど、毎週様々なテーマで開催しています。

気になった方はLINE VOOM(旧タイムライン)とTwitter@canada_compass)の告知をご覧ください♪

今後も定期開催していきますので是非ご参加くださいね!

執筆者 執筆者
Anna

新卒で金融機関に就職、ウェブ担当者として、ホームページのリニューアル・運営を一任される。以来10年以上、SEO・ウェブマーケティングはもちろん、デザイン・コミュニケーションなど、多岐にわたる分野で活躍。留学を機に、現在はカナダ在住4年目、ウェブサイトの改善・運営・SNS運用など、様々なプロジェクトに携わっています。

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