バンクーバーの高級和食レストラン「Miku」の社長へインタビュー

監修者 監修者
末永 真一

カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。カナダ留学情報を発信するTwitterアカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万を超える。現在までサポートしてきた生徒数は1万人以上。

今日は、バンクーバー屈指の人気日本食レストランである「Miku Restaurant」のオープンから、約10年来の仲である、「Aburi Restaurants」の中村社長にお話を伺いました。

「Miku」の社長へインタビュー

中村社長がカナダに進出した経緯や、バンクーバー人材不足の理由、そして海外で働きたい方へのメッセージなどなど、インタビューさせて頂きました!

「Miku Restaurant」の詳細はこちらの記事にまとめています。

海外に興味をもったきっかけは?

末永 

MikuやMinamiといえば、今ではバンクーバーのNo.1レストランといっていいほどの人気店ですが、お店を出す前、中村社長は九州で回転寿司店を経営されていたと聞いています。

中村社長

はい、元々は宮崎の実家が寿司屋を営んでおり、親の後を継いで、ビジネス形態を回転寿司店に変え、九州南部を中心に8つの店舗を経営していました。

末永

九州では今でも人気の高いお店だとお聞きしています。そこから最初に海外に興味をもったきっかけは何だったのですか?

中村社長

はい、おかげさまで会社は順調に拡大していましたが、実はその前から、将来日本のマーケット規模が下がっていくことに不安を感じており、「いずれは世界に」と思っていたのです。

末永 

日本では「少子化による市場縮小」が問題視されていますよね。

中村社長

日本の外食産業は、「勤務時間だけでしか評価されない」「長時間労働が当たり前」、という所があって、そこに閉塞感を感じていました。尊敬している店長さんも、「毎日業務に追われている」ように感じていました。

末永 

なるほど、当時から「長時間労働」や「生産性の問題」にも疑問をお持ちだったのですね。

バンクーバーに出店を決断

末永 

なぜバンクーバーを選んだのですか?

中村社長

最初、バンクーバーを選んだのは知人からの紹介です。バンクーバーの日本食レストランを視察に行って、季節もちょうど5月頃でいい時期だったので、「素晴らしいところだな」とすっかりバンクーバーに魅了されました。

末永 

確かに、春から秋にかけてのバンクーバーの気候は最高ですよね!

中村社長

はい、しかしその当時は「さすがに東京にも進出していないのに、いきなりバンクーバーでお店出すのは現実離れしてるし、無理だろうな」という印象でした。

末永 

そうですよね、まずは東京進出を考えるのが普通というか。。ではそこから実際にお店を出すまでには何があったのですか?

中村社長

その後日本に帰国してしばらく経ったある日、空港から都内へタクシーで向かっている時に突然、「よし、やろう!」っと思ったんですよね。具体的な理由とか、実はあまり覚えていなくて、直感というか。本当にいきなり決断したのです。

末永 

それは本当に突然の決断ですね!この決断の背景には、例えば当時から海外進出に向けて英語を勉強したり、何か準備はされていたのですか?

中村社長

いやいや、英語は全くでした今でも完璧というほどではないですよ。

末永 

そうだったのですね。海外挑戦を決めて行動に移し、その後に現地で働きながら英語を勉強されたのですね。

中村社長

はい、一度決断した後はもう一気に走り始めました早速、物件探しをスタートしましたが、若輩者の日本人で、実績といっても日本の地方で成功したぐらいでは、不動産屋に行ってもほとんど門前払いで取り合ってくれず、紹介されるのはあまり良くない条件の物件ばかりで、結局一年間も探し続けました。

末永 

一年間も。。大変な苦労でしたね。

中村社長

とはいえ、物件選びに妥協もしたくなかったのです。なので、納得できる物件が見つけるまで探し続けました。結果的に妥協しなくてよかったと思っています。その当時紹介された物件には、いまだに空いてる物件もあるみたいですよ。

末永 

そうですね、結果的に選び抜いた立地で大繁盛店を作り上げたわけですから、物件選びは大成功だったといえますね。

日本のものを海外へ受け入れてもらう

末永 

どんなお店にしたいというイメージは決まっていたのですか?

中村社長

当時、日本のお店で商品開発した「炙り寿司」が非常に人気で、海外でお店を出す前から「うちの炙り寿司は海外でいける!」という確信があったのです。ちなみに、この「炙り」という字は私が書いたんですよ、当時は他に頼める人もいなかったですし。

末永 

お店のシンボルマークのあの字、まさか社長が書いていたなんて知りませんでしたよ!

中村社長

炙りには「イノベーション」という意味があるのです。素材に火を入れて調理すると、新しく価値あるものに変わっていくのです。炙り(aburi)は私たちの企業コンセプトであり、常にイノベーションし続ける、チャレンジし続けることをコンセプトにしています。

末永 

なるほど、炙ることによって新しいお寿司に変わっていくということですね。「日本のものを海外の方に受け入れてもらえるように工夫する」、これこそグローバリゼーションと言えますね。

中村社長

その、「日本のものを海外の方に受け入れてもらえるように工夫する」ことこそ、まさに当店が海外で成功した一番の要因だと思っています。

末永 

確かに、MikuやMinamiは、日本のお寿司屋さんでは目にしない独自のメニューも多く、お客様の9割以上がカナダ人のイメージで、予約がないと入れない人気店になっていますよね。

中村社長

出店当時、日本食はすでに定着していて、バンクーバーには400店を超える寿司屋がありました。そのような競争の激しい中、私たちが目指すところは、「日本のお寿司をそのまま押し付けるように提供することではない」と思っていました。

末永 

実際、バンクーバーは今でも日本食が人気で、お店はまだまだ増えていますね。

中村社長

そんな時に、「外国に移民した日本人のエッセイ」をたまたまラジオで聴いたのです。そのエッセイで、「移民するということは、自国の文化や習慣をもって、その国がより良くなっていくことに寄与貢献すること」と言っていて、「これだ!」と思いました。

末永 

なるほど、「日本人であることに誇りを持ち、現地に貢献する」、日本食であるお寿司をテーマに、カナダ人に受ける様々なメニューを提供している、まさに御社のイメージに合っていますね。

バンクーバーの人手不足はホント!

末永 

話は変わりますが、最近バンクーバーの日本食レストラン業界で話題になっている「バンクーバーの人手不足」に関してはいかがでしょうか?

中村社長

はい、皆さん言われている通り、現在バンクーバーの飲食業界は人材が不足しています。当社にはカナダ人も多く働いてくれていますが、日本人の寿司シェフや日本人留学生も多く働いてくれています。

末永 

やはりそうでしたか。その背景には、労働環境の面で、飲食店は働きづらいということはあるのでしょうか?

中村社長

いえいえ、当社は週休2日制で8時間勤務を徹底していますし、サービス残業なんてありえません。人事評価などのマネジメントも充実し、働きがいのある職場づくりを目指しています。

末永 

日本だと、特に飲食店は長時間労働で大変な仕事というイメージを持ってしまいますが、確かにカナダでは、サービス残業なんて考えられないですよね。

中村社長

当社の問題点としては、有難いことにオープンしたお店が次々繁盛しており、この「急成長に人材が追いついていない」という点が挙げられます。

末永 

となると、やはり人材が不足していると?

中村社長

はい、言い換えれば「優秀な人材はいつでも採用したい」と思っています。

海外で求められる、「挑戦できる人財」

末永 

社長が思う優秀な人材とはどのような人材ですか?

中村社長

一番は当社のビジョンに共感してくれることでしょうね。やりたくない人に強制はしていませんし、したいとも思いません。海外で挑戦したいという野望のある方、また、決して個人プレーではなく、「お客様は当社全体のお客様」、という価値観を共有できる方は積極的に採用したいですね。

末永 

そうですか、ちなみに日本人とカナダ人の違いはどのような所にありますか?

中村社長

当社はカナダ人も多く採用しているのでよくわかりますが、例えば手先の器用さなど、「日本人のパフォーマンスはカナダ人の3倍はある」と思っています。また、カナダ人はメジャーリーガーというか、チームではなく個人の成績だけを気にするところがあり、そこを教育することに苦労しています。一方、日本人はチームを大事にする方が多く、特に英語力の高い日本人はぜひ採用したいですね。

末永 

まとめると、「海外挑戦したいという熱意を持った、英語もできて、協調性の高い日本人」を望んでいる、という感じですね。

中村社長

まずは海外で挑戦したいという方であれば大丈夫です。英語も来てから勉強すればいいですし、会社のビジョンやマネジメント方法もしっかり教えますので。

海外で働きたい方へメッセージ

末永 

それでは最後に、今の日本の若い方々に何か一言、お願いします。

中村社長

「知らない」ということは最大のロスだと思います。まず、「海外にはチャンスがたくさんある」という現実を知ってください。自分の人生の可能性を広げられるチャンスはどこにでもあるのです。

中村社長

まずはやってみる!もしだめならまた戻ってもいいじゃないですか!興味があれば、まず一歩踏み出してみましょう。私自身もその一歩を踏み出したからこそ今がありますし、そっちの方が絶対におもしろい人生ですよ!

まとめ

日本人が世界で活躍できるフィールドはたくさんある、ただ勇気を出して一歩踏み出す、挑戦する人は世界で活躍できる、そう思わせてくれる貴重なお話でしたね。

「日本の仕事は長時間労働で疲れるし、日本経済の将来にも不安がある、とはいえ海外に行ってもチャンスなんてない」、そんな風に思っていた方には、必読の内容だと思います。

あなたも中村社長のように、まずは一歩踏み出してご相談ください!

カナダでの生活や仕事探し、学校紹介から各種ビザのご相談まで、カナダ留学専門家があなたのご相談にお答えします。

執筆者 執筆者
末永 真一

カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。カナダ留学情報を発信するTwitterアカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万を超える。現在までサポートしてきた生徒数は1万人以上。

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