カナダ国歌「オー・カナダ(O Canada)」について!歌詞・日本語訳から歴史・斉唱時のマナーまで

カナダの国歌は「オー・カナダ(O Canada)」という曲名です。明るくて優しいメロディとカナダへの愛に溢れた歌詞が特徴です。

そんなカナダ国歌は、カナダに長期滞在している間、耳にしたり斉唱したりする機会が多くあります。アメリカと国境を接していることから、スポーツ観戦をはじめ、国際的な行事が多く、日本人は「国歌斉唱の機会の多さ」に驚くかもしれません。

カナダ国歌を覚えることで、現地の人と一体感を得られ、よりカナダ愛が深まることでしょう。ワード数も少なく、比較的簡単な歌詞なので、英語の勉強にもなりますよ!

この記事では、カナダ国歌の歌詞や翻訳、国歌ができるまでの歴史やマナーなどをご紹介します。

カナダの国歌「オー・カナダ(O Canada)」

カナダの国旗

国歌のことは、英語で「national anthem」といいます。

どの国にも国を象徴する歌、「国歌」が存在し、式典や特別な場で歌われます。日本の「君が代」も、スポーツの試合前や入学・卒業式などのセレモニーで歌われているのを、聞いたことがありますよね。

カナダの国歌は「オー・カナダ(O Canada)」という曲名です。日本やその他の国歌同様に、特別な場の開催時や終了時に、そこにいる全員で歌唱します。

カナダ国歌の「オー・カナダ(O Canada)」は明るいメロディラインが特徴です。朝日や雄大な大地、希望に満ちた風景を連想させる曲調は、カナダの国民性や国のイメージそのものを表しているようです。

オー・カナダ(O Canada)の歌詞

カナダの建築物

カナダに滞在していると、国歌を聞いたり歌ったりする機会が多くあります。長期滞在をするのであれば、国歌を覚えておくのがおすすめです。

カナダ国歌を歌うシーンでカナダ国民と一緒に口ずさめば一体感を得られ、コミュニケーションのきっかけにもなります。

歌詞で使用されている英語は中学英語ほどの簡単な内容がほとんどです。そのため、マスターするのにそれほど時間はかからないでしょう。

ここからはオー・カナダ(O Canada)の歌詞をご紹介します。

オー・カナダの歌詞―英語版

こちらが、カナダの国歌の英語詞です。

O Canada! Our home and native land!
True patriot love in all of us command.

With glowing hearts we see thee rise,
The True North strong and free!

From far and wide,
O Canada, we stand on guard for thee.

God keep our land glorious and free!
O Canada, we stand on guard for thee.

O Canada, we stand on guard for thee.

English version

同じフレーズが数回繰り返されるため、英語力に自信がない方でも覚えやすいのではないでしょうか。

オー・カナダの歌詞―フランス版

カナダは英語とフランス語を公用語としています。そのため国歌はフランス語バージョンも存在します。

こちらがフランス語バージョンのオー・カナダ(O Canada)の歌詞です。

Ô Canada! Terre de nos aïeux,
Ton front est ceint de fleurons glorieux!

Car ton bras sait porter l'épée,
Il sait porter la croix!

Ton histoire est une épopée
Des plus brillants exploits.

Et ta valeur, de foi trempée,
Protégera nos foyers et nos droits.

Protégera nos foyers et nos droits.

French version

オー・カナダの歌詞―和訳

オー・カナダ(O Canada)の歌詞の和訳についても、ご紹介します。

おお、カナダよ!われらが故郷、われらが祖国!

汝の子すべての中に流れる 真の愛国心

輝ける心をもって 興隆する祖国を見守らん

真の北国 堅固にして自由なり!

遠く広くから、

おお、カナダよ われらは汝を守りゆく

神よ、これからも われらの大地を荘厳で自由に保ちたまえ

おお、カナダよ われらは汝を守りゆく

おお、カナダよ われらは汝を守りゆく

在カナダ日本国大使館

国歌であるため、国を誇る内容を歌っています。

自由で気高く力強い、カナダらしい言葉で構成された国歌です。

オー・カナダの音源

オー・カナダ(O Canada)の音源は、下記のリンクから視聴できます。リンク先は、Toronto Symphony Orchestra (TSO)の演奏です。

荘厳なオーケストラの音色に美しい歌声が重なり、力強い国歌演奏を楽しめます。

カナダ国歌をしっかりマスターしたい方は、カナダ政府の公式サイトから楽譜・歌詞のダウンロードができます。ぜひ、役立ててください。

国歌の歴史

カナダ公的イベント時に掲げられる国旗

カナダ国歌の「オー・カナダ(O Canada)」は、1880年に作曲された歌です。

当時、ケベックの著名な作曲家カリクサ・ラヴァレが、建国記念日の式典で愛国歌として披露したのが始まりとされています。

当初は歌詞がありませんでしたが、時が流れ、同じくケベック州の判事であるアドルフ・バジルルーティエ卿によって書かれたフランス語の歌詞がつけられたとされています。

しかしその後、曲の人気が高まり歌を支持をする人々が増えたことで、英語バージョンの歌詞がいくつも作られたそうです。

その中で、ケベック州の法律家であり詩人のロバート・スタンリー・ウィアー殿下が1908年に書いた歌詞が基となり、現在の英語歌詞が完成しました。

1980年にはロバート・スタンリー・ウィアー殿下の英語歌詞に基づいた「オー・カナダ(O Canada)」の英語バージョンが、正式な国歌として認定されています。

男女平等の理念による歌詞の変更

愛国心溢れる「「オー・カナダ(O Canada)」の英語歌詞ですが、過去に歌詞の変更が決定された経緯があります。

「息子」→「我々」に変更

歌詞の変更があったのは2018年1月31日のことです。歌詞の一部にあった「True patriot love in all thy Sons command(汝の息子すべてに流れる真実の愛国心)」が「True patriot love in all of us command(我々すべてに流れる真実の愛国心)」に変更する法案が可決されました。

「息子」の部分が男女平等の理念に背いているとされ、ジャスティン・トルドー首相が主導となり歌詞の変更を締結したのが経緯です。

過去の歌詞を歌い続ける人もいる

男女平等を謳う現代だからこその可決ではありますが、当時のカナダ国民の中には「国歌を容易に変更するべきではない」「歴史を変えるべきではない」という声も少なくありませんでした。

そのため、現在でも変更前の歌詞を歌う人も存在します。

ちなみにフランス語バージョンは英語と歌詞の内容が異なるため、変更点はありません。

先住民に配慮した歌詞の変更の議論

男女平等を意識して歌詞が変更された「オー・カナダ(O Canada)」ですが、2023年現在、再び歌詞の変更が議論されています。

歌詞変更の動きが活発となったのは、トロントのR&B歌姫「Jully Black (ジュリーブラック)」の活躍によるものです。

彼女がNBAオールスターゲームの際にカナダ国歌の冒頭の歌詞「“our home and native land”(われらが故郷、われらが祖国)」の部分を「“our home on native land(祖国にあるわれらが故郷)」と歌ったのが、国歌の歌詞を変更する運動の発端となりました。

「祖国」を強調した理由

一見するととくに大きな変化がないように思える歌詞の改変ですが、「祖国」を強調することで、フランスやイギリスの移民がカナダに足を踏み入れるよりも先に、この地で暮らしていた先住民を、強く連想させる内容になっています。

ジュリーブラック自身も、現代のカナダにおける先住民への差別や問題に胸を傷めていた経緯がありました。

公の場で歌詞をあえて変更し歌うことで、「先住民の権利に対する意識を、国民全員により高めてほしい」と願っての行動だったそうです。

現在は変更が決定する段階ではありませんが、歌詞の変更を目指す運動はファースト・ネーションを含む先住民のコミュニティで強く支持されています。

国歌はいつ流れる?

アイスホッケー会場

カナダ国歌が流れるタイミングは、日本よりもずっと多く存在します。

スポーツの試合

たとえば、スポーツの試合ではかならずと言っていいほど、「オー・カナダ(O Canada)」を斉唱します。アイスホッケーのプロリーグといった国際試合のシーンでも、同様です。

アメリカ対カナダの試合であれば、両国の国歌を斉唱します。カナダ対カナダの試合の場合は、カナダの国歌のみを歌います。

曲が流れるタイミング

曲が流れるタイミングは、式典の最初か最後です。どちらで演奏をするかは式典の主催者が決めます。また、式典の最初に2か国の国歌を流すシーンでは、カナダ国歌を先に斉唱するのがしきたりです。

たとえば、何らかの式典でアメリカとカナダの2か国が参加し、両国の国歌を流す場合は、カナダ→アメリカの順に国歌が歌われます。

式典の終了時は最後にカナダ国歌を流すのがスタンダードですが、明確なルールは存在しません。

特別な式典のとき

そのほかにも入学式や卒業式など、日本同様のシーンで国歌は歌われます。カナダデーと呼ばれる建国記念日の式典でも、国歌を斉唱します。

大きなイベントであれば必ずといっていいほど国歌斉唱があるため、歌詞とメロディを覚えておくと良いでしょう。

国歌斉唱時のマナー

国家斉唱をする野球チーム

カナダの国歌斉唱に、明確なルールや規則は存在しません。しかし国歌斉唱時のマナーは存在するため、カナダに長期滞在する方は覚えておくと良いでしょう。

歌うときは起立

マナーの1つとして、国歌斉唱時は起立します。これは日本と同じルールです。

帽子を脱ぐ

男性が帽子を被ったまま国歌斉唱をするのはマナー違反とされています。帽子を脱ぐことが「国や歌に経緯を示す」ことの表れであるためです。ちなみに女性や子どもは帽子を脱ぐ必要はありません

帽子に関わるマナーが存在するのは、カナダが「帽子大国」のイギリスの連邦王国であることが、背景にあるのかもしれませんね。

胸に手を置くのはマナー?

カナダ国歌斉唱時に胸に手を置く人もまれに見かけます。これはアメリカ人が国歌を歌うときのマナーですが、カナダ国民の中にも実践する人はいます。

胸に手を当てて国歌をうたうのは、愛国心の表れです。滞在中にカナダ愛が深まった方は、胸に手を当てて国歌を歌うと、周囲の人に喜んでもらえるかもしれません。

基本的には個人の自由!

いずれにしても、カナダにはさまざまな人種や宗教が存在し、個人が尊重される国です。必ずしもマナー通りに国歌斉唱をしなくてはならない、というルールは存在しません。

しかし周囲の人に不快な思いをさせず、現地に馴染むためには、起立と傾聴だけはしたほうが良いでしょう。

カナダの国歌まとめ

カナダの街並み

カナダの国歌は、さまざまなシーンで歌われます。覚えておくと、イベントや式典などに参加した際、気まずい思いをしなくてすむでしょう。

また、カナダ国歌ができるまでの背景や歌詞の変更に関する知識を身につけておくと、よりオー・カナダ(O Canada)への思い入れも深められます。

ご紹介した内容を参考にして、ぜひ、カナダ国歌を覚えてみてくださいね。

執筆者 執筆者
カナダ留学コンパス 編集部E

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