「なんでコロナなのに留学するの?」という意見に対して

コロナが広まりはじめた2020年3月頃から、日本と海外を移動する方への批判が目立つようになりました。

例えば、海外在住の有名ユーチューバーがコロナを理由に日本への帰国を発表すると、大炎上。

仕事で海外を行き来している芸能人に対してもアンチコメントが増え、とにかく「移動するは悪」で叩いてもよいという風潮が広がりました

もちろん当初は、まだ科学的なデータも少なく、人々が不安になっていたことも理由かもしれません。

ところが、1年以上経った今でも留学生に対する批判的な声が聞こえてくるのです。

今回は、そんなコロナ禍の留学批判に対する考えをご紹介します。

コロナ禍のカナダ留学は無責任なのか?

この1年間、よく見てきたのは「こんな時期にカナダに来るなんて無責任だ!というカナダに住む日本人からの批判です。

カナダ在住側にとっては、できることならすべての国を鎖国して人々の動きを完全に止めてほしいと思うでしょう。

しかし、本当に今渡航する人は無責任なのでしょうか?

カナダ政府は留学生の入国を歓迎している

よく考えてみてほしいのですが、留学生の入国を許可しているのはカナダ政府です。

カナダ政府は早い段階から学生ビザ保持者の入国を許可しており、2020年10月から本格的に学生ビザの発行もはじめています。

なぜカナダ政府は留学生の入国を認めているのでしょう?

留学生は大切な「お客さま」である

まず第一に、カナダにとって「教育」はひとつの巨大産業であり、留学生は非常に重要な「お客様」です。

カナダは留学先としても世界トップレベルの人気があり、毎年世界中から多くの留学生が訪れます。

そして留学生の支払う授業料はカナダの学校にとって貴重な収入源なのです。

留学生の存在はカナダの学校運営においてとても重要で、

カナダ政府にとっては「コロナ禍」であっても留学生には来てもらいたいのが本音です。

留学生は未来の「移民」の候補

そして、カナダ政府が留学生の入国を認めている2つ目の理由が、カナダにとって留学生は未来の移民だということ。

カナダの移民プログラムにはさまざまな種類がありますが、そのほとんどは「カナダの学歴がある」を条件のひとつとしています。

現地にいる留学生というのは次のような特徴があるのです。

  • カナダが好き
  • カナダの生活スタイルを知っている
  • 英語能力がある

つまり、カナダにまったく留学経験がない外国人に比べると現地になじみやすく、移民後も経済的に自立しやすいといわれています。

今回のパンデミックは移民大国カナダにとって次のようなリスクがあるのです。

コロナがカナダに与えるリスク

  1. 留学生が減る
  2. 移民が減る
  3. 経済成長に打撃

このように、留学生の受け入れはカナダの移民政策・経済成長に直結しています。

カナダがなぜこのような状況の中でも留学生を入国させたいか、ご理解いただけたのではないでしょうか?

カナダの「入国規制」は世界で最強レベル

とは言え、カナダも国民の健康と安全が最優先ですので、簡単に留学生を入国させるわけにはいきません。

そこで、カナダではパンデミック拡大以降、科学的根拠に基づいた水際対策を次々と打ち出してきました。

現在、カナダに入国するすべての渡航者は下記の項目のすべてをクリアすることでやっと入国ができます。

  • 出国直前のPCR検査
  • 入国後直後のPCR検査(+政府指定のホテルで待機、滞在費負担)
  • 入国10日後の検査
  • 14日間自己隔離

実は、これらは世界でももっとも強力な水際対策の一つともいわれています。

下記はカナダ首相の公式サイトからの引用です(赤い太字は弊社による)。

Starting Monday, people returning by land borders will also need to show proof of a negative PCR test taken within 72 hours before arrival.

And all returning travellers must quarantine for 14 days after coming home, or risk heavy fines and possible jail time.

These are some of the strongest border measures in the world.

-トルドー首相、2021年2月12日 Prime Minister’s remarks updating Canadians on COVID-19 variants, vaccines, and border measures

このように、カナダに入国する渡航者は無責任にウイルスをばらまいているわけではありません。

検査に検査を重ね、安全にカナダに入国できるようなシステムが設けられています。

海外からカナダ国内への感染は非常に少ない

海外からカナダへの「渡航者によるコロナ感染者数」の割合をご存じでしょうか。

下記のグラフは、ブリティッシュコロンビア州で報告された感染源別の感染者数です(2020年1月15日~2021年3月27日)。

  • 青: ローカル(感染源不明)
  • 濃い青: ローカル(クラスター等)
  • 薄い青: 州外の移動
  • 赤: 海外渡航
  • グレー: 調査中/不明

海外渡航(International travel、赤色)からの感染は非常に少なく、全体の約1%だということがデータに出ています。

ただし、上記のデータはすべての渡航者(カナダ人帰国者、就労ビザ等)を含めています。

その中の外国人留学生に限れば、さらにその中の日本から来た留学生に限定すれば、ほぼゼロに等しいと言えるでしょう。

「カナダの安全のために留学生は来るな!」とカナダ在住の日本人が思ってしまうことも感情的には理解できます。

でも客観的であるデータが示すように、留学生が感染を広めているとは言えません


このように、カナダ政府はパンデミックがはじまった当初から、「安全への配慮」と「人の動き」とのバランスを取った水際対策を打ち出してきました。

そのバランスを考えたときに、留学生は「ルールを守ったうえで入国するのなら大丈夫だ」とカナダ政府が判断しています。

もちろんリスクはゼロではありません。

カナダ政府が渡航者の入国にはメリットがあると判断しているのに、「ひとりの留学生の決意」に対して個人を責めるのはおかしくないでしょうか?

コロナ禍のカナダ留学は意味がないのか?

コロナ拡大以降、よく見られるようになったもう1つの批判が「今じゃなくてもいいのに」というもの。

よく聞く声

  • 「今留学しても意味ないよ」
  • 「遊べないしつまらない」
  • 「仕事もないしどうするの」

確かにすでに留学を経験している方からすれば、「今留学なんてしても損ですよ」とアドバイスをしたくなるのも分かります。

先輩として、これから留学に来られる方にはもっと楽しい留学生活を送ってもらいたいと感じるのも当然です。

コロナが落ち着いてから来れば?」というのは正直な感想だと思います。

ただ、その留学にどのような意味があるのかは本人にしか分かりません。

「今でなければいけない」というタイミングについて、他人が評価できるものでしょうか?

もちろん、今のタイミングで留学すれば、語学学校のアクティビティが少ない、カレッジのイベントや勉強会などの機会も少ない……などデメリットもあるかもしれません。

でも、それでも留学したいと思う方は大勢いらっしゃるのです。

「留学が将来の人生に与える影響」を考えると、簡単に「今じゃなくてもいいのでは?」とは言うべきではありません。

留学エージェントは無理やり渡航させているのか?

また、「こんなにときに留学生を渡航させるなんて、留学エージェントは何を考えているのか?」というご意見も見かけるようになりました。

中には、留学エージェントが現地の状況についての真実を隠し、「無責任に利益のために無理やり留学生を渡航させている」とお考えの方もいるようです。

現実はむしろこの逆です。

コロナだからこそ、生徒さまに最新で正確な情報をお伝えし、渡航を決意した方を入国まで安全にサポートするべきなのです。

これこそが、我々専門家の責任だと思っております。

コロナ禍の留学サポートは通常と違い、普段以上に気を付ける点が多いです。たとえば次のように。

  • 頻繁なフライト変更/欠航(と、それに伴う航空券や保険/携帯/ホテル/ステイ先/学校スタート日の再手配)
  • 通常期より何倍にも膨れているお問合せ
  • 通常より時間も神経も使う入国後サポート
  • カナダ政府から次々と出てくる新ルール

正直なところ、コロナ禍の渡航サポートは面倒だからと断っているエージェントもあるほどの複雑さなのです。

留学生を安全に渡航させるのが留学エージェントの責任です。

コロナ禍の留学のメリット・デメリット、すべてをご説明し、
それでも渡航をしたい決意した方のみサポートさせていただいております。

最後に: 人それぞれに事情や想いがあります

この時期に留学をする生徒さまは、好きでこの時期に渡航を決意しているわけではありません。

わざわざコロナ禍に留学したいと思っている学生さまは1人もいないのです。

コロナ禍の渡航は大変であると理解したうえで決意しています。

実際のところ、友人とパーティーや旅行ができたり、外食やおでかけを気にせずにできた昔の留学生がうらやましいはずです。

コロナ禍の渡航はお金も時間もストレスも大きいため、できればコロナ後に渡航したいと思っている生徒さまも多いでしょう。

それでも、人にはそれぞれ事情があります

今でなければ留学するチャンスを失う人もいます。

就職の問題、お金の問題、家族の問題など、ご本人の力ではどうにもならない理由があるのです。

すでに「今じゃなくてもいいか」と自分に言い聞かせ、延期に延期を重ねてきた方もいます。

もちろん、留学を延期できる人は数年後にまた挑戦すればいいでしょう。

しかし、留学を延期できないと判断した場合は、ルールに従い責任を持って安全に渡航をしてもいいのではないでしょうか。

人にはひとりひとりの事情があるので、そこは他人が個人を批判するところではないと思っております。

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