
コロナパンデミックがはじまり1年。
カナダ政府は国境の規制強化とワクチン接種計画に力を入れてきました。

結局、カナダのワクチン計画って成功したの?

はい、実はカナダのワクチン計画は非常に順調に進んでいるんです!
今回の記事では、カナダとブリティッシュコロンビア州のワクチン計画の流れと現状、今後の見通しについてご紹介します。
このページの目次
カナダのコロナワクチン計画
カナダのコロナワクチンはアメリカと比較され「遅い」と批判されることもありますが、実は世界的に見てもかなり順調に接種計画を進めている国でもあります。
コロナワクチンを承認したのはカナダが世界で3国目
カナダが初めてコロナワクチンを承認したのは、2020年の年末のファイザー製。
なんと、イギリス、バーレーンと続いて世界3ヵ国目です!
承認後すぐにワクチン接種が開始し、まずはもっとも重症化しやすい高齢者施設に住むお年寄りに接種されました。
その後も、カナダはとてもスピーディーに安全なワクチンを複数承認していきました。






どれぐらい早いか、日本と比較してみると分かりやすいと思います。
カナダ | 日本 | |
ファイザー | 2020月 12月9日 |
2021年 2月14日 |
モデルナ | 2020年 12月23日 |
2021年 5月21日 |
アストラゼネカ | 2021年 2月26日 |
2021年 5月21日 |
ジョンソン・ エンド・ ジョンソン |
2021年 3月5日 |
2021年 5月24日 |
ワクチン2社が2020年の時点で承認されたおかげで、早い段階から接種を開始できました。
カナダがワクチン確保を急いだ理由
なぜカナダはこれほどワクチンの早期確保にこだわったのでしょうか?
それは、残念ながらカナダでコロナワクチンを開発できるような国内設備が整っていないからです(日本にもありません)。
そのため、カナダ政府は他国の開発に頼るしかなく、早い段階から各国の大手製薬会社と交渉を続けてきました。
その結果、非常に素早く大量のワクチンを確保し、国民にじゅうぶん行きわたるようように準備を進めたのです。

でもそれって、買い占めにならないの?カナダがたくさん買えば、他の国に届けられるワクチンが減ってしまうような…。






もちろん買い占めだと批判もありました。しかし、カナダのトルドー首相はインタビューで「私の責任は何よりもカナダの国民の命を守ることだ」と述べ、そこは一切謝らないというスタンスでした。
その甲斐もありカナダでは2021年5月21日現在、全人口のおおよそ半数(48.95%)がすでに1回目のワクチンを接種しています(比較として、日本は4%未満です)。
ワクチンが国内生産できないカナダですが、代わりに計画性を持ってワクチン確保に努め、コロナの収束に向けて努力してきました。
BC州のワクチン接種計画
カナダのワクチン承認や契約合意は政府が担っていますが、実際の配給は州に責任があります。
バンクーバーが位置するブリティッシュコロンビア州(BC州)のワクチン計画状況をご紹介します。
科学的根拠に沿ったBC州ワクチン計画
BC州のコロナワクチン計画は、パンデミック当初から州公衆衛生局がリーダーシップを取ってきました。
特にはじめの頃は毎日にように記者会見を開き、現状や見通しについて細かく説明おり、その信頼も厚いです。
BC州のワクチン計画は、科学的な根拠をもとに大きく4つのフェーズに分かれています。
Phase 1 / Phase 2
感染リスクがもっとも高い人たちが最優先で接種されます。
・高齢者施設の入居者
・高齢者施設の従業員
・医療従事者
・先住民
Phase 3 / Phase 4
年齢が高い順に、一般の人の接種が行われます。
・79歳から18歳まで順に
・警察、消防、救急隊員
・学校教職員や保育士など人との接触が多い職種
現在は最終段階の Phase 4 にいます。
ワクチン接種開始の初期からこのプランに沿って進められています。
途中、計画が前倒しになるなど、そのスピードも順調です。
カナダおよびBC州の最新のワクチン接種状況についてはこちらをご覧ください。
シンプルなワクチン登録と予約システム
さらに、BC州のワクチン登録と予約システムも非常にシンプルで、誰でも簡単に登録できるようになっています。
実は登録がはじまった当初は電話での受付しかなく、回線がパンクするなどトラブルにも見舞われ批判もありました。
しかし、すぐに軌道修正しオンライン登録システムを公表。
約1か月後にはスマホで簡単にワクチン登録できるようなシステムが開発されました。
参考
・Province scrambling to fix vaccination phone line problems for Vancouver Coastal Health
・B.C.’s COVID-19 vaccine registration website holds up amid opening day pressure
BC州のワクチン予約の流れは2つの段階に分けれています。
- 事前登録
- ワクチン接種予約
先に生年月日や連絡先を登録しておくと、自分の番が近付いたら予約受付開始の連絡が入ります。
そこからワクチン接種の日時や会場を設定し、予約完了です。
たったの4ステップで予約ができる、非常にシンプルで分かりやすいシステムです。


①登録番号と健康保険番号を入力


②希望の接種会場を選択


③希望の日時を選択


④予約確認
さらに、オンライン登録/予約ができない場合は電話か窓口での受付もしているので、誰でも公平にワクチンが接種できるようになっています。

ちなみに、カナダ人以外の人もワクチンは打てるの?






もちろんです!BC州では、短期滞在中の留学生やワーホリの方でも無料でワクチンが接種できます!
とにかくひとりでも多くの方にワクチンを接種してもらえるよう、BC州では学生ビザやワーホリビザ保持者などの一時滞在者でもワクチンが打てます。
さらに、言語の壁をなくすため、BC州ワクチン計画の公式ページは12カ国語にも翻訳されています!
日本語サイトもあり、英語に不安がある方でも安心してワクチンが打てるようフォローされいるのでぜひご覧ください。
接種当日も混乱なし!
ワクチン接種当日の流れも非常にシンプルで、誰でも不安なく過ごせます。
受付から登録、接種完了までにかかる時間はなんと15分!
接種後15分はその場で待機し、体調に異常がなければそのまま帰宅できます。
接種会場にいた看護師によると、スタッフ1人につき1日100人ほど接種するそうです。


ワクチンの種類やロット番号等が記載されたカード


ワクチン接種後にシールがもらえます!
ワクチンの2回目接種の案内もスマホに届きます。
このように、BC州のワクチン接種は登録から予約、接種当日まで非常にスムーズで簡単に進むのが特徴です。
カナダの今後の見通し
カナダの公衆衛生局は先日、今後の見通しについて発表しました。

これからどんどん規制が緩くなるということ?






そうです!具体的には、下記のスケジュールが予定されています。
春 | 夏 | 秋 | |
1回目接種率 | 低い | 75% | – |
2回目接種率 | 低い | 20% | 75% |
コロナ規制 | ・屋内の集会は同居家族のみ ・マスクやdistancing 必須 ・ワクチン接種を進める |
・屋外、少人数での集まりOK ・キャンプやピクニック ・大人数はNG |
・カレッジや大学の対面授業再開 ・屋内のスポーツ再開 ・親戚でのイベントOK |
つまり、順調に進めば2021年の夏にはある程度規制が緩和され、さらに秋頃には屋内での活動も再開できる見通しとなっています。
このように、カナダでは一日でも早く生活・経済が再開できるようコロナのワクチン計画を進めてきました。
あと数か月すればポストパンデミックの社会の中で、以前と似た生活に戻れるかもしれません。
今後もカナダ政府とBC州の情報をこまめに確認し、安全に過ごしましょう。
カナダのその他のコロナ規制や留学情報はこちらのページをご覧ください。