カレッジから大学に編入!ユニバーシティ・トランスファー(UT)とは?

監修者 監修者
末永 真一

カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002
カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。カナダ留学情報を発信するTwitterアカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万を超える。現在までサポートしてきた生徒数は1万人以上。

カナダで大学に進学する方法として「UT(ユニバーシティ・トランスファー)」という制度があります。

UTとは、カレッジからユニバーシティに編入できるカナダの制度のことです。

今回は「ユニバーシティ・トランスファーとは?」という基本からUTのメリット、そしてUT制度を使ってカナダの大学に入学する方法をご紹介します。

UT(ユニバーシティ・トランスファー)とは?

UT(ユニバーシティ・トランスファー)とは、カナダの大学(ユニバーシティ)に入学するための制度の1つです。

4年制の大学を卒業する条件

ユニバーシティ・トランスファーを理解するために、まずはカナダの4年制大学を卒業する条件を紹介します。

それは120単位以上を履修することです。

そして、その単位の半分以上を「卒業する大学で取らなければならない」という条件があります。

この条件ですが、逆を言えば半分までなら他の学校で履修した単位でもいいということですね!

整備された「単位互換制度」

半分までなら他校で単位を取ってもいい

そのため、カナダでは整備された単位の互換制度があります。

あるカレッジで取った単位を別のユニバーシティに移行することがとても簡単にできるのです。

この単位互換制度のことを「UT(ユニバーシティ・トランスファー)」と呼んでいます。

UT(ユニバーシティ・トランスファー)のメリット

では、カナダのUT(ユニバーシティ・トランスファー)のメリットを紹介しましょう。

「浪人」をしなくていい

UTのもっとも大きなメリットが「浪人」をしなくてもいいことです。

これは、順を追って説明しますね。

前提として、カナダには「大学入試」がなく、高校の成績や英語力で入れる大学が決まります。

では、希望の大学に入学できなかった人はどうしているのでしょうか?

日本みたいに「予備校」に通って浪人するんじゃないの?

いいえ。先述しましたが、カナダには「浪人」という概念がないため「予備校」もありません

希望の大学に入れなかった場合は「カレッジ」に入学する

実はカナダでは、希望の大学に入学できなかった人はカレッジに入学します。

え? 希望の大学をあきらめるってこと?

いいえ、そうではありません。

カレッジで2年ほど学び、獲得した単位を使って、途中から希望の大学(ユニバーシティ)への編入を目指すのです。

「UT(ユニバーシティ・トランスファー)」の制度があるからこそ、カナダではカレッジやユニバーシティ間での編入がしやすくなっています。

浪人がないので無駄がない

実は、日本の「浪人」というスタイルに無駄があることをご存じでしょうか?

「浪人する」ということは、つまり受験対策の勉強を1年、もしくはそれ以上するということですよね。

「UT」と「浪人」の違いを次の図でご覧ください。

大学を4年で卒業すると仮定した場合、浪人期間が長くなるほど「4年+α年」という形で受験勉強期間が増えます。

それに対して「UT」を利用すると、希望の大学に入れなくても大学卒業まで4年で済みます。

1〜2年次の勉強内容を別のカレッジで行えば、希望の大学の3年次から入れるというわけです。

すごく合理的!!

授業料を抑えられる

そして、UTを利用する2つ目のメリットが学費(授業料)を抑えられること。

カレッジやユニバーシティの学費は「単位ごと」に納める必要があり、その費用は大学によって違います

そして、カレッジよりもユニバーシティのほうが学費が高いのです。

たとえば、バンクーバー大都市圏の大学、カレッジの留学生の学費の相場は以下のとおりです。

大学の種類学費(1単位あたり)
ユニバーシティ(大学)$1,100~$1,200
カレッジ$500~$600

驚くことに、単純計算で
カレッジは大学の半額の学費です。

UTプログラムが人気なのも納得ですね。

これだけ学費に差があるのなら、ユニバーシティに入学できたとしてもあえてカレッジに入りたくなりそう

そうです。実はカナダ人でもあえてカレッジに入り、UTでユニバーシティに編入する人が多いのです。

ということは、カレッジには実力のある学生がたくさん集まるということも言えますね。

その中に入って授業についていくのは大変ですが、素晴らしい仲間に巡り合える場所であることは間違いありません。

留学生が馴染みやすい

UTを利用する3つ目のメリットが、留学生にとって馴染みやすいこと。

なせなら、ユニバーシティよりカレッジのほうが小規模でアットホームだから。

大学に馴染みにくい理由

いきなり規模の大きなユニバーシティ(大学)に入った場合、カナダ人でも馴染めない人がいるそうです。

大学の規模が大きいと友達も作りにくいですし、講義も生徒は聴くだけの受身になることが多いですし。

授業も大講堂で行われ、クラスの人数も300人を越す場合もありますからね。

さらに大学の教授は「研究」が主な仕事なので、学生と教授のコミュニケーションの機会が少ないという側面もあります。

カレッジは小規模でアットホーム

それに対し、カレッジは小規模でアットホームです。

クラスも少人数で、教授は学生一人一人に目を配り、交流の機会も多いと言えます。

英語の面でハンディキャップがある留学生にとっては、少人数で教授と密接な関係を築けるカレッジの方が望ましい環境ですね。

入学しやすい

そしてUTの4つ目のメリットがいきなり大学に入るよりも入学しやすいこと。

もちろんカレッジに入るのも簡単ではありませんが。

日本から直接カナダの大学に入学するには、英語力の証明の他に高校の成績が合格基準以上であることが求められます。

それに対して「カレッジ」に入学する場合は英語力の証明だけですむ場合がほとんどです。

さらにテストのスコアも、大学よりもカレッジの方が低めに設定されていることが多いらしいよ!

UT(ユニバーシティ・トランスファー)のデメリット

ユニバーシティ・トランスファーのメリットに続いて、デメリットを見てみましょう。

仲良くなったカレッジの友達と離れる

UTでカレッジを2年後に離れるということは、仲良くなったカレッジの友達との別れを意味します。

「転校」のようなものなので、友達と離れ離れになってしまうんですよね。

さらには、ユニバーシティに1年時から入っている友達と比べると友達が少なくなる確率が高くなります。

これは、積極的に友達を作るようにがんばるしかないね!

カレッジの単位を100%移行できないことがある

コース選択によっては、カレッジの2年間で取った単位を100%移行できない場合もあります。

たとえば、カレッジで60単位を取っていても、ユニバーシティには48単位しか移行できないことも。

カレッジから48単位しか移行できない場合、12単位のロスになるってこと?

先述したように、ユニバーシティを卒業するためには120単位が必要です。

つまり、本来なら残り60単位を取ればよかったところが残り72単位が必要になります

次項で紹介する方法で、どの学校のどの単位が移行できるのかを調べておきましょう!

大学間で何の単位が移行できるかを調べる方法(BC州の場合)

UTを利用すれば、大学間で単位の移行ができると述べましたが、すべての単位が対象ではありません。

ではどうやって、どの単位がどの大学で使えるかを調べるのでしょうか?

ブリティッシュ・コロンビア州の場合は「ユニバーシティ・トランスファーガイド」というWEBサイトで、いつでもチェックできます。

ちなみに、このサイトに登録されていない科目でも、個別に申請すれば単位の移行が認められる場合があります

UT(ユニバーシティ・トランスファー)の流れ

ユニバーシティ・トランスファー全体の流れを紹介します。

手順としては次のとおりです。

入学するカレッジを決める

まずは、最初に1年~2年間留学するカレッジを決めます。

「留学生向け」のカレッジがおすすめ

カレッジを選ぶポイントは、留学生の多い学校を選ぶことです。

ユニバーシティ・トランスファーの対象になっているカレッジは、大きく分けると次の2種類がありますよ。

2種類のカレッジ

  • ユニバーシティ・トランスファーがメインの留学生が多い学校
  • 多くの学科がある地元の学生が多く通う学校

この2種類を見て、地元の学生が多い学校を希望するお気持ちもわかります。

でも最初は、留学生の多いカレッジにしましょう。

なぜ留学生向けのカレッジを選んだほうがいいのかというと、カレッジ側が留学生に慣れているから。

留学生が多かったら、学生同士でも悩みを共感してもらえそうだね。

あと、留学生の多いカレッジだと、カレッジ入学のための英語クラスが設けられていることもあります(UTの単位には入らない)。

その英語クラスを修了すれば、IELTSやTOEFLのスコアなしでカレッジの科目を履修できるのです。

参考

カレッジ入学用の英語力をあげるためのクラス「アカデミック英語(EAP)」がある語学学校もあります。

ユニバーシティ・トランスファーにおすすめのカレッジ

ユニバーシティ・トランスファーのためのカレッジの一つがBC州にあるコキットラムカレッジです。

私立カレッジとしてユニバーシティ・トランスファーが可能な学科を提供している数少ない学校になります。

移行先のユニバーシティ/学部/学科を決める

カレッジが決まれば、今度はトランスファー先(移行先)のユニバーシティおよび、学部・学科を決めましょう。

もし仮に、カレッジに通っているうちに行きたいユニバーシティが変わっても大丈夫です。

ただし、トランスファー先によってはカレッジで取得した単位が使えない場合もあることは知っておいてください。

何の科目を取るのかを決める

トランスファー先を決めるのと並行して学期ごとに何の科目を受講するかを決めましょう。

ちなみに、ユニバーシティ・トランスファーが可能なカレッジでは、どこでも詳しいカウンセラーさんが常駐しています。

相談して決めるといいですよ。

トランスファー先のユニバーシティに出願

ユニバーシティ入学の1年前になったら、トランスファーの出願をします。

トランスファー先によって、次の2つのパターンがありますよ。

2つのパターン

  • カレッジの成績が条件を満たしていれば自動的に編入が認められる場合
  • 成績や論文を提出して、その結果で編入が認められる場合

まとめ

本記事では、ユニバーシティ・トランスファーを解説しました。

ユニバーシティ・トランスファーは、大学入学にチャレンジする機会を何度も与えてくれる、とても平等なシステムです。

カレッジで一生懸命勉強すれば、UBCなどカナダの一流大学に入学することも実現可能ですよ。

日本で東大や京大に入学するよりはずっとハードルが低いです(入学してからのハードルはカナダの方がずっと高いですが)。

ということで、大学を目指すなら、まずはカレッジ留学から始めましょう。

カナダの大学進学を考えている場合は、気軽にご相談くださいね♪

執筆者 執筆者
末永 真一

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