英語の完了形とは?

「完了形」とは?
サッシ

執筆者

WEBライター。旅をしながらブログを書いて生活。塾で英語を約20年教えた経験あり。早稲田大学 教育学部卒業。→ サッシについてはこちら

日本語で「その映画を見たことがある」のような表現があります。

「見た」は過去の形に見えるし、「ある」は現在の形に見えるし、あらためて考えるとこんがらがりそうですよね。

過去のことを言っているようにも、現在のことを言っているようにも見えるこういう表現が「完了形」です。

今回は、英語の「完了形」について、4つの用法の違い基本的な作り方についてわかりやすくまとめて紹介しますね。

英語の「完了形」について

はじめに、完了形の基本的な形・意味をハッキリさせましょう。

「完了形」の形

英語の完了形とは「have + 動詞の過去分詞形」で表される形のことです。

たとえば以下の英文の「have lived」の部分が完了形ですよ。

I have lived here for 3 years.
(ここに住んで3年になるよ)

動詞「live」の活用形はこちらになります。

原形三人称単数現在分詞形過去形過去分詞形
liveliveslivinglivedlived
「live」の活用

「過去分詞形ってなに?」と思ったらこちらもご覧ください。

「完了形」の意味・イメージ

完了形の意味は「ずっと〜している」や「〜したことがある」や「〜してしまった」です。

具体的な意味の前に完了形の2つの基本イメージを紹介します。

完了形の基本イメージ(1)

先ほどの例文の場合は「ずっと〜している」という意味ですね。

I have lived here for 3 years.
(ここに住んで3年になるよ)

この例の場合、「現在」に視点を置いていて「3年前から今までずっと住んでいる」となるわけです。

完了形のイメージ(1)
完了形のイメージ(1)

つまり、以前に始まったことが「その時(この例では『現在』)」まで続いているという意味になります。

上の図解にある「矢印」の動きを覚えておいてくださいね♪

完了形の基本イメージ(2)

そして、もう1つのイメージを紹介します。

たとえば、ただ単に「そのマンガを読んだ」という行動・事実を伝えたいなら使うのは過去形ですよね?

I read the manga yesterday.
(昨日、そのマンガを読んだ)

それに対して「そのマンガ、3回読んだことあるよ」と言いたいとき、次のように言います。

I have read the manga 3 times before.
(そのマンガ、3回読んだことあるよ)

これは、「過去の事実」を言っているのではありません。

そうではなく、以前にあったことの影響・結果として「今どうなのか?」を表しています

このように、「過去にしたことの結果、現在その経験・状態がある」というのも完了形のイメージです。

完了形のイメージ(2)
完了形のイメージ(2)

この図解にある「矢印」のイメージを覚えおきましょう。

過去形との違いとしてよ〜くイメージしておいてくださいね。

2種類の完了形のイメージ

2種類の完了形の基本イメージを紹介したので、まとめます。

完了形の基本イメージ

  • 以前に始まったことがその時まで続いている
  • 以前にあったことの影響としてその時どうなのかを伝える

言葉よりも図のほうがわかりやすいので、先ほどの例をもう一度見てみましょう。

完了形のイメージ
完了形のイメージ

ポイントなのは、上の図解にある「矢印」です。

過去のことを言及するのではなく、それ以降にある「ある時点」に繋がっているのが「完了形」の特徴になります。

過去形はその時だけを表す「点」で、完了形は以前からの過程・経過を表す「線」や「流れ」というイメージで区別しましょう。

【継続・経験・完了・結果の違い】完了形の4つの用法

完了形とは何かがわかったところで、訳し方を見ていきましょう。

英語の完了形には次の4つの用法があります。

完了形の4つの用法

  1. 継続
  2. 経験
  3. 完了
  4. 結果

それぞれの違い・訳し方を紹介していきますね。

継続

まずは「継続」の用法です。

以前からの動作・状態がずっと続いていることを表します。

完了形の「継続用法」
完了形の「継続用法」

「since(〜以来ずっと)」を使う例

訳し方としては以下の例文のように「ずっと〜している」としますよ。

I have joined a new clulb since last month.
(先月から新しいクラブに入ってるんだ)

「〜以来ずっと」の意味を表す「since」と一緒に使われることが多いですね。

「for(〜の間)」を使う例

もしくは「for 3 weeks(3週間)」や「for 5 years(5年間)」のように「〜の間」を表す「for 〜」もよく使われます。

I have joined a new clulb for 3 weeks.
(新しいクラブに入って3週間だよ)

「be動詞」を使うこともよくある

一般動詞だけでなくbe動詞を使うこともよくありますよ。

I've been sick for a week.
(1週間調子が悪いんだ)

ちなみに会話では「I have」の部分は略して「I've」とするほうが普通です。

経験

お次は完了形の「経験」の用法です。

「以前に〇〇したことがあるよ」と言いたい場合ですね。

完了形の「経験用法」
完了形の「経験用法」

代表的な表現「have been to」

たとえば、以下の「have been to」は代表的な「経験」の用法になります。

I have been to Kyoto 3 times.
(京都には3回行ったことあるよ)

これは「have been to 〜」で「〜に行ったことがある」という経験の表現として覚えてしまいましょう。

過去に行った事実ではなく、過去に行った経験を「現在持っているよ」ということを伝えたいのがポイントです。

「回数」が入っていると必ず経験用法

他には「映画を観たことがある」や「会ったことがある」などのシチュエーションで使えますね!

I've seen Japanese animations twice.
(日本のアニメは2度観たことがあるよ)

次のような「回数」が使われているものは必ず「経験」の用法になります(経験用法で「回数」が入ってないこともある)。

回数を表す表現

  • once(1回)
  • twice(2回)
  • three times(3回)
  • five times(5回)
  • a hundred times(100回)

「once(1回)」「twice(2回)」以降は「〜 times(〜回)」というふうに言いますよ。

完了

続いては「完了」の用法です。

「完了形」のなかの「完了用法」という、少しややこしい名前ですが「そういうもの」だと覚えてください。

この用法では「まさに今終えたところ」という状況を表します。

「完了」用法は過去と現在の間の時間が短い
完了形の「完了用法」

「今まさに〜した」という状況を表す

たとえば、次の例だと「今まさに)宿題が終わった!!」という状況です。

I've finished my homework.
(宿題終わったぞ!)

宿題を始めたのは5分前や1時間前などの過去ですよね。

「動作・状況がまさに現在完了した」ことを伝えたいわけです。

基本的には「(ちょうど)〜したところだ」と訳すといいですよ。

「過去」と「現在」の間が非常に短い

先述したように、完了形は以前にあったことの影響・結果として「今どうなのか?を表現する形でした。

「過去」と「現在」の間が非常に短いのが、この「完了」の用法だと思っていてください。

「完了」用法は過去と現在の間の時間が短い
「完了」用法は過去と現在の間の時間が短い

結果

最後に紹介するのは完了形の「結果」の用法です。

過去にしたことの影響で現在こうなった」というニュアンスを表します。

完了形の「結果用法」
完了形の「結果用法」

過去の事実を言いたいのではない

たとえば以下のような場合です。

I've lost my key.
(カギなくしちゃった……)

結果用法でポイントなのは、過去に「カギを紛失した」という行動・事実を言いたいわけではないということ。

過去に失くした結果として「現在カギがない」ということを伝えたいのです。

結果がその後に影響を与えていることを伝えるのが「結果用法」

過去形の「I lost my key.(私はカギをなくした)」との違いが気になるのではないでしょうか?

比較すると次のようになります。

過去形と完了形

  • I lost my key.(私はカギをなくした)
  • I have lost my key.(私はカギをなくした → その結果として現在もカギがない

「完了形」を使うのは「カギがない。だから困っている」という現在の状況を伝えたいときです。

過去形の場合は、過去に焦点を当てているだけで、現在はどうなっているかについては無関心ですよ。

「過去形」は現在の状況には無関心
「過去形」は現在の状況には無関心

つまり「I lost my key.」と言ったのでは、現在はそのカギが見つかっているのかどうかわかりません

「have gone to」の例

経験用法で紹介した「have been to」とよく比較される表現に「have gone to」があります。

「have gone to」は代表的な結果の用法です。

She has gone to Japan.
(彼女は日本に行ってしまった)

旅立った過去の事実ではなく「過去に行った」という結果として「彼女は現在はここにいない」ということを伝えたいわけです。

文法書によっては「結果」の用法は「完了」の用法に含まれることもあります。

また「I have read the book」のように「ちょうど読んだところ(完了)」とも「すでに以前に読んだ(完了)」とも取れる場合もありますよ。正確には文脈で判断しましょう。

完了形でよく使われる時制・期間の表現

4つの用法がわかったところで、お次は完了形とともによく使われる表現を見てみましょう。

英語で完了形を使うときは時間・回数・頻度などを表す言葉と一緒に使うことが多いんですよ。

ずばり以下の表現はぜひ覚えておきましょう!

完了形と一緒に使われる表現
justちょうど
alreadyすでに
yetもう・まだ
ever今までに
never一度もない
once / twice / 〜 times1回 / 2回 / 〜回
before以前に
since 〜〜以来
for 〜〜の間

これらの言葉があることによって完了形のどの用法なのかがハッキリしますよ。

たとえば「I've read it.」という現在完了を使うにしても、一緒に使われる単語で用法(および意味)が変わります。

完了の用法
I've just read it.
ちょうどそれを読み終えたところだよ
経験の用法
I've never read it.
それを読んだことはないんだ

ちなみに「yesterday(昨日)」や「3 years ago(3年前)」など、ピンポイントで特定の時間を指す表現は完了形と一緒には使えませんよ。

英語の「完了形」の作り方

頻出表現も覚えたところで、実際に完了形を作ってみましょう

完了形の肯定文・否定文・疑問文の作り方を紹介しますね。

完了形の肯定文

まず、基本となる現在完了の肯定文は主語に続けて「have + 動詞の過去分詞形」を置いてください。

次の例を「完了形」に変更していきますね。

I saw the movie.
(その映画を見たよ)

動詞の前に「have」を置く

まずは動詞の前に「have」を置きます。

I have saw the movie.
(その映画を見たよ)

あれ?「have saw」みたいに動詞が2つになってもいいの?

……と思った人はすばらしいです。

動詞を「過去分詞形」に

1つの文の中に2つの動詞をそのまま置くことはできないので、「have」の後ろにある動詞を過去分詞の形にしてください。

I have seen the movie before.
(前にその映画見たことあるよ)

「see」の活用形は次のとおりです。

原形三人称単数現在分詞形過去形過去分詞形
seeseesseeingsawseen
「see」の活用

これで完了形の文が完成しました。

「2つの動詞」という表現を使っていますが、完了形の「have」は文法上では助動詞です。

【参考】三単現なら「have」が「has」に

もし主語が「彼」や「彼女」なら「have」は「has」に変化します。

He have has seen the movie before.
(彼は前にその映画を見たことがある)

三単現についてはこちらをどうぞ。

完了形の否定文

完了形の否定文
完了形の否定文

そして、否定文にしたいときは「have」の後ろに「not」を入れてください。

I have seen the movie before.
I have not seen the movie before.

「yet(まだ)」が使われる例

完了形を否定文にした場合、「yet(まだ)」が一緒に使われることが多いです。

I have not eaten lunch yet.
(まだランチ食べてないんだ)

「have not」はほとんどの場合、省略され「haven't」になります

「never(一度も〜ない)」が使われる例

「not」の代わりに「never」を使うと「一度も〜ない」という意味になります。

I have never been to Finland.
(フィンランドに一度も行ったことがない)

「not」よりも「やったことがない」というニュアンスを強調できますよ。

完了形の疑問文

完了形は疑問文にすることも可能です。

完了形の疑問文
完了形の疑問文

「have」を先頭に持ってきて、そこから「主語 + 動詞の過去分詞形」と続けてください。

I have seen the movie before.
Have I seen the movie before ?

疑問文で「ever」が使われる例

「ever(これまでに)」と一緒に使って「Have you ever seen 〜?」とすることも多いです。

Have you ever seen his YouTube video ?
(彼のユーチューブ動画、観たことある?)

疑問文で「yet(もう)」が使われる例

「yet」が疑問文につくこともあります。

否定文の「yet」は「まだ」の意味ですが、疑問文だと「もう」の意味になりますよ。

Have you decided yet ?
(もう決めた?)

【応用】その他の「完了形」

今まで「完了形」という言葉を使ってきましたが、厳密には「現在完了形」を紹介してきました。

現在完了形のほかにも、次のような完了形がありますよ!

では1つ1つ見ていきましょう!

過去完了形

「過去完了形」という用法もあります。

たとえば次のような場面。

When I came home, she had finished eating.
(ボクが家に帰ったとき、彼女はもう食べ終わってたよ)

基本的には現在完了形が使われますが、ある特定の条件があるときだけ「過去完了形」が登場するのです。

ボクが家に帰ったとき、彼女はもう食べ終わってたよ
ボクが家に帰ったとき、彼女はもう食べ終わってたよ

それが、上の例のように「過去に〜したとき」に「なにかがすでに終わっていた」という状況です。

詳しくは過去完了形についてをご覧ください。

過去完了形とは?

助動詞を使った完了形(未来完了形も含む)

そして、助動詞を使った完了形です。

助動詞+完了形で表現の幅が広がる

次のように完了形の前に助動詞を置くことで表現の幅がグッと広がるんですよ。

I could have eaten more!
(もっと食べられたのにぃぃぃ!)

ウサギさん……残念(笑)。

この「could」を使った完了形は「〜できたはずなのに、実際はできなかった」というときに使います。

「will」を使えば未来完了形も

助動詞の「will」を使えば、以下のように「未来完了形」の形にもできるんですよ。

「will」を使った完了形

I will have finished the game, when you come home.
(キミが帰ってくる頃には、もうそのゲーム終えてると思うよ!)

このように「have」の前に助動詞を付ければいろいろなニュアンスが付けられます。

未来完了形については、否定文は「主語 + will + not + have + 過去分詞」に、疑問文は「Will + 主語 + have + 過去分詞」となります。

代表的な「助動詞+完了形」

代表的な「助動詞+完了形」の組み合わせ・意味を以下のまとめて並べておきますね。

代表的な「助動詞+完了形」
should + 完了形〜〜すべきだったのに(実際はそうしなかった)
may(might) + 完了形〜 〜したかもしれない
must + 完了形〜〜したに違いない
could + 完了形〜〜できたはずなのに(実際はそうしなかった)
cannot + 完了形〜〜したはずがない
need not + 完了形〜〜する必要はなかったのに(実際そうしてしまった)
will + 完了形〜〜してしまっているだろう
would + 完了形〜〜しただろうに(実際はそうしなかった)

進行形の完了形

お次は進行形の完了形です。

現在の結果・状態よりも、以前からの動作・状態がずっと続いているという過程に注目したいときは進行形が使われます。

意味が不明確になる「完了形」の例

たとえば、動詞「live(住む)」を使って次のような「現在完了形」の文があったとしますね。

I have lived here for 7 years.

この場合、次のような2つの意味で解釈できます。

結果・経験の用法
7年ここに住んだ(けど今はもういない)
継続の用法
ここに7年住んでいる(今もいる)

2つの意味に取れてしまうと混乱を招くかもしれませんよね。

「現在完了形」を「現在完了進行形」に

ここで動詞の部分を現在完了進行形にしてみましょう。

次のように「have + 過去分詞形」を「have + been + 現在分詞形」にします。

I have lived been living here for 7 years.

このときの「been」は「be」の過去分詞形です!

こうすることで、必ず「ずっと〜し続けている」という継続の意味になります。

「昨夜からずっとユーチューブ見ている」や「朝からずっとピアノを練習している」などのシチュエーションもそうですね。

進行形にするかどうかは、継続の意味なのかそれ以外の意味なのかで使い分けましょう。

呼び方としては時制が現在なら「現在完了進行形」で、過去なら「過去完了進行形」ですよ。

受け身(受動態)の完了形

続いて「受動態の完了形」も見てみましょう。

「〜する」ではなく「〜される」という受け身の意味でも完了形にできますよ。

たとえば以下の「has been eaten」の部分がそうですよ。

My ice cream has been eaten by my sister.
(あたしのアイス、妹に食べられちゃった……)

つまり、「have + been + 過去分詞形」としてください。

前項で見た、進行形の完了形「have + been + 現在分詞形」と紛らわしいですよね……。

使うシチュエーションはそれほど多くないですが、ちゃんと違いは理解しておきましょう!

不定詞の完了形

続いては不定詞の完了形です。

to + 動詞の原形」という不定詞の表現と完了形の組み合わせもあります。たとえば以下のような場合です。

He seems to have been a pro gamer.
(彼はプロゲーマーだったようだ)

「彼は〜であるようだ」という現在の推測と「プロゲーマーだった」という過去の事実をつないでいるわけですね。

不定詞に過去の出来事をくっ付けたいときに使うイメージです。

分詞構文

ラストは分詞構文を使った完了形です。

まずは以下の例文をご覧ください。

Having played video games for 9 hours, I'm so tired...
(9時間もゲームやったから、めちゃ疲れたよ……)

オオカミさんも、ゲームやりすぎ(笑)。

このときの「Having played」のところが分詞構文という形になった完了形です。

分詞構文についてはこちらで詳しく紹介しています。

まとめ

最後にもう一度「完了形」についてまとめます。

「完了形」のまとめ

  • have + 動詞の過去分詞形
  • 以前より続いてきたことによる結果・経験を表現
  • もしくは以前より続いてきたことの過程そのもの
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中村サッシ
サッシ
塾講師として英語・国語の指導を約20年してきた経験のある「英語の文法オタク」。早稲田大学 教育学部卒。小学生の時から英語を学んでいた経験もあり。「毎日が生まれたて」という月間に100万回以上読まれる人気ブログも運営。>>サッシについて詳しくはこちら
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