こんにちは、英語の勉強マニアのサトです。
英語などで「発音の聞き分け」ができるようにするにはミニマルペアで練習するといいと言われています。
では、「ミニマルペア」とはなんのことでしょうか?
今回は、「ミニマルペア」がそもそもどういうものなのか、英語学習にどう役に立つのかをわかりやすく解説します。
ミニマルペアとは?
「ミニマルペア」は聞き慣れないことばだと思いますが、どのようなものなのでしょうか。
英語では「Minimal Pair」
こういうときには、カタカナを英語に戻して言葉を分解してみるとわかりやすいです。
ミニマルペアを分解
ミニマルペア
Minimal(最小限の)
Pair(ペア)
直訳すると「最小限のペア」ということですね。
ミニマルペアの定義
ミニマルペアの定義を正確にまとめるとこちらになります。
ミニマルペアとは?
1か所の音素の違いで意味を区別する単語のペア

あまりピンとこないんだけど……。
少し専門的な表現なので、わかりづらいかもしれません。
そこで、国際交流基金が出版している書籍に書かれている内容を引用してみましょう。
(前略)1カ所の音の違いだけで意味を区別する単語の組を、ミニマルペアと言います。
国際交流基金 著『音声を教える』(2009年 ひつじ書房)より引用しました。
日本語への直訳で「ミニマルペア=最小限のペア」と紹介しましたが、「1か所だけ(=つまり最小限)の違いがあるペア」という意味なのですね。
言い換えると、「音が1か所だけ違っていて、意味も違う単語のペア」とも言えます。
例を見たほうが理解しやすいので、次の項では3つの例を紹介して説明しますね。
「ミニマルペア」の例
では、「ミニマルペア」の例として英語の単語のペアを3つ紹介します。
「ミニマルペア」の例【1】「book」と「cook」
まずは「book」と「cook」を比べてみましょう。
先ほど、「ミニマルペア」は「音が1か所だけ違っていて、意味も違う単語のペア」と説明しました。
なので、つづりではなく、発音記号にご注目ください。
単語 | 発音記号 | 意味 |
---|---|---|
book | [ bʊk ] | 本 |
cook | [ kʊk ] | コック |
上の例では、「 b 」と「 k 」の1か所の発音が違いますね。
1か所(=最小限)の音の違いで単語を区別しているペアなので、これはミニマルペアになります。
「ミニマルペア」の例【2】「light」と「right」
2つ目の例はこちらです。
単語 | 発音記号 | 意味 |
---|---|---|
light | [ laɪt ] | 光 |
right | [ raɪt ] | 右 |

日本人の苦手なLとRの発音の違いですね!
この例の場合も、「 l 」と「 r 」の発音、つまり1か所の発音だけが違っていて、意味も違っているのでミニマルペアに該当します。
「ミニマルペア」の例【3】「know」と「now」
では、もうひとつ例を見てみましょう。
単語 | 発音記号 | 意味 |
---|---|---|
know | [ noʊ ] | 知る |
now | [ naʊ ] | 今 |
先述した例では、子音の違いでしたが、今回の例では母音の「 o 」と「 a 」が違っています。
つまりミニマルペアは、「子音の違いか?」「母音の違いか?」は関係なく、1つの発音の違いが意味の違いを生み出しているペアということですね。
【重要】つづりではなく「音の違い」がポイント
ところで、先ほどから「発音記号」を見ていただいていますが、こんなふうに思われたかもしれません。

ミニマルペアは「つづりが1か所だけ違うもの」と言ってもいいんじゃないの?
そう思われそうですが、つづりの違いは関係なく、発音に注目しなければならないのです。
ミニマルペアではない例【1】「thought」と「though」
では理解を深めるために、つづりの違いが1か所でもミニマルペアにならない例を見てみましょう。
単語 | 発音記号 | 意味 |
---|---|---|
thought | [ θɔːt ] | think(考える)の過去形・過去分詞 |
though | [ ðoʊ ] | 〜だけど |

ほとんど同じつづりでも、発音を見るとぜんぜん違うんです!
つづりの違いは、一番うしろに「 t 」がつくかどうかの1か所だけですが、発音記号を見るとまったくの別物ですよね。
ミニマルペアというのは、あくまで音の違いなのです。
ミニマルペアではない例【2】「the」
では今度は、「発音は違っているが意味は同じ」という例を見てみましょう。
単語 | 発音記号 | 意味 |
---|---|---|
the | [ ðə ] | その |
the | [ ðɪ ] | その (母音の前にくる「the」は発音だけが変わる) |
冠詞の「the」は、「the apple」のように母音の前に来ると、発音が [ ðɪ ] になります(カタカナだと「ジ」のような発音)。
でもこの場合は、発音の違いが意味の区別になっていないため、ミニマルペアには当てはまりません。
日本語でのミニマルペア例
今までは英語の単語でのミニマルペアを見てきましたが、今度は日本語を例に挙げてみましょう。
「たんぼ」のミニマルペアである「トンボ」「サンボ」と、ミニマルペアではない「コンボ」を比較します。
たんぼ | [ tambo ] |
---|---|
トンボ | [ tombo ] 〇 ミニマルペア |
サンボ | [ sambo ] 〇 ミニマルペア |
コンボ | [ kombo ] × ミニマルペアではない |
このように、文字で見ると1文字の違いだとしても、発音を見ると2か所が違っている場合もよくあるのでご注意ください。
「ミニマルペア」に注目するメリット
では、「ミニマルペア」は、英語学習にどのように役に立つのでしょうか。
実は、「ミニマルペア」に注目して英語を学習することで、次のメリットが得られるんです。
メリット
- 発音が似ている単語の意味が聞き分けられるようになる
- 発音が似ている単語をしっかり区別して発音できるようになる
たとえば1は、「light」と「right」を聞いて、どちらかわかるようになるということ。
「light」と「right」をきちんと発音できるようになるというのが2ですね。
でも、もちろん「ミニマルペア」に注目した練習が必要です。
まとめ
この記事では、「ミニマルペア」について解説しました。
まとめると、次のとおりです。
まとめ
- 「ミニマルペア」とは、「音が1か所だけ違っていて、意味も違う単語のペア」である
- 「ミニマルペア」に注目して学習すると、発音が似ている単語を聞き分けたり、発音したりできるようになる
ちなみに、ミニマルペアを練習するときにはスマホアプリ「ELSA Speak」がオススメなのでぜひ使ってみてください。