ヘボン式ローマ字とは? ルールや書き方を詳しく解説

ヘボン式ローマ字とは?

こんにちは! 発音マニアのヨスです。

日本語をアルファベットにした表記をローマ字と呼びます。

小学校のローマ字(訓令式)では「ち → ti」のように習ったのに、実際には「ち → chi」と書かれているものを目にしますよね?

実はこれは「ヘボン式ローマ字」と呼ばれるもうひとつのローマ字のルールにのっとった書き方になります。

本記事ではヘボン式ローマ字の特徴について詳しく紹介します。

ヘボン式ローマ字とは?

ヘボン式ローマ字とは、外国人、とくに「英語圏」の人が読むことを第一に考えられた記述方法です。

日本語のルールよりも、英語圏の人に読みやすくすることを優先しています。

「英語圏の人に読みやすい」とは?

「英語圏の人に読みやすい」というのはどういう意味でしょうか?

たとえば、「た行」を訓令式(小学校低学年で習うローマ字のこと)とヘボン式で書いたものを見比べてみましょう。

訓令式tatituteto
ヘボン式tachitsuteto
「た行」のアルファベット表記

「ち」を訓令式で「ti」と書くと、日本語をまったく知らない英語圏の人はほぼ全員が「ティ」と発音します。

なぜなら、英語では「ti」を「ティ」と発音するからです。

そこで「ち」を「ti→chi」と表記することで、少なくとも「ティ」と読み間違えられることはなくなるわけです。

ローマ字のルールとしては「イレギュラーになる」という大きな弱点はありますが……。

古い日本語の「た行」は「た・てぃとぅ・て・と」と発音されていたので、実は現在の日本語がイレギュラーなんです。

「ヘボン」とはどういう意味?

そもそも「ヘボン式ローマ字」の「ヘボン」とはどういう意味でしょうか?

これは人の名前で、Jamesジェームス Curtisカーティス Hepburnヘボン氏の姓「Hepburn」からきています。

James Curtis Hepburn氏
James Curtis Hepburn氏

「Hepburn」を「ヘボン」と読んでいますが、今では「ヘプバーン」、もしくは「ヘップバーン」と表記されることが多いです。

超・有名女優のオードリー・ヘプバーン氏の姓と同じですね。

なぜ「ヘボン式ローマ字」と呼ぶの?

では、なぜそのヘボン氏の姓がローマ字の名称に使われているのでしょうか。

その理由は、ヘボン氏が和英辞典を編纂したことがもとになっています。

ヘボン氏が編纂した和英辞典で使われていた「ローマ字のルール」が、現在「ヘボン式」と呼ばれるローマ字のもとなんです。

結果的に、ヘボン氏が広めたことになったからヘボン式ローマ字と呼ばれるんですね!

【補足】厳密には「本当の英語の発音」とは違う

「ヘボン式ローマ字は外国人が読めるように作られた」と書きましたが、ここには注意が必要です。

だからといって、ヘボン式の表記を見れば外国人が正しい日本語の発音で読めるという意味ではありません。

たとえば「ふ」をヘボン式では「fu」と書きますが、「ふ /ɸu/」の発音と「fu」の発音はまったく違います(参考:発音記号[ f ]について)。

[ f ]と[ ɸ ]の発音を前からみたところ
[ f ]と[ ɸ ]の発音を前からみたところ

もうひとつ例をあげて、「し」を「shi」と書いても、日本語の「し /ɕi/」と英語の「she /ʃi/」は発音が違います(参考:日本語と英語の「SH」の発音の違い)。

とはいえ、まったく日本語のわからない人が道路の標識でヘボン式ローマ字を見たときに、訓令式ローマ字より本来の日本語に近い・・発音ができるのはメリットでしょう。

ヘボン式ローマ字表

では実際に、ヘボン式ローマ字を使って日本語をどう表記するのかを見ていきましょう。

先に訓令式との違いを紹介すると、ヘボン式は次のようにイレギュラーな表記が多いです。

訓令式ローマ字での表記例

Syatyô wa hukutû ga tisi-reberu zya!?
(社長は腹痛が致死レベルじゃ!?)

ヘボン式ローマ字での表記例

Shachō wa fukutsū ga chishi-reberu ja!?
(社長は腹痛が致死レベルじゃ!?)

変な例文ですみません(笑)。

【清音】ヘボン式ローマ字表

こちらはヘボン式ローマ字の清音を表にしたものです。

あ行a
(あ)
i
(い)
u
(う)
e
(え)
o
(お)
か行ka
(か)
ki
(き)
ku
(く)
ke
(け)
ko
(こ)
さ行sa
(さ)
shi
(し)
su
(す)
se
(せ)
so
(そ)
た行ta
(た)
chi
(ち)
tsu
(つ)
te
(て)
to
(と)
な行na
(な)
ni
(に)
nu
(ぬ)
ne
(ね)
no
(の)
は行ha
(は)
hi
(ひ)
fu
(ふ)
he
(へ)
ho
(ほ)
ま行ma
(ま)
mi
(み)
mu
(む)
me
(め)
mo
(も)
や行ya
(や)

yu
(ゆ)

yo
(よ)
ら行ra
(ら)
ri
(り)
ru
(る)
re
(れ)
ro
(ろ)
わ行wa
(わ)



o
(を)
清音のアルファベット表記(ヘボン式)

ヘボン式ローマ字では「し(shi)」「ち(chi)」「つ(tsu)」「ふ(fu)」がイレギュラーですよね(後述しています)。

ほかにも「を」は「わ行」ですが、「wo」ではなく「 o 」と書きます

【濁音】ヘボン式ローマ字表

続いて、ヘボン式ローマ字の濁音を表にしたものがこちらです。

が行ga
(が)
gi
(ぎ)
gu
(ぐ)
ge
(げ)
go
(ご)
ざ行za
(ざ)
ji
(じ)
zu
(ず)
ze
(ぜ)
zo
(ぞ)
だ行da
(だ)
ji
(ぢ)
zu
(づ)
de
(で)
do
(ど)
ば行ba
(ば)
bi
(び)
bu
(ぶ)
be
(べ)
bo
(ぼ)
ぱ行pa
(ぱ)
pi
(ぴ)
pu
(ぷ)
pe
(ぺ)
po
(ぽ)
濁音のアルファベット表記(ヘボン式)

濁音にも例外があり、「じ」「ぢ」はどちらも「ji」とつづります。

なお、「だ行」の「づ」も「du」ではなく「zu」と書きますよ。

参考:四つ仮名について

【拗音】ヘボンローマ字表

こちらはヘボン式ローマ字の拗音を表にしたものです。

きゃ行kya
(きゃ)
kyu
(きゅ)
kyo
(きょ)
しゃ行sha
(しゃ)
shu
(しゅ)
sho
(しょ)
ちゃ行cha
(ちゃ)
chu
(ちゅ)
cho
(ちょ)
にゃ行nya
(にゃ)
nyu
(にゅ)
nyo
(にょ)
ひゃ行hya
(ひゃ)
hyu
(ひゅ)
hyo
(ひょ)
みゃ行mya
(みゃ)
myu
(みゅ)
myo
(みょ)
りゃ行rya
(りゃ)
ryu
(りゅ)
ryo
(りょ)
ぎゃ行gya
(ぎゃ)
gyu
(ぎゅ)
gyo
(ぎょ)
じゃ行ja
(じゃ)
ju
(じゅ)
jo
(じょ)
びゃ行bya
(びゃ)
byu
(びゅ)
byo
(びょ)
ぴゃ行pya
(ぴゃ)
pyu
(ぴゅ)
pyo
(ぴょ)
拗音のアルファベット表記(ヘボン式)

拗音の基本としては子音と母音の間に「y」をはさみます。

でも「しゃ(sha)」「ちゃ(cha)」「じゃ(ja)」の3つの行だけルールが違うのでご注意ください。

ヘボン式ローマ字のルール

続いて、ヘボン式ローマ字のルールを見ていきましょう。

基本ルールスペルのルールに分けて紹介しますね。

ヘボンローマ字の基本ルール

まずは、ヘボン式ローマ字の基本ルールから紹介します。

大文字からはじまりピリオドで終わる

まず、文頭は大文字からはじまり、ピリオド( . )で終わるというルールがあります。

Hai, kyō wa atsui desu.
(はい、今日は暑いです)

句読点は「句点→ . 」「読点→ , 」のように置き換えましょう。

これは英語と同じですよね。

「分かち書き」をする

ヘボン式ローマ字は「分かち書き」をします。

分かち書きとは、英語のように単語と単語の間にスペースを空ける書き方のことですね。

Ashita wa hareru kana?
(明日は晴れるかな?)

どこにスペースを空けるのかは、明確にルールとしてあるわけではありません。

「読みやすくする」のが目的で、基本的には単語で分けるという解釈でいいでしょう。

固有名詞の語頭は大文字になる

英語と同じで固有名詞の語頭は大文字になります。

Kinō wa Tarō to Shinjuku de asonda.
(昨日は太郎と新宿で遊んだ)

長い言葉の中にハイフン

長い言葉の場合は、間にハイフンをはさみます。読みやすくするのが目的でルールはありません。

Pikachū ga “denkōsekka” o oboeta.
(ピカチュウが「電光石火」を覚えた)

ヘボン式ローマ字のスペルに関するルール

お次は、ヘボン式ローマ字のスペルに関するルールを紹介します。

訓令式と大きく違うルールを先にまとめると次のとおりです。

 訓令式ローマ字ヘボン式ローマ字
さ行sa si su se sosa shi su se so
た行ta ti tu te tota chi tsu te to
は行ha hi hu he hoha hi fu he ho
ざ行za zi zu ze zoza ji zu ze zo
しゃ行sya syu syosha shu sho
ちゃ行tya tyu tyocha chu cho
じゃ行zya zyu zyoja ju jo
訓令式ローマ字とヘボン式ローマ字の違い

助詞のスペル「は=wa」「へ=e」「を=o」

ローマ字で助詞を書くときには注意が必要です。

「は」「へ」「を」は「wa」「 e 」「 o 」のように書きます。

Watashi wa sūpā e banana o kai ni itta.
(私スーパー、バナナ買いに行った)

「Watashi ha sūpā he banana wo kai ni itta」だと声に出すとおかしいですよね。

「し」と「しゃ行」は「sh」

ヘボン式ローマ字では「し」と「しゃ行」には、子音として「sh」を使います。

Shūichi de shōyu no shashin o toru.
(週イチで醤油の写真を撮る)

なんで「さ行」にある「し」と「しゃ・しゅ・しょ」に同じ「sh」を使うの?

なぜなら「し」は本来、「しゃ行」にくるはずだったからです。

詳しくはローマ字「し(shi)」の謎が参考になりますよ。

「ち」と「ちゃ行」は「ch」

ヘボン式ローマ字では「ち」と「ちゃ行」には、子音として「ch」を使います。

Chūrippu ni chitchana chō ga ita.
(チューリップにちっちゃな蝶がいた)

これも「し(shi)」が「しゃ行」と同じ子音になるのと理由が同じです。

ローマ字「ち(chi)/つ(tsu)」の謎をご覧ください。

「つ」は「tsu」

ヘボン式ローマ字では「つ」は、「tsu」と書きます。

Tsūjō nara tsutsuji no hana ga saiteiru.
(通常なら、ツツジの花が咲いている)

訓令式ローマ字だと「tu」なので、混乱しないように!

「つ」を「tsu」と書く理由はこちらで詳しく紹介しています。

「ふ」は「fu」

ヘボン式ローマ字では「ふ」は、「fu」と書きます。

Furo kara dete futon ni haitta.
(風呂から出て、布団に入った)

「ふ」を「fu」と書く理由はこちらに。

「じ」と「じゃ行」は「 j 」

ヘボン式ローマ字では、「じ」と「じゃ行」の子音に「 j 」を使います。

hō ni yoruto jitsu wa juku janai.
(情報によると、実は塾じゃない)

「じ/ぢ」「ず/づ」は同じスペル

「じ/ぢ=ji」と「ず/づ=zu」は同じスペルになります。

  • Jibun no sokojikara o shinjiro!
    ぢからを信じろ!)
  • Zukan no tsuzuki ga kininaru.
    つづが気になる)

パソコンでは「sokodikaraそこぢから」や「tudukiつづき」と入力するので、混乱しないようにしましょうね。

「 m 」「 p 」「 b 」の前の「撥音(ん)」は「 m 」になる

基本的には「ん」は「 n 」を使いますが、「 m 」「 p 」「 b 」の前の「ん」は「 m 」で書きます。

Shimbun o motte sampo ni itte kammen o tabeta.
(新聞を持って、散歩に行って、乾麺を食べた)

なぜ「 m 」を使うのかというと、実際に「 m 」「 p 」「 b 」の前の「ん」は[ m ]の発音をするからです。

詳しくは「天ぷら」を「tempura」と書く理由をご覧くださいね。

「撥音(ん)」の後に「や行/母音」がくるときは「’」か「 – 」をはさむ

「撥音(ん)」のあとに「や行」や「母音」がくるときは、次のように「 n 」のあとに「’」か「 – 」をはさみます。

  • Hon’ya de ren’ai-shōsetsu o katta.
    (本屋で恋愛小説を買った)
  • Shin dekiru mise de kanoke o katta.
    (信用できる店で、棺桶を買った)

「’」か「 – 」のどちらを使うかは明確に決まっていないため、学校で習うものを採用するといいでしょう。

なぜこんなことをするのかというと「 n 」が、後ろにある「や行」や「母音」と合体して「honya(ホニャ)」「renai(レナイ)」「shinyō(シニョー)」「kanoke(カノケ)」のように読めてしまうからです。

「’」や「 – 」を挿入することで、ここが境目であることが伝わりますね。

日本語と英語の「ん」の違いも参考になりますよ。

促音(っ)は子音を重ねる

促音(っ)をヘボン式ローマ字で表記するときは、促音のくる子音を重ねます。

Hokkaidō wa tottemo oishii mono ga dossari.
(北海道は、とっても美味しいものがどっさり)

「chi」の前の「促音(っ)」では「 t 」を挿入する

ヘボン式ローマ字の「促音(っ)」にはイレギュラーなルールがあります。

促音が「ち(chi)」や「ちゃ行」の前にくるときだけ「matchi(マッチ)」のように「 t 」を使うのです。

Kitchiri to satchūzai o katchatta.
(きっちりと殺虫剤を買っちゃった)

「matchi(マッチ)」を「macchi」と書いてしまうと、英語圏の人は「マッシ」や「マッキ」のように読んでしまうためです。

「 t 」があることで、「マッチ」のように発音するのだと予測できやすくなります

ただし、英語には促音(っ)は存在しないので、正しく読んでもらうのは至難の業ですが。

長音には「¯(マクロン)」「^(サーカムフレックス)」を使う(省略されることも)

「長音(ー)」は長音記号として「¯(マクロン)」や「^(サーカムフレックス)」を使います。

表記は「ā/â」「ī/î」「ū/û」「ē/ê」「ō/ô」のように。

  • Sōsu to pīrā to kēki o motte pūru ni mukatta.
    (ソースとピーラーとケーキを持ってプールに向かった)
  • Sâ! Kyô mo onîsan to onêsan to takkyû o suruzo.
    (さあ! 今日もお兄さんとお姉さんと卓球をするぞ)

とはいえ、町では「¯(マクロン)」のほうを見かけることがほとんどです。

「有楽町」が「yūrakuchō」と書かれている
「有楽町」が「yūrakuchō」と書かれている

上の例では「有楽町駅」が「Yūrakuchō」と書かれていますよ。

さらに、もっと多くの場合、長音の「印」は省略されることが多いです。

たとえば次の画像は「東西」を「Tōzai/Tôzai」ではなく「Tozai」と書いている例。

「東西」が「Tozai」と書かれている
「東西」が「Tozai」と書かれている

このように同じ駅の標識でもいろいろなパターンがあるというカオスっぷりです……。

おそらく、英語の時間には「Tokyo」のように長音符号はつけないと習うと思います。

厳密なルールがなくて混乱しますが、学校でのテストでは英語の先生の方針に従うしかありません。

「長音(ー)」と意識しない言葉はそのままの綴りで書く

日本人が「長音」として認識していない言葉の場合は、長音符号を使わずにアルファベットで書きます

  • kawaīkawaii(かわいい)
  • nugūnuguu(ぬぐう)
  • suiēsuiei(水泳)

【暗記できたかチェック!】ヘボン式アルファベットのルール

最後に、ヘボン式アルファベットのルールを覚えられているかをチェックしてみましょう。

カルシウム

karushiumu

勤勉(きんべん)

kimben

おいしい

oishii

ミョウガ

myōga

みかん

mikan

キュウリ

kyūri

きんぴらごぼう

kimpira-gobō

抹茶(まっちゃ)

matcha

ズルい

zurui

私服(しふく)

shifuku

縮む(ちぢむ)

chijimu

流星(りゅうせい)

ryūsei

指示(しじ)

shiji

繁栄(はんえい)

han’ei/han-ei

社長(しゃちょう)

shachō

ジャンケン

janken

特急(とっきゅう)

tokkyū

しょうゆ

shōyu

ちょんまげ

chommage

金曜(きんよう)

kin’yo/kin-yo

ドッキリ

dokkiri

ヒッチハイク

hitchihaiku

ヘボン式アルファベットを覚えたかのチェック

まとめ

本記事では、日本に住んでいると一番目にする種類のローマ字「ヘボン式ローマ字」を紹介しました。

訓令式ローマ字に比べると、かなりルールがややこしいです。

だからこそ低学年では訓令式を学ぶのですが、訓令式を学んだあとにヘボン式を習っても混乱します。

とはいえ、現実問題として、ヘボン式が流通しているので慣れるしかありません。

本記事がヘボン式ローマ字の学習のお役に立てばうれしいです。

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ヨス
アメリカ留学で言語に興味を持ち日本語教師に。その後、自分が「音声学」に猛烈に惹かれることに気づく。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。「ヨッセンス」という月間に100万回以上読まれている人気ブログも運営するプロブロガー。>>ヨスについて詳しくはこちら
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