【語源で単語暗記(1)】「英単語を語源で覚える」ってどういうこと?

語源って?
ヨス

執筆者

アメリカ留学で言語に興味を持ち、日本語教師の資格をとる。メディアなど掲載多数。著書は2冊。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。→ ヨスについてはこちら

英語の勉強で、「大切だけど、もっとも大変なもの」と言えば単語の暗記ではないでしょうか?

誰もが「効率的な単語の覚え方はないのか……」と思ったことがあるはず。

英単語を覚える方法はいろいろとありますが、わたしがもっとも効率的だと確信しているのが「語源」を知ることです。

単語を「パーツ」に分解し、それぞれのパーツが持つ「語源の意味」を覚え、単語の「イメージ」で覚える方法です。

今回は、英単語を覚えるときには「語源」を使って覚えるといいということについて詳しく紹介しましょう。

語源については、いろいろな説がありますが、この記事ではわかりやすいものを優先しています。また、覚えやすさを重視しているので、解釈は「英語びより」独自のものになっていることがあります。

「語源(パーツ)」による英単語学習とは?

では、「語源で英単語を覚える」という学習方法がどういうものかについて解説します。

「語源」ってなに?

最初に、「語源」という言葉が何を指すのかということから解説しましょう。

ひとことで言うと、言葉のはじまりになっている言葉を「語源」と呼びます。

語源とは?
言葉の元になっている言葉

たとえば、夫のことを「旦那(だんな)」と呼ぶ人がいますが、この言葉はどこから来たのでしょうか?

実は、「旦那」の語源はサンスクリット語で「与えること」を意味する「ダーナ(दानम्[ dānam ])」だと言われています。

日本語じゃなかったんだっ?!

言い換えると、「旦那」の語源はサンスクリット語の「ダーナ」です。

「語源(パーツ)」を知ると単語が覚えやすくなる

上で説明したとおり、「語源」は元になっている言葉を指します。

ただし、この「語源で覚える英単語」シリーズでは、どちらかというと「パーツ」という意味合いで「語源」という言葉を使います。

このシリーズでの定義

語源=単語を構成するパーツ

英単語を構成する「パーツ(語源)」を覚えることで、英単語を覚えやすくするのです。

【漢字で説明】単語を構成するパーツとは?

いきなり英語の話をするよりも日本語の話のほうが理解しやすいので、まずは「漢字」に焦点を当てます。

漢字も英単語と同じで、闇雲に覚えようとすると大変ではないですか?

うん。漢字を暗記するのも大変。

でも、漢字を「パーツ」に分解すると覚えやすく、一度覚えると忘れられなくなってしまいます。

【例】漢字「葉」を分解すると?

たとえば「葉」という漢字を分解すると、次の2つのパーツに分けられますよね。

漢字「葉」を分解

(くさかんむり)」と「(よう)(厳密には「世」+「木」)という2つのパーツでできています。

この「枼」の部分は「葉っぱを形どった漢字」で、それが転じて「平べったいもの」を指すようになりました。

「枼」は「平べったいもの」という意味だったんですね!!

そして「枼」+ 植物を表す「くさかんむり」がくっついた漢字「葉」が「葉っぱ」という意味になりました。

漢字「葉」の成り立ちとは?
漢字「葉」の成り立ちとは?

つまり、
植物+平べったい=葉というわけですね!!

パーツで覚えると忘れにくい

さらに「枼」という漢字は、こちらのような派生をしていきました。

漢字「葉」「蝶」「鰈」の成り立ち
漢字「葉」「蝶」「鰈」の成り立ち

平べったい虫だから「(ちょう)(虫+枼)」、平べったい魚だから「(かれい)(魚+枼)」。

いかがでしょうか?「なるほどっ!」と思いませんか?

「葉」は学校で習いますが、「蝶」と「鰈」は知っていましたか?

「蝶」は知ってたけど、「鰈」は知らなかったよ!

でも、
漢字の成り立ちを知ると簡単に覚えられますよね?

おそらく、小学生でも「鰈」をかんたんに覚えそうです。

これと同じことを英語の単語を覚えるときに応用すれば、「英単語も覚えられる」と思いませんか?

英語の語源(パーツ)にも意味がある

では、いよいよ英語での語源(パーツ)の話です。

漢字と同じように、英単語を構成するパーツにもちゃんとした意味があるのです。

たとえば、「inspect」という単語を2つのパーツに分けてみましょう。

「inspect」を分解

in(中に)+ spect(見る) = inspect

上のように、「in」は「中に」、「spect」は「見る」という語源としての意味があるのです。

そして、「in」+「spect」で構成されている「inspect」は検査する」という意味になります。

「中を(in)見る(spect)」という語源の意味を考えると、「検査する」というイメージとぴったりではないでしょうか?

「in(中に)」+「spect(見る)」=「inspect(検査する)」
「in(中に)」+「spect(見る)」=「inspect(検査する)」

このように、語源の意味を覚えることで英単語を理解しやすくするのが「語源による英単語学習」なのです。

語源を使った単語学習の基本

「語源による英単語学習がどういうものか」ということについて紹介してきました。

ここでは、語源を使った単語学習の基本を説明しましょう。

語の最小単位のパーツは決まっている

まずは、語の最小単位のパーツは決まっているということを知っておきましょう。

たとえば「reaction(リアクション)」という単語を分解してみます。

この単語は次の3つのパートに分けられます。

3つのパートについて

re / act / ion

なんでこの分け方になるの? ほかの分け方はダメなの?

なぜここで分けるのかというと、これが語の最小単位であり、それぞれのパートに「意味」があるからです。

「re」「act」「ion」のそれぞれの意味はこちらになります。

reaction
後ろに行動こと(名詞化)
「reaction」のパーツの意味

このように、英単語を構成するパーツ、つまり構成する語の最小単位を「語根(ごこん)」と呼びます(参考: 語根とは?)。

語源パーツは「どの位置に来るのか?」が決まっている

前項で紹介した語根ですが、「どの位置に来るのか?」が決まっているものがあります。

1つは単語の頭にくっつく語で、もう1つは単語のお尻にくっつく語で、次のように呼ばれています。

接頭辞と接尾辞とは?

  • 接頭辞(せっとうじ) …… 単語の頭にくっつく語
  • 接尾辞(せつびじ) …… 単語のお尻にくっつく語

「reaction」という単語だと、「re接頭辞」、「ion接尾辞」になりますよ。

接頭辞と接尾辞の図
接頭辞と接尾辞の図

「re」は必ず頭にくっついて意味を作り、「ion」は必ずお尻にくっついて意味を作ります。

つまり英語の語源パーツは、どの位置にくるかが語源によって決まっているのです。

英単語は「接頭辞」や「接尾辞」がくっついて成り立つ
英単語は「接頭辞」や「接尾辞」がくっついて成り立つ

基本的に「re」は語の先頭につきますが、そのさらに前に2つ目の接頭辞がくっついた「disrespect(敬意を払わない)」のような言葉もありますよ!

語源を使って単語を覚える手順

さて、ここまで「語源(パーツ)」で英単語を覚えることの魅力を説明してきましたが、このように思われたかもしれません。

でも、単語を暗記することに変わりないんじゃ?

たしかにそう見えそうですが、語源を覚えるときは無意味な記号の羅列として覚えるのではありません!

ここでは、語源を使った単語学習のやり方、手順を説明しましょう。

語源パーツ(語根)を覚える

「語源を使って英単語を覚える」とは言っても、けっきょくのところは「覚えるということ」からは逃れられません。

「inspect(検査する)」と暗記しなくていいとしても、語源の「spect = 見る」は覚える必要があるということです!

ではどうやって、「語根(語源のパーツ自体)」を覚えればいいのでしょうか?

ご安心ください。「助け」になるようなイメージイラストをわたしが用意しました。

たとえば「in」と「re」、そして「spect」なら、次のようなイラストで覚えてしまってください。

「in」の語源の意味は「中に」
「in」の語源の意味は「中に」
「re」の語源の意味は「再び・後ろに・元に」
「re」の語源の意味は「再び・後ろに・元に」
「spect」は「見る」の意味
「spect」は「見る」の意味

このシリーズ「語源で覚える英単語」では、今後新しい語源を紹介する際にはこのようなイラストを紹介していきます。

「単語の意味」と「語源(パーツ)を組み合わせたイメージ」を関連付ける

語源パーツである語根を覚えたら、今度は単語を覚えましょう。

たとえば「inspect(教える)」という単語は、次の2つのパーツから成り立っています。

「inspect」の成り立ち

in + spect

先述したように、「in」と「spect」にはそれぞれ、次のような「語源としての意味」がありますよね。

語源の意味

  • in …… 中に
  • spect …… 見る

でも、ここで「in」+「spect」=「inspect(検査する)」と覚えるのではありません!!


2つの語源(パーツ)を組み合わせたイメージを頭に浮かべるのです。

「in(中に)」+「spect(見る)」=「inspect(中を見る→検査する)」
「in(中に)」+「spect(見る)」=「inspect(中を見る→検査する)」

箱の(in)見る(spect) イメージを、「検査する(inspect)」に結びつけられましたか?

イラストを使うと、ビジュアル的に覚えることで印象に残りやすくなりますよ!

「こじつけ」で覚える

今度は、もう1つの「spect」を使った例として、「respect(尊敬する)」を見てみましょう。

すんなりとイメージと結びつかないことがある

「re」には「再び、元に、後ろに」という語源の意味があります。語源をまとめてみましょう。

re(再び・元に・後ろに)spect(見る)

respect

後ろを見る

尊敬する

そうですね。おそらく、ほとんどの人がこんな疑問を持ったのではないでしょうか?

なんで「後ろに見る」で「尊敬する」という意味になるの?

そうなのです。さきほど紹介した「inspect」とは違い、パーツを見ても単語の意味に簡単に結びつかない単語もあるのです。

そこで、こちらのような様子をイメージしてみましょう。

「re(後ろに)」+「spect(見る)」=「respect(後ろを見る→尊敬する)」
「re(後ろに)」+「spect(見る)」=「respect(後ろを見る→尊敬する)」

このイラストは、王様(尊敬される人)が車の後ろの席(もっとも安全な席)に座っています。

おかかえの運転手は王様を尊敬しすぎている人で、後ろにいる王様をキョロキョロと尊敬に満ちた目で見るくせがあります。

運転しながら後ろの王様をキョロキョロと見る「危なっかしい運転手」ですね。

イラストを見ながら「危ないだろっ(笑)」と心の中でツッコむことで、記憶に定着しやすくなりますよ!(参考: 楽しいことは覚えやすい

これで、「後ろを見る」「尊敬する」無理やりつながることができましたよね。

正しい語源を覚えるのが目的ではない

わたしが紹介した「respect」の覚え方を見て、次のように思ったかもしれません。

それって、「respect」の正しい成り立ちではないのでは?

はい。そのとおりです!

「respect」という言葉ができた時代に自動車はなかったですし、こんなふうに「respect」という言葉ができたわけではありません。

でも、本当かどうかなんて必要でしょうか? ここでの目的は「単語を効率よく覚えること」ですよね?

どういう由来で「respect」が「尊敬する」という意味になったのか研究している学者ではないかぎり「正しい語源」はどちらでもいいはず!

そんなことよりも、ここでは「『後ろを見る』というイメージ」=「尊敬しているイメージ」をわかりやすく結びつけて記憶するほうが大切なのです。

そう。単語を覚えるためには「こじつけ」でもなんでもいいのです!!

語源で単語を覚えるメリット

最後に語源で単語を覚えるメリットを紹介しましょう。

パーツを入れ替えて効率的に覚えられる

語源による英単語学習というのは、英単語をそのまま丸暗記することではありません。

単語をわざわざ「分解」して覚えるため、こんなふうに思われるかもしれませんね。

分解する理由がわかんないんだけど?

実は分解したパーツを覚え、パーツを入れ替えることで違う単語になることがポイントなのです。

次の例を見てください。

単語(意味)単語の成り立ち
rewrite
(書き直す)
re(再び)+ write(書く)
書き直す
restart
(はじめる)
re(再び)+ start(はじめる)
再スタートする
reborn
(生まれ変わった)
re(再び)+ born(生まれる)
生まれ変わった
remarry
(再婚する)
re(再び)+ marry(結婚する)
再婚する
redivorce
(再離婚する)
re(再び)+ divorce(離婚する)
再離婚する
「re」のつく英単語

どうでしょうか?「re」以降の意味がわかっているものは、意味が予想できたのではないでしょうか?

もし、「英単語が語源のパーツに分かれる」ということを知らなければ「なにコレ……」と思ってた単語もあることでしょう。

このように、語源を覚えることで知らない単語を見ても意味が予想できるようになるのです。

単語を知らなくても自分で「創造」できる

さらには語源パーツをくっつけて、自分で言葉を創ることもできるようになります。

たとえば、ゲームをしていて「また死んだ!」というときに「re」+「die(死ぬ)」を勝手にくっつけて「redie(再び死ぬ)」という言葉を作ってもいいでしょう。

ふつうは言わないかもしれませんが、たいていの場合相手に意味が伝わります。

「killed(殺された)」という言葉を使い「rekilled(再び殺された)」と言っても伝わりそうですね!

ポイントは、間違って存在しない言葉を作ってしまってもたいてい伝わる(・・・・・・・)ということ。

恐れずに語源の知識をフル起動させてコミュニケーションをしましょう。

語源で覚えることによって、「英語を使うこと」が「暗記したものを思い出して言う(書く)」を超えて、クリエイティブな活動になります♪

イメージで覚えるので暗記しやすい

そして、イメージで覚えるので、暗記しやすいというメリットは大きいでしょう。

たとえば「inspect」は「検査する」という意味です。こちらのイメージを見てください。

「in(中に)」+「spect(見る)」=「inspect(検査する)」
「in(中に)」+「spect(見る)」=「inspect(見る)」

「inspect 期待する」と30回書いて覚えるのと、比べてみるとどうでしょうか?

「箱の中を見ている」=「検査している」というふうにイメージで覚えるほうが覚えやすくないでしょうか?

インスタでも投稿しています!

インスタでは漫画で紹介しているので、こちらもどうぞ!

まとめ

英単語を覚えるときは「語源」で覚えるのが効率的です。

そして、語源で単語を覚えるときのコツは「いかに映像としてイメージできるか?(こじつけもOK)」です。

語源を覚え、イメージし、単語を効率的に覚えていきましょう。

次はこちらの記事を読んでいくと効果的ですよ。

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アメリカ留学で言語に興味を持ち日本語教師に。その後、自分が「音声学」に猛烈に惹かれることに気づく。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。>>ヨスについて詳しくはこちら
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