[複数形・三単現] 英単語に「s」が付くときの表記ルールとは?

サッシ

執筆者

WEBライター。旅をしながらブログを書いて生活。塾で英語を約20年教えた経験あり。早稲田大学 教育学部卒業。→ サッシについてはこちら

英語を見聞きしていると、単語の語尾に「 s 」が付く場合がよくありますよね?

たとえば「apple」が複数形になって「apples」になるときなど!

今回は英単語に「 s 」が付く場合の「スペル・表記のルール」を分かりやすく紹介しますね。


英語で「s」が付くのはどんなとき?

まず、英単語の語尾に「 s 」が付くのはどういうときか?……についてかんたんに紹介しますね。

それはズバリ以下の2つの場合です!

語尾に「 s 」が付く例

名詞の複数形

まずは、名詞が複数形になったときです。

名詞の複数形とは?
名詞が2つ以上になったとき、その名詞の語尾に「 s 」が付く変化のこと

たとえば「carrot(ニンジン)」が2個以上あるとき「carrots」になるような変化を指します。

ニンジンが1個のときはこんなふうに言います。

ウサギ

I have a carrot.
(ニンジンを1個持っているよ)

ニンジンが2個のときはこんなふうに言います。

ウサギ

I have 2 carrots.
(ニンジンを2個持っているよ)

くわしくは英語の複数形ってなに?という記事をどうぞ!

動詞の「三単現」

そして動詞の「三単現」のときにも、単語の語尾に「 s 」が付きます。

三単現とは?
「三人称単数」の主語で始まる文章で、動詞の時制が「現在」である状態

たとえば主語が「she」の場合、三人称・単数・現在なので、それに続く動詞「like」はlikesに変化します。

主語だけが異なる以下の例文で比べてみてください。

オオカミ

I play online games everyday.
(ボクは毎日、オンラインゲームをします)

オオカミ

She plays online games everyday.
(彼女は毎日、オンラインゲームをします)

ね? 動詞の「play」に「 s 」が付きましたよね。

というわけで、「名詞の複数形」と「動詞の『三単現』」という2つの場合に、英語では「 s 」が語尾に付くと覚えておいてください!


「s」を付けるときのスペル・表記のルール

では、ここからは「s」を付けるパターンを具体的に見ていきましょう。

語尾に「 s 」を付けると言っても、実際には以下の4つのパターンがあるんです!

それぞれ順番に紹介していきますね。

サッシ

最後の「その他」以外、名詞の複数形にも動詞の「三単現」にも共通のルールです!

「s」が付く場合

まずは、ストレートに語尾に「 s 」だけが付くパターン。

基本的には、多くの単語はシンプルに語尾に「 s 」を付けるだけですよ♪

「pen(ペン)」が「pens」になるという具合ですね。ただそれだけで大丈夫です!

いくつかの例を以下に挙げておきますね。

名詞の例

  • pen(ペン)→ pens
  • apple(りんご)→ apples

動詞の例

  • walk(歩く)→ walks
  • love(愛する)→ loves

「es」が付く場合

通常は語尾に「 s 」が付けばオッケーなのですが、中にはなんと「es」を付けないとダメな場合もあります。

ややこしいですねー(笑)。

なぜ「es」になるのかというと、「イズ [ iz ]」という発音で読みたいからです。

語尾が「s(z)」で終わる単語

まずは、語尾が「 s 」「 z 」で終わる単語です。

「es」が付くルール【1】語尾が「s」「z」の場合
「es」が付くルール【1】語尾が「s」「z」の場合

例えば「bus(バス)」という単語に「 s 」を付けてみましょう。

「bus + s」にした例

bus(バス)busses

なんと!「 s 」が「es」になって「buses」になりました!

これはなぜでしょうか? じつは理由はかんたんなのです。

サッシ

だって!「バッスス [ bʌ́ss ]」ってめちゃくちゃ読みにくいじゃないですかっ!

そもそも、英語で語尾に「 ss 」の表記が来るときは [ s ] の発音になるというルールがあります。

たとえば、「glass(ガラス)」なんか、「ss」で終わっていますが、発音するときは「 s 」×1個分の発音しかしません。

「buss」と表記したときの発音は「bus」と同じになるので、音声では複数形になっていることが表現できないわけです。

そこで、語尾に「 s 」の発音が来て、さらに「 s 」が続くときは「 s 」の前に母音の「 e 」を挟み込み「 es 」にするんです。

こうすることで、「バッスィーズ [ bʌ́siz ]」のように発音でき、急激に読みやすくなります

ちなみに、「 s 」が濁った音(濁音)である「 z 」も同じ理由で「 z 」の後ろに「 es 」が来ます。

語尾の「z」の後ろは「es」

buzz(ブンブン飛ぶ)→ buzzses

こうすることで、「バズズ」ではなく「バズィーズ [ bʌ́ziz ]」と発音できます!

「s (z)+ es」にした例

  • buses
  • buzzes

このように、「 s( z )」という発音が語尾に来るときには「es」になります

というか「kiss」なんかすでに「 s 」が2つ付いているので「kisss」というふうに「 s 」が3つも重なったら字面的にもおかしいです(笑)

名詞の例

  • bus(バス)→ buses
  • class(クラス)→ classes

動詞の例

  • kiss(キスする)→ kisses
  • toss(ぽいっと投げる)→ tosses
  • buzz(ブンブン飛ぶ)→ buzzes

語尾が「x」で終わる単語

さらに「es」の例を挙げると、語尾が「 x 」で終わるときもです。

「es」が付くルール【2】語尾が「x」の場合
「es」が付くルール【2】語尾が「x」の場合

語尾が「x」で終わる例

box(箱)→ boxses

これも「語尾に『 s 』が来る例」と同じ理由です。

「 x 」は文字は違いますが、発音するときには「クス [ ks ]」という音になります。

サッシ

つまり、字面は違えど、発音は [ s ] で終わるんです!

ということで、「boxs」って書いたら「ボックスス [ bɑ́kss ]」になって、発音しにくくなってしまいます

「 s 」の前に母音をはさみ、「ボックスィーズ [ bɑ́ksiz ]」のように発音したいがために「es」と書くんですね。

名詞の例

  • box(箱)→ boxes
  • fox(キツネ)→ foxes

動詞の例

  • fax(FAXを送る)→ faxes
  • mix(混ざる)→ mixes

語尾が「sh 」「ch」で終わる単語

もう1つ例を挙げると、最後が「sh」もしくは「ch」で終わるパターンもそうです。

「es」が付くルール【3】語尾が「sh」「ch」の場合
「es」が付くルール【3】語尾が「sh」「ch」の場合

語尾が「sh」「ch」の例

  • dish(皿)→ dishses
  • watch(腕時計)→ watchses

これはなぜでしょうか?

「sh」の場合は [ ʃ ] という発音になります。

カタカナだと「シュ」ですが、これは「 s 」と近い発音なので、「 shs(シュス)」と発音するのが難しいんですね。

「ch」の方も同じです。[ tʃ ] という「チ」のような音で破擦音という種類の発音です。

破擦音は音声の中でもエネルギーを使う音なので、「ch」の直後に「 s 」を持ってくるのはしんどいんです。

サッシ

「sh」も「ch」も、「 s 」が直接続くと読みづらいので、母音を挟んで「〜イズ」のような発音にしたいがために「es」になるんです!

名詞の例

  • dish(皿)→ dishes
  • watch(腕時計)→ watches

動詞の例

  • wash(洗う)→ washes
  • teach(教える)→ teaches

語尾が「o」で終わる単語

語尾が「 o 」になる単語も「 es 」になるのですが、これはちょっと注意が必要です。

「es」が付くルール【4】語尾が「o」の場合(例外もあり)
「es」が付くルール【4】語尾が「o」の場合(例外もあり)

こちらをご覧ください。

語尾が「o」の場合

  • tomato(トマト)→ tomatoses
  • piano(ピアノ)→ pianos

なんと!「es」になるときと、ふつうに「 s 」でOKのときがあるんです!

語尾の「o」に続く「s」「es」の例
「s」になる例
(「o」の前が母音
  • videos(ビデオ)
  • radios(ラジオ)
  • zoos(動物園)
「es」になる例
(「o」の前が子音
  • potatoes(じゃがいも)
  • tomatoes(トマト)
  • goes(行く)

ルールとして、「 o 」の前が母音のときは「 s 」が付き、「 o 」の前が子音のときにだけ「 es 」が付きます。

ただし、やっかいなことに、このルールには例外があるんですね……。

こちらは「 o 」の前が子音ですが「 s 」が付きます。

例外で「s」になるもの

  • pianos(ピアノ)
  • photos(写真)
サッシ

そんなに多くないので、覚えれば大丈夫ですね!

最後に、「 es 」が付くものをまとめてみます。

語尾に「es」が付くもの

  1. sで終わる単語
    focus(ピントを合わせる), glass(グラス)
  2. zで終わる単語
    buzz(ブンブン飛ぶ), quiz(クイズ)
  3. x [ ks ]で終わる単語
    fix(固定する), box(箱)
  4. sh [ ʃ ]で終わる単語
    wash(洗う), dish(お皿)
  5. ch [ tʃ ]で終わる単語
    teach(教える), watch(腕時計)
  6. oで終わる単語
    go(行く), tomato(トマト)
    ※「 o 」の前が子音字の場合だが、例外あり

「ies」が付く場合

「s」「es」と来て、お次は語尾が「ies」となる場合です。

それは語尾が「 y 」になる単語のときですね。

「y」→「i」+「es」

baby(赤ちゃん) → babyies

ただし「子音+y」のときだけ!

ただし! もう1つ重要なルールがあります。

「ies」となるのは、語尾が「子音字 + y」という場合だけです!

「ies」が付くルール: 語尾が「子音+y」の場合
「ies」が付くルール: 語尾が「子音+y」の場合
サッシ

ちょっとややこしいですね。例を見たほうが早いです(笑)。

語尾に「 y 」が来る単語に「 s 」が付く例
子音 + y
  • baby(赤ちゃん)→ babies
  • city(町)→ cities
  • country(国)→ countries
  • try(挑戦する)→ tries
  • study(勉強する)→ studies
母音 + y
  • guy(やつ)→ guys
  • boy(男の子)→ boys
  • key(鍵)→ keys
  • day(日)→ days

上の例のように、「 y 」の前が母音の場合は、「days」のように「 s 」を付けるだけです。

なぜ「 y 」を「 i 」にするの?

では、なぜ「 y 」を「 i 」にする必要があるのでしょうか?

英語史の専門家 堀田隆一 氏のサイトにこちらのように記述されています。

例えば,前代から現われていた傾向ではありますが,語頭・語中で〈i〉を,語末で〈y〉を用いるのが一般的となってきました.次の語との間に十分な空白が置かれないケースでは,〈i〉だと周囲の文字に埋没してしまい,語末であることが明確に示されなくなる恐れがあります.そこで,語末ではダミーの〈e〉を添えて〈ie〉とするか,あるいは〈y〉を用いるなどの方法が選ばれるようになりました.

連載 第9回 なぜtryがtriedとなり,dieがdyingとなるのか?より引用しました。

つまり、基本的には [ i ] の発音が語末にくる場合だけ「 y 」を使うというルールがあるのです。

でも「baby」に「 s 」がついて「babys」になると、「 y 」が語末ではなくなってしまいますよね?

そのため、語中にくる「 y 」の表記は「 i 」に直すというルールが発動するようになりました。

なぜ「y」の前が母音だと「ies」にならないの?

では今度は、なぜ「 y 」の前が母音だと「ies」にならないのでしょうか?

「 y 」の前が母音になるスペルの例というのはこちらの4つだけです。

「y」の前が母音になる例
ay [ ei ] day(日)days
uy [ ai ] guy(やつ)guys
ey [ iː ] key(カギ)keys
oy [ ɔi ] boy(男の子)boys

「iy」で終わる単語は人名など、非日常的な単語に限定されるので入れていません。

上のように、この4つ「母音+y」の例では単に「 s 」がつくだけになります。

じつは、古来から英語には母音が3つ以上連なるのを嫌う傾向があります。

そのため、「day」の「 y 」が「 i 」になるとこうなってしまいますよね。

「day」+「s」

  • daies
  • days

「語中」に「 y 」が来ることよりも、「母音」が3連続になるほうを嫌うため、母音の後ろの「 y 」はそのままにして「 s 」をつけるだけになります。

「この単語は『ies』になるのか?」と迷ったらとりあえず「ies」にしてみて、母音が3つ続く場合はダメということを覚えておいてください。

語尾が「子音 + y 」のとき

「 y 」を「 i 」に変えて「es」を付ける!


その他(名詞の複数形のみ)

最後に、「s」「es」「ies」以外のその他の場合を紹介しておきますね。

名詞の複数形の場合だけですが、以下の3つの例外パターンがあるんです(動詞の「三単現」にはありません)。

では1つ1つ見てみましょう。

語尾が「f」「fe」で終わる単語

名詞の語尾が「 f 」か「fe」の場合は、「 f 」を「 v 」にして「es」を付けるというルールがあります。

語尾が「f」「fe」の場合
語尾が「f」「fe」の場合

「f」→「v + es」

wolf(狼)→ wolfves

そして、「fe」で終わる単語の場合はこうなります。

「fe」→「ve + s」

knife(ナイフ)→ knifves

なぜ「 f 」が「 v 」になるのかというと、日本語の連濁とよく似た現象(濁音化すると発音しやすいというもの)です。

英語では「のどの震え」をともなう音声に挟まれた子音は音声が濁ります。そのため [ f ] の発音が [ v ] になるのです(参考: 清音と濁音について)。

「ves」になるパターンは、以下のような単語がありますよ。

語尾が「f」「fe」で終わる例
語尾が「 f 」
  • half(半分)→ halves
  • leaf(葉っぱ)→ leaves
  • thief(盗賊)→ thieves
語尾が「fe」
  • life(生活)→ lives
  • wife(妻)→ wives
  • knife(ナイフ)→ knives

語尾に「fe」が付くものは、全部「マジックE」と呼ばれる音声ですね。なので、文字表記としては「 e 」が最後にありますが、発音は [ f ] で終わるものばかりです。

ただし、以下のように「s」が付く例外もありますのでご注意くださいね。

「s」が付くだけの例外

  • belief(信念)→ beliefs
  • grief(悲しみ)→ griefs
サッシ

余談ですが、名詞の「life(生活)」「safe(金庫)」が動詞になると「live(生きる)」「save(助ける)」になりますね!

不規則変化

他には、「不規則変化」する名詞も存在します。

例えば、「chlid(子ども)」を複数形にするとどうなるか分かりますか?

「child」の複数形

child(子ども)→ children

そう、「chlids」とはならずに、そもそも単語の形が変わって「children」となるんです! 厳密には後ろに「ren」が付いていますね。

こんなふうに「 s 」を付けずに変化するパターンもあるんです。ではその例を見てましょう。

不規則な複数形変化

  • child(子ども) → children
  • man(男性)→ men
  • woman(女性)→ women
  • tooth(歯)→ teeth
  • foot(足)→ feet
  • goose(ガチョウ)→ geese
  • mouce(ネズミ)→ mice

同じ「子ども」や「女性」でも、「kid」や「lady」には「s(es)」が付きますが、なぜか「child」や「woman」は形そのものが変わります。

サッシ

不思議ですね~。

こういう不規則な変化は昔のルールが化石のように残っている現象です。現在では「 s 」を付けるというルールですが、大昔はいろいろとルールが変わってきた歴史があるんですね。

さらに言うと、日常で身近な単語ほど、大昔の英語のルールが残り続けている傾向があります。

単複同形

最後に、もう1つ、「 s 」を付けずに変化するパターンがあります。

それが「単複同形」という場合です。つまり、単数形も複数形も同じ形という意味ですね!

この「単複同形」の代表的な単語は「fish(魚)」なんですが、英語で「魚」の複数形は「fish」のまま

「fish」の複数形

fish(魚)fish

そう、まったく変化しません。

それほど多くはないですが、このように「単数」でも「複数」でも変わらない単語もあるんですよ。

以下のように、動物が多いです。

複数形も同じ形の単語

  • deer(鹿)
  • sheep(羊)
  • bison(野牛)
  • fish(魚)
  • salmon(サケ)
  • trout(マス)
  • carp(コイ)

あと、そもそも「不可算名詞」には複数形はありませんよ!

サッシ

「water(水)」や「informatin(情報)」などですね。

詳しくは「可算名詞」と「不可算名詞」の違いは?で詳しくまとめているので、読んでみてくださいね!



まとめ

今回は、英語の単語に「 s 」がつくときの表記ルールについてまとめました。

難しそうに見えますが、基本的には「 s 」を付けるだけです。で、何個かのルールがあるだけです。

少しずつ覚えて慣れていけば、新しい単語に出合っても自然に「 s 」や「es」がつけられるようになりますよ♪

「 s 」が付いたときの発音変化についてはこちらの記事をどうぞ!

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だったら、「単数形と複数形のカテゴリ」を要チェックだね♪

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ABOUT US
中村サッシ
サッシ
塾講師として英語・国語の指導を約20年してきた経験のある「英語の文法オタク」。早稲田大学 教育学部卒。小学生の時から英語を学んでいた経験もあり。「毎日が生まれたて」という月間に100万回以上読まれる人気ブログも運営。>>サッシについて詳しくはこちら
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