
Alexander College(アレクサンダーカレッジ)はバンクーバーとバーナビーにキャンパスを持つ私立カレッジです。
アレクサンダーカレッジでは、大学、カレッジの2年、3年次に編入できる、ユニバーシティ・トランスファープログラムを提供している他、高校プログラム、語学学校(ESL)プログラムを提供しています。
そのアレクサンダーカレッジのESLプログラムがリニューアルされ、大学、カレッジへの進学ルートとしてより使いやすくなりました。
今回の記事では、アレクサンダーカレッジのESLプログラムがどんなものか、大学、カレッジ進学にどう活用できるのかについて、専門家が徹底的に解説します!
このページの目次
アレクサンダーカレッジとは?
アレクサンダーカレッジでは、カレッジプログラムの他、高校プログラム、ESLプログラムを提供しています。
(高校プログラムはアレクサンダーアカデミーの名称で提供されています)
アレクサンダーカレッジについて詳しくはこちらの記事もご覧ください。
アレクサンダーカレッジの一番の特徴は、大学、カレッジに編入できるユニバーシティ・トランスファープログラムを提供していることです。
特に、ユニバーシティ・トランスファーの2年制のプログラムを卒業すると、ポスグラビザの対象になる可能性があることが魅力的です。
アレクサンダーカレッジESLとは?
アレクサンダーカレッジESLは、アレクサンダーカレッジのカレッジプログラムに入学するための準備プログラムとして位置づけられています。
ESLとEAPの2層構造
アレクサンダーカレッジESLのいいところは、アレクサンダーカレッジに入学できるだけではありません。
ESLプログラムを修了すると、カレッジの科目を履修しながらEnglish for Academic Purpose(大学進学のための英語、EAP)という科目を受講することが出来るんです。
そして、EAPのEnglish099という科目の単位を取ると、なんとブリティッシュコロンビア州の他の大学、カレッジ入学時の英語力の証明として使用可能なんです!
IELTSやTOEFLを受けなくてもいいんですね!嬉しいです!!
ブリティッシュコロンビア州の公立カレッジ、大学に入学するには、IELTSで6.0~6.5、TOEFLだと85~95程度のスコアが必要になります。
これはかなり高いハードルです。
しかも、英語テストは一発勝負で、当日の体調や問題との相性によっては自分の普段の実力を発揮できないことがあります。
更に、大学、カレッジはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの総合で基準を満たしているだけでなく、各分野で最低点を下回らないことが求められることが多いです。
(たとえば、「入学基準IELTS6.5以上、ただし全分野6.0以上のスコアであること」という感じです)
その点、アレクサンダーカレッジのESLで基準の科目を修了するという条件は、受講期間中全ての頑張りを総合的に判断してもらえるので、実力や頑張りが公正に判定されやすいです。
ちなみに、英語力判定について、デュオリンゴ英語テストという英語試験を入学基準として認める大学、カレッジが増えてきました。
デュオリンゴ英語テストについて、こちらの記事で詳しく解説しています。
では、アレクサンダーカレッジESLについて、詳しく解説します。
アレクサンダーカレッジESLのレベルは6段階
アレクサンダーカレッジESLは、6段階にレベル分けされています。
大きく3つのレベルに分かれ、それぞれに2つのレベルが設けられているので、計6段階です。
ESL6段階のレベル
- English Foundation Ⅰ(英語基礎1)
- English Foundation Ⅱ(英語基礎2)
- English Beginner Ⅰ(英語初心者1)
- English Beginner Ⅱ(英語初心者2)
- English Intermediate Ⅰ(英語中級者1)
- English Intermediate Ⅱ(英語中級者2)
それぞれのレベルが7週間完結の科目として提供されており、それぞれのレベルをクリアしていると認められると、上のレベルに上がることが出来ます。
つまり、一番下のレベルからスタートしたら、最短で約1年でESLのプログラムを終えることができるということです。
上のレベルに行くほど難しくなるので、レベルを一回でクリアできずに同じレベルを2回以上受講する可能性はあります。
でも、「最短で」1年だと分かるとやる気が出ますよね。
アレクサンダーカレッジESLの学費、授業時間
アレクサンダーカレッジESLの学費は2レベル(14週間)につき、$4,980です。
授業時間は、月曜日から金曜日の1日4時間、計週20時間です。
EAPは2レベル
English for Academic Purpose(大学進学のための英語、EAP)には次の2レベルがあります。
EAPの2レベル
- English 098
- English 099
アレクサンダーカレッジEAPの学費、授業時間
アレクサンダーカレッジEAPの学費、授業時間はレベルごとに違います。
English 098の学費は$3,750(14週間)で、授業時間は週15時間です。
English 099の学費は$2,500(14週間)で、授業時間は週10時間です。
カレッジの科目が同時に取れる!
この、EAPのいいところは、098の場合は最大2科目、099の場合は最大3科目カレッジの科目を履修できるところです。
つまり、大学進学のための英語学習の最終段階をしながら、並行してカレッジの勉強を始められるということなんです。
学生ビザが大学・カレッジ用に!
更に、099レベルになると、学生ビザの種類が変わります。
具体的には、語学学校通学のための学生ビザではなく、カレッジ、大学通学用の学生ビザを申請できるようになるんです。
ビザの種類が変わると何が違うんでしょうか?
実は大違いなんです。
大学・カレッジ用学生ビザでできること
- 通学期間中、週20時間まで働ける
- 配偶者が配偶者オープンワークパーミットを取得可能
- 高校生以下の子どもが公立学校に無料で通うことが可能
配偶者オープンワークパーミット、子どもの無料教育の対象になるためには、アレクサンダーカレッジの2年制の学科に入学する必要がありますのでご注意ください。
また、配偶者ビザや子供の無償教育が承認されるかどうかは、移民局や教育委員会の判断によります。
他の公立カレッジ、大学へも進学可能!
アレクサンダーカレッジの大学進学のための英語プログラムの凄いところは、English 099の単位を取得すると、それをブリティッシュコロンビア州の公立大学、カレッジの入学条件として使用できるところです。
これは他の語学学校(ESL)で提供されているパスウェイプログラムに近いです。
パスウェイプログラムについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
各公立大学、カレッジのウェブサイトなどに記載はありませんが、アレクサンダーカレッジのEnglish 099はブリティッシュコロンビア州の高校三年生の英語(English 12)と同等であると認められています。
詳しくはブリティッシュコロンビア州の単位移行などを管轄するBCCATのウェブサイト(英語)をご覧ください。
英語を伸ばしながらカレッジ生活を先取り!
アレクサンダーカレッジESLとEAPに通うと、大学進学に向けた英語力アップをしながら、カレッジ生活を始めることが出来ます。
カレッジの設備を利用可能
ESLに通っている期間中も、カレッジの学生と同じように図書館やWriting and Learning Centerなどの学校施設を利用することが出来ます。
Writing and Learning Centerは英語のライティングの添削などをマンツーマンで行ってくれる無料のサービスです。
カレッジの科目を受講するようになったら、数学や経済学などの科目を教えてもらえるチューターサービスも無料で利用することが出来ます。
また、「my AC」という学生ポータルサイトを使用することができます。
アレクサンダーカレッジの学生はmy ACを使って科目登録や課題の提出をしたり、他の学生と交流したりするので、my ACの使い方に一足先に慣れておくと、カレッジ生活をスムースに始めることが出来ます。
カレッジのアクティビティに参加可能
アレクサンダーカレッジには、Alexander College Student Association(ACSA)という、学生で作る団体があって、学生向けのイベントを企画、運営しています。
ACSAは日本の大学の学生自治会のような組織で、そこでの活動はボランティア活動の実績として、大学、カレッジに入学する時やカナダで就職する時のアピール材料になります。
ESLの学生も、ACSAが実施するイベントに参加するだけでなく、ACSAの運営にボランティアとして参加ことが出来ます。
参加できるACSAのイベントは以下のようなものです。
ACSAのイベント
- Capilano Suspension Bridge(キャピラノサスペンションブリッジ)
- Grouse Mountain(グラウスマウンテン)
- Stanley Park and Seawall(スタンレーパークとシーウォール)
- Cycling in Vancouver(サイクリング)
- Food Culture and Cuisine(食文化体験イベント)
- Science World(サイエンスワールド)
- Vancouver Aquarium(バンクーバー水族館)
- Cultural Celebrations(様々な文化のお祭り)
- Sports Events(スポーツ大会)
- Short Trips(小旅行)
楽しそうなイベントがたくさん並んでいますよね。
こうしたアクティビティは、アレクサンダーカレッジESL以外の語学学校でも行われています。
でも、学生がイベントを企画、実施していることがアレクサンダーカレッジESLの大きな魅力です。
アレクサンダーカレッジESLはどんな人におすすめ?
ここまで、アレクサンダーカレッジESLの魅力をご紹介してきました。
では、いったいどんな学生がアレクサンダーカレッジESLに向いているのでしょうか?
それはズバリ、カナダの大学進学、就職まで見越した長期計画がある学生です。
短期の留学であれば、一般のESLの短期集中プログラムの方がお勧めです。
サンプルケースで解説
具体的に、どんな学生にアレクサンダーカレッジのESLが向いているのか、架空のサンプルケースを使って解説します。
T・Mさんは日本の高校を卒業した18歳。
海外の大学に進学することに興味があったため、高校卒業直後の4月からカナダに留学することにしました。
アレクサンダーカレッジESLで勉強をしようと決め、デュオリンゴ英語テストを受験して英語力を測ります。
デュオリンゴ英語テストの結果は70。日本の高校卒業レベルの英語力です。
アレクサンダーカレッジESLでは、English 088(ESL6段階の上から2番目)に判定されました。
ここがカナダ留学のスタートラインです!
ESL4か月(1学期)
English 088からT・Mさんのカナダ留学がスタートします。
ESLに通っている期間は英語の勉強のみに集中します。
アレクサンダーカレッジのアクティビティに積極的に参加したり、ホームステイ先の家庭で積極的に会話したりしたため、カナダでの生活にもすぐに慣れました。
アクティビティなどを通して、ESLの学生だけでなく、カレッジの学生とも仲良くなれたのが刺激的でした。
色々な国から来た、自分よりも年上の人たちと話をすると、彼らが自分よりもずっと自立していることに驚かされます。
アレクサンダーカレッジESLは、一般のESLの集中プログラムよりも授業時間が少ないので、図書館などを使った自主学習で英語力を伸ばすよう努力しました。
EAP8か月(2学期)
T・Mさんは順調にEnglish 088、English 089をパスして、EAPプログラムに進みました。
EAPプログラムはカレッジの科目履修と並行できるので、この時点で実質的にカレッジ生活がスタートしていると言ってもよいです。
English 098を取っている間は最大2科目まで、English 099を取っている間は最大3科目までカレッジの科目を受講できます。
カレッジの科目はアカデミックアドバイザーに相談
T・Mさんは大学で何を勉強するかまだ決めていなかったので、どんなカレッジの科目を受講すればよいか分かりませんでした。
そこで、アレクサンダーカレッジのアカデミックアドバイザーに相談することに。
アレクサンダーカレッジのアカデミックアドバイザーは、大学、カレッジの科目やユニバーシティ・トランスファーに精通したスペシャリストです。
カウンセラーさんのアドバイスは、
「カレッジで履修する最初の科目は、英語のテキストを読む負担ができるだけ軽いもの、具体的には英語以外の外国語や、経済学、統計学などの数を扱う科目がおすすめ」
というものでした。
T・Mさんはそのアドバイスに従って、スペイン語、統計学などの科目を履修しながら、優秀な成績でEnglish 098、English 099をパスすることができました。
English 099から広がる選択肢
English 099をパスした段階で一気に選択肢が広がります。
大学に入学する
English 099の修了を英語力の証明として大学に入学することが出来ます。
この時、EAP期間中に履修したアレクサンダーカレッジの科目の単位を入学先の大学やカレッジに移行することが出来ます。
カレッジの2年制プログラムを卒業する
アレクサンダーカレッジや他の公立カレッジで、2年制のユニバーシティ・トランスファープログラムを卒業することも可能です。
色々な選択肢がある中、どれを選ぶのが正解なのでしょうか?
ユニバーシティ・トランスファープログラムがおすすめ
アレクサンダーカレッジに残って2年制のユニバーシティ・トランスファープログラムを卒業するか、ユニバーシティ・トランスファープログラムがある他のカレッジに入学するのがおすすめです。
English 099をパスした段階での大学入学を勧めない理由は、入学時の選考方法にあります。
入学者の競争が激しい人気大学の場合、英語の入学基準を満たした他の入学希望者との競争で入学基準が判断されます。
その競争は高校の成績で判断され、日本の高校の成績はカナダの大学にとってなじみの薄いものであることから、他の入学希望者よりも不利になってしまいます。
ユニバーシティ・トランスファープログラムを利用すれば、カナダのカレッジの成績で他の入学希望者と争うことが出来ます。
カナダのカレッジで優秀な成績をキープすることは簡単ではありませんが、他の学生と同じ条件なので、後は自分の頑張り次第です。
T・Mさんはそのまま、アレクサンダーカレッジに残って2年制のユニバーシティ・トランスファープログラムの卒業を目指すことにしました。
ユニバーシティ・トランスファーについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
カナダの大学について知りたいという方は、こちらの記事もご覧ください。
大学の3年に編入・卒業
T・MさんはESLの1学期とEAPの2学期を含めて計7学期、2年4か月でアレクサンダーカレッジのユニバーシティ・トランスファープログラムを卒業しました。
ユニバーシティ・トランスファープログラムは、卒業後すぐに大学に編入することが可能ですが、Associate of Artsという学科名で卒業証書をもらうこともできます。
そしてその卒業証書があれば、ポスグラビザの申請ができます。
T・Mさんそのまま大学に編入するかいったん就職するか迷いましたが、いったん就職することにしました。
大学でビジネスの勉強をしたいと思っていたので、少しでも働いた経験を得てから大学に進学した方が、大学で学ぶ内容をより深く理解できると考えたためです。
実はこのT・Mさんが選んだ、カレッジ卒業後、いったん就職するというルートは、とても賢い選択肢でもあるんです。
カレッジ卒業後にポスグラビザを取得して働き、カナダ永住権を取得してから大学に入ると、大学の学費がすごく安くなるんです。
カナダの公立大学、カレッジの留学生の授業料はとても高いですが、永住権を取得するとカナダ人の学費が適用になり、学費が留学生の3分の1から学校によっては10分の1近くにもなります。
長期プランが何より大事
成功例のサンプルケースを紹介しました。
成功のカギは長期プランがあったことです。
アレクサンダーカレッジのESLは、ESLを終えた後にカレッジや大学に進学するという長期プランがある学生におすすめです。
逆に、1年未満の限られた期間英語を集中的に勉強して、その後すぐ日本に戻る計画なのであれば、一般のESLの集中プログラムの方をおすすめします。
日本の高校を卒業してすぐにカナダの大学進学をめざすことについて、こちらの記事でも紹介しています。
まとめ
アレクサンダーカレッジのESLと、その上のレベルのEAPについて、再度まとめます。
- ESLのレベルは6段階
- EAPのレベルは2段階
- EAP受講中にカレッジの科目を受講可能
- カレッジの設備を利用可能
- カレッジのアクティビティに参加可能
- English 099をパスすれば、州内の公立大学、カレッジに進学可能
- カレッジで2年間のプログラムを卒業してから大学に編入するのがお勧め
- 永住権を取得してから大学に編入するのが更にお勧め
アレクサンダーカレッジのESLは、英語力のアップとカレッジの勉強を同時に進めることができる、とても魅力的なプログラムです。
最終的にカナダのカレッジや大学での留学を成功させるという、長期的なプランがある学生さんに特におすすめです。
アレクサンダーカレッジのESL、EPAを終えてからは、そのままアレクサンダーカレッジのユニバーシティ・トランスファープログラムに進んだり、他のカレッジ、大学に移ったりと、様々な選択肢があります。
一般的には大学よりもカレッジの方が、入学しやすく留学生にとって馴染みやすいので、カレッジの2年制のユニバーシティ・トランスファープログラムを終えてから、大学に進学することをお勧めします。
まずはカナダ留学コンパスの無料相談をご利用ください。
ESLでの英語力アップから大学卒業までの、長期的なプランを立てるお手伝いをします。